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検索対象: トム・ソーヤーの冒険 下
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1. トム・ソーヤーの冒険 下

「思いだした、思いだした。風が吹いて、ロウソクの火がゆれたんだ ! 」 「これは、したり ! それで、トムーーそれで、どうしたね ? 」 「それからね、おばさんが、『おや、あの戸はーー・』って言ったようだな。」 「それから、どうした、トム ! 」 「すこし考えさせとくれよーーちょっとね。ああ、そうだーーおばさんが、『おや、あの戸 はあいてるんだよ。』って言ったんだ。」 「まったくほんとに、言ったともさね ! ねえ、メアリや、そうじゃないかね ? それか ら、どうしたね ? 」 「それからーーそれからーーああ、はっきり思いだせないや。だけど、なんだか、おばさ んがシッドに 「それで ? それで ? わたしがシッドにどうしたんだね、トムや ? わたしがシッドに どうしたんだね ? 」 「おばさんは、シッドに シッドにーーーああ、おばさんはシッドに戸をしめさせたん

2. トム・ソーヤーの冒険 下

思った。けれど、夜ごとに、トムは、自分の舌を封じておけばよか「たと後海した。 トムは、一日の半分は、インジャン ・ジョ 1 がっかまらないのではあるまいかということ を心配しながらすごし、あとの半分は、つかまるのではあるまいかと心配しながらすごした。 そして、あの男が殺されて、その死がいを見るまでは、自分はけっして安心できないのだと 思った。 けんしよう 懸賞がかけられ、そこらじゅうが捜索されたが、インジャン ・ジョ 1 は発見されなかった。 あのなんでも知っていて、われわれの心に畏敬の念をわきたたせる、ふしぎなものの一つで ある「探偵」が、セント・ルイスからや「て来て、そこらをあさり歩き、頭をふり、も「と じゅうじ とうたっ おどろ もらしい顔をしたあげく、この職業に従事するものが、たいていの場合に到達する、驚くべ かれ き成功をおさめた。つまり、彼は、「手がかり」を発見したのである。けれども、われわれ さつじんはん は、「手がかり」を殺人犯として首をしめるわけにはゆかない。そこで、探偵が用をすまして 帰ってからも、トムはまだ前とおなじようにし配だった。 日はだらだらとたっていった。そして、一日すぎるごとに、し配はほんのすこしずつ軽く なっていった。 せいこう たんてい そうさく ふう こうかい

3. トム・ソーヤーの冒険 下

ゝ 0 「よしよし、おまえがそう言うならな。だが、ハッ、 手がらにしていいのだぞ。」 「いや、だめなんだ、だめなんだ。どうか話さねえでくだせえ ! 」 わか 若いむすこたちがいってしまうと、老ウェ 1 ルズ人は言った。 「せがれたちは、話さんよーーーそれから、わしも話さん。だが、おまえは、どうして人に 知られるのがいやなんだな ? 」 、ツクは、その男たちのひとりについて、もうあまりいろいろなこと知りすぎているから、 わかったら、殺されてし どうしてもその男に、それ以上知ってるように思われたくない まうのだ、という以外は説明しなかった。 やくそく 老人は、もう一度、秘密を守るという約束をしたあとで、言った。 「ハック、おまえはなぜ、あいつらのあとをつけたのだ ? あやしく思えたのか ? 」 ハックはしばらく考えて、じゅうぶん用心ぶかい返事を考案してから、言った。 「あのな、こういうわけでがす。おら、あわれな身の上でーーーともかく、みんなが、おら ひみつ クおまえのやったことは、おまえの 156

4. トム・ソーヤーの冒険 下

そこへかくしておき、それから、その金が消えているのを発見して、びつくりするという不 運にあうはずだったのだ。あの道具をあすこへ持っていったとは、なんと、なんと運の悪し ふくしゅう ことだったことよ ! ふたりは、あのスペイン人が、やつの「復讐」の仕事のチャンスをね らいに町へくるのを見はって、それがどこであろうと、その第二号へつけてゆく決心をした。 そのとき、物すごい考えが、トムの頭に浮かんオ ふくしゅう ク ? 」 「復讐 ? もしおれたちのことだったら、どうする、 、ツクは、もう気を失いそうになって言った。 「ああ、そんなこと言うな ! 」ノ ふたりは、そのことについて、いろいろと話しあった。町にはいったころには、、ンヨーの すくなくとも、トムだけかもし 考えているのは、ことによると、ほかの人かも知れない れない トムだけが裁判で証言したのだから、ということになった。 なさけ ・目分ひとりで亠旭険にさらされるとい、つことは、トムにとって、まことに、まことに旧ない ことだったー だれかほかの人といっしよなら、うんと助かるのだが、と、トムは思った。 きけん さいばん かね 120

5. トム・ソーヤーの冒険 下

「あんなやつを相手にしているのでなかったら ! 」トムは、歯ぎしりしながら思った。「り きぞく つばな服着て、貴族みたいなつもりでいる、あのセント ・ルイスのなまいきやろうじゃなか まあ、 ったら、町じゅうのどの子だって、おれはがまんできるんだー ししや、きさまがは じめてこの町へやって来たその日に、おれは、きさまをなぐってやったんだからな。またな ぐってあげますよ。またとつつかまえてやるから、お待ちなさいよ ! おれはあっさり、と つつかまえてーー」 そして、トムは、空中をげんこつで突いたり、蹴ったり、えぐったりして、想像でそこに えがきだした少年をやつつける、さまざまな仕ぐさを、ひとわたりやってみた。 「おや、そうですか ? こうさん、というのかね ? さあ、それじゃ、これで思い知った ろ、つ ! 」 そうして、トムの頭のなかの刑罰は、トムの満足のいくように終わった。 昼になると、トムは逃げるようにして家へ帰った。トムの良むは、それ以上、エ 謝したり喜んだりするところを見ていられなかったし、トムのやきもちは、もう一つのかな しみを、これ以上がまんすることができなかったのだ。べッキ 1 は、またアルフレッドと絵

6. トム・ソーヤーの冒険 下

また、しないという答え。つぎは、べッキー・サッチャ 1 だった。 こうふん トムは、興奮したのと、この場のどうにもならないなりゆきに、頭から足の先までふるえ ていた きようふ 「レベッカ・サッチャ 1 。 」 ( トムは、ちらっとべッキーの顔を見たーーーその顔は、恐布のた いや、わたしの顔をじっと見なさい。」 ( 許し めに、まっさおだった。 ) 「あなたはこの本を を乞うように、べッキーが両手を前にあげた。 ) 「この本を破いたのは、あなたか ? 」 ある考えが、トムの頭に、イナズマのようにひらめいた。トムはとびあがって、さけんだ。 「ぼくがしたんです ! 」 全校生徒は、トムの、この信じられないほどばからしい行ないにあきれて、目をまるくし こんらん てながめた。トムは、混乱した頭をまとめるため、ちょっとのま、じっと立っていた。それ そのとき、トムの上にそそがれた、あわれなべ から、罰をうけるために前に出ていったが、 ノキーの、おどろきと感謝と礼賛にみちた目は、百のムチをつぐなって、まだ余りがあるよ うに思われた。このとき、ドビンス先生のような人でさえ、いままでやったことのなかった むじひ ような無慈悲なおしおきを、トムは、自分の行ないのすばらしさに感激しながら、さけび声 らいさん かんげき

7. トム・ソーヤーの冒険 下

なった。宿屋の灯が消された。いまは、どこもまっくらやみだった。ハックは、ずいぶん長 クの信念はゆるぎはじめた。 し尸待ったような気がした。が、何事も起こらなかった。ハッ 見はりをする必要があるんだろうか。ほんとうに、あるのだろうか ? もうやめて、帰って 寝たほうがいいのじゃないだろうか かれ よこちょう 何か、物音がした。たちまち、彼はからだじゅうを耳にした。横丁に面している入口が、 しゅんかん 静かにしまった。レンガ屋のすみまで 、、ツクは、とびのいた。つぎの瞬間、ふたりの男が、 、ツクのそばをかすめるようにすれちがったが、ひとりは腕の下に何かをかかえているよう たからもの だった。あの箱にちがいない ! では、あの宝物をどこかへ運ぶのだな ? いま、トムを呼 びにいっていてどうなるんだ。とんでもない 、ってし 男たちは、箱を持って、どこかへし まい、それきり見つからなくなるだろう。いや、こいつらのあとにくつついて、つけてゆこ う。やみ夜のおかげで、見つかることはあるまい。そうしに思いながら 、、ツクは、やっと 相手が見えるくらいの間をおいて、男たちのあとから、はだしの足でネコのように歩きだし、 すべるようについていった。 男たちは川通りを川上に向かって三丁ばかりいって、それから、十字路を左にまがった。 やどや うで 144

8. トム・ソーヤーの冒険 下

考えながら、べッドには、つこ。 ばん かみなり そして、その晩、しのつく雨、耳をつんざく雷、目もくらむばかりのイナズマとともに恐 ろしい嵐がやってきた。トムは、ふとんをひっかぶり、 いまか、いまかと自分の最後を待ち うけた。この騒動が、自分のために起こったのだということを、トムは信じて、うたがわな かった。自分がたいへん悪い子だったために、天にまします神さまは、もうがまんができな ほ、つへい くなり、こういうことになったのだと、トムは考えた。虫一匹殺すのに、砲兵中隊をくり出 だんやくろうひ したら、あまり大げさで、弾薬を浪費することだということは、トムにもわかったろう。け れど、自分みたいな虫けらをたおすために、これほど高価な嵐をひき起こすのは、つじつま があわないということは考えっかなかった。 あらし そのうち、嵐はおさまり、その目的を達しないで終わった。トムのしに最初にうかんだの は、感謝して、毎い改めようという考えだった。そのあとで、もうすこし、ようすを見よう と思ったーー嵐はもう起こらないかもしれない : つぎの日、またお医者たちがよばれた。トムは、ぶりかえしたのだ。それから寝床で暮ら した三週間は、まったく長い年月のように思われた。とうとうまた外に出られるようになっ あらし そうどう びき ねどこ お

9. トム・ソーヤーの冒険 下

のうちでは、一ばんうれしいことばだった。ハックは、自分に向かて、こういうことばが 吐かれたのを聞いたおばえがなかった。。 トアの錠はすぐはずされ、、ツクは、よゝには、つ た。そして、いすをあたえられ、老人と大きなむすこふたりは、すばやく服を着た。 「さて、ばうず、 もいあんばいに腹がへっておるとよいがな。朝めしは、日がのばりしだ すぐ用意できる。しかも、できたてのほやほやの熱いところをやるとしようーーーそのこ ここへ来て泊まればいい とは、し配するなよ ! わしもせがれたちも、おまえがゆうべ 思っていたんだが。」 、、ツクは言った。「逃げだしちゃったん 「おら、すっかりおっかなくなっちゃって、」と だ。ビストル鳴ったとき、おら、かけだして、三マイルもかけどおした。そいで、そのこと あくま もう死んでるかもしんねえ 聞くべえと思って、いまやって来たんだ。あの悪魔やろうに けど、会いたくねえから、夜あけるの、待ってて来たんだ。」 「やれ、かわいそうに、一晩じゅう、ひどいめにあったようだな。だが、朝めしがすんだ ら、うちのべ、 トで休むがいし いや、やつらは死ななかったよーーわしたちも、そのこと は残念だと思っておる。おまえの話でな、わしたちは、どこでやつらを押えられるかわかっ ひとばん はら おさ 153

10. トム・ソーヤーの冒険 下

「トム、おまえに天使が乗りうつりなすったんだね ? おまえは予言してるんだよ。おま えがやってるのは、それさね ! まあ、なんてことだろう ! さあ、先をお話し、トム ! 」 「それから、シッド トがーーー」 「ぼく、何も言わなかったと思うけどな。」と、シッドが言った。 え、言ったわ、シッド。」と、メアリが言った。 「まあ、しゃべらずに、ト ムの話をお聞きょー シッドは、なんて言ったね、トムや ? 」 ーしし力なって一言って、もしばく 「シッドは、ぼくがいままでより、しあわせにやってれま、、、、、 が、生きているうちにもうすこしいい子だったらって言ったと思うな。」 「そうれ、聞いたかね ? シッドの言ったとおりじゃないか ! 」 「それから、おばさんが、だまれって言ったんだ。」 コ言ったともさね ! あの時、あすこには天使がおいでになったにちがいない。おいでん なったんだとも、どっかそこいらにね ! 」 はなし 「それから、ジョ ーのおかあさんが、ジョ 1 にクラッカーでおどかされた話して、それか ちんつうざい はなし ら、おばさんが、ビーターと鎮痛剤の話してーーこ