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検索対象: トム・ソーヤーの冒険 下
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1. トム・ソーヤーの冒険 下

まもなく、例のきみ悪い引力にひきもどされて、そこへ帰ってくるのだった。トムは、だれ か用もなくぶらついている者たちが、ふらっと法廷から出てくるたびに、聞き耳をたてたが、 なさけ ニュ 1 スはいつもいたましいものばかりだった。 わなはしだいに、情ようしやもなく、 あわれなポッタ 1 のまわりにせまっていくところだった。二日めの終わりには、村じゅうの ばいしん 、つわさによると、インジャン ・ジョーの証一一 = ロははっきりとして、ゆるぎのないもので、陪審 いん ぎもん 員たちの判決が、どうなるかについては、疑問の余地はすこしもなくなったということであ まど トムは、その晩、おそくまで外にいて、窓から寝室に帰って来た。トムは、おそろしく興 奮していた。そして、何時間も眠れなかった。 さいばんしょ つぎの朝は、村じゅうの者が、裁判所に集まった。きようこそは、重大な日だった。すし ばうちょうにん づめになった傍聴人は、男女がだしたい、半々のわりあいだった。ながい間、待たされたあ ばいしんいん とで、陪審員が一列にならんではいって来て、席についた。それから、まもなく、あおざめ、 くさり やつれ、おずおずとして、希望もないようすで、ポッタ 1 が、鎖をつけられたまま出て来た。 こうきしん そして、好奇心に満ちた、すべての人の目が、ポッタ 1 を見すえることのできる場所にすわ ふん ねむ ほう・てい しんしつ こう

2. トム・ソーヤーの冒険 下

けれども、すこしたっと、この劇を書きだしたときのトウェインの熱はさめてしまったの で、その物語は、劇としては生まれ出ませんでした。それから、またすこしたって、このお 話は小説に書きかえられ、やっと完成したのが、一八七五年でした。 マーク・トウェインとい、つ人は、このよ、つに、インスビレーションがわくと、わっと一し や千里に書きはじめながら、じきまた投げだしてしまい、それから数年たってから、古い原 たんねん 稿をとりだして、丹念に完成するというくせがあったようですが、「トム」の場合もそうでし こう じめます。 返事なし。 返事なし。 「あの子ときたら、どうしたんだろうね。これ、トムや ! 」 げん 246

3. トム・ソーヤーの冒険 下

ャーを呼んでください。」 おどろ 8 法廷じゅうの人の顔に、そして、ポッタ 1 の顔にさえ、何がなんだかわからないという驚 きの色が浮かんだ。すべての人の好奇の目が、立ちあがって証人席にのばるトムの上に注が れた。少年は、ひどく取りみだしたようすだった。すっかりおびえてしまっていたのである。 せんせい 宣誓がおこなわれた。 「ト 1 マス・ソーヤー、六月十七日の晩、あなたは、どこにいましたか ? 」 ばうちょうにん トムは、インジャン 1 の鉄の顔をちらと見、ロがきけなくなった。傍聴人たちは息 をころし、耳をすましたが、ことばは、トムの思うようには出てこなかった。しかし、しば ほうていない らくすると、トムはすこし勇気をとりもどして、やっと法廷内のいくらかの人には聞こえる くらいの声を出すことができた。 「墓地にいました ! 」 「どうぞ、もうすこし大きく。こわがらないでよろしい。あなたは 「墓地にいました ! 」 さげすむような笑いが、インジャン ・ジョ 1 の顔に、ちらと浮かんオ ほ、ってい う わら 、」う・き う

4. トム・ソーヤーの冒険 下

「 ( ック、まあ、そこへいくまでおとなしくしてろ。もしその金がなかったら、あの太鼓 と、それからおれの持ってるもの、全部やる。ほんとだよ。」 「よしーーーきまった。おめえ、 つ出かける ? 」 「おまえがよければ、、 しますぐさ。おまえ、からだ、だ、じよぶか ? 」 ほらあな 「それ、洞穴んなかへずっとへえ「てくのか ? この三、四日、すこしは歩いてるけども、 ムーーーともかく、歩けねえような気がするな。」 一マイルは歩けねえな、ト 「 ( ック、おれでなければ、だれでも五マイルは歩くとこなのさ。だけど、おれでなけり や知らない近道があるんだ。おれ、おまえを船にのつけてな、そこまでつれてってやるよ。 おれひとりで軽舟漕いでって、また漕いで帰ってくるよ。おまえは、横のもの、たてにしな くてもいいんだ。」 「すぐ出かけべえ、トム ノイフと月さ 「うん、よし。。、ンと肉をすこし持ってかなくちゃだめだよ。それから、 ・マッチって、みん 袋、一つ二つな。それに、タコ糸、三つか四つ。それから、ルシファー なが言ってる新発明品さ。ほんとだぜ、おれ、あすこにいたとき、何度、あいつがほしいっ ふくろ かるぶねこ たいこ 209

5. トム・ソーヤーの冒険 下

ちに、気もち悪い思いさせたくねえからな。おめえたちゃ、親切だった。だが、おめえたち に言っときてえ。酒はのむなよーーそうすりや、こんなところへくるような心配はねえ。も そでなみだ うすこし西の方へ立ちな・ーーそう、そうだ。 袖に涙のかかるとき、親切な人間の顔を見るく れえ、なぐさめになることはねえし、また、おめえたちのほかにや、ここへ来てくれるもの もねえんだから。親切な、やさしい顔だーー親切な、やさしい顔だ。ひとりずつ、おたがい あくしゅ せなか の背中にのりつこして、おれに顔さわらせてくれ。そうだ、握手するとしよう。おらの手は、 おっきくて通らねえが、おめえたちなあ、格子から通るべえ。小さい手だ。力もねえ。だが、 この手で、マフ・ポッタ 1 をうんと助けてくれたなあ。これからも、できれば、やってくれ るにちげえねえ。」 ゅめ トムは、みじめな気もちで、家へかえった。そして、その晩のトムの夢は、恐ろしいでき さいばんしょ ごとでいつばいだった。つぎの日とそのつぎの日、トムは裁判所の近くをうろついたが、そ こへはいってゆきたくて、もうすこしで引っぱりこまれそうになりながら、それでもじっと クもおなじことだった。ふたりは一生けんめい、おた こらえて、外にふみとどまった。、ツ がいに会わないようにした。時どき、ふたりとも、ふらふらとほかの場所へ出かけるのだが、 こうし ばん お

6. トム・ソーヤーの冒険 下

どっちの鍵もまわらないんだ。それから、なに してるんだか、自分にもわかんないうちに、お れ、ハンドルにぎってたんだよ。そしたら、ド アがあくんだ ! 鍵なんか、かかってなかった んだよ ! おれ、とびこんで、タオルふるいお 一とした。そうしたら、ああ、お「かなか「た ! 」 「なんだ ? トム、なにがあったんだ ? 」 「、ツク、おれ、もうすこしで、インジャ ・ジョ 1 の手にのつかるところだったん 「まさか ! 」 「ほんとだ ! やっ、床の上でぐっすり眠っ てやがったんだ。あのめがねして、両手ひろげ ゆか ねむ 131

7. トム・ソーヤーの冒険 下

水くんでやるから、おらが、なんか食いてえとき、ねだると、あまってれば、すこしはくれ るんだ。あいつは、とてもいい黒んばだぜ、トム。おらあ、あいつより身分がいいなんてふ うしねえから、おらのことすきなんだ。時どき、おら、あいっとすわりこんで、 食うこともあるんだ。だけど、だれにもだまってろよ。 ししことじゃなくたって、うんと腹 へれば、しなくちゃなんねえこともあるからな。」 「まあ、ひるま、おまえに用がないときは、寝かしといてやるよ。じゃましこ、ゝ 。し力ないよ。 だけど、夜、何か起こったってわかったら、すぐとんで来て、ニヤアと鳴けな。」 135

8. トム・ソーヤーの冒険 下

あいそう 、というところまでゆきそうだった先生は、 さて、 い、きげんで、もうすこしで愛想がいも ちょうしゅうせ ここでいすをわきに押しのけると、聴衆に背を向け、地理科のクラスの発表をするために、 黒板にアメリカの地図をかきはじめた。ところが先生の手は、ふたしかだ「たので、地図は ひどくまずいか 0 こうにできあが「た。くすくす笑いが部屋じゅうにひろが「た。そのわけ がわか「たので、先生は地図をなおしにかか「た。その図を消し、もう一度書いた。ところ 乙グ : っ , 、 0 ク彡 / わら

9. トム・ソーヤーの冒険 下

ほどだった。この、人の心をうばうような話の流れをさえぎる者さえ、ほとんどなかった。 トムの話が終わると、ジョ ンズ氏は言った。 「わしは、きようの会に、ほんのすこし、みなさんをび「くりさせるつもりで準備してま いりましたが、こうなれば、わしの話などは、物の数でもありません。この話を聞いては、 まったく、こちらはしやっぽをぬいだと、申しあげておきましよう。」 かんじよう 金は勘定された。その額は、一万二千ドルをちょ「と越えていた。そこに出席している人 たちのうち、いく人かは、財産こそ、それよりず「と多か「たが、一度にそれだけの金を見 た人は、ひとりもなかった。 こ 230

10. トム・ソーヤーの冒険 下

て考えたかわかんないよ。」 ほらあな 昼すこしすぎ、少年たちは、主のない軽舟を借用し、すぐ漕ぎだした。「洞穴の谷」の川 下、数マイルのところに来たとき、トムは言った。 「ほら、あの谷から下の山は、ずっとみんなおんなじに見えるだろ ? 家はないし、薪 ぞうきやま おき場もないし、みんなよく似た雑木山ば「かりで。だけど、あ「ちこ「ち、上の方に地す べりしたあとの、白いとこがあるの、見えるか ? あれさ、おれは目じるしの一つにしてる かるぶね まき かわ 210