男 - みる会図書館


検索対象: トム・ソーヤーの冒険 下
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1. トム・ソーヤーの冒険 下

これはもうたしかにひっくりかえる、と思いながら立っていた。自分のいる場所がどこか、 みばうじんじしょ ( ックにはわか「ていた。そこは、ダグラス未亡人の地所にはいる踏み段所の境 0 柵のと一 ) ろ 段があるカら、五歩とはなれてはいなか「た。よし、あいつら、そこ ~ うめるがいも 、ツクは思った。そこなら、見つけるのもやさしいことだった。 インジャン・ジョ 1 の声だった。 そのとき、声が・ーー非常に低い声がした こんなにおそく、あかりがついてる。」 「ちきしようめ、客がいるんだな 「おれにや見えねえ。」 むね これは、あの知らない男のーーばけ物屋敷で見た、知らない男の声だった。ハックは、胸 に ふくしゅう そこ の底までひやっとしたーーーでは、これが復讐なのだな ! 逃げよう、と、まず、ハックは思 みばうじん った。が、すぐまた、ダグラス未亡人が、何度も自分に親切にしてくれたことを思いだした。 ことによると、この男たちは、夫人を殺すのかもしれない。ハックは、勇気をだして、未亡 人に知らしてやりたいものだと思った。が、そんな勇気などないことは、わかっていた 男たちに、つかまっちまうだろう。これだけのことを、そして、もっとたくさんのことを、 しゅんかん 、ツクは、その男のことばとインジャン・ジョ 1 のつぎのことばの間の、短い瞬間に考えた。 やしき だん 146

2. トム・ソーヤーの冒険 下

なった。宿屋の灯が消された。いまは、どこもまっくらやみだった。ハックは、ずいぶん長 クの信念はゆるぎはじめた。 し尸待ったような気がした。が、何事も起こらなかった。ハッ 見はりをする必要があるんだろうか。ほんとうに、あるのだろうか ? もうやめて、帰って 寝たほうがいいのじゃないだろうか かれ よこちょう 何か、物音がした。たちまち、彼はからだじゅうを耳にした。横丁に面している入口が、 しゅんかん 静かにしまった。レンガ屋のすみまで 、、ツクは、とびのいた。つぎの瞬間、ふたりの男が、 、ツクのそばをかすめるようにすれちがったが、ひとりは腕の下に何かをかかえているよう たからもの だった。あの箱にちがいない ! では、あの宝物をどこかへ運ぶのだな ? いま、トムを呼 びにいっていてどうなるんだ。とんでもない 、ってし 男たちは、箱を持って、どこかへし まい、それきり見つからなくなるだろう。いや、こいつらのあとにくつついて、つけてゆこ う。やみ夜のおかげで、見つかることはあるまい。そうしに思いながら 、、ツクは、やっと 相手が見えるくらいの間をおいて、男たちのあとから、はだしの足でネコのように歩きだし、 すべるようについていった。 男たちは川通りを川上に向かって三丁ばかりいって、それから、十字路を左にまがった。 やどや うで 144

3. トム・ソーヤーの冒険 下

もう、くたびれて死ぬところだとわかっているし、死にたいのだから、そんなばかな話で、 トムが苦心さんたん、それがほんとの話だ 気をいらいらさせないでくれと言った。そこで、 ということを、やっとわからせ、べッキ 1 も手さぐりで這いだして、自分の目で、その日光 の青い点を見つけたときには、べッキ 1 はうれしくて、もうすこしで死ぬところだ「た。ト ムは、その穴からむりに這いだすと、べッキ 1 もひつばりだし、そこで、ふたりはすわって、 かるぶね うれし泣きに声をあげて泣いた。それから、数人の男が軽舟に乗ってやって来たので、トム は男たちを呼びとめて、自分たちの事情とおなかのへっていることを話した。すると、男た かれ ちははじめ、そのとてつもない話を信じなかった。というのは、彼らの話によれば、「おまえ ほらあな たちは、洞穴の入口のある谷間から、五マイルも川下にいるんだぜ。」ということだ「た けん それから、男たちはふたりを舟にのせ、一軒の家へつれてゆき、ふたりにタはんをたべさせ た。そして、二、三時間やすませてから、日暮れすぎ、家へつれて来てくれたのであ「た。 夜あけ前に、サッチャー判事と小人数の捜索隊は、彼らがあとに残していった糸の目じる しで、いる場所がっきとめられて、この重大ニースはったえられた。 くうふく みばんほね ほらあな 洞穴のなかの三日三晩の骨おりと空腹は、トムとべッキ 1 にも、まもなくわか「たように、 ひぐ そうさくたい かれ 198

4. トム・ソーヤーの冒険 下

= 儲 , 三当 曲 7 71 いさんだな 「もひとり」とい、つのは、どこにも愉快げ なところのない顔をした、ばろ服の、きたな らしい男だった。スペイン人は、セラーベ メキシコふうの をかけ、白いひげをぼうば、つの はでな肩かけ ばしていた。ソンプレロ帽の下からは、長い しらががたれさがり、みどり色の色めがねを かけていた。ふたりがはいって来たとき、 「もひとり」は低い声で話していた。ふたり かべ は、壁をうしろにして、入口の方に向き、地 面にすわった。語り手はしゃべりつづけた。 その男は話しているうちに、だんだん安心し はじめたふうで、ことばもはっきりして来た。 もひとりは、見たことない 109

5. トム・ソーヤーの冒険 下

ここで、この記録はおわる。これは、厳密に言って、ある「少年」の物語なので、ここで おしまいにしなければならないのだ。もしこれ以上っづければ、それは、ある「男」の物語 ーしし力とも、つことま、まっ去」り になってしまう。おとなの小説を書く場合、どこでやめれよ、、ゝ わかっている つまり、結婚でおわりにすればいいのだ。けれども、子どもたちの小説を 書くときは、作家は、一ばんうまくやめられるところで、やめなければならない。 この本のなかに出てくる人物は、たいてい、まだ生きていて、順調に、しあわせに暮らし ている。またいっか、この中の若い人たちをとりあげて、この少年少女たちが、どんな男に、 またどんな女に成長したかを見るのも、やりがいのあることに思える日もくることだろう。 かしこ そこで、いまは、この子どもたちの生涯の、その部分には触れないでおいた方が、一ばん賢 しように思われる。 おわり けっこん わか しようがい げんみつ 243

6. トム・ソーヤーの冒険 下

ゝ 0 「よしよし、おまえがそう言うならな。だが、ハッ、 手がらにしていいのだぞ。」 「いや、だめなんだ、だめなんだ。どうか話さねえでくだせえ ! 」 わか 若いむすこたちがいってしまうと、老ウェ 1 ルズ人は言った。 「せがれたちは、話さんよーーーそれから、わしも話さん。だが、おまえは、どうして人に 知られるのがいやなんだな ? 」 、ツクは、その男たちのひとりについて、もうあまりいろいろなこと知りすぎているから、 わかったら、殺されてし どうしてもその男に、それ以上知ってるように思われたくない まうのだ、という以外は説明しなかった。 やくそく 老人は、もう一度、秘密を守るという約束をしたあとで、言った。 「ハック、おまえはなぜ、あいつらのあとをつけたのだ ? あやしく思えたのか ? 」 ハックはしばらく考えて、じゅうぶん用心ぶかい返事を考案してから、言った。 「あのな、こういうわけでがす。おら、あわれな身の上でーーーともかく、みんなが、おら ひみつ クおまえのやったことは、おまえの 156

7. トム・ソーヤーの冒険 下

のわくがはめてあり、長い年月の間にだんだんくさってはしまったが、そのまえは、がんじ たからもの ような箱だったのだ。男たちは、しばらくの間、うれしそうにだまって、その宝物をながめ ていた。 こりや、何千ドルもあるぞ。」と、インジャン・ジョーが一言った。 「きようだい、 「マレル一味 少年時代 0 無法一味 ) が、ひと夏、ここいら、うろついた「てことは、いつも聞 いてたが。」と、知らない男が言った。 「おれも、そのうわさは聞いてた。」と、インジャン それらしいな。」 「こうなりや、おめえ、あっちの仕事はしなくていいんだな ? 」 、ンヨーは、まゆをよせた。それから、 「おめえ、おれを知らねえな ? ともかくも、そのことについちゃ、すっかりわかってね ふくしゅう えんだ。あのこたあ、ぜんぜん、盗みじゃねえーー復讐なんだ ! 」 そして、悪意のこもった光が、ジョ 1 の目にひらめいた。 「おらあ、おめえに助けてもらいてえんだ。それが終わったらーー・ーテキサスさ。おめえの いちみ ぬす . 、ンヨーは一言った。「こりや、ど、つも 116

8. トム・ソーヤーの冒険 下

「ほい ! 」と、ジョ 1 は言った。 「なんだ ? 」と、相棒が言った。 いや、箱のようだぞ。おい、手をかしてくれ、なんだか見てみよう 「くさりかけた板 あな じゃねえか。いや、も、つ いい穴があいた。」 ジョ 1 は、手をつつこんで、中身をひつばりだした。 かね 「おい、金だ ! 」 ふたりの男は、ひとにぎりの貨幣をしらべた。それは金貨だった。二階のふたりの少年は、 かれらにおとらず興奮し、大喜びだった。 あいーう ジョーの相棒は言った。 「こりや、早くしまつをつけようぜ。暖炉のうしろがわのすみの草んなかに、古い、さび たつるはしがあったつけーーーおらあ、ちょっとまえに見たんだ。」 男は走っていって、トムたちのつるはしとシャベルを持って来た。インジャン・ジョーは、 ごと つるはしをとると、おかしいぞというようにそれをながめ、首をふり、何かひとり言をいっ てから、使いはじめた。箱はすぐ土から出て来た。あまり大きくはなかった。ふちには、鉄 こうふん あい , う はこ はこ だんろ 115

9. トム・ソーヤーの冒険 下

こ。ゝ、、、とは思えねえ。そいつあ、 「いや、」と、男は言った。「おれもそれは考えてみオカしも あぶねえよ。」 ロのきけないはずのス 「あぶねえと ? 」トムたちは、まったくぎようてんしたのだが ペイン人がこう言ったのである。「こしぬけめ ! 」 少年たちは、この声を聞くと、ロをあけ、ふるえた。それは、インジャン ・ジョーの声だ った。しばらく、どっちの男もしゃべらなかった。それから、ジョーが言った。 「あっちの仕事よりあぶねえ仕事があるかよー・ーーしかも何も起こらなかったじゃねえか。」 「そりや、ちがうぜ。あんなに川上で、それに、あたりに家があるわけじゃなし、おれた ちがやったこたあ、だれも気がつくめえーーーともかく、おれたちがしくじってるうちはな。」 「ふん。だが、ひる日なか、ここへやって来るくれえ、あぶねえことがあるか ? おれた ちを見た者は、だれだってあやしいと思うぜ。」 「そりや、おれもわかってるよ。だが、あいつをしくじってからは、手近な場所はほかに ねえんだ。おらあ、この小屋を出てえんだ。きのう、出たかったんだよ。だが、向こうの山 の、ここがまる見えのところに、あのいまいましいガキどもが遊んでる間は、やっても、む 110

10. トム・ソーヤーの冒険 下

トで暮ら すぐ回復できるものではなかった。ふたりは、水曜日と木曜日を、まるまる、べ " し、しかもだんだん疲れが出てくるような気がした。トムは、木曜日にすこし起きて歩き、 金曜日には外へ出た。そして、土曜日には、ほとんどまえとおなじくらいになっていた。け はいびよう れども、べッキーは、日曜日まで自分の部屋を出ないで、それからも、肺病でもしたあとの ようなようすをしていた ト . ム・十ま、、ツ もにたたが、寝室へは入れてもら クの病気の話を聞いて、金曜日に会、 えなかった。土曜日にも、日曜日にも会えなかった。それからあとは、毎日、寝室へ入れて ばうけんだんこうふん もらったが、あの冒険談や興奮するような話は、何も話してはいけないととめられた。ダグ ラス未亡人は、トムが命令を守るように、そばについていた。トムは、カ 1 ディフ山の事件 できしたい や、渡し船の船つき場の近所で、とうとう「ばろの男」の溺死体が発見されたということは、 に 家の人たちから聞いていた。たぶん、その男は、逃げようとして、川に落ちて死んだのだろ 0 ほう・もん ほらあな トムは、ツクを訪問に出かけた。ハックは、も、つ 洞穴から救われてから、二週間たって、 こうふん くら いかなりよくなっていた。そこで、トムは、、ツクに興味 興奮する話を聞いてもいし みばうじん わた つか しんしつ 199