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検索対象: とびらをあけるメアリー・ポピンズ
66件見つかりました。

1. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

が一匹、ひれをばたばたいわせながら、やってきました。「ちょうど、ガーデン・ あくしゅ まにあったよ。」そういうと、ひれを差出して、子どもたちとひとりずつ握手をして、ふたりの あいだを、よちょち、歩いていきました。 よくするんですか ? 」と、マイケルがききました。じぶんも、海 「ガ 1 デン・ に住んでいたいと思っていたのです。 「いやあ、とんでもない ! 」と、アザラシが答えました。「たまに、高潮のときがーーーおい おまえさんは、招ばれてるのかい ? 」アザラシは、ふいにことばを切って、大きな灰 いろすがたよ 色の姿に呼びかけました。「クジラはいれてはいかんと、 にゆうじようこと 「出てけ ! 出てけ ! クジラは入場お断わりだ ! 」たくさんの魚の声が、ロをそろえてい いました。 きょだい クジラは、その巨大な尾を一ふりして、二つの岩のあいだを、通っていきました。大きな、 さびしげな顔と、大きな、もの悲しげな目をもっていましたが、その目を子どもたちのほうへ 向けました。 「いつも同じだ。」と、クジラは、頭をふりふり、 くさん食べすぎるって、みんなが、い びき 0 、 さしだ しいました。「わたしが、大きすぎて、た みと れいがい うんだ。例外を認めてくれるように、みんなに、 いいっかってるんだ ! 」 たかしお 0 、 ノ 242

2. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

メアリー・ポビンズに、片目をつぶってウインクしました。「わしの流儀の城だ、クランプさ ん ! それから、わしの流儀の。ハイですぞ ! 」 ドラムのひびきが、部屋じゅうにとどろきました。 クランプおばさんは、メアリー・ポビンズをみて、かちほこったよ、つに、ほほえみを、つかべ ました。 「そーらごらんね ! 」と、クランプさんが、いやにきどっていいました。「いわないこっちゃ なも ! 」 ところがもし 、もおわらぬうちに、そのほこらしげな微笑が、うすれてきました。そして まぎれもない恐怖の色に変わりました。 それは、クランプさんが、大きなふとった人でなくなってきたのです。その、はちきれそう なからだが、どんどん、しぼんできたのです。きいきい床をならしてまわっていた両足も、一 まわりごとに細くなってゆきました。 「なんなんでしよう ? 」と、クランプさんは、まをつめました。「まあ、どうしたっていうん ほね でしよう ? 」腕も足も、短く、骨ばってきて、からだの大きさも、半分ぐらいにちちまってき ました。 うで きようふ りゅうぎ かため か びしよう りゅうぎしろ 0 8

3. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

もんぎんにい、 しました。それから、ふたりは、やさしく抱きあって、踊りながら、人ごみのな かへ、はいっていきました。 いっかくじゅう 「こどもら、今夜は、おぎようぎよくしてますか ? 」一角獣が、そういって、しなびたおば あさんにきいているのが、きこえました。おばあさんは、踊りながら、すごく大きいくつをひ つばっていましたが、そのくつには、きゃあきゃあ笑って、男の子と女の子が、たくさん乗っ ていました。 さけ 「ええ、とてもいい子にしてるよ ! 」と、おばあさんが、陽気に叫びました。「いちども、む ちなんか使わないからね ! ジョー ジ・ポーギーのおかげで、女の子たちは、たいへん助かる よ。みんな、今夜は、キスしてもらうってきかないんだよ。男の子た ちときたら、まさに、これはまた、おとなしくっていい子さ。ほら、 どうやって、 赤ずきんが、オオカミに抱きついてるの、ごらんな ! 晩のごはんをたのんだらいいか、教えようとしてるのさ。おすわり、 マフェット。しつかり、つかまってるんだよ ! 」 おばあさんは、ちいさな、かわいい女の子のほうへ手を振りました。 せなか ねっしん その子は、くつの背中にすわって、大きな黒いクモと、熱心に話をつ わら おど 289

4. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

んだん大きくなりました。やがて、いきなり、輝く光の波がさしこんで、ふたりは、目がくら みました。もう、うすぐらいトンネルの出口にきていて、ふたりの目のまえには、、 ままで見 こうけし まみどり たこともないような、すばらしい光景がひらけていました。真緑の海草の、なめらかな芝生を すな ちりばめた、広い海の庭がひろがっていて、そのあいだを、金色の砂の小道が縫うように走り、 すな あらゆる色の花が、点々と散らしてありました。砂のうえには、サンゴの木がのびていて、長 、羽根のような海シダの葉が、ゆらゆらと水になびいていました。暗い色の岩は、たくさんの しんじゅがい かがや きらきらした貝がらで輝いていて、そのなかで、いちばん大きな岩は、一面に真珠貝でおおわ おく れていました。その岩の奥は、深くて暗いほらあなになっていて、月のない夜空のように、黒 黒としていました。そして、そのずっと奥深いところに、かすかな光が、深海に輝く星のよう に、きらきらとまたたいていました。 ジェインとマイケル ( よ、トンネルのはじからおもてをみて、うれしさに息をのみました。 こうけい その、かがやかしい光景のなかでは、じっとしているものは一つもありませんでした。岩で さえも、はてしない水のさざめきのなかで、前後左右にゆれているようにみえました。ちいさ な魚が、ゆれ動く花のあいだを、チョウチョウのように、ひらひらしていました。そして、サ ンゴにかけわたした海草の花づなからは、千にものばるあかりが、つりさがって、ゆれていま かがや しんかい かがや しばふ 240

5. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

寄りが、おたがい。 こ、許しあうのです。夜と昼も、ここで会いますし、北と南の極も、そうな のです。東が、西にむかってかたむいて、輪ができあがるのです。これが、その時とその場所 なのです、おふたかた ただ一つの時で、ただ一つの場所なのですーーーそこでは、だれでも、 すえ 末ながく幸福に暮らすのです。ごらんなさい ! 」 ねむひめ 眠り姫が、手をさしのべてみせました。 きんばっ ジェインとマイケルが、そっちをみると、三匹のクマが、ちいさな、金髪の女の子のまわり を、ぶきようにとびまわっていました。 ねむひめ せつめい 「ゴ 1 ルデイロックスです。」と、眠り姫が、説明してくれました。「あなたがたと同じよう に、ちゃんと安全ですわ。まあ、こんばんは、ヾ ンチ ! 赤ちゃんはど、つ、ジュディ ? 」 ねむひめ 眠り姫は、腕を組んで歩いてきた、ふたりの、鼻の長い人形に、手をふってあいさっしまし どうし た。「今夜は、愛しあった同志なのよ、すきまのなかですからね。あら、ごらんなさい ! 」 ひとかげ しばふ こんどは、眠り姫は、塔のように高くそびえる人影を、指さしました。大きな足が、芝生を、 こずえ どしんどしん踏んで歩いて、頭は、いちばん高い木の梢ぐらいの高さでした。たいへん大きい かた こんぼうを、つりあいよく肩にかついでいて、もう一方の肩には、男の子が、ちょこんと乗っ ていて、笑いながら大男の耳をひつばっていました。 わら ねむひめ ゆる とう かた びき 292

6. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

( 3 ) サルジニアーー・イタリア半島の西にある地中海で二番目に大きな島。 じっざい しゆっぱん ( 4 ) エレガント諸島ーーイギリスで出版されている大きな地図の本にも出ていないので、実在しない地名かと思わ れる。 しよ」、・ 138

7. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

がわ はるか、地球の向こう側から、大きな、青い月が、ゆ ったりとのぼってきました。公園の上に、通りの上に、 明るい、青い光を、まきちらしています。天空の絶頂に かかって、眠る世界のランプのように、輝いていました。 ミス・キ その光のなかを、コウモリの群れのように、 ャリコのひきいる馬の列が、飛ぶように走っていきます。 大きな青い月を横切って通るとき、その輝きのなかで、 一瞬、きらりと光りました。やがて、疾走するべヾ トのステッキが、遠い、明るい空のかなたに走り去って いきました。むちの音も、だんだん、ちいさくなって、 ミス・キャリコの声も、遠く、かすかになってゆきます。 とうとう、ミス・キャリコも、馬たちも、月の光のなか すがた に、姿を消してしまったように思われました。 さいこうきゅう 「すべて、最高級さとう製 ! 」 さいごの、ちいさな、こだまが、ただよいながらかえ いっしゅん ねむ しっそう かがや かがや 懸っちょ ) 225

8. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

のもなければ、盤もありません、ただ、床のうえでまわりだしたのです。床板が、上をおも はんこう たいからだでまわられたので、反抗するように、きいきい、大きな音をたてました。 「さて、あんたはそれでよし ! 」と、トイグリーさんが叫びました。 じよげん と、上きげんなきいきい声で、助言してやりました。 あみあ ぐっ クランプさんは、その大きな黒い編上げ靴を動かそうとしてみて、ぞっと身震いしました。 からだをねじったり、もがいたりしました。身をくねりもしました。しかし、両足は、にかわ でつけたように、床にびったりついています。 わしには、田 5 いもよらんかった ! 」メア 「うまくやったぞ、メアリー ! 誇らしく思ったトイグリーさんは、ほればれして笑顔をみせました。 れいけつどうぶつ しわざ 「おまえさんの仕業だねーー・この、いじわるの、わるの、冷血動物め ! 」クランプさんは、 おこ 怒ってどなると、メアリ 1 ・ポビンズにつかみかかろうとしました。「だけど、きっと仕返しは クランプのおかみさん ! 〉 〈とびあがってごらん、 ばん えがお さけ ゆかいた みぶる リー・ポビンスを

9. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

しました。そこは、大きな屋根裏部屋で、木切れや、ペンキのかんや、にかわのびんなどが とりちらかっていて、部屋のすきまというすきまは、すべて楽器でうめつくされていました。 ープがすみのほうに立ててあるかと思うと、一方のはじには、ドラムが積んでありました。 ふえ トランペットやヴァイオリンがたくさん、たるきにかけてあって、フルートだのプリキの笛 つくえ たな 大工道具がち だのが、棚につめこまれていました。窓ぎわの、ほこりだらけの机のうえには、 らばっていて、長い仕事台のはじには、みがきあげた小さな箱がおいてあって、そのそばに、 小型のねじまわしが一本、ころがっていました。 床のまんなかには、できかけのオルゴールが五つならんでいましたが、塗ったばかりの鮮か な絵の具の色に明るく輝いていて、まわりには、 こがた と、大きな白い字が、白墨で板にかいてありました。 へやんたい もい香りがしていました。たった一つだ 部屋全体が、かんなくずや、絵の具や、にかわで、 け、見あたらないものがありましたが、それは、トイグリーさんでした。 ペンキ塗りたて かがや はくく ゃねうらべや がっき っ あざや

10. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ました。「いつも、こんどはじぶんじゃないかって、心配してるのさ。」 ジ = インは、朝ごはんにスケソウダラを何度も食べたのを思いだして、なんだか、もうしわ けないような気もちになりました。 「ごめんなさいねーーー」と、ジ = インがいいかけたとき、大きな、荒つぼい声が、さえぎり ました。 「動いた、動いた ! 海の道をふさがんでくれ ! なんで、ひれをきちんとしとけないん だ ! 」たいへん大きなタラが、みんなのあいだを、肩でわって通りました。 ーティ 1 に、おくれるで 「こんなふうに、大洋をごたごたさせおって ! けしからん ! ~ なもか ! 」タラは、怒って、子どもたちのほうをみました。「それにしても、あんたがたは、 だれだ ? 」と、ききました。 ふたりが、も 、まにも、名を名乗ろうとしたとき、海マスがタラのそばへ、冰ぎよって、耳もと で、なにかささやきました。 「おお、そうかね ! だが、入場料をはらう金は、もっとるんだろうな ! 」 「あの ホケットをさぐりました。 」ジェインは、。、 むちゅう 「チッ、チッ、チッ いつもこんなだ。夢中になると、手がつけられん。それ ! 」タラは、 にゆうじようりよう あら 237