半夏生木を越えて鳥八方に 教会の木椅子八月始まれり 116
東大赤門虫の音の 秋の夜の大学は木々ひしめける 」に入る 146 Ⅵ
直立の木々の揺れ合ふ余寒かな 船を待っ斑雪に長き列をなし 155 Ⅶ
秋雨の真ん中に馬立ちしまま 木もれ日鯊の上りくる
六月や木の影が草おほひたる からからの水路石榴の花 Ⅵ 138
立春の薔薇の木の影地を這へ 凧ひとっ梢に日暮れけり Ⅷ 177
大輪の椿波郷の面輪見ゅ 啓蟄や木の影太き水の底 107
汝古羽いくたび風の吹き荒れし ばらばらに木の揺れてゐる厄日かな Ⅲ
樟の木に触れず離れず夏の蝶 雨脚のたちまち隔っ合歓の花 Ⅷ 187
水仙に真向かふ膝を深く折り 歳晩の日を溜めてゐる桜の木 Ⅶ 172