に 「逃げるだって ? 」と、アモールがいも 、ました。「だって、逃げたがるなんてはずないよ ! くたちとわかれちゃったら楽しくないもん。」 いっかくじゅう そういって、マイケルにむかって、親しげに、 につこりしました。一角獣は、ふたりのあいだ にくびをのばして、たてがみで、ふたりのほおをくすぐりました。 まわ いっかくじゅう 「一角獣だと ! 」お巡りさんは、目をまるくしました。「ラークさんは、、 しよいよ、おかしくな うしろすがた るよ ! 」そうつぶやいて、ひらひらはためくように道をいそいでいく後姿を、じっと見ていまし けいかん どこを見て歩いてるんだ、マッジさん ! 警官に、そんなことをしてはいかん。」 まわ そういったのは、ふとった大男が、お巡りさんにつきあたって、息せききって、走り去ろうと まわ うで したからです。お巡りさんは、ぐっと、腕をつかまえました。 いっかくじゅう 「一角獣とかって、あのおばちゃんが、いったんでさ ! 」マッジさんが、はあはあ、あえぎな 、ました。 、カ、らしも いっかくじゅう しん 「一角獣だって ? 」通りすがりの人たちが叫びました。「そんなこと、信じられるものか ! タ イムス紙に知らせなくちゃ ! 」 「むろん、わっしは、そんなものがいるなんて、思っちゃいませんや。だれだか知んねえが、 ちょいと、じようだんをやらかしてるんでさ。」マッジさんは、ケシの花のようなほっぺたを、ゆ かめました。「。こ、、ゝ、 / 。カ」に・か 、いって見てやろうと思ったんでさ。」 しず まわ 「そんなら、静かにいくんだな。」と、お巡りさんが、注意をあたえました。「そして、警官に した さけ さ けいかん 176
した。 きようじゅ いっかくじゅ , 「そうだ ! 天の遊園地からきたのじやから。」教授は、そういって、一角獣の鼻さきをなでま なかま 「動物園へいけば、大スターの仲間入りですわ。」動物園の番人が、息まいて保証しました。 きようじゅ いっかくじゅう もいました。「たが、 「スタ 1 の列に伍するじやろう。」教授は、一角獣の角の先に手をふれて、 その星は、動物園からは、ずっと、ずっと、遠いところじゃ。」 さあ、もう論判してる時間はない。 「そうですとも、大先生 ! ものわかりのいいお方だ ! けいさつれんこう 子どもらも動物も、逮捕して、警察に連行する ! 」 いっかくじゅう まわ お巡りさんは、断固として手をのばすと、一角獣のくつわをつかみました。 けいこ・、 」メアリー・ ポビンズが、警告を発しました。 「いそいで、フロリモンド ! フロリモンドは、ひととびで、ひらりと一角獣にまたがりました。 さっと、ヴェリタンも、その、つしろにとびのりました。 「さよなら、マイケル ! 」アモールは、そうささやいて、マイケルのからだをだきしめました。 ゅうび それから、優美に走りとびをして、にいさんたちのうしろへ、とびのりました。 さけ わす 「ああ、いかないで ! 」と、ラークさんが叫びました。「また、忘れてしまうかもしれないわ わす しきりました。 「ほく忘れない ! 」マイケルがアモールに手をふりながら、強くい、 「わたしだって ! けっして、忘れないわ ! 」ジ = インもくりかえして、フロリモンドとヴ = だんこ ゅうえんち わ いっかくじゅう ろんばん しよう 203
じゅう 者〉ってなことで、ビラを出そう。おい、さがれ、ウマ公ーーなにをしようってんだ ! 」 いっかくじゅう マッジさんが、横っとびにとんで、やっと、一角獣がかみつこうとしたのを、さけました。 するどさけ きしようあら 「それ、たづなをしめろ ! 」マッジさんが、鋭く叫びました。「用心しろよ ! 気性が荒いぞ ! 」 あら 「ちがいます、荒くはないんです。」フロリモンドが、すばやく、 しいました。「たた、見せもの なんかに、出るのがいやなんです。」 じゅうしゃ 「それに、ぼくらは従者じゃありません。」と、ヴ = リタンかいし 「あべこべだよ ! 」と、アモールがいいたしました。 ゅうえん 「さあ、ヘらずロはたくさんだ、ばうず ! はやくつれてって、ぎようぎよくするんだ、遊園 地をあけるまでには、きちんと用意しとかなきや。」 いっかくじゅう 一角獣が、銀のたてがみを、ふり立てました。 しつれい いっかくじゅう 「失礼ですが、マッジさん ! その一角獣は、動物園のものなんで ! 」 いっかくじゅう しばふ ハサッ ! と、一角獣が、角で芝生を打ちました。 きようじゅさけ だいえいはくぶつかん 「ばかな ェッヘン ! 」教授が叫びました。「あれは、わしが大英博物館へつれてゆく。そ ええ して、台座に立たせて フームーーみんなに見せるんだ。」 おり 「檻のなかで、みんなに見せてやりましよう。」ウインクルさんが、がんこにい、 ゅうえんち 「遊園地で、ってことですな ! 」と、マッジさんもも 、いはりました。「世界にただ一びきの一角 ふまん はらもど 、らっしや、 、らっしや、 獣 ! ご不満のむきには、金を払い戻しまあす ! 六ペンス ち しゃ 、ました。 しました。 いっか′、 186
な動物を、不当に所有して おるところを発見したって わけだ。そこで、その動物 あず を、預かろうとい、つところ 「なに、あれを ? 」マッ チ売りは、一角獣を見ると、 くびをふって笑いだしまし た。「あんたにはつかまら ないよ、エグバート。あん たの手におえる動物じゃな いっかくじゅう 。それにしても、一角獣 ってのは、あの三人となら べてみると、どういうこと になるんだい ? 」 マッチ売りは、両腕をの ばして、王子たちのほうを、 ふとうしょゅう いっかくじゅう わら りよううで 189
ました。 「きっと、またくるな、そういってたもん ! 」マイケルは、そう思うと、うれしくなって、び かたあし よんびよん、片足でとびました。そのとき、なにかほかのことに思いついて、ぎよっとして、棒 立ちになりました。 「でも、あの人たちのとこへは、、ゝ 力ないんでしよ、メアリ 1 ・ポビンズ ? 」マイケルは、 ポビンズの腕をつかまえて、ゆすぶりました。「ほくたち、王子さまたちより、あなたの いっかくじゅう こと、 それで いるんですよ。みんなには、一角獣があるでしょ 、、いじゃない。ねえ、メ ボ、ボ、ポビンズ メメアリ 1 ・ 」マイケルは、ロもよくきけないくらい、しんばいになり ぼうし ました。「や、や、やくそくしてよ、チュ、チュ、チュ 1 リップを帽「ナにつけて、もどっていかな ぼうし いっかくじゅう 「帽子にチュ 1 リツ。フをつけた王子ですって ? わたしが、一角獣に、乗るっていうの ? あ ものおぼ なたが、物覚えがいいんだったら、わたしのことも覚えていてもらえるとありがたいんです ! わたしっていうのは、なにかに乗って、走りまわるってようなたちの 「ちがうよ、ちがうよ ! みんな、まぜこぜにしちゃってるんだ。わかってないんだよ、メア リ 1 ・ポビンス ! 」 「あなたが、ホッテントットみたいなふるまいだということは、わかっています。なんです、 いっかくじゅう わたしが、一角獣に乗るんですって ! 手をはなしてください、マイケル ! わたしは、助けて おぼ 212
ロリモンドで、王さまのいちばん上の子さ。これが、弟たちだーーおぼえてない ? ほくたちの りゅうたたか 仕事は、悪い竜と戦うことなんだ。」 公園番の目が、まるで、顔からとび出しそうでした。 りゅう りゅう 「王さまの一ばん上 竜だって ? 竜を公園内に入れるべからず。それから、ウマだっ しばふ てもだめだ ! 」公園番は、芝生をかるくかいていた銀色のひづめが目にはいったので、そういっ てつけたしました。 アモ 1 ルが、ふきだしました。 ジェインとマイケルが、くつくっ笑いました。 「ウマじゃないよ。」と、ヴ = リタンが、もんくをいいました。「見えないのかい ? 一角獣じ 「よし、よし ! 」公園番が、立ちあがりました。「見れば、わかるにきまっとる、そして、これ はウマっちゅうもんだ、でなけりや、わしはーーや、や、や、や ! 」 ぎゅうにゆう 牛乳のように白い生きものが、頭をあげました。 いっかくじゅう 「ほんとだ ! ほんとに、一角獣だ ! 角からなにからーーーそっくり、 絵にあるやつだ。わし いままで、こんなものは見たこともない すくなくもーーー」公園番は、ひたいにしわをよ せて、なにか、思いだそうとしているみたいでした。「いや、いや、」と、ひくくつぶやきました。 ほうこく いっかくじゅう 「見たなんてはずはない ! 子どもんころだってもだ。一角獣とはなあ ! 報告をせねばならん。 わら いっかくじゅう 172
「ありがとう、先生 ! 」アモ 1 ルは、につこりして、冠のようになっているカールのうえから うし その帽子を、さっそうとかぶりました。「これをぬいじゃって、先生、寒くなければいいんです が。」 きようじゅ 「寒い ? 」教授は、あいまいにつぶやいて、その目は、王子たちから離れて、芝生のうえの雪 のように白い動物のほうへ、じっとむけられました。そして、年老いてふるえる手をさしのべる いっかくじゅう しばふ きようじゅ と、一角獣は、露のおりた芝生から起きあがって、しずかに、教授のそばへやってきました。 ゆる きようじゅ 「許してくれ ! 」と、教授が、ささやきました。「きみを、はくせいにしようなどとしたのは、 わしではない。わしの皮をかぶった、きちがいじゃよ , ・・ーーわしではないんだ ! ああ、だいじよ いっかくじゅう うぶ ! わしは、もう寒くはならんよ。一角獣をなでたからな ! 」 ぎゅうにゆういろ いっかくじゅう そういって、指を、牛乳色の首にふれました。一角獣は、じっとおとなしく立っていて、その 青い目も、ちかちかしませんでした。 まわ 「そうですとも、先生 ! 」と、お巡りさんが、きげんよく、 もいました。「法の代表者のものとき まってるものを、はくせいにしようなんていったってだめですわ ! 」 きようじゅ 「たしかに、法のものじゃ。」と、教授がつぶやきました。「だが、きみの知っておる法ではな まわ 「遊園地だ ! 」マッジさんが、お巡りさんを、ひじで押しのけて前へ出ると、そう、 ました。 ゅうえんち っゅ かんむり としお はな ほうだいひょうしゃ しばふ 202
けると、鼻の、つえに、しつかりとかけました。 きようじゅ ごふじんはいけん 「え 1 と なんでしたつけな、御婦人、拝見しなけりゃならんのは ? 」教授は、何のために わす めがねをさがしていたのか、す「かり、忘れてしま「ているようでした。 ラークおばさんが、ため息をつきました。 いっかくじゅう 「一角獣ですよ ! 」と、がまんづよく、答えました。 きようじゅ 教授は、目をしばたたいて、頭をめぐらしました。 フーム これは、ふしぎ ! 」 「エよほ、つ、にほ、つ いっかくじゅう そして、よく見ようとして、身をのりだしました。一角獣は、頭をひとふりして、角のさきで、 きようじゅ 教授をつつつきました。 きようじゅ 「おっしやるとおりです ! 」教授は、よろめいて、あとずさりしました。「まったくーーーああ いっかくじゅう フーム 一角獣ですわ ! 」 「もちろん、そうでさ ! 」公園番が、ひやかすように、いいました。「それだけのニースをう ) 」じん ぼうし べつに、紙の帽子をかぶった御仁に、おいでをいただくこともありませんな。」 、カ。力、つのに、 かくだいきよう きようじゅ 教授は、てんで耳もかしません。も「ていた本のページを繰「ては、拡大鏡をふりまわしてい ました。 でんせってきどうぶつ : 〈イタ〉、〈イチ〉、〈ィッ〉。ああ、ここだ ! そう。伝説的動物。人 「え 1 と、〈ア〉、〈イ〉 : あたい せじよう ごくまれ。世上、一都市に値するといわ の目にふれることは たとえ、あったとしてもー 183
えいきゅう リタンをじいっとみつめました。ふたりのおもかげは、じぶんの心のなかから永久に消えること がないと思いました。 「覚えててくれれば、またきますよ ! 」フロリモンドカ きみら ? いくぞ ! 」 さけ 「いいよ ! 」弟の王子たちが、叫びました。 そして、王子は、ひとりずつ、身をかたむけて、メアリー・ポビンズにキスしました。 「ぼくたち、待ってますよ。」と、フロリモンドかい 「あんまり、待たせないでね ! 」と、ヴェリタンがたのみました。 ぼうし 「もどってきてね。」と、アモールが、笑いながらいいました。「帽子にチ だよ ! 」 メア丿 1 ・ポピンズは、まじめな顔をしていようとしましたが、とても、だめでした。かたい くちひるが、ふるえるよ、つに、 につこりして、三人の明るい顔をじっと見ました。「ごきけんよう おどろ もい子にしてるんですよ ! 」と、驚くほど、やさしい声でいいました。 いっかくじゅう それから、メアリ 1 ・ポビンズは、オウムの頭のこうもりをあげて、一角獣のわきばらにふれ ました。 いっかくじゅう すぐに、一角獣は、その銀色の頭をおこして、角を空にむけました。 「覚えてて ! 」と、フロリモンドが、ハ ラの花をふりながら、叫びました。 おぼ おぼ わら ゞ、につこりして、約束しました。「、 、ました。 さけ やくそく 1 リップをつけて 204
ふりむきました。 わす 1 ト。」と、フロリモンドが、悲しそう 「みんな、ぼくらのこと、忘れてしまってるんです、 いました。 まわ わす 「だが、あんた、らは、わたしのことを、急には忘れられまいよ。」お巡りさんが、おどすように、 こうむぼうがい いっかくじゅう 口を入れました。「どいてくれ、 公務妨害だぞ。さあ、その一角獣をつれて、わしといっ しょにくるんだ、三人とも ! 」 ゅうえんち 「いくんじゃねえぜ、ほうや。」と、マッジさんが、とめました。「ちょいと、遊園地にかけこ んじまいな。あんたがたもウマも、ちゃんとしたあっかいがしてもらえるぜ。」 「いや、わたしといっしょにいってくれ、子どもさんがた ! 」と、ウインクルさんがたのみま しゅにん いっかくじゅう した。「もし、その一角獣が、わたしの指のあいだから、すべりおちたなんてことになると、主任 がけっして許してはくれないんだから。」 。、、、ました。 「いやだ ! 」と、ヴ = リタンカもも ました。 「いかないよ ! 」と、アモ 1 ルもいい 「すまないんですが、」と、フロリモンドが、くびをふりふり いいました。「だれとも、 いきません。」 まわ 「くるんだな、かついででもつれてくぞ ! 」お巡りさんは、怒りで目をぎらぎらさせながら、 王子たちのほうへ、おおまたに近づいていきました。 . ゆ ノ 190