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検索対象: トム・ソーヤーの冒険 下
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1. トム・ソーヤーの冒険 下

トで暮ら すぐ回復できるものではなかった。ふたりは、水曜日と木曜日を、まるまる、べ " し、しかもだんだん疲れが出てくるような気がした。トムは、木曜日にすこし起きて歩き、 金曜日には外へ出た。そして、土曜日には、ほとんどまえとおなじくらいになっていた。け はいびよう れども、べッキーは、日曜日まで自分の部屋を出ないで、それからも、肺病でもしたあとの ようなようすをしていた ト . ム・十ま、、ツ もにたたが、寝室へは入れてもら クの病気の話を聞いて、金曜日に会、 えなかった。土曜日にも、日曜日にも会えなかった。それからあとは、毎日、寝室へ入れて ばうけんだんこうふん もらったが、あの冒険談や興奮するような話は、何も話してはいけないととめられた。ダグ ラス未亡人は、トムが命令を守るように、そばについていた。トムは、カ 1 ディフ山の事件 できしたい や、渡し船の船つき場の近所で、とうとう「ばろの男」の溺死体が発見されたということは、 に 家の人たちから聞いていた。たぶん、その男は、逃げようとして、川に落ちて死んだのだろ 0 ほう・もん ほらあな トムは、ツクを訪問に出かけた。ハックは、も、つ 洞穴から救われてから、二週間たって、 こうふん くら いかなりよくなっていた。そこで、トムは、、ツクに興味 興奮する話を聞いてもいし みばうじん わた つか しんしつ 199

2. トム・ソーヤーの冒険 下

わすぜ。いや、あかりの消えるまで待っこととしよう。いそぐこたあねえ。」 ゞ、、ツクにはわかった それからしばらく、だんまりがつづくのだということカノ 、、ツクはを殺し れは、血なまぐさいことをうんと聞かされるよりも、なお悪かった。で かたあし あと ながら、用心ぶかく後ずさりしはじめた。あぶなっかしく片足で立ち、あっちへひょろひょ へいきん ろ、こっちへひょろひょろ、もうすこしでひっくり返りそうになりながら、やっと平均をと り、用心ぶかく、しつかり、その足を地面につけた。それから、またおなじように苦心さん たん、同じようにあぶない思いをしながら、もう一歩後退。そして、またもう一歩。それか らもう一歩。そしてーーービシッ ! 小枝が ( ックの足の下で折れた。急もとまりそうになっ まったくしんとしていた。そのあり て、ハックはじっと耳をすました。なんの音もない かべ 、、ツクは、ヌルデの木々が、壁のようにな がたさは、なんとも言いようがなかった。さて らんでいる間で、まるで舟にでもなったかのように、用心ぶかく向きをかえ、それから、す ばしこく、けれども、用心ぶかく歩きだした。石切り場まで来ると、もうだいじようぶと思 早い足を利用して、飛ぶように走った。下へ、下へ、ウ = 1 ルズ人の家に着くまで、 くつきよう ックは走りつづけた。戸をドンドンたたくと、まもなく、主人の老人と、ふたりの屈強なむ ふね こえだ ヾゝ、 149

3. トム・ソーヤーの冒険 下

もう、くたびれて死ぬところだとわかっているし、死にたいのだから、そんなばかな話で、 トムが苦心さんたん、それがほんとの話だ 気をいらいらさせないでくれと言った。そこで、 ということを、やっとわからせ、べッキ 1 も手さぐりで這いだして、自分の目で、その日光 の青い点を見つけたときには、べッキ 1 はうれしくて、もうすこしで死ぬところだ「た。ト ムは、その穴からむりに這いだすと、べッキ 1 もひつばりだし、そこで、ふたりはすわって、 かるぶね うれし泣きに声をあげて泣いた。それから、数人の男が軽舟に乗ってやって来たので、トム は男たちを呼びとめて、自分たちの事情とおなかのへっていることを話した。すると、男た かれ ちははじめ、そのとてつもない話を信じなかった。というのは、彼らの話によれば、「おまえ ほらあな たちは、洞穴の入口のある谷間から、五マイルも川下にいるんだぜ。」ということだ「た けん それから、男たちはふたりを舟にのせ、一軒の家へつれてゆき、ふたりにタはんをたべさせ た。そして、二、三時間やすませてから、日暮れすぎ、家へつれて来てくれたのであ「た。 夜あけ前に、サッチャー判事と小人数の捜索隊は、彼らがあとに残していった糸の目じる しで、いる場所がっきとめられて、この重大ニースはったえられた。 くうふく みばんほね ほらあな 洞穴のなかの三日三晩の骨おりと空腹は、トムとべッキ 1 にも、まもなくわか「たように、 ひぐ そうさくたい かれ 198

4. トム・ソーヤーの冒険 下

からなかった。ふたりは腰をおろし、トムが、前の壁に土をすこしく「つけて、ロウソクを 立てた。ふたりはすぐに、考えこんでしま「たので、しばらくの間、何も言わなか「た。そ れから、べッキーが口をきった。 「トム、とてもおなかがへっちゃったわ ! 」 トムは、ポケットから何かをとりだした。 「これ、おばえてる ? 」と、トムは言った。 びしよう べッキーは、微笑のようなものをもらした。 「あたしたちの結婚式のお菓子だわ。」 「そう これ、たるぐらい大きけりやいいなあ。だって、これつきりたべるものないん だもの。」 「あたし、それ、ピクニックのごちそうのなかから、記念にとっておいたのよ。おとなの けっこんしき だけど、これ、きっとあたしたちのーーー」 人が、結婚式のお菓子をとっておくように べッキーは、そこでことばをきった。トムが、そのお菓子を半分にわると、べッキーは、 がつがったべ、一方、トムは自分のぶんを、ちびりちびりとかじった。ごちそうのあとにの けっこんしき こし 185

5. トム・ソーヤーの冒険 下

ほらあな うだった。そして、ポリーおばさんもまた、・ こ同様だった。サッチャー判事は、洞穴から希 望と激励のことばをつたえてよこしたが、それには、すこしもほんとの元気はこもっていな 。カ子 / 老ウェールズ人は、夜あけ近く、ロウソクのしずくをあちこちにくつつけ、泥まみれにな り、ほとんどくたくたになって帰って来た。見ると、 ックのために用意さ ほらあな れたべッドに寝て、熱に浮かされていた。医者はみな洞穴に出かけていっていたので、ダグ みばうじん ラス未亡人が来て、病人のめんどうをみていた。未亡人は、自分にできるかぎり、その子の めんどうをみると言った。なぜならば、よい子であろうと、悪い子であろうと、また、その どっちでもない子であろうと 、、ツクも神の子だからと、 いうのである。神の子であるもの は、何であろうと、なおざりにすることはできないのである。老ウェールズ人は、、ツクに もいところがあると言った。すると、未亡人は答えて、 「そのとおりでございます。それが、神さまのお手のあとでございますもの。どんなもの にも、きっとそのあとはお残しになりますよ。かならずでございます。ご自分のお手から出 たものなら、神さまはどんなものにも、どこかへあとをおつけになります。」 げきれい しゃ どろ 168

6. トム・ソーヤーの冒険 下

「そんなことをする必要もないと存じましてな。やつらはーー・道具をとられてしまったし もうもどって来そうなようすもなし、あなたを起こして、びつくりさせてもしかたがな めしつか いことだ。あれからずっと、うちの召使いの黒人三人に、お宅を見はりさせておきました。 あれらは、いま帰って来ました。」 ほうもんきやく 訪問客は、またふえた。そして、それから二時間というもの、老人はおなじ話を、何度も くり返さなければならなかった。 だれかれ 夏休みの間は、日曜学校はないのだったが、誰も彼も、早くから教会に集まって来た。そ とうろん して、このおどろくべき事件について、じゅうぶんに討論した。ふたりの悪漢の消急は、ま だすこしも発見されないというニ = ースがはいった。お説教が終わったとき、サッチャ 1 夫 人は、人びとの群といっしょに通路を流れ出ながら、 ノ 1 夫人の横にならんで言った。 たく 「宅のべッキ 1 は、一日寝ているところでしようか ? 死ぬほどくたびれてしまうだろう とは思っていましたが。」 「お宅のべッキー ? 」 「ええ。」と、たいへんおどろいた顔で たく ね 「ゆうべ、お宅へごやっかいになりませんでし たく ノ たく あっかん 164

7. トム・ソーヤーの冒険 下

き、べッキ 1 は立ちあがって、アルフレッド・テンプルのことを言いつけてやろうという気 にさえなった。でも、べッキーは、自分をおさえて、じっとしていたーーーベッキーは、しの おくでこう言っていたのだ。 「きっと、あの人、あたしのこと言いつけるわ。あたし、あの人のいのちを助けてやれる ひとこと としたって、一言も言うの、よそう。」 トムは、ムチをうけ、すこしもしょげずに自分の席へ帰っていった。トムは、自分がいっ か悪ふざけをしたとき、知らないで書き取り帳にインクをこばしたのだろうと思ったのオ そんなことをしないと言いはったのは、形式上やったことで、また、そうするのが、トムの 習慣だったからだ。主義の上から、トムは、しませんとがんばったというわけなのだ。 ぎよくざ それから、まる一時間がゆっくりすぎていった。先生は、玉座で船をこぎ、部屋じゅうが 勉強する子どもたちのたてる、ねむくなるようなつぶやきでいつばいになっていた。やがて、 つくえ かぎ ドビンス先生は立ちあがると、のびをし、あくびをしてから、机の引き出しの鍵をあけた。 本をとろうとして、手をのばしたが、とろうか、とるまいかとまよっているふうだった。た いていの生徒は、めんどうくさそうに目をあげただけだったが、なかにふたり、先生のよう ミ 0

8. トム・ソーヤーの冒険 下

れいたん 「あら、あたしもいっていい ? 」と、グレイシ 「ええ、 「それから、あた・しも ? 」と、サ 「ええ、 「それから、あたしもね ? 」と、ス 1 ジ 1 ・ 「ええ、 そうして、たのしそうに手をたたきながら、そこにいたみんなが、ビクニックにいきたが 。こけになった。すると、トムは、まだおしゃべりしながら、 残ったのは、トムとエミ 1 オ 冷淡なようすでくるっと背を向け、エミ 1 をつれていってしまった。べッキーのくちびるは なみだう ふるえ、目には涙が浮かんだ。べッキーは、そんなようすはかくして、むりに元気なふりを まとなっては、ビクニックも、ほかのことも、すこしもたのしくな し、話しつづけたが、い くなった。べッキ 1 は、すきを見て、大いそぎでその場を逃げ出し、人にかくれて、女の人 たちがよく一言うように「よよとばかり」に泣いた。それから、傷ついた誇りを抱いて、始業 しゅうねん の鐘が鳴るまでしずみこんですわっていた。さて、鐘が鳴ると、べッキーは執念ぶかそうな かね せ リ 1 ・ロジャースが = = ロった。 ー・ミラーか一一 = ロった。 ハーが言った。「それから、ジョ 1 も ? 」

9. トム・ソーヤーの冒険 下

してしまって、まったくばかなことをしたと、気がいらいらした。けれども、あのときはや はり、宝物でないと思っただけでーー・・そうでないと、はっきりわかっていたわけではなかっ たーーーで、何か荷物が見つかったと聞いたときには、とてもがまんができなかったのだ。だ ことだった、と、 が、いろいろ思いあわせてみれば、この小事件がおこったのは、、、 ノ 。ゝ、はっきりしたのだカ クは思った。そのおかげで、あの荷物は、例の物でないということカ ら。そこて いまとな : 、ツクは安心し、たいへんのんびりした気もちになれた。まったく、 ってみれば、何もかも、うまいぐあいになって来たようだ。宝物は、まだ第二号にあるにち ろうや 力もない。ふたりの男は、きようのうちにつかまり、牢屋にはいるだろう。そこで、自分と トムは、今晩、なんの心配もなく、なんのじゃまもなく、あの金貨をつかめるというわけな のだ。 ちょうど、朝はんが終わったとき、戸をたたく音がした。ハックは、とびあがって、かく れ場をさがした。こんどの事件には、すこしもかかりあいになりたくなかったのだ。ウェ しんししゆくじよしよう ルズ人は、、 しく人かの紳士淑女を招じ入れたが、そのなかには、ダグラス未亡人もまじって いた。そして、またそのほかにも、何組かの村びとたちが丘をのばってくるのが見えた。踏 こんばん おか みほうじん 162