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検索対象: ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録
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1. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

「なんとつ、勝負っ ? 「ええ、勝負です」 うれ デッキチェアに立ち上がった伊集院が、嬉しい声を上げていた。 ゆりがら 百合柄アロハに百合柄バミューダ・パンツ。フワフワ巻き毛を海風に靡かせる彼が、超絶美 貌を期待に輝かせる。 「エキサイティング ! その話に間違いはないね、篁。キミとムッシュウ・帝が、如月くんを 争っての、めくるめく大勝負。僕とモナムールのカンケイには及ばないながらも、アッくてキ ケンな恋のトライアングルが、ただいまこの船で炎上中 ? 」 「 : : : ま、そんな感じです」 プールから上がった朱雀は、水着のままでデッキチェアに寝転び中。 伊集院からしつこく「如月くんはどこへ ? ーと訊かれて、しぶしぶ帝との勝負について話し ろて聞かせたところだった。 三杯目のトロピカル・ドリンクを手に、デッキチェア上で驚きターンを決めた伊集院が、ウ やキウキと、 レ 「ムッシュウ・帝といえば、とうてい僕には及はないながらも、学園の人気者である上級生な のさ。青桃会会長在任中には、あっちの美少年こっちの下級生と、はうばうを早足で渡り歩い たという、もつばらの導」

2. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

いじゅういんごりようじ 伊集院と御霊寺は、ディナー・テープルを挟んで向こうとこちら。あくまでも〃船上結婚〃 はらぼう を迫る伊集院をまえに、お祓い棒を握る御霊寺が徹底抗戦の構えである。 ひそか 「ふふ、ふふふふつ ! ムッシュウ・帝が〃愛の狩人みなら、僕は〃愛の海賊み ! 密の宝箱 は隅から隅までいただきなのさつ。そしてムッシュウ・帝が〃海の王者みなら、僕は不死身の かなしば 〃海の亡者み ! 豪華幽霊船クルーズで、モナムールを愛の金縛りにつ」 お たの 美味しいフルコースもなんのその。アミューズからメインディッシュまで、料理を愉しむヒ マもなく激しい攻防を繰り広げる彼らの横で、 きさ、り、 「如月」 「うーんと〃下級生たるもの、上級生のまえで恥すかしくないよう、ミ、 えることが、カ : : : カ : : : カンジン ? 「如月」 「〃ますは制服のキコナシについての : : : ョ、ヨウテンからみ ? 」 剣は山と積まれた参考書を開いて、うんうん言っている。「せつかくの食事が、これしゃ喉 を通らないぞ」とばやきながらも、すでにパンのおかわりが三度目だ。 そんな剣に、となりから朱雀が面倒そうに間いかけた。 「先輩とは、どこまでだよ」 「うえ ? この本、全然わかんないぞ ? 」 はさ ミ、ミダシナミを整 のど

3. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

「それしゃあ、こいっかっ ? 」 「おや、ムッシュウ・ダイバ ナニを隠そう、尖ったモノは苦手なのさ。それに僕が消えた ら、モナムール・密が嘆きのあまりに即昇天」 「しゃあ、どいつだっ」 「チュチュッチュ、チュー ! 」 ′」うに 逞しいダイバーが業を煮やしてモリを振り上げた、そのとき。 「やめろ ! 」 どこからともなく鋭い声か聴こえてきた。 ついで、パシッ、と。モリを握ったダイバーの手を、飛んできた小石が打つ。 「ウッ卩」 狭い小屋にひしめく『邪頭』メンバーたちを押し分けるようにして、細身の人影があらわれ 振り返るヨコシマ・ダイバーたちがいっせいに、 や ・〃お頁みつ」 ダ「オレたちの、〃お頭〃 ! 」

4. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

いじゅういん つつがなく伊集院はマスト上から救出されて、その日の夕食は船のメイン・ダイニングでの フレンチ・フルコース。 なか つるぎ 銀色ワゴンのあれこれを平らげたあとの剣であったが、フルコースも残らずお腹におさめ て、ついでにデザートのおかわりまでペロリと呑み込んだ。 みかど ひそか 「ところで、ムッシュウ・帝。僕と密のハネムーン・キャビンはどこに ? 」 いっ ! 黙れ、悪霊つ。色魔退散 ! 」 「きええ ろそれぞれが部屋付きのバトラーの案内でキャピンに引き取り、剣はサン・デッキの特別室 で、見上げる天窓越しの星空観察。 ぎわすざく や別れ際に朱雀が、 きさらぎ レ 「 : : : 食われんなよ、如月」 まくらな 「え ? え ? それってどーゅーコトだ ? それより、なあなあ、枕投げしないのか ? 」 トランプは ? プロレスは ? と誘ってみたが、朱雀はそのまま自分の部屋へと帰ってしま の

5. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

「 : : : ちなみに、先輩も渡り歩かれたんですか ? おそ 「おや、僕 ? 当然ながらあまりの畏れ多さに、ムッシュウ・帝もこの僕は敬遠」 みさお ちなみに密も僕への操を立ててくれて無事だったのさ、と。 かんばん こわね 伊集院が一一一一口うやいなや、甲板に響き渡るのは厳しい声音である。 「きえええ いっ ! 黙るのだ、悪霊 ! 篁、キミも、前会長のお船 つつし ふらち の上での不埒な発言は、くれぐれも慎んでくれたまえっ ! 」 そう言う御霊寺は、プールの真ん中に浮かべた星形ウキワの上。絶妙のバランスでそこに座 あや り、なにやら妖しげな術を行うようだ。 さいやく 「むつ : : : むむむう、なにやら災厄の気配っ」 「チュッチュチュー」 朝からコンディション快調で帆走をつづける『プライム・エンペラー号』。 ふきげん その行く手の海を見やって、朱雀は不機嫌極まりない顔色である。 「つつーか、い くら泳いでも頭が冷えねー」 面倒くさいけど心配だぜ、とばやき声。 と、そこに、黒服美青年がやって来た。 「皆さまがた、ご不自由はありませんか」 たず 楽しんでおいでですか、と訊ねてよこすのは、帝のお世話係の雅。学園からこの船までの案

6. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

幻らは慕われているようである。 「おや、なんと ! ただ一人の美青年 ? けれど、この僕が上陸したからには〃ただ一一人みと 訂正するべきなのさ」 「むむう。この男たちが〃お頭〃などと呼ぶからには、さらなる大柄、さらなる屈強、さらな る大物であるに違いないつ。とすると、その〃お頭〃をまえにしての逃亡は、我々には間違い なく不利なのだ。あらわれるまえに逃げ出すに越したことはないっ , なべ 「えへへ、ツルにスッポン ? ツルって食える ? スッポンは鍋がウマい ? うえー、腹減っ たぞ」 しんしん あせ ナゾの〃お頭〃情報に、御霊寺はにわかに焦りの顔色で、腹ペコ剣は興味津々。 ひとみ ゆりがら 百合柄水着に百合柄ハットの伊集院が、にわかに宝石のような瞳を輝かせて、 しいコトを思いついたのさ、如月くん」 「ふふ : : : ふーっふつふつふ , 耳を貸したまえと言われて、剣がひょいと首を傾げると、 ひそか 「題してつ〃魅惑のハネムーン、僕と密の情熱ラブ・アイランド計画み ! 」 「うひや ? 」 ラブ・アイランド計画。 たかむら キミと篁も、良ければどう ? みかど なんならムッシュウ・帝の引っ越しもさ、と。 した かし

7. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

紹介されたかたは、おいでになりません。もしも、寄港までに貴人さまのお気持ちが変わらな ければ、如月さまはこのまま二年への進級を待たずに、ますはイギリス留学ということになる かと思います。そののちアメリカへ。年の三分の一は、おもにカリプ。『グレート・エンペラ ー』船上で長くお過ごしになり、各国政財界の方々とのおっき合いを、肌で覚えていただくこ とになるでしよう」 これはとても光栄なことですよ。とはいえ、もとからのご友人の皆さまにとっては、お寂し いことですね、と。 ゃんわりと一一 = ロう雅に向かって、フールの縁に立ちながら朱雀が、ばそっ、と返事をした。 「とは限らねー」 「どういう意味でしよう ? 」 「シンデレラ・コース、喜ぶャッばっかりとは限らないんしゃないですか」 ろそう言って、もう一度水のなかへサバッと勢いよく飛び込んだ。 はたで話を聞いていたとみえる伊集院が、驚きターンをクルリと決めて、 女月くんが、めくるめくシンデレラ ? というコトは当然、僕が眠れる や「おや、なんとっ ! ロ レ森の美青年。ムッシュウ・帝が意地悪な王妃だとすると、モナムール・密がやって来て、情熱 キッスで僕のアレコレを目覚めさせるのさつ」 れところで、そういえばチャベルはどこ ? と。トロピカル百合ドリンクを手に、期待のポー

8. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

かいむ 「つつっても、オレはいつつも計画性皆無なもんで。用意周到な〃船上誘惑プラン〃なら、帝 先輩のほーが得意なんしゃないですか ? 」 「おや、ムッシュウ・帝。篁の言うとおりかい ? 」 「さあ、どうだろう。それは首尾よく誘惑しおおせてみなければ、わからないな」 じゅんぶうまんばん 順風満帆といくかどうかはわからないよ、と。大人びた口調で、帝が一 = ロう。デッキから乗り たず 出すようにして青い海を眺めている剣のそばへと歩み寄り、さりげなく肩を抱き寄せて、訊ね 「タンポポくん、泳ぎは ? 「泳ぎ ? うーんと、大かきだったらまあまあ得意」 「この船は、海に直接エントリーもできるようになっているんだよ。小さな島を見つけたら黄 がれ たの 昏時の海のデートを愉しもう」 帝がそう誘うところへ、すかさず朱雀が口を出す。 「ちなみにオレはクロールが得意です」 けんせい なんなら三角デートでどーですか、と面倒そうながらも牽制だ。 ざばつ、とプールから上がる伊集院が、運はれてきたトロピカル・ドリンクを手に、腰にウ キワで船上ターンを決める。 かんこう 「ふつふつふ。キミたちがトライアングル・デートを敢行するなら、そのあいだに僕と密は たそ

9. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

ろ まぶ や 見渡してみれば、眩しく光る青い空に、青い海。 ダ彼らのラブ・アイランドは、まだ遠い。 いじゅういんごりようじ そう言って舌なめすりする同し船の上では、伊集院と御霊寺とが睨み合いだ。 ・密。ついに、記念すべき僕たちの 「ふふ : : : ふーっふつふつふ ! マイ・スウィートハ 。、ルドン、ムッシュウ合頭。この船を南の海までやってくれるかい ? そ 旅立ちのときー う、できれは行き先は絶海の孤島が理想的。トロピカルな島でモナムールと一一人きり。生まれ たままの姿の僕のあまりの美しさに、密はウッカリ理性を忘れ : : : はあはあっ : : : ああっ、ト レピア 5 ン ! 」 きさらぎ 「去れ去れつ、海の悪霊 ! それはそうと如月くん、『美顔術』の課題がまだなのだっ。たと おこた え思わぬアクシデントに見舞われようとも、青桃院生たるもの本分である学業を怠ってはいけ うつつ うれ たかむら ない ! 篁、キミも友人であるなら彼の赤点をともに憂えたまえつ。不純同級生交遊に現を抜 かしている場合ではないのだ : : : むつ、ナニをするつ、伊集院 ! 下がれつ、下がるのだっ。 医、、んええ にら おわり

10. ミダレりゃいいだろ! : 青桃院学園風紀録

内をしてくれた、帝家のお迎えである。 快適にお過ごしですか、と訊かれて、百合柄アロハの伊集院が、 「メルシー、ムッシュウ・黒服。プールの浸かり心地はなかなかなのさ。欲を一一一口えば、タイル が白百合柄でないのが少々残念。飲み物の飾りも百合の花だと、よりデリシャス。モナム 5 ル との洋上ウェディングのために、あとで船内スパとやらも試すつもり」 聞いた雅は、プールサイド・カフェのウェイターにすぐさまなにやら耳打ちをする。はどな く新しいドリンクが、百合の花付きで運ばれてきた。 フールデッキのタイルをすぐさま敷き 「お申しつけくだされは、これくらいのことはすぐに。。 ・ : こちらは、十九世紀末に建てられた邸宅のタイル 直すわけには、さすがにまいりませんが : を移してきたものなのですよ」 ゆいしょ グリル・カフェは、。、 リの由緒あるカフェテリアを一部移築させたもの。 ろプリッジの外装デザインはアルフォンス・ミュシャの : : : と、そこまで言いかけて雅が、 「失礼。こんなことを申し上げては、また貴人さまにお叱りを受けてしまいます」 や上品に苦笑する彼に向かって、朱雀が訊いた。 レ「帝先輩が、如月のコトどーする気なのか、知ってますか ? , なんとも単刀直入なその問いに、黒服のお世話係は目を丸くして驚き、そのあとクスクスと 笑いだす。 しか