んだもん ! 」 ンクスさん ? 」 「糸のさきに、サルかこまのように ? わたしがですね、マイケル・ヾ メアリー・ポビンズは、怒りのあまり、ふだんより倍も大きくなったようにみえました。寝ま すがた きをきて、大きな怒った姿で、マイケルの上にのしかかるようにして返事をせまりました。 マイケルは、ふとんをにぎりしめて、からだをささえました。 しんだい 「もうなにもいわないで、マイケル ! 」ジェインがじぶんの寝台から、ひくい声でいましめま した。しかし、マイケルは、もういまさらやめられませんでした。 「そんなら ほくのタコはどうしたの ? 」と、やけつばちでいいました。「もし・ーーその、つ ほくのいったように、おりてきたんでなきや タコはどこなんだろう ? 糸のさきにはな かったもん。」 「ほ、ほう ? それで、わたしがいたっていうわけですね ? 」メアリー・ポビンズは、あざわ ら、つよ、つに、ききかえしました。 マイケルも、とうとう、これ以上やってもだめだとさとりました。説明のしようがないのです。 あきらめなければなりますまい 「そ、そうじゃないよ。」と、マイケルは蚊のなくような声でいいました。「そうじゃないよ、 メアリー・ポビンス」 メア丿ー・ポビンズは、身をひいて、ばちっと電燈をけしました。 、じよう か でんとう せつめい ね
がわるいんだよ。あれを、みてごらん ! 」 たな そういって、大きな棚の一つを指さしました。そこには、いろいろな色と大きさの、 列にならんでいました。どれも、ひびがはいったり、かけたり、まるでこわれてしまったりして いました。 ゞ、、ました。「たいへん、せかされているんだよ。じ 「あれはみんな、」と、ターヴィーさん力もも そうぞ ) 1 トが、すぐに送りかえしてもらえないと、みんながどんなに腹をたてるか、想像もっ ぶんのハ くまい。ほかのどんなものより、さわぎたてるんだから。それだもんで、六時すぎまでは、とて も手をふれる気にならないんだ。だめにしちゃうからねー・ーあすこらのものみたいに ! 」 たな ターヴィーさんは、ほかの棚のほうへ、あごをしやくりました。ジ = インとマイケルがみると、 せともの なおしそこなったものがも。 、つま、山のようにつまれていました。瀬戸物でできたヒッジ飼いの りよううで 女が、抱いているはずのシェ。ハ 1 ドとはなればなれになっていて、両腕は、しんちゅうのライオ ンの首のまわりに、くつついていました。船からもぎとられた、おもちゃの水兵さんは、ヤナギ 、もよう さら ほばしら の模様のついたお皿に、しつかりくつつけられていましたし、船のなかには、帆柱に鼻をからま こざら せて、灰色のフランネルでできた象が、ばんそうこうではりつけてありました。われた小皿は もよ ) せんれいよう 模様があべこべに、とめ金でつぎあわされていて、木馬の足が一本、洗礼用の銀のおわんにとり つけられていました。 「わかったかい ? 」と、ターヴィ 1 さんが、手をそっちにふって、あきらめたようにい、 ぞう もまし 123
じよう すなし ようやく見られるようになってみると、ふたりは、きらきらした砂を敷きつめた、まるい演技 場のヘりにいるのに、気がっきました。大きな青いカーテンが、ぐるりをつつんでいて、テント のようなぐあいに、上のほうで、一点にしぼられていました。 きつぶ 「さあ、さあ ! あやうくおくれるところだったのをごぞんじかな ? 切符はお持ちですな ? 」 かがや すな ふたりは、ふりむきました。そばには、輝く足を、砂のなかできらきらさせて、見なれない、 かた 大きな人影が立っていました。みたところ、狩人のようで、星をちりばめたヒョウの毛皮を、肩 からななめにかけて、三つの大きな星で飾られた帯には、きらきらした刀をつっていました。 きつぶ 「切符をどうぞ ! 」といって、手をだしました。 「ないと思うんだけど。だって、わたしたち、知らないでーーー」と、ジェインがいいかけまし きつぶ 「おや、おや、不注意なこった ! 切符なしでは、いれられませんな。だが、手にもっている のは、なんなんです ? 」 ジェインは、金色の火花を、さしだしました。 きつぶ 「なんだ、それが切符じゃないなんて ! そんなら、いったいなんなんですね ? 」大男はそう いって、火花を、三つの大きな星のあいだにおしつけました。「オリオンの帯に、光るもの、も一 っ ! 」と、うれしそうに、、 しました。 「あなたが、 そ、つなの ? 」と、ジ = インは、目をまるくしていいました。 こ 0 ひとかげ ふちゅうい かざ おび おび えんぎ 221
こがたたいじゅうけい 小型の体重計が、棚からカラカラ落ち うんてんしゅ てきて、運転手にぶつかってひっくり かえらせました。 「気をおつけ ! 」ラツ。ハのような大 声が、タクシーのなかからどなりまし た。「たいせつな荷物なんだから ! 」 うんてんしゅ 「だが、わしもたいせつな運転手で さあ ! 」と、タクシー屋さんがしつべ 返しをして、立ちあがって足首をさ わす すりました。「お忘れじゃありますま 「さあ、道をあけて、あけて ! 出るんだから ! 」大声がまた叫びました。 そしてその時、子どもたちがみたこともないような大きな足が、車のステッ。フにあらわれて、 つづいて、ミス・アンドリューのほかのところも出てきました。 毛皮の襟のついた大きな外とうにくるまれて、男用のフェルト帽が頭にのつかっていましたが、 その帽子から、長い灰色のヴェーレ のひだをもちあげて、 ノがなびいていました。片手でスカート もう一ぼうの手には、格子縞のきれでつつんだまるいものをぶらさげていました。 ぼ , し えり こうしじま かたて さけ たな
に立ってまちかまえているメアリー・ポピンズに、ひとかかえ、おろしました。 空気は澄んで静かだったので、窓ぎわの腰かけにうずくまっているジェインとマイケルには、 ひとことももらさず - きこえました。 とっんはこぶね 突然、箱舟のなかで、木でできたなにかが床におちて、がたがたいう大きな音がきこえました。 「ドジャーおじさん ! 気をつけてちょうだい こわれものなんだから ! 」ネリ 1 ・ ルビナ べんかい が、きびしく、 いました。ド、ンヤーおじさんは、塗った雲を、ひと山もってあがってきて、弁解 するよ、つに、、ました。 「すまん、すまん ! 」 木でできたヒッジの群れが、つぎにでてきました。みんな、つつばって、こちこちしていまし た。そしていちばんしまいには、鳥とチョウチョと花でした。 「これで、みんなだ ! 」と、ドジャ 1 おじさんはいって、あいた屋根から、あがってきました。 うで 腕のしたに、木でつくったカッコウをかかえていましたが、もうすっかり、灰色のペンキで塗っ てありました。そして、手には、大きな、緑のペンキつぼをさげていました。 「これでよし。」と、ネリ 1 ・ ポピ 、ました。「さて、用意がよければ、メアリー・ ンズ、はじめましよ、つか ? 」 そして、それから、ジ = インとマイケルが、これまでに見た、もっともふしぎな仕事がはじま わす りました。ふたりは、たとえ、九十まで生きていたとしても、けっして忘れることはないだろう す しず ルビナかも まど ゆか 312
んなことは、考えたこともあるまい ? 」 。ゝ、、ました。っとめて、すまなそうにしていましたが、あまり、う 「ええ。」と、おくさん力しも まくゆきませんでした。「ちっとも。」 「おれもだ。ともかく、やってきたと。たが、 、つとくが、風呂場のタイルは張りかえられん よ ! 」 「ご心配なく。」と、 もまのが、いちば ンクス夫人は、ほっとしていいました。「ほんとは、、 んすきよ。」 「だから、おまえはばかなんだ。もういうことはない。」 もんく うち そ、つい、つと ンクスさんは部屋を出て、家じゅう、文句をいって、どなり散らしていました。 げんかん むね しかし、玄関からおもてに出たときには、肩をはって、胸をそらせて、大きな葉巻を口にくわえ ました。そして、そのすぐあとで、プーム提督に、とくいそうに鼻高々と、ニュースをつたえて いる大きな声がきこえてきました : しんだい メアリー・ポビンスよ、ジョンと ハラの寝台のあいだにおいた、新しいゆりかごのうえに もうふ かがみこんで、毛布のつつみを、注意ぶかく、おろしました。 「やあ、とうとうきたね ! わがくちばしとしつぼの羽根に恵みあれーーーもう、こないのかと 思ってたよ ! どっちなの ? 」ガアガアいう声が、窓のほうから叫びました。 ふじん かた ていとく まど ふろば さけ はまき 157
マイケルにすばやくキスしました。マイケルのほっぺたに、べとべとしたペンキのあとがっきま ハラのには、大きな字で ジョンの黄色い〈会話〉には、〈だぶだぶでぶちゃん〉とあって、 〈きらきらばっちり、うきうきさん〉と書いてありました。 つくえ 「ほんとにそうね ! 」と、ネ リー・ルビナが、机ごしに見ていいました。 丿 1 ・ルビナが、メア リー・ポビンス 「こんどはあなたよ、ミス・ポビンズ ! 」といって、ネー のほうへ、つぼをかたむけましたが、ジェインとマイケルは、ふたりが、ふしぎな目まぜをして、 うなずきあったのに、気がっきました。 てぶくろ メアリー・ポビンズは、大きな毛の手袋をぬぎすてて、片手をつばのなかへいれて、しばらく、 〈会話〉をかきまわしていました。やがて、半月形をした白い色のを一つつかむと、それを、じぶ んのまえにさしだしました。 「〈こんや十時〉」と、ジェインが、書いてあることを、声を出してよみました。 ドジャーおじさんは、もみ手をしました。 じこく 「そうとも。その時刻に、わしらがーーー」 「ドジャ 1 、お、じ、さん ! 」と、ネ リ 1 ・ルビナが、叫んで注意しました。 びしよう ひょうじよう ドジャーおじさんの顔から、微笑が消えて、まえよりもっと悲しげな表情になりました。 「すまん、すまん ! 」と、ヘりくだっていいました。「どうも、わしは年をとって、ときどき、 さけ かたて 306
もんく 遠くしたのほうで、タートレットさんの声がしました。びどく文句をいっています。 ! 」と、部屋のなかで、大きなしやがれ声がしました。「チェッ、ばかな ! あの女に りこ、つなポリー ! ホリ 1 にやらせなさい かわいいポー めんど、つかけることはない ポビンズのオウム ジェインとマイケルが、頭をまわしてみると、驚いたことには、メアリー・ の柄のこうもりがさから声がしていたのです。かさは、そのとき、とんぼ返りをして、お菓子の ほうへ近よってゆきました。そして、頭をしたにして、かんのうえにおりると、二秒間で、くち あな ばしで大きな穴をあけてしまいました。 ーがした 「そら ! 」と、オウムの頭が、とくいそうに、ぎゃあぎゃあ声をだしました。「ポリ きよう びしよう よ ! 器用なポリー ! 」そして、うれしいまんぞくげな微笑を、くちばしに浮かべて、メアリ ゆか 1 ・ポビンズのわきの床に、頭をしたにしておちつきました。 「こりや、 たいへんごしんせつに ! 」タ 1 ヴィーさんは、お菓子の焦げた色の皮がみえるよう になったので、ゆううっそうな声で、おネをいいました。 そして、ポケットからナイフをとりだすと、一きれ切りとって、いきおいよく、ひとくちやり ましたが、ロからはなして、つくづくお菓子を見ました。やがて、とがめるような目つきを、メ ポビンズにむけました。 しわざ ちがうとはいわせない。 「あんたの仕業だね、メアリ 1 干しプドウ入りの菓子だったんだ。ところが、それがーー」 かし おどろ このまえあけたときは、ちゃんと、 こ かし 133
とことんまでも、やりましよ、つ、 だけど、それでは、いそがしくって、 よく考えるひまがない。〉 きようじゅ それとも、教授どの、おおかた、このほうが気にいろう。 きようじゅちょう 「まったく、そのとおり。」と、教授の長がいいました。「まだ、ございまするか ? 」 「おお、あるとも ! 」と、王さまはい、 ました。うまくできて、うれしいのです。 「こういうのがある。 だけど、ちっとも、かしがない、 だから大きなあの海も、 ちっとも水をこぼさない。〉 〈地球はぐるぐるまわってる、 〈おお、べんきようするなら、 〈世界をぐるりとまわるのは、 198
ぎよしゃ ところがー・ーーその御者の足は、白いち いさなハンカチでゆわえてあって、草の うえには、だれかが走りながら落とした ように、赤と白のチェックのスカーフか 横たわっているのでした。そしてそのは じには、大きな白いラベルが縫いつけて かしら、もじ あって、ä・という頭文字がついてい ました。 「そうか、あすこでなくしたのか ! 」 と、マイケルは、かしこそうにうなずい 、いいました。「みつけたって ジェインは、あたりをみました。メア ・ポビンズは、エプロンのボタンを かけているところでしたが、全世界が失 礼だ、といわんばかりのようすをみせて 、ました。 しつ 110