て、たいへんいそいでおったもので、つい、さきを見なんだのですわ。いかれますかな ? あ れを見のがす手はありませんぞーーー」 「はあ、」と、ジ = インは、ていねいにいいました。「おともしていいかしら。」ジ = インは、 すこししんばいでしたが、ライオンは、けっこうしんせっそうでした。「どっちみち、」と、ジ ェインは考えました。「こんやは、なんでも、さかさまなんだから。」 ささか、もったいぶった調子でいうと、ジ = インに腕 ですとも ! 」ライオンは、、 をさしのべました。ジ = インは、その手をとりましたが、あぶないといけないと思って、マイ よ、まるまるとふとった子どもなんだし、 ケルは、じぶんのそばにおいておきました。マイケル ~ それに、なんといっても、とジ = インは考えました、ライオンはライオンなんだから 「どうです、わたしのたてがみは ? りつばに見えますかな ? 」と、ライオンは、歩きはじ めると、ききました。「この日にそなえて、とくべつに、カールをたのんだんですがな。」 ジ = インは、見つめました。なるほど、ねんいりに油をつけてくしけずったたてがみは、、 くつもの巻き毛になって、ふさふさとたれていました。 ライオンが、そんなこと気にか 1 「とても、りつば。」と、ジェインはい、 ました。「でも けるなんて、なんだか、おかしくないかしら ? わたし、きっとーーー」 うで
ひやくじゅう おじようさん。ごしようちと思うがライオンは、百獣の王 「なんですって ! かわいい わす ですぞ。王は王としての地位を、忘れてはならんのです。それは、わたし自身としても、めつ わす たなこっては忘れませんがな。わたしの考えでは、ライオンは、いつ、いかなるところにおい ても、もっともよく見えるように、いがけておかねばならんのです。こちらへどうぞ。」 そういいながら、ライオンは、しずかに前足をあげて、トラやヒョウのおりのある建物のほ あんない うを指さすと、ふたりを案内して人り口をはいりました。 ジェインとマイケルは、目のまえのながめを見て、息をとめました。そのひろい場所は、動 ばう 物でいつばいでした。おりのまえにある、長いてすりの棒によりかかっているのもいれば、お ざせぎ だんだん りとむかいあって、段々になっている座席にのっているものもいました。アメリカ・ライオン リネズミや、フクログマや、ヤギ にヒョウ、オオカミ、トラ、カモシカ、そして、サルや、ハ む やキリン、また、カモメとハゲタカだけでひとかたまりになった鳥の群れなどが、見えました。 ました。「むか 「どうです。すばらしいでしよ、つが ! 」と、ライオンが、とくいそうに、、 し、ジャングルにいたころのような、たのしい気ぶんですな。ですが、あっちへいきましよう いい場所をとらなけりゃならん。」 ライオンは、動物たちのあいだをおしわけて、「さあ、どいた、どいた ! 」と たてもの 212
「ええー・ーだって、あの、ライオンと鳥とか、 トラと、小さなけだものとかーーー」 キング・コプラが、さきをいってくれました。「あなたの考えは、つまり、おたが てき ともと敵どうしではないか、ライオンが鳥を見れば、たべずにはいられないし、トラがウサギ いうことなのですね ? 」 に会えば ジェインは、顔をあからめて、うなずきました。 たんじようび 「ああーーーあなたのいうとおりなのでしよう。そういうこともあります。しかし、誕生日に ヒョウにむかって、つばさをさしだしました。 ジェインとマイケルは、踊りを見まもっていました。キング・コプラは、ふたりのあいだで、 ひそやかに、じっとしていました。ちょうど、さっき会ったライオンが踊りながら通っていっ て、身をかがめて、プラジル・キジのつばさを手にとったところでした。ジェインは、、いにあ ったことを、えんりよがちにロにだしてみました。 「どうなんでしよう、コプラの王さまーーー」いかけてはみたものの、そこまでいうと、ま いいのかわるいのか、わからなくなってしまいました。 ごっいてしまって、 ゞ、、ました。「なにが、どうなのか 「いってごらん、お子さん ! 」と、キング・コプラカ p おど おど 231
、まし 「迷子です。」と、ライオンがい た。「というより、とりのこされですな。 あの人たちは、ぐずぐずしていて、門がし まったとき、なかにとりのこされたとい、つ わけです。どこかへおいとかなけりゃなり ませんし、けつきよく、ここへいれておく んですわ。あれは、あぶないですよーーあ 。・ ~ すこのは ! つい、さ「き、あぶなく、番 人をひとり、やつつけるところでしたよ。 近よっちゃいけませんよ ! 」そうい「て、 ライオンは、プーム提督を指さしました。 「あとへさがってください、あとへー おさないでください ! 道をあけてくださ い ! 」ジ = インとマイケルは、大声で、こ う、くちぐちにさけぶ声を耳にしました。 ていとく 215
やがて、番人たちが、おりにそって歩いていったと思うと、たいへんなさわぎがきこえてき ました。 やぎにく 「なんちゅう、べらばうな これが、めしか ? ちつぼけな、けちくさい焼肉に、キャベ ツの一つ二つ ! なんだ ヨークシャ・プディングはないのか ? 焼肉にやっきものだぞー けしからんー いかりをあげろ ! どこだ、おれのブドウ酒は ? ブドウ酒だぞ ! はやく、 ていとく よこせ ! 下のもの、提督のブドウ酒は、どこだ ? 」 あ ですか、あれはあぶない あっちのは。」と、 「おききなさい ! 荒れもようですな。いい 、ました。 ライオンかい ひつよう ジェインとマイケルは、だれのことだか、きく必要はありませんでした。ブーム提督のこと ばづかいは、知りすぎるほど知っていましたから。 たてもの 「さて、」ライオンは、建物のなかのさわぎが、すこししずまってきたのを見てとって、 いました。「そろそろ、おしまいのようですな。それに、ごめんこうむって、わたしはいゝに ゃなりません。あとで、また、くさり輪おどりのとき、お目にかかりましよう。気をつけてみ あんない つけますよ。」そういうと、ふたりを出口のほうへ案内して、わかれをつげると、あとずさり して、去ってゆきました。カールしたたてがみが、ふさふさとゆれて、金色のからだが、月の やきにく ていとく 217
いんだぞ。え ? なに ? なんだって ? 」 オットセイの、この最後のことばは、ちょうど水から浮かびあがって、耳に口をよせてなに かささやいた、もう一びきのオットセイにむかっていったことばです。 、ました。「きこえないよ ! 」 「だれだって ? 」と、はじめのオットセイがい 二ばんめのオットセイが、また、ロをよせていいました。ジ = インには、「お客さん , ーー友 だちさ、あの 」ということばがききとれましたが、それだけでした。はじめのオットセイ は、がっかりしたようでしたが、それでも、ジ = インとマイケルにむかって、せいぜい、あい そよく、 もいました。 「これは、、、 よくいらっしゃいました。すみません。」そういうと、オットセ こめんなさい。 あくしゅ イは、ひれをのばして、しなやかな手で、ふたりと握手をしました。 「おっと、さきが見えないのか ? 」と、オットセイが声をあげました。なにか、ジ ぶつかったものがあります。ジ = インが、いそいでふりむくと、すばらしく大きなライオンが いたので、どきっとしました。ライオンは、ジェインを見て、目を輝かせました。 「あ、これはこれはーーー」と、ロをきりました。「あなたとはぞんじませんで ! こんばん、ばかにこみあっておりますし、わたしも、人間にえさをやるのを見にゆこうと思っ かがや 210
「さあ、 いよいよ、えさをやりますよ ! 」ライオンは、こうふんして、みんなのほうへ、 身をのりだしました。「番人がきましたよ。」 ぐるま ばうし めいめい、とがった帽子をかぶった、四びきの茶色いクマが、たべものをのせた手押し車を おして、動物たちとおりのあいだの、せまい通路を、やってきました。 「ほら、そこどいた ! 」だれかが道をふさぐと、そういって声をかけました。それから、ク たべも マたちは、それぞれのおりについた小さな戸口をひらいて、大きなフォークのさきに、 のをつけてさしだしました。 ジェインとマイケルは、アメリカ・ライオンと山大のあいだから、つぎつぎにおこることが、 、、ぎゅうにゆう とてもよく見えました。子どもらのおりに牛乳びんがいれられると、赤んばうたちは、小さな むね 手でそっととって、だいじそうに胸にかかえこみました。もっと大きい子どもたちは、カステ ラやドウナツを、フォ 1 クからひったくるよ、つにしてとると、ガッガッたべはじめました。ヾ タをつけた。ハンと、黒っぽい菓子。ハンをおさらへのせて、オーヴァシ 1 ズをはいた女の人た ちに、いれてやりました。そして、シルクハットの紳士たちは、ヒッジの肉のカツレッと、コ ップにはいったプディングをもらいました。紳士たちは、たべものをもらうと、すみのほうへ もっていって、しまズボンにハンカチをかけて、たべはじめました。 しんし しんし 216
んとにそう ? じゃ、ライオンが、たてがみをちぢらせてたのおばえてる ? オットセイが わたしたちに 、いったんだろ ? 」と、マイケルが、いいました。 「とびこんで、ミカンの皮をとれって 「もちろん、おばえてるさ ! それから、おりのなかに赤んばうがいて、ペンギンは、調子の あったことばがみつからなくて、それから、キング・コプラがーーー」 「それじゃ、ぜったいに、夢だなんてはずないわ。」と、ジェインがいきおいこんで、 ました。「ほんとにあったことに、ちがいないわ。だけど、もし、ほんとだったらーーー」ジェ ぎゅうにゆう インは、牛乳をわかしているメアリー・ポピンズのほうを、ふしぎそうなおももちで、見まし ゞ、、ました。「マイケルとわたしが、おなじ夢、見るこ 「メアリー・ポピンズ」ジェインカ とある ? 」 「あなたがたの夢 ! 」メアリー・ ポピンズは、鼻をクスンといわせました。「オートミーレ をおあがりなさい。でないと、 ハタ・トーストをあげませんよ。」 それでも、ジェインは、たじろぎませんでした。ぜひとも、知らなければなりません。 「メアリー・ ポピンズ。」ジェインは、メアリー・ポピンズに、じっと目をすえて こ 0 ゅめ はな ゅめ 235
ライオンや、ビーヴァ、ラクダ、クマ、ツル、カモシカ、そのほか、たくさんの動物が、みん なまるい輪になって、メアリー・ポピンズのまわりにぐるっと立っているのが、見えてきまし た。すると、すぐ、動物たちが動きだしました。あらあらしいさけびでジャングルの歌をうた わ いながら、すすむにつれて、輪のうちそとへ踊りだしたり、おオカ。 こゞ、こ、手やつばさをとりカ わ えたり、ちょ、つど、カドリー ルのくさり輪おどりを踊るときとそっくりでした。 細い、ビイピイいう声が、みんなの声のなかから、びときわ高くきこえてきました あなたは、わたしの、だいすきさん だいの、だいの、だいすきさん ! 〉 すると、子どもたちのそばへ、ペンギンが踊りながらやってくるのが見えました。みじかい つばさをふりふり、元気いつばいうたっています。ペンギンは、ふたりのいるのが目にはいる と、キング・コプラにおじぎをして、そして、声をはりあげて、い、 ました。 「できたんだよ いま、うたってたの、きいてた ? もちろん、かんぜんじゃないけどね。 〈だいすきさん〉ってのは、〈メアリーさん〉と、まったくおんなじ調子ってわけじゃないからね。 いのさ、 しのさ ! 」そして、ペンギンは、かた足で、ピョンピョンとんでゆくと、 〈おお、メアリー、 わ メアリーさん おど おど おど 229
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