ステッキ - みる会図書館


検索対象: とびらをあけるメアリー・ポピンズ
29件見つかりました。

1. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ゅう乗るんだ ! 」 そして、たしかに、メアリー・ポビンズのべッド のわきの、部屋のすみに立てかけられてい るステッキをみると、安心していていいようでした。だって、だれが、と、ふたりは、あさは かにも考えました。べたべたするおさとうの棒を四本、盗みたいなんて思うでしよう ? 今だ って、もう、ピンクと白のステッキは、子ども部屋の家具の一部のように、みえているのでし どうし ステッキは、四人の誠実な友だち同志のように、柄を組みあって、いっしょにもたれていま す。どの一本も、びくっともしません。ほかの、どんなステッキとも同じように、持ち主と散 歩に出るのを、ほこりつほい片すみで、おとなしく待っているのでした : ミントのステッキの匂いが、子ども部屋にいっ 午後がすぎて、寝る時間になりました。ペ。ハ ばいになっています。マイケルは、お風呂からでると、いそいでやってきて、鼻をくんくんい わせました。 「だいじようぶだよ ! 」と、マイケノカ レ、、ゝ、よいってきたジェインに、ささやきました。「だけ ど、今夜は起きていて、なんにも起こらないように、見てたほうがいい こ 0 ね せいじっ かた にお と思うな。」 ぬしさん 219

2. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

それは、ミス・キャリコでした。ちいさな、銀のハリネズミのように輝いて、夜の空を、ペ くちぶえ な ハミントのステッキに乗って、走っていきます。むちが、空中でかすかに鳴って、ロ笛の声が、 しずかな、暗い夜を、つらぬいています。 かなき 「おいで、のろまさん ! 」と、ミス・キャリコが金切り声をあげると、四本のステッキが、 追いすがりながら、荒々しくいななきました。 「ダンサ 1 、のろまなロバさん、おいで ! 」と、ミス・キャリコが呼びました。すると、ど こか、下の台所の階段のあたりから、別のステッキが、はや足ででてきました。 、ました。 ートソン・アイのだわ ! 」と、ジェインがいし し子や ! 」ミス・キャリコが、また、むちをならし 「どこだい、 トリクシ 1 ? おいで ました。すると、ラークさんのところの、いちばんいい寝室の窓から、もう一本のステッキが とびだして、みんなにくわわりました。 タッフレ、トロット ! 「おいで、ストライプ ! おいで、ロリポップ ! ら、ステッキが、きそってやってきます。 「足をふって、プロッソム ! よく見て、ほら、ハ ぶらぶらものは、家へ帰るんだ くちぶえ よ。それが、きまりだよ ! 」ミス・キャリコは、ロ笛をふいて、みんなを呼び集め、みんなが、 かいだん あらあら べっ しんしつまど よ かがや 」あらゆる方向か 223

3. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ミス・キャリコが、ちらっと、メアリー・ポビンズのほうをみました。ふたりのあいだで ふしぎな目まぜが、とりかわされました。 「できたらね ! 」と、ミス・キャリコが、大きなきいきい声でいいました。「みんな、とっと 、よ、できたらねーーーけっこうさ ! しつかり、おつけ、わたしは平気だよ ! 」ロ。 そで 。、、由にビンをさしてくれたので、ステッキを一本、わたしました。 トソン・アイカ」イ しつれい ました。「失礼します、ミス 「じゃこれで、」と、メア ごはんに帰りますから ! 」 「ああ、待って、メアリー・ポビンズ ! 」と、マイケルが叫びました。「あなたのステッキ、 おそ 買わなか「たじゃない ! 」恐ろしいことに気がついたのです。ビンが一本、たりなか「たら、 どうなるんだろう ? じぶんのステッキを、わけてあげなきゃならないんだろうか ? 「ふふん ! 」と、メアリー・ポビンズは、頭を一ふりしていいました。「わたしは、足を折る 、いけど、だれかさんみたいにね ! 」 ことなんか心配してないんです。名前をいってもし わら 「ヒヒヒ 1 ッ 笑ってごめんよ ! あんたも、ステッキがいるみたいじゃ リー・ポビンスかていねいこ、、 さけ お 204

4. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

長い、太いステッキを受けとると、もたれて、重みをかけてみました。 ふくろ 「えさま、ゝ。ゝ どうも、ありがとうよ ! 」と、その女の人は、楽しげ 一袋二ペンス ! さけ に叫びました。 「マイケル ! 」ジ = インが、びつくりして、息をとめて叫びました。「あれ、鳥のおばさんじ ない ! 」 ところが、マイケルが答えるひまもないうちに、じつにふしぎなことが起こりました。その 太った女の入が、重いからだでステッキにもたれると、ステッキは、ちょっと、上にはねまし の下にまわりこむと、鳥のおばさんを空にもちあげたのです。 た。そして、ひろがったスカート スケット ハミントの柄をつかんで さあ、いこう ! 」鳥のおばさんは、ペ。 「そら上だ ! を、ぎゅっと、かかえこみました。 ほどう ステッキが、舗道をこえて、鉄のさくをかすめて、のばっていきます。長く、高く、 く声が、空中に満ちて、子どもたちは、びつくりぎようてんして、目をまるくしました。 「しつかり、つかまって ! 」マイケルが、心配そうに、どなりました。 「じぶんも、しつかり、おっかまり ! 」と、鳥のおばさんが答えました。マイケルのステッ キも、もう下で、はねていたからです。 さけ 207

5. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ジェインにむかって、不平を訴えまし た。「キャリコおばさんが、とっとくようにいったもん ! 」 「いえ、いわないわ。」と、ジェインが、くびをふっていいました。「とっとけるんだったら、 とっといても いいって、いったのよ。」 「だって、もちろんできるさ ! 」マイケルは、きつばりい、 しんよう メアリー・ポビンズは、信用しないような顔をして、笑いました。「なんとまあ、めずらし いこと ! 」そういって、かがんで、ステッキをみんな、ひろいあげました。 「ばくのもってく、メアリ 1 ・ポビンズ ! 」と、マイケルがいって、おさとうの柄をつかみ ました。 しかし、メアリー・ポビンズは、ステッキを頭のうえへ振りあげて、家のなかへ、どんどん、 はいっていってしまいました。 「食べやしないよ、メアリー・ポビンズ ! 」マイケルが、たのみました。「柄をなめもしない からさ ! 」 ひとこと メアリー・ポピンズは、ぜんぜん、知らん顔で、一言もいわずに、ステッキをかかえたまま、 二階にあがってしまいました。 「だって、ぼくらんだもんねえ ! 」と、マイケルが、 た わら もました。「とっといて、しよっち ) った 218

6. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

「どうした、かあさん、ここでなにしてる ? セント・ポ 1 ル寺院にいなきゃいけないんだ ろうが ! 」 「おや、フレッドばうや ! 鳥にえさを、やってるんだよ ! お茶のとき会おう ! 一袋二 公園番は、あっけにとられて、うしろ姿を見送りました。 」、つと、つ 「こんなことするの、みたことない、子どもん頃でもだ ! まえを みるんだ ! 」公園番がどなりました。きらきらしたピンク色のステッキが、つつばしっていっ たからです。 まわ それには、エレンとお巡りさんが乗っていました。ふたりとも、午後は休みで、外出してい るのです。 かなき 「おお ! おお ! 」と、エレンが、金切り声をあげています。「とても、下は見られないわ ! 目がくらみそうなんですもん ! 」 まわ 「そう、じや見ないでいいよ。かわりに、ばくをごらん ! 」お巡りさんは、エレンの腰をし つかりつかまえて、ステッキをとばしていきました。 どんどん、どんどん、ペ。 ハミントのステッキが行きかって、そのビンク色が、朝の光に輝き ころ じいん こし ふくろ かがや 214

7. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

、、ントの馬 げんかんま ハンクスさんが、怒ってどなりました。玄関の間にある、ゾウの足のかさ 立てを、がたがた、かきまわしています。 「なんなの、ジョ ージ ? 」ノ 、ンクス夫入が、台所へおりる階段の下から、叫びました。 「だれかが、わたしのステッキをもってった ! 」バ ンクスさんの声は、傷をおったトラのよ うでした。 「ここにあります ! 」メアリー・ポビンズが、そういって、子ども部屋からおりてきました。 ちょ ) こく 片手に、銀の柄のついた、黒たんの杖をもっています。もう一方の手で、彫刻して、でこばこ した柄のついた、灰色のトネリコのステッキを振っていました。ほゝにはなにもいわずに、た ようす いへんえらそうな様子で、 ンクスさんにステッキを手渡しました。 「ほう ! 」 バンクスさんは、不意打ちをくったようにい、 もました。「なにかいることがあっ たんですか、メアリ もんですが ! 」 ・ポピンズ ? 足でも悪いんでなければ、、、 だいじようぶ 「いえ、大丈夫です ! 」と、メアリー・ポビンズが、鼻をならしていいました。そして、そ かたて 5 ペ。、 ふじん てわた かいだん きず さけ 186

8. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

かべています。それは、じぶんでじぶんのことが、すっかり気にいっているというようにみえ ました。 さくらまちどお 桜町通りが、だんだん、近づいてきました。 「ああ、いつまでも、おりないでいられると、 もいな ! 」と、マイケルが叫びました。 さけ 「一日じゅう、乗っていたいわ ! 」と、ジェインが叫びました。 「一時までには、帰 りたいとっています。ついてきてください ! 」と、メアリ 1 ・ポビン ズはいって、こうもりがさのオウムのくちばしを、十七番地のほうへむけました。 ふたりは、ためいきをつきました。ためいきをしたところで、しようがないということは、 わかっていたのですが。ふたりは、ステッキのくびをたたいて、メアリー・ポビンズについて、 くだ 空を下っていきました。 しばふ 庭の芝生が、あかるい緑の牧場のように、ゆっくりと、みんなのほうへ、もちあがってきま きようぎ した。そこへ、 ノミントのステッキが、ポロ競技の馬のように、後足で立ったり、はねあが さいしょちゃくりく ったりしながら、きそって、おりていきます。最初に着陸したのは、ロ。 、 1 トソン・アイでし た。ステッキの手綱が、。ハ ンジ 1 の花壇でしばられると、ロヾ ートソンは目をあけて、まばた きをしました。あくびをして、包みをまとめると、よろよろしながら、家のなかへはいってい たづな まきば かだん ノ さけ 216

9. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

うわぎ メアリー・ポピンズは、さもいやそうに、鼻をクスンといわせました。それから、上着のえ ートソン・アイ りのうらを返すと、子どもたちに、一本ずつビンをわたしてやりました。ロヾ は、鉄のさくによりかかって、、つとうとしてい・ましたが、メアリ 1 ・ポピンズにビンをわたさ れて、びつくりして、はねおきました。 「さしておくれ ! 」と、キャリコおばさんが、からだをかがめていいました。「突きささった って、平気だよ。わたしは、きついんだから、痛かないんだ ! 」 みんなは、めいめい、ささっているビンのあいだに、さしこみました。キャリコおばさんが しままでにないほど、きらきらと輝きました。 ステッキをわたしてくれたとき、そのきものは、、 わら ミントの匂 笑ったり叫んだりしながら、子どもたちはステッキをとって、振りました。ペ。ハ 力いよいよ強くなりました。 「もう、歩くの平気だ ! 」マイケルが叫んで、ステッキのはしを、ちょっとなめました。か ふふく ん高い、ちいさな叫びが、空中でしました。かすかな、不服そうな、馬のいななきのようでし むちゅ , た。けれども、マイケルは、ペヾ ノミントのキャンディ 1 の味をみるのに、すっかり夢中になっ ていたので、その声は、耳にはいりませんでした。 「わたしは、食べないわ。」と、ジェインが、ロ早にい、 さけ さけ さけ もました。「いつまでも、とっとく かがや にお 203

10. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

な 「ステッキを食べようとしたんだ、」と、泣き叫んでいます。「そしたら、こんなことをして くれた ! 」 はら 「見切り値段 ! たったのビン一本 ! 払っただけのことはあるよ ! 」ミス・キャリコの声 がしています。 けいばじよう このころになると、空は、競馬場のようでした。乗り手が、あらゆる方向からやってきます。 ハミントの馬を買っているみたいでした。 子どもたちからみると、知っている人は、みんな、ペ。 ぼうし 根飾りのある帽子をかぶ 0 た人が、そばを乗 0 て通りましたが、それは、市の助役のひとり だとわかりました。遠くのほうに、マッチ売りがちらっとみえましたが、きらきらするビンク えんとっそうじ 色のステッキに乗って、はやあしで、走っていました。煙突掃除が、すすだらけのプラシをも ぼう って、乗りすごしてゆきましたが、アイスクリー ム屋も、イチゴアイスの棒をなめながら、そ のそばを、かけぬけてゆきました。 さけ 「どいた、どいた ! 場所をあけて ! 場所をあけて ! 」もったいぶった、大きな声が叫び ました。 だいうかん みると、馬の首も折りそうな速さで、大法官が、とばしてきました。ステッキの首に、びつ かためがね たり伏せて、まるでダ 1 ビー競馬の勝ち馬にでも乗っているようでした。片眼鏡が、しつかり ざ ねだん お はや さけ じよやく 212