人たち - みる会図書館


検索対象: トム・ソーヤーの冒険 下
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1. トム・ソーヤーの冒険 下

ほどだった。この、人の心をうばうような話の流れをさえぎる者さえ、ほとんどなかった。 トムの話が終わると、ジョ ンズ氏は言った。 「わしは、きようの会に、ほんのすこし、みなさんをび「くりさせるつもりで準備してま いりましたが、こうなれば、わしの話などは、物の数でもありません。この話を聞いては、 まったく、こちらはしやっぽをぬいだと、申しあげておきましよう。」 かんじよう 金は勘定された。その額は、一万二千ドルをちょ「と越えていた。そこに出席している人 たちのうち、いく人かは、財産こそ、それよりず「と多か「たが、一度にそれだけの金を見 た人は、ひとりもなかった。 こ 230

2. トム・ソーヤーの冒険 下

ャーを呼んでください。」 おどろ 8 法廷じゅうの人の顔に、そして、ポッタ 1 の顔にさえ、何がなんだかわからないという驚 きの色が浮かんだ。すべての人の好奇の目が、立ちあがって証人席にのばるトムの上に注が れた。少年は、ひどく取りみだしたようすだった。すっかりおびえてしまっていたのである。 せんせい 宣誓がおこなわれた。 「ト 1 マス・ソーヤー、六月十七日の晩、あなたは、どこにいましたか ? 」 ばうちょうにん トムは、インジャン 1 の鉄の顔をちらと見、ロがきけなくなった。傍聴人たちは息 をころし、耳をすましたが、ことばは、トムの思うようには出てこなかった。しかし、しば ほうていない らくすると、トムはすこし勇気をとりもどして、やっと法廷内のいくらかの人には聞こえる くらいの声を出すことができた。 「墓地にいました ! 」 「どうぞ、もうすこし大きく。こわがらないでよろしい。あなたは 「墓地にいました ! 」 さげすむような笑いが、インジャン ・ジョ 1 の顔に、ちらと浮かんオ ほ、ってい う わら 、」う・き う

3. トム・ソーヤーの冒険 下

まもってやるぞ。そのスペイン人は、 ためはせんよ。いや、わしはおまえをまもってやる おしではないな。おまえは、うつかり口をすべらしたが、すべらしてしまった以上、ひっこ みはつかん。おまえは、そのスペイン人について、何かかくしたいことがあるんだなーーーそ わしは、おまえを裏切るようなことはしないぞ。」 れを、わしに話しなさいー ハックは、老人の正直な目のなかを、ちょっとのま、じっと見つめたが、かがみこむと、 その耳のなかへささやいた。 「あれは、スペイン人じゃねえーーーインジャン・ジョ 1 なんだ。」 ウェールズ人は、いすからころげ落ちんばかりにおどろいた。すぐ、老人は言った。 「さあ、これでみんなわかった。おまえから、耳を切る、鼻を切るという話を聞いたとき は、おまえのつくりごとだと思ったんだ。白人は、そういうしかえしはせんからな。だが、 インジャンか ! それなら、話はまったくべつだ。」 朝はんの間も話はつづき、たべながら、老人は、前の晩、自分たちが寝るすぐまえ、カン テラをもって、例の踏み段のところまでゆき、その近くに血のあとをさがしたのだという話 をした。血のあとは見つからなかったが、ただ大きな だん うらぎ ばん 159

4. トム・ソーヤーの冒険 下

ーー . ツ第幸 , 介当毳をみに に、も一・ィ は、ほとんどまっ白になった。火曜日の夜、 村の人たちは、かなしみながら、希望もなく、 寝床についた。 ずっとその夜もふけて、ま夜中ごろ、村の 一鐘が、けたたましく鳴りだした。そして、一 瞬のうちに、通りという通りは、狂喜した、 半分、服を着かけた人たちでいつばいになっ た。かれらは「起きろ ! 起きろ ! 見つか った ! 見つかった ! 」と、さけんでいた。 金のなべやほら貝が、そのさわぎをいっそう 湧きたたせ、人びとの群は一大群集にまでも りあがると、川のほうへ動きだした。そして、 大声でさけんでいる人たちに引かれた、ほろ なし車にのせられたトムとべッキーに出会い しゅん かね ねどこ かね むれ 195

5. トム・ソーヤーの冒険 下

「まあ、あたし気がっかなかったけど、もうずいぶん前から、ほかの人たちの声、聞かな いような気がするわ。」 「そう言えば、べッキ 1 、ばくたち、あの人たちより、ずっと下にいるんだものー・ーどの くら も」か、南か、東か、どっちなんだか、ぼくにやわかんないな。ここから、あの人たち の声、聞こえやしないよ。」 べッキーは、し配そうに言った。 「あたしたち、もうどのくらい下にいたかしら ? 「うん、その方がいいだろ。その方がいいね。」 「トム、あなた、道わかる ? あたし、なんだか、ぐるぐる、ごちやごちゃになっちゃっ たわ。」 だけど、あのコウモリのやつがいるからな。あいつらに、ば 「ばくわかると思うけど くたちのあかり、両方とも消されちゃえば、たいへんなことになるよ。あすこ通らないよう に、どっか別の一をさがそ、つよ。」 「ええ。でも、迷い子にならなければいいけど。そうなったら、こわいわ ! 」 トム、もう帰った方がいいわね。」 177

6. トム・ソーヤーの冒険 下

ていた。インジャン ・、ンヨーは、村民を五人殺したと信じられていたが、それがなんだとい あくま うのだ ? もしジョ 1 が悪魔自身だとしたって、ジョ 1 の特赦請願書に署名し、その紙の上 いつもこわれていて、水のもれやすい、彼らの水道から涙を流してやる弱虫な連中は、 大ぜいいたことだろう。 そうしき よくじっ 葬式の翌日、トムは、重要な相談をするために、、ツ クを人のいない場所につれていった。 みぼうじん ばうけんだん 、ツクは、いまはもう、ウェ 1 ルズ人とダグラス未亡人から、トムの冒険談はすっかり聞 ていたのだ。けれども、トムは、きっとあの人たちが話さなかったことが、まだ一つあると 思うと言った。トムがいま話したいのは、そのことだった。ハックの顔はくもった。 、ツクは一一 = ロった。 「おらにや、わかってる。おめえ、『第二号』へへえってって、ウイスキ 1 つきりめつけな かったんだべ。だれも、あすこめつけたなあ、おめえだって話さなかったけどもな、おら、 そのウイスキー事件の話、聞いたとき、すぐ、こりや、おめえにちげえねえってわかったん だ。それにおめえが金、手に入れれば、ほかのやつらにやだまってても、なんとかかんとか、 おらにや話すはずだもんな。おら、わかってたんだぜ、トム。おら、いつも、どういうもん かれ 206

7. トム・ソーヤーの冒険 下

そこへかくしておき、それから、その金が消えているのを発見して、びつくりするという不 運にあうはずだったのだ。あの道具をあすこへ持っていったとは、なんと、なんと運の悪し ふくしゅう ことだったことよ ! ふたりは、あのスペイン人が、やつの「復讐」の仕事のチャンスをね らいに町へくるのを見はって、それがどこであろうと、その第二号へつけてゆく決心をした。 そのとき、物すごい考えが、トムの頭に浮かんオ ふくしゅう ク ? 」 「復讐 ? もしおれたちのことだったら、どうする、 、ツクは、もう気を失いそうになって言った。 「ああ、そんなこと言うな ! 」ノ ふたりは、そのことについて、いろいろと話しあった。町にはいったころには、、ンヨーの すくなくとも、トムだけかもし 考えているのは、ことによると、ほかの人かも知れない れない トムだけが裁判で証言したのだから、ということになった。 なさけ ・目分ひとりで亠旭険にさらされるとい、つことは、トムにとって、まことに、まことに旧ない ことだったー だれかほかの人といっしよなら、うんと助かるのだが、と、トムは思った。 きけん さいばん かね 120

8. トム・ソーヤーの冒険 下

未みて 人た ム 屋やろ ま だ 家 牧人 師した せ シ ョ ン ズ さ ん が た れ カゝ と え ば そ れ は ふ オこ 少 年 だ た ト ム の 方 を 向 し、 て 頭 ふ っ け れ ど す て の 人 の な カゝ ば つ ら た は お お わ れ て の ポ リ お ば さ は は ず カゝ し く て ま っ か な り 顔 を カゝ め い ぶ ん 喜 ん で ふ を 迎 ん た と カゝ そ の ふ た り き て は 土 と ロ ウ ソ の し ず っ い は 心、 カゝ ん そ ん な ど カゝ を し て 子 ど も ち を 迎第 え る し て は ば さ ん , ア ン ド さ 新 記 の 他 大 い が 片ノ な 着 着 て 集 ま て サ ッ ヤ 家 の ち 来 て た ノ、 家 ン・・ ャ ス 家 ポ リ お そ の は っ と あ か と も り 村 で ら で な 人 た は み ょ オ 集 ま の と あ と カゝ ら は っ て 来 た ム と っ ょ グ フ ス 未み の 接 間 お し ま れ て さ は 車 222 の し、 対 事 が ツ の の ろ し、 の な で 用 意 で ノ、 ク は

9. トム・ソーヤーの冒険 下

残した形見になるだろうと言った。そして、これは、恐ろしい死がくるまえに、生きている むすめ からだから最後にはなれたものであるから、娘のほかの形見よりもずっとだいじなものだと ほらあな 言った。ある人たちの話したところによると、時どき、洞穴の遠くの方で、灯がちらちらす るので、わっという声をあげて二十人もの男たちが、こだまする通路をどっとなだれていっ てみると いつも、しんそこから、にがい失望を味わうだけで、子どもたちはいなかった。 見えたのは、捜索している人のもっている灯だった、ということであった。 おそろしい三日三晩というもの、長たらしい時が、のろのろとすぎてゆき、村は希望のな じようたい まひしたような状態におちいった。だれも何をする気にもなれなかった。酒なし宿屋の ていない 主人がその邸内に酒をおいたということが、ちょうどそのころ、ぐうぜんに発見されたが、 それさえ、それとしては、たいした事件でありながら、人びとの心をほとんど騒がせなかっ た。ある日、正気にもどったとき 、ハックは、たどたどしく話を宿屋の方へ持ってゆき、最 後にー・ーなんということもなく、 一ばん悪い場合をおそれながらーー自分が病気になってか ら、酒なし宿屋で何か見つかったかときいた。 みばうじん 「見つかりましたよ。」と、未亡人は答えた。 そうさく みばん さわ 170

10. トム・ソーヤーの冒険 下

た。法律を勉強したこの人は、その時代の多くの人たちとおなじように新天地をめざして、 けっこん ケンタッキー州に移り、そこで結婚し、さらにテネシ 1 州に移りました。さらにまた幸運を その 1 リ州のフロリダという町に移住しましたが、 求め、二頭たての馬車にゆられて、ミズ とき家族はふえ、馬車の中の旅行者は、六人になっていました。 かれ 一八三五年、十一月三十日、彼の第五ばんめの子どもとして、この町で生まれたのが、サ ミュエルです。そこから、もう一度、ひっこしをして、おなじ州のハンニバルという、さび しい小さい町を、人生旅行の終点として、ジョン・クレメンズは、自分の夢をはたさず、た しへん貧しい家族をのこして死にました。 サミュエルが、 「トム・ソーヤ 1 」そのままといっていい少年時代を送ったのは、ミシシッ まと ビ川岸のこのハンニバルででした。そのころ、サミエルのあこがれの的だった人物は、町 ふろうじ ムの世界は、自由その の浮浪児、トム・ブラッケンシップでした。ばろを着て、家もないト ものでした。サミュエルは、時どき、学校をずる休みして、このトムと森や山をかけ歩き、 たのしい時をすごしましたが、こののん気な少年時代は、十二の年で終わりました。おとう さんが亡くなったのです。 は、つり・つ まず 249