るぐるまわりのよ、つに、とんほ返りを、つって、くるりくるりとまわりました。 「おお ! 」と、ターヴィ 1 さんが叫びました。「なぜ、はなしたんだ ? かんべんしてくれ、ま た出ちゃう ! 」 「いそいでーー戸をしめて ! 」メアリー ・ポビンズが叫びました。ジェインとマイケルは、、 そいで部屋をよこぎると、タ 1 ヴィ 1 さんのくるのより、一足はやく、扉をしめました。ターヴ イ 1 さんは、戸にぶつかって、またはずんでいって、とても悲しそうな顔つきをして、空中をま わりました。 ふいに、ターヴィ 1 さんがとまりま した。しかし、ひどく変わったかっこ うです。まっすぐ立つかわりに、頭を したにして、さかさまに立っているの です。 「おや、おや ! 」と、ターヴィーさ んは、いって、はげしく足をけりまし た。「こりやどうだ ! 」 しかし、足は床のほうへおりてきま せん。空中で、ゆるやかにゆれている さけ さけ とびら 125
「ねえーーけがしたよ ! 」 はっきりした、とがめるような声が、部屋のなかにひびきました。 ジェインは、びつくりして目をあけました。 「ジェイン ! 」と、また声がしました。「ぼくのひざなんだ ! 」 ジェインは、、そいで首をまわしました。部屋にはだれもいません。 いって開けてみました。やつばりだれもいません ! いそいで戸口へ すると、だれかの笑うのがきこえました。 「ここだよ、ばかだな ! 」また、声がしました。「この、上だよ ! 」 かざざら だんろ ジ = インは暖炉の上を見あげました。時計のわきの飾り皿に、大きなひびがはいっていました たづな おどろ が、みると、驚いたことには、絵にかいた男の子のひとりが、手綱をおとして、両手でひざをか かえてかがみこんでいるのです。ほかのふたりもふりかえって、心配そうにのぞきこんでいまし 「だってーー」と、ジェインは、半分じぶんに、半分はわけのわからない声にむかって、 かけました。「わからないわ。」皿のなかの男の子は、顔をあげて、ジ = インにむかってにつこり しました。 「わからない ? そう、わからないだろうね。きみもマイケルも、しよっちゅう、かんたんな ことがわかんないものなーーそうだろ ? 」 こ 0 わら さら
マイケルは、ジェインにとびかかろ、フとしました。 「もう、それでたくさん ! 」と、メアリ 1 ・ ポビンズが、ジ = インをにらんでいいました。 うちびじん かがみ 「だいいち、この家で美人がだれかっていえばーー」と、ことばをきって、鏡にうつったじぶん すがた の姿をちらっとみて、まんぞくそうにほほえみました。 「だれ ? 」と、マイケルとジ = インが、 、っせいにききました。 「バンクスって名まえのついたひとじゃありません ! 」と、メアリー・ ました。「そうですとも ! 」 マイケルは、いつもメアリ ー・ポビンズがおかしなことをいったときするよ、つに、、ン めくばせをしました。しかし、ジ = インは、そのまなざしに気がついてはいたのですが、しらん とだな えのぐばこ 顔をしていました。そして、むこうへ いって、おもちゃ戸棚から絵具箱をとりだしました。 「汽車ごっこしない ? 」マイケルは、仲なおりをしようと思って、 もいました。 「いやよ、しないわ。ひとりでいたいの。」 「さあさあ、子どもたち、けさはみんな元気ですか ? 」 ふじんへや ( ンクス夫人が部屋のなかに走ってきて、いそいでみんなにキスしました。いつもあんまり忙 しくて、歩いているひまがないのです。 ふじん 「マイケル、」と、夫人はよびました。「スリツ。 ( の新しいのがいるわね。指のさきがのぞいて るわ。メアリ 1 ・ポビンズ、ジョンのカールがとれそうじゃないかしら。 もい子ね、 なか ポビンズはやりかえし いそが
( 2 ) マッチ二はこ、カリフラワ 1 二つと、ルーヾ さいしょ メアリ 1 ・ポビンズは、公園をぬけた最初の店にとびこんで、書きつけを読みあげました。 かんぶつや 乾物屋の主人は、ふとって、頭のはげた、やや息ぎれのするたちでしたが、大いそぎで、注文 を書きとっていました。 だいどころようてぶくろ ふくろ 「台所用手袋を一袋ーーー」と書いて、ちびてまるくなった鉛筆の、しんのないほうを、いらい らしてなめました。 「メリケン粉です ! 」と、メア リー・ポビンズが、けわしい声で、訂正しました。 かんぶつや 乾物屋さんは、クワの実のように、 顔を赤らめました。 ひょり 「あ、失礼。わる気はないんです、もちろん。 もい日和じゃないですか ? はい、てまえのま ちがいです。台所用 いやーーメリケン粉を一袋。」 もそいで、走りがきをして、いいました。 だんろよう 「暖炉用プラシが二はこに 「マッチです ! 」メアリー・ ポビンズがきめつけました。 かんぶつや 乾物屋の手が、帳面のうえで、ふるえました。 えんびつ 「ああ、そうですとも。どうも鉛筆がー - ーまちがいばかり書きくさる。新しいのにしなけりや。 マッチですな、そうですともー ええと、それから ? 」そういって、おずおず顔をあげると、 また下をむいて、使いのこりのちいさな鉛筆を見ました。 しつれい えんびつ こ ふくろ えんびつ ていせい 260
「おいでよ、ふたりとも ! いそぐんだ ! 」と、その星が、霜のような輝きを、部屋のなかに 投げて、 もいました。 マイケルは、目をまるくして、みつめていました。 「あのうーーーあなたといっしょに、、 くってこと ? ・」と、ジェインカもも 「そうさ。けど、なんか着てくれよ。寒いから ! 」 ふたりは、べツ・ トからとびだして、外とうをとりに走りました。 「お金もってる ? 」と、流れ星が、つつけんどんにききました。 「外と、つのポケットに、 二ペンスあるけど。」と、ジ = インが、あやふやにいいました。 「銅貨だね ? それじゃだめだ ! ほら、おとり ! 」そういうと、花火の筒が燃えきるときの ような、ちいさなシュ いう音をさせて、星が火花をとびちらせました。そのうち二つが、 まっすぐ部屋のなかにとんできて、一つはジ = インの手に、もう一つはマイケルの手に、とびこ みました。 「いそいで。でないと、おくれる ! 」 流れ星は、矢のように部屋をつつきって、閉まったままの戸をとおりぬけて、階段をおりてゆ きました。ジェインとマイケルは、星のお金を、しつかりにぎりしめて、そのあとにつづきまし 「夢みてるのかしら ? 」と、ジ = インは、いそいで庭を通るとき、ひとりごとをいいました。 ゅめ どうか や しも 。ゝ、、ました。 かがや かいだん 218
た。そして、あいそよくみせようとして、メアリー・ポビンズに笑顔をむけて、つづけました。 ました。まるで、お 「お天気つづきで、けっこうじゃありませんか ! 」そう、とくいそうにい、 天気のことは、すっかりひきうけていて、メアリ 1 ・ポビンズのために、とくに、よいお天気に くちょう してやったのだといわんばかりの口調でした。 、、って、メアリ 1 ・ポビンスは、ロとハント 「雨がいります ! 」と びしやりとしめました。 かんぶつや 「そうですとも。」と、乾物屋は、さからわないように、いそいでいいました。「雨はいつも、 しいもんですな。」 「とんでもない ! 」と、メアリー・ポビンズはきめつけると、抱いていたアナベルをゆすりあ げて、らくにしてやりました。 かんぶつや 乾物屋は、がっかりした顔をしました。なにをいっても、うまくゆきません。 ポビンズのために、うやうやしく入り口の戸をあけながら、 「ど、つ力」とメアリー・ した。「これからも、どうぞごひいきに、おくさま。」 「さよなら ! 」メアリー・ポビンズは、さっと出ました。 かんふつや 乾物屋は、ため息をつきました。 かんぶつや 「さあ、」と、乾物屋は、入り口のそばの箱を、いそいでかきまわして あげましよう。わる気はないんです、ほんとに。ただ、よろしいようにと田 5 って。」 えがお ・ヾッグとを 、いいました。「これを 262
「そうだと思ってた。」と、竜は、金色の涙をながして、ぐちをこば ばん しました。「サーカスの晩は、いつもこうしたもんなんだ。見世物が むすめ すむまでは、食わしてもらえないんだから。ふつうなら、きれいな娘 っこを、タめしに食うんだが。」 ジ = インは、いそいで、あとじさりをすると、マイケルをひきよせ ました。 りゅう ま 「ああ、驚くんじゃないよ ! 」と、竜は、安心させるようにい、 した。「あんたじゃ、あんまりちいさすぎる。しかも、人間だから、お れんちゅう いしくないよ。サ 1 カスの連中は、おれを腹ペこにしとくんだ。」と、 げいとう りゅう 竜はわけをはなしました。「それで、おれに、うまく芸当をやらせよう ってんだ。だが、見世物がすんだら : : : 」と、ものほしそうな光を目 りゅう にうかべて、竜は、のろのろと去「てゆきました。舌をだらりとだし て、食い意地のはった、低い、しゅうしゅういう声で、「ヤム、ヤム。」 ももなから。 「ただの人間でよかったわ。」と、ジ = インが、マイケルのほうをふ りゅう りかえっていいました。「竜にたべられるなんて、ひどくいやでしようね ! 」 ねっしん しかし、マイケルは、いそいで先に出ていて、三びきの子ャギと、熱心に話をしていました。 おどろ ひく りゅう なみだ した
わす 「忘れやせん、きさきや ! 」と、王さまは、ふりかえって叫びました。「まるであべこべじゃ。 わしは、はじめて、じぶんというものに気がついておる ! 」 どうけ そういって、道をいそぐと、道化においついて抱きしめました。 「エセルヾ ト ! 」と、また、おきさきが呼びました。 王さまは、しらん顔をしています。 みずけ 雨はもうやんでいましたが、大気はまだ、水気をふくんだ輝きに満ちていました。すると、や がて、太陽から虹がふきだしてきて、大きな弧をえがいて、お城の道におりてきました。 どうけ 「この道をいこうかと、思っていたんですが。」と、道化が、指さしながらい 「なに ? 虹だと ? カたいのかね ? のってもだいじようぶか ? 」 「やってごらんなさい ! 」 にじ むらさぎあい 王さまは、虹と、そして、紫、藍、青、緑、黄、だいだい、赤の、ちらちらする光のしまをな どうけ がめると、道化のほうを、じっと見ました。 「よろしい、やってみよう ! 」と、王さまは、、、 しました。「さあいくぞ ! 」そして、色とりど りの道に足をかけました。 「だいじようぶだ ! 」と、王さまは、うれしそうに叫びました。そして、ガウンのすそをから にじ げて、いそいで、虹をかけあがりました。 「わしは、城の王さまだ ! 」と、かちほこってうたいました。 にじ しろ にじ こ さけ さけ かがや しろ み 、ました。 201
ながら、舌のさきでアイスクリー ムをなめていましたが、すっかりなめおわると、いれもののコ ンをそっとハンカチにくるんで、ポケットにしまいました。 ンはたべないのかい ! 」と、アイスクリー ム売りは、びつくりしてききました。 えんとっそうじ 「たべないよ。集めてんのさ ! 」と、煙突掃除がいい ました。そして、プラシを持ちあげると、 ていとくやしぎ ′」ようき プーム提督の邸の正門をはいってゆきました。べつに、御用聞きの入り口はありませんでしたか ら。 すず アイスクリ ーム屋は、また車をおして、鈴をならしながら通りをゆきましたが、その上に、影 と日の光のしまが、かわるがわるふりそそぎました。 「こんな静かだったことってないな ! 」と、お客をさがして右、左と見まわしながら、アイス クリーム売りはつぶやきました。 ちょうどその時、大きな声が十七番地からきこえてきました。アイスクリー ム売りは、注文が あるかとおもって、いそいで門までかけつけました。 「もうがまんできん ! とてもこれ以上、がまんはできん ! 」バ ンクスさんが怒って大声をあ げんかんかいだん げながら、玄関と階段の間を、おおまたに行ったりきたりしていました。 しよくどう 「どうしたんです ? 」と、 ンクスさんのおくさんが、いそいで食堂から出てくると心配そう にききました。「それに、なにをまた広間でけとばしてるんです ? 」 かいだんちゅうと バンクスさんが足をけあげると、なにか黒いものが、階段を中途までとんでいきました。 した いじよう かげ
すがた るのですーー銀のボタンのついた青い上着をきている、きちんととりすました姿で、かたい麦わ え らばうしを頭にのせて、オウムの柄のこうもりがさを、わきのしたにはさんでいるのです。空の うえからやってきて、また、空へいってしまったのです。でも、ジェインとマイケルは、だれに もい、つまいと田 5 いました。メアリー・ポビンズのことでは、けっしてわかってもらえないことが たくさんあるのです。ふたりは、よくそのことを知っていました。 入り口の戸に、ノックの音がし ました。 うわぎ 「ごめんくださいおくさま。」 と、ブリルばあやが、顔をまっか にして、いそいではいってきまし た。「メアー 丿ー・ポビンズが、ま こ、いってしまったので、お知ら せしなくてはいけないと思いまし 「いってしまった ? 」と、 しん クス夫人が、信じられないという よ、フこ、、、ました。 ふじん 357