答え - みる会図書館


検索対象: とびらをあけるメアリー・ポピンズ
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1. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

そうりだいじん 「わたくしが、つねづね思っておりますのは、」と、総理大臣は、おずおずとつぶやきました。 と 「空の高さは、ワシの飛びますより、ほんのちょっとばかり上なのではないかということでご ぞん ざいます。わたくしは老人で、もちろん、まちがっているとは存じますがーーー」 ネコが、さとうのように白い両手をうちあわせました。 みと 「いや、いや、あなたのいうとおりです。」と、おだやかに認めました。 あら 王さまは、腹立たしそうに、荒い鼻音をたてました。 くだらんたわごとだ ! 」 「ばかばかしい しつもん かたて ネコは、片手をあげて、しずかにさせました。「どうか、二つ目の質問にお答えください ! 、ちばんおいしいミルクは、どこにありましよ、つか ? 」 じしん 王さまの顔が、ばっと明るくなって、自信ありげに、 かんたん 「いろはをいうくらい簡単じゃ。」と、王さまカ もました。「答えは、もち ろん、サルジニアじゃ。彼の地では、ウシはハチミッとバラの花で育っておる。そのチチは、 あま しよとう ( 4 ) 黄金のシロップのように甘いのじゃ。あるいは、エレガント諸島といってもよかろう。もつば あま ら、サトウキビを食べておるのじゃ。でなければ、ギリシャであろう。アメのように甘いアプ そだ ラナで育っておる。これらを考慮にいれるなればーー」 おうごん はらだ ろうじん こうりよ 、、ゝ、まこらしヂ・こ、、 につこりしました。 そだ 116

2. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

がやいいながら、ころがってくるウニの一団を、指しました。「タイの先生 ! 生徒に目をくば っていただきたい ! この大洋も、まさに、そうぞうしいクマのおりに、なりさがっておる ! 」 「ええ、なんだって ? 」本に鼻をつつこんだ魚が、ふわふわ浮いてきて、うわの空でききま した。「そら、ウインクルと、トインクル ! おまえもだ、スパイキー おとなしくして さもないと、 ーティーにいかせないぞ ! 」 ゥニの生徒たちは、おたがいに、顔を見あわせて、にやっとしました。そして、なにくわぬ 顔をして、タイの先生といっしょに、しずしずと、、冰いでいきました。 「さあ、来ました ! 」サケは、楽しげにいうと、サンゴのはえしげる角をまわって、子ども みちび たちを導きました。 大きな、ひらたい岩のうえに、魚が一列になって座っていて、みんな、まじめくさって、じ つりざお っと、上をみつめていました。めいめい、ひれに釣竿をにぎって、水のなかを上に走っている ねっしん 糸を、熱心に見まもっているのです。 れんちゅ , 「釣アンコウの連中です。」と、サケがいってくれました。「しずかに、ロをきいてくださ さわがれるのをきらいますから。」 おどろ ようす 「だけどーー」ジ = インは、たいへん驚いた様子で、声をひそめていいました。「糸が、上へ つり だん 247

3. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

も力もすこし真剣にやってもらわねばならん。」 考えている答えではない。、、ゝ、 しつもん 、ました。「わたくしの答えは、質問にはび 「王さまのお考えはお考えです。」と、ネコがい ったりです。どんなネコでも、そうもうしましよう。」 王さまは、怒って舌打ちしました。 ちやばんげき まさに、茶番劇じゃ ! ざれご 「このばかさわぎは、じようだんなどというものではない。 しつもん 答えてみるがよい。」 とのこねまわしにすぎん。よろしい、第三の質問といこう 王さまが顔にうかべた微笑をみれば、こんどこそ、ネコを思うつばにはめてやれるものと思 っているのが、わかります。 、、、だしました。 王さまは、もったいぶって片手をあげると はたら 「かりに十二人の男がおって、一日八時間働いて、二十キロの深さの穴を掘るとするーーーみ シャベルをおくまでには、日曜日をいれて、どれほどかかるか ? 」 王さまの目が、きらきらと、わるがしこく光りました。勝ちほこったような顔つきで、じっ とネコをみつめています。しかし、ネコの答えはできていました。 びよう 「二秒。」ネコは、すぐ答えて、しっぽのさきを、軽くびしっと振りました。 くる びよう コ一秒だと ! 気でも狂うたか ? 答えは、何年ということじゃぞ ! 」王さまは、ネコがま おこ したう びしよう かたて しんけん 113

4. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

せんでした。だれもかれも、王さまの考えごとに手をかすのに、大いそがしだったからです。 いつなんどき命令がきて、仕事そっちのけで、王さまのご用にとびたさなければならないか、 わからなかったのです。カイコの数をかぞえに中国へ、ということもあるかもしれません。あ ぐんとう おさ るいは、ソロモン群島はシバの女王によって治められていたかどうかを調べることもあったで しよう。事実を集めて帰ってくると、王さまと廷臣たちは、それを、革表紙の大きな本に書き こみました。もし、答えをもたずにもどってくるようなものがいると、直ちに首をはねられる のでした。 きゅうでん ぎよくざ 宮殿のなかで、なにもしないでいるのは、お妃さまだけでした。一日じゅう、玉座について くびかざ おどろ いて、首にまいた青と緑の花の首飾りをいじっていました。時々、アッと驚いては立ちあがっ きゅうでん て、テンの毛皮でつくった白いマントのすそを引きよせました。それは宮殿のよごれがひどく なるにしたがって、ネズミがはびこってきたからなのです。そして、ネズミというものは、だ れにきいてもわかるように、どんなお妃だってがまんのならないものなのです。 ぎよくざ ! 」と、玉座のうえでとびあがって、息をつめて、 いうのでした。 きさきさけ そして、お妃が叫び声をあげるたんびに、王さまは、まゆをひそめました。 「しずかにせんか ! 」と、王さまは、気むずかしい声でいうのです。どんな、ちいさな音で きさき きさき ていしん かわびようし ただ 100

5. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

いただき ると、それは一つの高さじゃ。山の頂からでは、また別の高さとなる。このところを頭におい こうど さだ わす きあっ しんど どけいど て、つぎに、緯度、経度、振度、光度、頻度を定めねばならん。忘れてはならんのは、気圧、 んばん ちゅうのげい とうけい 気うつ、統計に、宙乗り芸、さらに全般としての、沈みかた、ひびきかた、感じかた、いいか たをまとめーーー」 「失礼ですが、」と、ネコがさえぎりました。「それでは答えになりません。もいちど、お願 いします、空の高さは ? 」 ままで、だれひとり、王さまの 王さまは、りと驚きで、目の玉がとびでるようでした。い ことばをさえぎるようなことはなかったのです。 よろしい、もち 「それはな、」と、王さまがわめきました。「うむーーその、ーーそれは ろん何メートルというような答えはできん。だれにも、できはせんのだ。おそらく、それは せいか ~ 、 、ました。そして、王さまから、あっ 「正確な答えが、いただきたいのです。」と、ネコがいし けにとられてならんでいる廷臣たちのほうへ目をうっしました。「だれか、この、学問の広間 で、わたくしの問いに答えるものはおりませんか ? 」 おずおずと、王さまのほうをみながら、総理大臣が、ふるえる手をあげました。 しつれい と おどろ ていしん ひんど そうりだいじん しず 0 ねが 115

6. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

、ました。「ただ、わたくし 「なにも考慮にいれるわけには、まいりません、」と、ネコがいも しつもん の質問にお答えいただいていないという事実をのぞきましては。いちばん、おいしいミルクは、 どこにありましよ、つか、王さまよ ? 」 ぞん 「わたくしめが存じております ! 」インクつばを半分ほど満たした手をとめて、ちいさな小 さら しようさけ 姓が叫びました。「暖炉のわきのお皿のなかです。」 ネコは、その子に、そうだというようにうなずいて、王さまの目の前で、あくびをしました。 もいかたをしました。 「たいへん賢いお方と考えておりました ! 」と、ネコが、ひとのわる、 そうめい 「なるほど、数ある王のなかでも、この上なく聡明な方でおられるのでしようーーですが、ほ かの人が、わたくしの問いに答えております。だが、お腹立ちはいけませんーー」それは、王 こしよう さまが、苦い顔をして小姓をにらんだからです。「まだ、も一つ、勝っ機会をおもちです。第三 しつもん の質問をもうしましよう。この世で、いちばん強いものは、なんでしようか ? 」 かくしん 王さまの目が、きらりと光りました。こんどこそは、正しい答えができると確信しました。 さらに、ウマや 、ました。「トラはたいへん強い。 「トラじゃ。」と、王さまは考えぶかくしし がんみやく ライオンもそうじゃ。それから、もちろん、海の満ち干もある。山をつらぬくみかげ石の岩脈 ひょうげん なんぼくりようきよく もそうじゃ。火山もまた、・大いなる力強さをもっておるし、南北両極の雪をいただく氷原もそ こうりよ かしこ だんろ はらだ み こ 117

7. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

ばんりちょうじよ , 、つじゃ。さ、りこ、、 もうなれば、中国における、万里の長城も、またあるいは , ーー」 「またあるいは、そうでないかもしれません ! 」と、ネコが口をはさみました。「だれか、い ゝ、、ってくれますか ? 」 ちばん強いものはなに力も かいぎしつ きさき ネコは、ふたたび、会議室をぐるっと、見まわしました。こんど、ロを開いたのは、お妃さ までした。 きさき にんたい 「わたくしが思いますのは、」と、お妃が、おだやかにいい ました。「それは、忍耐にちがい にんたい ありません。なぜともうしますに、忍耐というものは、長い間には、すべてのものに打ち勝ち ましよ、つから。」 緑色のネコの目が、しばらくの間、お妃のうえに、じっとおごそかにそそがれました。 「まことに、その通りです。」と、ネコは、しずかにいい ました。そして、ふりむいて、王冠 かたあし のうえに、片足をのせました。 そうめい 「おお、もっとも聡明なる王よ ! 」と、ネコが叫びました。「うたがいもなく、王はこのうえ ない学者であり、わたくしは、ごくありふれたネコにすぎません。ですが、わたくしは、王さ しつもん まの質問に、三つことごとく答えましたのに、王さまは、わたくしの問いに、 一つもお答えが ぞん おうかん ない。勝ち負けは、あきらかと存じます。王冠は、わたくしがいただきます。」 きさき さけ と おうかん 118

8. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

、、こ、きましよ、つ ! 」 ころへも ひぎ ラークおばさんは、二匹の犬をしたがえて、大さわぎで行ってしまいました。ウイロビーは、 とことこ歩一きながら、イルカにむかって、ぶさほ、つにウインクをしました。 「それから、きものをきるようにいってちょうだい ! あれで、かけまわってたら、日焼け をします ! 」ラークおばさんが、いそぎ足で遠ざかりながら、きいきい声でいいました。 ネリウスは、ふきだして、草のうえに、ころがりました。 わら 、、いました。「ねえ、メアリー・ポビン 「日焼けだって ! 」と、ネリウスが、笑いにむせて ズ、だれも、ばく大理石でできてるって思わないのかしら ? 」 あら 「ふふん ! 」と、メアリ 1 ・ポビンズは、鼻息を荒らげて、答えました。ネリウスが、もた えがお ずらつぼい笑顔をむけました。 ゞ、、ました。「あいつらは、岩のうえに、 「アシカのいうとおりいってら ! 」と、ネリウスカも すわってて、夕日にむかって、〈ふふん ! 〉っていうよ ! 」 「そうですかね ? 」と、メアリー・ポビンズかかみつくように、、いました。ジェインと つぎかなら マイケルは、ふるえあがって、次に必ずやってくるものを待っていました。ところが、何ごと おう も起こりませんでした。メアリ 1 ・ポピンズは、いたずらっ気に応ずるような顔つきをしてい け 165

9. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

・ミ、、ミ .0 ミ・受き ー、 1 ・第学・ネ亠いー , 気れハを ( ( 。毳をにドを第 ' 4 」ー い。たえて久しく、水のうえの世界 むか から、客を迎えることがなかった。 しかも、あなたの第二木曜日が、わ たかしお れわれの高潮と重なることも、長い ことなかった。それゆえ、海の深み かんげい に生きるものの名において、歓迎の 」そして、 意を表そう、メアリ 1 ! まばたきをして、ちいさな、しわの よったひれを、差しのべました。 メアリー・ポビンズは、その手を とって、うやうやしく、おじぎをし ました。それから、青磁色の目が、 びしよう 黒い目に見入って、ふしぎな微笑が、 そのあいだにかわされました。どち らの目も、もう一方に対して、なん ひさ せいじいろ 257

10. とびらをあけるメアリー・ポピンズ

イ ' 0 身をくねらしたり、ひどくぶしつけに、にやにやしたりしまし 「ロ答えは、おやめ ! 魚は、さびしいなんてことありませ ん ! つまらない、いいのがれです。」ラ 1 クおばさんは、緑色 のべンチのほうへ、怒った身振りでふりむきました。 「メアリ 1 ・ポビンズ、あなたは、」と、ラ 1 クおばさんがい いました。「子どもたちのこと、気をつけているんでしよう ! このあくたれっ子に、だれなんだかしりませんが、魚をもとの ところへ、はなさせなけりやいけないでしよう ! 」 メアリー・ポビンズは、ラークおばさんを、にらみつけまし た。「ちょっとむずかしいと思います、おくさま。たいへん遠 くへいかなければ、ならないでしよう。」 「遠い、近い は問題じゃありません。たったいま、はな どうぶつぎやくたい してやらなきゃいけません。動物虐待ですから、許せません。 ュ ウ . イロビ アンドリ おいで ! すぐ、市長さんのと ゆる 164