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検索対象: とびらをあけるメアリー・ポピンズ
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1. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ごじぶんのお皿から、ハチミツのお菓子や、バタのついた。 ( ンのきれなどをとって、食べさせ しんぞうむね てくださったか。どんなに、王さまのお顔がいとしさでいつばいで、それをみると、心臓が胸 のなかでひっくりかえって、あまりのうれしさに、目をそらさなければならないほどだったか。 ところが、ついに、避けがたい運命の夜がきたのです。 かがや きさき 「そなたの目は、星よりも輝く。」と、王さまはいって、お妃の顔から、きらきらした空に、 目をむけたのです。ところが、いつものように、また目をもどすかわりに、じっと上をみつめ たままだったのです。 「いったい、」と、王さまは夢みるようにい、 しました。「星は、、 しくつあるのであろう ! 数 きさき えてみるとしよう。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ 」そうして、お妃が、そ ねむ ばで眠りにおちるまで、数えつづけていました。 強、さき 「一千二百四十九ーー」お妃が目をさましたとき、王さまは、そういっていました。 ていしん しんだい それから、廷臣たちを寝台からたたきおこして、みなに星を数えさせるまで、気もちがおさ まりませんでした。そして、答えのうち、数のあうのが二つとないと知「て、たいへん腹を立 てました。 それがことの起こりでした。 はら 102

2. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

しっぽの下のポケットから、白い、平らな円板を二つ、さっととりだしました。「これは、砂 じようじ せつめい ドルというやつで、海の金だ。」と、もったいぶって、説明しました。「常時、二つ三つは、け 、こいしとる。いついることがあるか、わからんからな。」タラは、そういうと、子どもたちの ほうへ、二枚の海のお金を投げてよこして、身をくねらして、サンゴのあいだを泳ぎさりまし にゆうじようけん 、ました。「入場券のことは、心配しないでい 「おかしな、タラじいさんだ ! 」と、マスかいも らいひん いんだよ。きみたちは来賓だから、ただで、はいれるのさ。」 おどろ もまだかって、来賓など ジェインとマイケル ~ よ、驚いて、顔をみあわせました。ふたりは、、 になったことがないので、たいへん、得意で、えらくなったような気分がしました。 「だれがただではいるんだと ? しりたいもんだ ! おれが、この大洋で目を光らせている 限り、だれも、ただでいれはせんぞ。そうなると、でるほうもだめだ ! 」のこぎりのきしるよ うな声が、きこえました。 ジェインとマイケルが、くるっと、ふりむきました。二つの目が、じっと、こっちを見ても て、毛のはえた、ものほしそうな腕が、四方八方にのびていました。それは、タコでした。 、、ました。「ぼ、つやは、 「うむ、うまそうだ ! 」と、タコが、よこめでマイケルをみながらもも こ 0 うで らいひん 238

3. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

す。ォルゴ 1 ルが一つ、お巡りさんが石のように落ちてきたので、いきなり、にぎやかな歌を うたいだしました。 と、うたっています。 じゅんさ まわ 「助けてくれ ! 助けてくれ ! わたしですーー巡査三十二番が呼んでおります ! 」お巡り さんは、やにわに呼子をつかんで、やかましく吹きならしました。 まわ 「お巡り ! 」と、クランプさんがどなりました。「することはしておくれ、でないと、あんた お うった も訴えるよ。降りて、この女をつかまえなさい ! 」そういって、太い指を、メアリ 1 ・ポビンズ つぎだ てつごうし に突出しました。「おまえさんを、鉄格子んなかへぶちこんでやる。おまえをーー・あれまあ ! わたしをまわすのは、やめとくれ ! 」怒ったのと、驚いたので、クランプさんの両眼が、大き きみよう くひらきました。というのは、奇妙なことが起こっていたからです。 クランプおばさんが、立っていたその場で、ゆっくりとまわりはじめたのです。ォルゴ 1 ル 〈ディジ 1 一アイジ 1 いとしいあまりに、心が乱れる ! 〉 よびこ どうか返事をしておくれ ! みだ おどろ よ りようがん

4. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ひつよう しておく必要がありましよう。 この本には、ほかの読みものや、童謡などのなかの人物や動物が、いろいろと出てきます。 しよう しよう めうし 第三章の、コール王やネコ、牝牛、ガチョウ、カエル、また、第七章では、ロビンソン・クル ーソーや眠り姫をはじめ、ハン。フティ・ダンプティ、赤ずきんとオオカミ、三匹のめくらのネ ズミなど、とくにたくさん出てきます。皆さんの知っているものもありましようし、いちいち 注をつけることはしませんでしたが、いずれも、イギリスの子どもたちに親しまれている童話 どうよう どうようしゅう や童謡、とくに、「マザー・グース童謡集」 ( other Goose Nursery Rhymes) のなかにあるもの が多いのです。いろいろ広く読んでいるうちに田 5 いあたることもあると思いますが、そういう ことが、また、本を読むことを、ひとしお楽しいものにしてくれるのです。 イギリスのお金のことも、すこし説明しておきましよう。 一ポンドが二〇シリングで、一シ いじよう もいます。日 リングが一二ペンスです。二つ以上のときはペンスですが、一つだと一ペニ 1 と、 本のお金になおすと、一ポンドが千円ぐらいですから、一シリングが五〇円、一ペニーが約四 たんい 円です。ほかに、クラウンという単位もあって、これは五シリングですから二五〇円、半クラ ぎんか げんざい ウンの銀貨が二シリング半で一二五円ぐらいになるわけです。本のなかの物の値段は、現在よ ちが り物価の安かった時代ですから、今とはかなり違っています。なお、原本に出てくる重さや長 ぶつか ねむひめ せつめい どうよ ) みな した ねだん びき どうわ やく 367

5. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

いってるじゃない ! 」 サケが、びつくりしました。「ほかに、どこへいくんです ? 」と、問いかえしました。「下へ くわ くだもの いくなんて、思いもよらないでしようが ! あれが、えさです ! 」と、つけ加えて、果物入り ふくろ くつかあるのを指さしました。 の。ハイのつまった、防水の袋が、い 「でも なにを釣るの ? 」と、マイケルが、かすれた声で、ささやきました。 「ああ、人間です、だいたいは。」と、サケが答えました。「イチゴの。ハイで、たいがい、だ れでも釣れます。もう、大分、釣ったのがありますよ。ばたばた、びくびく、もがいてるのを 見てやりましよう ! 」 ひっくりし サケは、しつほのさきを振って、近くのほらあなを指しました。子どもたちは、。 て、息をのみました。そこには、こ、 オもへん怒って、ふきげんそうな顏をした入間が、ひとかた なつぼうし まりになって立っていたのです。黒い色眼鏡をかけて、夏帽子をかぶった男たちが、こぶしを ふるって、じだんだふんでいます。三人の年とった女の人が、こうもりがさを、ふりまわして わか いて、ひとり、ゴムぐっをはいた若いのが、絶望のあまり、手をよじっていました。そのそば あみ ェビ取り網を手にした子どもがふたり、やるせなさそうに立っていました。 「いかがです、お気にいりましたかな ? 」と、サケが、みんなをからかいました。「まことに、 っ っ っ いろめがね っぽう 248

6. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

はか 「あなたがたを計るためです。」メアリ 1 ・ポピンズが、すぐ返事しま した。「どんなにそだったかみるためです。」 ひつよう 「そんな必要ないよ。」と、マイケルが教えました。「みんな、五センチのびたんだ。。 ( ノか はか 計ってくれたのさ。」 「まっすぐに、立ってください ! 」メアリ 1 ・ポビンズは、マイケルのいったことには耳も かさずに、おだやかにいい ました。そして、マイケルの頭から足もとまではかって、大きく鼻 をならしました。 「やつばり、思った通り ! 」と、声を荒くしていいました。「あなたは、ますますわるくそ しまいました。そして、外とうをぬいで、扉のうしろの洋服かけにかけま かがみ すがた した。それから、子ども部屋の鏡にうつったじぶんの姿にちらっと目をや って、かがんで、じゅうたん製のバッグをあけました。 バッグは、ぜんぜんからっぽで、ただ、巻尺が一本はいっているだけで した。 「それ、なにするの、メアリ 1 ・ポビンズ ? 」と、ジェインがききまし あら べや まきじゃく とびら

7. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ジェインは、うなずきました。このステッキが、ふしぎなことをしたのを知っているのです から、マイケルのい、つことはもっともだと思いました。 そこで、メアリ 1 ・ポビンズが部屋を出ていってから長いこと、ふたりは目を覚まして、じ っと、すみをみていました。四つの、おほろげな姿は、きちんとととのったキャンプ用べッド のそばで、じっと、だまって、立っていました。 こ、つ ? 」と、マイケルがききました。「フロ ッシーおばさんのところまで 「あした、どこへい 乗ってって、どう思ったか、きいてみたいな。」そういうと、あくびをして、右の目をとじまし た。片目でも同じように見える、と思ったのです。そうすれば、もう一方は、休んでいられま す。 「ティンバクトーっていうところ、いって見たいわ。」と、ジェインがいも はつおん きれいな発音の名前なんですもん。」 長い間がありました。 マイケル ? 」 「いい考えだと思わない、 しかし、マイケルは返事をしませんでした。もう一つの目も、とじていたのですーーほんの ちょっとの間、と思って。そして、そのちょっとの間に、ねむりにおちていました。 かため すがた 、ました。「とても、 220

8. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

かげ 「うちの娘らのことだよ ! 」細い、キイキイいう声がきこえて、影のほうから、人影があら われました。「お長くって、お広くって、おみ大きくって、おおばかでーーーのっぽの、いばりや のキリンたちさ。」 すると、コリーおばさんが、三ペンス銅貨のびっしりついた服をきて、道に立っていました。 なげ きよじん うしろから、嘆き悲しむ巨人の一組のように、ファニーとアニ 1 が、ゆるゆると歩いてきま した。 かなき 「さあて、また会えたね ! 」と、コリー おばさんは、金切り声でいって、驚いて目をまるく している子どもたちに、につと笑顏をむけました。「フ 1 ム ! ずいぶん大きくなったじゃな ひつよう いか、メアリ 1 ・ポビンズ ! なるほど、そう長いこと、あんたが必要じゃないわけだ ! 」 こうぎ メアリ 1 ・ポビンズが、賛成してうなずいたとき、マイケルは、抗議するように叫んで、メ アリー・ポビンズのそばにとんでいきました。 ひつよう 「いつまでも、必要なんです つまでだって ! 」マイケルは、そう叫んで、メアリー・ ほね ポビンズの腰に、しがみつきました。きつく抱きしめたので、強くて、かたい骨がわかるほど でした。 メアリー・ポビンズは、怒ったヒョウのような目で、マイケルをにらみました。 むすめ こし おこ さんせい えがお どうか さけ おどろ さけ ひとかげ 333

9. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

「わしの、三つ目の願いか ! 」そう、ゆううっそうにいうと、お皿を子どもたちにわたしま まだ、四つあるというもんだ。だが、今度こそ、気をつけないとい した。「まあ、仕方がない。 かん ! 」 とこのフレッド、ヾ ノタつきの。ハンにしても 「どうせ願いごとのむだづかいをするのなら、い らいたかったわ。子どもたちの晩ごはんがだいなしじゃない ! 」と、メアリー・ポピンズが こごとをいいました。 ジ = インとマイケルは、大いそぎで、ス。フーンでモモをはこびました。トイグリ 1 さんが ねが またなくしてしまう願いをかけるいとまがないようにと思ったのです。 「さあ、」と、メアリー・ポビンズは、最後の一口がなくなったのを見とどけて、い、 「トイグリ 1 おじさんに、ありがとうをおっしゃい、そして、家へ帰りましよう。」 どうして、きたばかりじゃないか ! 」トイグリーさん 「いや、それはいかん、メアリー ! は、ぎよっとして、このときばかりは、立ったまま身動きもしませんでした。 リー・ポビンズ ! 」ジェインとマイケルが、たのみ 「ねえ、も、つすこしいましようよ、メア ました。願いごとを残したまま、トイグリ 1 さんを、ひとりほっちでおいていくと思うと、た まらなかったのです。 ねが ねが のこ ねが ばん さら しました。

10. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ん ってきました。 子どもたちは、窓のしきいにもたれたまま、しばらく、じっとだまっていました。 やがて、マイケルが、ロを開きました。 「やつばり、とっとけなかったね。」と、悲しそうに、つぶやきました。 「とっとかせる気はなかったのよ。」と、ジェインはいって、じっと、からっぽの空を見つめ ていました。 ふたりは、いっしょに窓をはなれました。月の青い光が、部屋のなかに流れこんできました。 しんだい そして、水のように、床にひろがりました。子どもたちの寝台をわたって、さらに、すみのべ ッドまで、のびていきました。そして、明るく、くつきりと青く、メアリー・ポビンズのうえ に、、つばいに輝きました。メアリー・ポビンズは、目を覚ましませんでした。けれども、人 しれぬ、楽しそうな、ほほえみを浮かべていました。それは、深い深い夢のなかでさえも、完 まんぞく 全にじぶんに満足していることをしめしているようでした。 びしよう ふたりは、そのそばに立って、息をひそめて、そのふしぎな微笑を見まもっていました。そ れから、おたかもー 、こ顔を見あわせて、賢そうにうなずきました。 「しってたんだね。」と、マイケルがささやくようにい、 もました。ジェインも、まをころし たの かがや まど まど かしこ 226