「ええー・ーだって、あの、ライオンと鳥とか、 トラと、小さなけだものとかーーー」 キング・コプラが、さきをいってくれました。「あなたの考えは、つまり、おたが てき ともと敵どうしではないか、ライオンが鳥を見れば、たべずにはいられないし、トラがウサギ いうことなのですね ? 」 に会えば ジェインは、顔をあからめて、うなずきました。 たんじようび 「ああーーーあなたのいうとおりなのでしよう。そういうこともあります。しかし、誕生日に ヒョウにむかって、つばさをさしだしました。 ジェインとマイケルは、踊りを見まもっていました。キング・コプラは、ふたりのあいだで、 ひそやかに、じっとしていました。ちょうど、さっき会ったライオンが踊りながら通っていっ て、身をかがめて、プラジル・キジのつばさを手にとったところでした。ジェインは、、いにあ ったことを、えんりよがちにロにだしてみました。 「どうなんでしよう、コプラの王さまーーー」いかけてはみたものの、そこまでいうと、ま いいのかわるいのか、わからなくなってしまいました。 ごっいてしまって、 ゞ、、ました。「なにが、どうなのか 「いってごらん、お子さん ! 」と、キング・コプラカ p おど おど 231
とびら ジェインがへんじをするまえに、 コッコッといそがしそうに扉をたたく音がきこえました。 「おはいり ! 」と、ウィッグさんが声をかけました。 すると戸があいて、ミス・ ーシモンが、お湯のはいった水さしをお盆にのせて立っていま 、いいました。「きっと、もすこしお湯 「ウィッグさん、」と、部屋のなかを見まわしながら シモンは、 なんでしよう ! 」ミス がお入り用だと思いましてーーーまあ、とんでもない ! みんなが空中にあがって、テ 1 プルをかこんでいるのを見ていいました。「こんなことって、 ったい、見たことがありません。ぜったいに。生まれてこのかた、こんな、とんでもない、 ウィッグさん、たしかにわたしは、あなたがちょっとおかしいと、かねがね思っていましたよ。 、いただいてました だけど、これまで目をつぶっていたのですよーー部屋代をきちんきちんと からね。ですが、なんでしよう、これはーーーお客さまといっしょに、空中でお茶にするなんて ウィッグさん、まったく、あなたにはおどろきました ! ていさいもわるいし、それに、 ふんべつのある年をしてーーわたしなどは、、 ままでけっしてーーー」 「だけど、あなたもきっとしますよ、ミス 1 シモン ! 」と、マイケルがいいました。 シモンは、ツンとしていいました。 「しますよって、なにをです ? 」と、ミス・ ノ、ノ、 ぼん
っとアンドリーをよぶと、じぶんのポケットからビスケットをだしてやって、それをたべて かきね いるあいだに、アンドリ = ーのしつほを、ひもで垣根にゆわいつけてしまいました。そして、 ラークおばさんのいかりくるったさけび声をあとにして、逃げだしましたが、からだのなかの あの重いかたまりが、ムクムクふくれあがって、いまにも、はれっするかと思うようでした。 しよさい おとうさんの書斎の扉が、あいていましたー、ーそれは、ちょうどエレンが、本にはたきをか けおわったところだったからです。そこでマイケルは、いけないといわれていたことをしまし つくえ た。部屋にはいりこむと、おとうさんの机にすわって、おとうさんのペンで、吸取り紙のうえ にいたずらがきをはじめたのです。ふいに、 マイケルのひじがインクつばにあたって、ひっく つくえはね りかえしました。そして、イスも机も羽根ペンも、そしてマイケルの一ばん上等の洋服も、青 インクのしみがひろがって、すっかりよごれてしまいました。それは、ひどいありさまでした。 むね そしてマイケルは、どうなるかと思うと、おそろしさで胸がドキドキしました。しかし、それ でも、かまいませんでしたーーーすまないなどとは、つめのさきほども思いませんでした。 「あの子は、どこかわるいのでしよう。」と、 ンクス夫人はいいました。エレンがーーーす く部屋にもどって、そのありさまを見たのでーーーこの、たったいまのできごとをすっかり話し たのです。「マイケル、イチジク・シロップのお薬をあげます。」 とびら ふじん 114
んとにそう ? じゃ、ライオンが、たてがみをちぢらせてたのおばえてる ? オットセイが わたしたちに 、いったんだろ ? 」と、マイケルが、いいました。 「とびこんで、ミカンの皮をとれって 「もちろん、おばえてるさ ! それから、おりのなかに赤んばうがいて、ペンギンは、調子の あったことばがみつからなくて、それから、キング・コプラがーーー」 「それじゃ、ぜったいに、夢だなんてはずないわ。」と、ジェインがいきおいこんで、 ました。「ほんとにあったことに、ちがいないわ。だけど、もし、ほんとだったらーーー」ジェ ぎゅうにゆう インは、牛乳をわかしているメアリー・ポピンズのほうを、ふしぎそうなおももちで、見まし ゞ、、ました。「マイケルとわたしが、おなじ夢、見るこ 「メアリー・ポピンズ」ジェインカ とある ? 」 「あなたがたの夢 ! 」メアリー・ ポピンズは、鼻をクスンといわせました。「オートミーレ をおあがりなさい。でないと、 ハタ・トーストをあげませんよ。」 それでも、ジェインは、たじろぎませんでした。ぜひとも、知らなければなりません。 「メアリー・ ポピンズ。」ジェインは、メアリー・ポピンズに、じっと目をすえて こ 0 ゅめ はな ゅめ 235
、ました。 「ばくたちみたいに、笑いガスがうつりますよ。」と、マイケルがい わか かた シモンは、おうへ 、いい返しま 、に、首をうしろにそらせると、「お若い方。」と じそんしん した。「わたしには、自尊心がありますからね、棒のさきのゴムまりみたいに、空中をはねま わろうとは思いませんよ。おかげさまで、わたしはちゃんと、じぶんの足で立っています。で シモンじゃありません。それにーーーあらあら、まあ、 なければ、わたしの名は、エミー・ なんてまあーーーどうしたっていうんでしよう ? 歩けない、わたしは、わたしはーーおお、助 けて、たすけて ! 」 シモンは、いやがってもなにし ても、床をはなれて、よろめきながら空中を あがってきたのです。ひどく細いたるのよう に右左にゆれて、手でお盆がひっくりかえら ないようにおさえながら。そして、テープル のところまできて、お湯のはいった水さしを おろしたときには、どうにもこまって、泣き そうになっていました。 4 わら ぼん な
りようかた もっていました。それから、はんてんのある両肩をすくめました。 「まあ、そうさーーーわかってたのさ。いつも 、いってきかせてやってたんだから。でも、ほ んとにはしなかったけど。」ムクドリは、べッドのなかをのぞきこんだまま、しばらく、じっと、 だまっていました。それから、やがて、いきおいよく身をふるわせました。 えんとっ おおそうじ 「さあて、わたしもいかなきや。煙突のすみかへね。春の大掃除もあるし、とうぶん、いそ かた がしいからな。」ムクドリは、窓のしきいまで飛んでゆくと、肩ごしにふりかえって、ちょっ とためらいました。 ちょうしへん 「だけど、あの子らがいないと、調子が変だろうな。い のしみにして、おしゃべりの相手にきたもんだったよ わす そうだった。忘れられないな。」 ムクドリは、羽根で、すばやく目をこすりました。 ポピンズが、からかいました。 「泣いてるのね ? 」と、メアリー・ ムクドリは、しゃんとしました。 ええーーーーちょっとし 「泣いてるって ? とんでもない。ただ たかぜさ、旅行の帰りにびいてねーーそれだけさ。そう、かるいん な な ね まど つも、た ほんとに 199
マイケルは、どうなるのか、よく知っていました。ですが、ジェインにたずねたほうが のです。そのお話は、ジェインのおはこなのですから。 わす そこで、ジェインは、マイケルに話してきかせました。マイケルは、ジェインの忘れたとこ ろをすこしだけたしました。 「夜になって、みんなねるころーーー」と、ジェインがはじめました。 「そして、星が出てきて。」と、マイケルが、つけくわえました。 「ええ、だけど出なくってもよーー鳥はみんな、セント・ポール寺院の屋根からおりてきて、 地面の上を、すっかり、たんねんにしらべて 、。ハンくずがおちてないかよく見て、朝の用意に、 きちんとかたづけるの。そして、それがすむとーーー」 みずあ わす 「水浴びを忘れたよ。」 みすあ 「そうそうーーみんなは水浴びをして、つめで、羽根にくしをかけて、それがすむと、鳥の おばさんの頭のまわりを三回、飛びまわって、そしてとまるの。」 かた 「鳥のおばさんの肩にとまるの ? 」 ばうし 「ええ、それに帽子の上もよ。」 ふくろ 「えさの袋をいれたかごの上も ? 」 、、は 146
て、たいへんいそいでおったもので、つい、さきを見なんだのですわ。いかれますかな ? あ れを見のがす手はありませんぞーーー」 「はあ、」と、ジ = インは、ていねいにいいました。「おともしていいかしら。」ジ = インは、 すこししんばいでしたが、ライオンは、けっこうしんせっそうでした。「どっちみち、」と、ジ ェインは考えました。「こんやは、なんでも、さかさまなんだから。」 ささか、もったいぶった調子でいうと、ジ = インに腕 ですとも ! 」ライオンは、、 をさしのべました。ジ = インは、その手をとりましたが、あぶないといけないと思って、マイ よ、まるまるとふとった子どもなんだし、 ケルは、じぶんのそばにおいておきました。マイケル ~ それに、なんといっても、とジ = インは考えました、ライオンはライオンなんだから 「どうです、わたしのたてがみは ? りつばに見えますかな ? 」と、ライオンは、歩きはじ めると、ききました。「この日にそなえて、とくべつに、カールをたのんだんですがな。」 ジ = インは、見つめました。なるほど、ねんいりに油をつけてくしけずったたてがみは、、 くつもの巻き毛になって、ふさふさとたれていました。 ライオンが、そんなこと気にか 1 「とても、りつば。」と、ジェインはい、 ました。「でも けるなんて、なんだか、おかしくないかしら ? わたし、きっとーーー」 うで
ふいに、戸があいて、 ンクスさんのおくさんがはいってきました。 「子どもの声がきこえたようだったけど。」と、おかあさんがい 、ました。そして、ふたご のほうへ走りよりました。「どうしたの、ベビちゃん ? おお、わたしのたから、わたしのか わいい子、わたしのちびちゃん、どうかしたの ? どうして、そんなに泣いてるんです、メア 丿ー・ポピンズ、午後ずっと、あんなにおとなしかったのに ーー声一つたてないでいて。 また、どうして ? 」 「はい、おくさま。 え、べつに。歯がはえかかっているようですが。」と、メアリ ピンズは、、 しましたが、ムクドリのほうは、わざと見ないようにしていました。 「ああ、そうでしようねーーーきっと、そのせいね。」と、おかあさんは、あかるく、 わす 「大すきなものを、みんな忘れなきゃならないんなら、歯なんて、ばく な ジョンは、泣きながらいって、べッドのなかで、身をよじりました。 な 「わたしだって。」と、 ハラも、泣き声をたてて、まくらに顔をうずめました。 「かわいそうに、かわいそうにーーーおいたの歯が、でてきてしまえば、すっかり、よくなり ますよ。」と、おかあさんは、二つのべッドのあいだをいったりきたりしながら、なだめるよ な 、いらないや。」と、 いまし 192
そうだん 「さあて、」と、ムクドリカ 、ました。「いろいろ顔を出す用向きがあってね。相談ごとや ら、討論会やら、もめごとや、取り引き話。そして、そういったことは、むろん、ある程度は そのーーおだやかな話しあいがいるしねーーー」 「おだやか、だって ! 」と、ジョンがさけんで、ゲラゲラ笑いました。 わか 「ところで、きみに話してるんじゃないよ、お若いかた。」と、ムクドリはいって、窓のし きいまで、びよんと、とびおりました。「それに、だまってていいんだ とにかく。先週の えいきゅう 土曜には、たてつづけに、なん時間もきかされたからね。とんでもない、永久にやめないのか ばん と思ったよーーー一晩じゅう、まんじりともしなかった。」 、ました。「ばくは 「話してたんじゃないよ。」と、ジョンがい 」と、ロごもって、「つ いた まり、痛いとこがあったんだよ。」 「へへえーだ ! 」と、ムクドリはいって、 した。そして、頭のほうまで、ふちづオ をだしていいました。 ラじようちゃん、きようは、おじさんに、なにかありますかな、どうです ? 」 ノ ーバラは、べッドのかこいのさんにつかまると、身を起こして、すわりました。 とうろんかい ノ ハラのべッドのかこいのヘりにとびうつりま こ、ににじりよってゆくと、やさしい、あまったるい宀尸 わら まど 183