じせかいたいせんにつぼん * 1 第一一次世界大戦Ⅱ日本、ドイツ、イタリア三国と、アメリカ、イギリス、フランス、 ねん せんそう れん・」うこく ソ連などの連合国との間に起こった戦争。一九三九年ドイツはますポーランドに攻 ねんにつぼん くにぐにせいあっ めいり、その後ヨーロッパのほとんどの国々を制圧。ついに四一年に日本がアメリ とつにゆうせんいきぜんせかい たいへいようせんそう せんせん 力に宣戦を布告して太平洋戦争へ突入、戦域は全世界にひろがった。反撃に転じた お につばんこうふく ねんがっ れんごうぐん 連合軍により一九四五年五月にドイツが、八月に日本が降伏して終わったが、この せんまんにん せんまんにん ぎせいしゃぐんみんあ たいせん 大戦による犠牲者は軍・民合わせて四千万人から五千万人にのばるといわれる。 せいけん とうしゅ せいとう * 2 ナチスⅡヒトラーを党首としたドイツの政党。一九三三年に政権をにぎってから独 しゆだん じん・ようさんしゅぎしゃ さいせいじ 裁政治をしく。とくにユダヤ人や共産主義者を極度にきらい、あらゆる手段で見つ ーレよけい け出しては処刑した。 けいさっ そしき くにとくべっ はりいき、つ ひみつけいさっせいき * 3 秘密警察ⅱ正規の警察とは別に、国の特別の任務をおびて組織された警察。とくに はんたい ひみつけいさっ ゲシュタボとよばれるナチス・ドイツの秘密警察は、ナチスに反対する人やユダヤ ゅうめい ひにんげんてきしゆだん 人たちを、非人間的手段でとりしまったことで有名。 れん あいだ ′」く にんむ はんげきてん ひと み どく
はじめに につきちょう がのこ かくれ家に残された日記帳 につきちょう ふるたてもの しつのこ ねんなっ 一九四四年夏、オランダの首都アムステルダムの、古い建物の一室に残された日記帳 、もよう につきちょう おお はんきよう せかい このチェック模様のかわいらしい日記帳が、そののち世界じゅうに大きな反響をまきおこ ひとひと さべっ せんそう し、戦争がもたらす苦しみとかなしみ、人が人を差別し、にくしみあうことのおろかさを ちから おお うったえる、大きな力となったのです。 につき じんしようじよ この日記を書いたのは、ユダヤ人の少女アンネ・フランク。《かくれ家》での生活をつ きろく づった、十三歳から十五歳までの記録です。 とうしゅ じせかいたいせん * 1 そのころヨーロッパは、第二次世界大戦のまっ最中でした。ナチスの党首アドルフ・ヒ ちか ぐん トラーにひきいられたドイツ軍は、ポーランド、オランダ、チェコスロパキアと、近くの か くる さい しゆと さいちゅう * 2 せいかっ 0
最後の一語を読みおえたとき : : : とうとうそれに目を通して、よかったという気持 こころ おお うしな こえ ちしかなかった。心のうつろはいやされた。多くのものが失われたが、アンネの声は うしな せかい けっして失われまい。わたしの若き友は、この世界にすばらしい遺産を残してくれた のだ。 ( 文藝春秋『思い出のアンネ・フランク』より ) ひみつけいさっ もの きびしいドイツ秘密警察の目をかすめて、食べ物だけでなく本や新聞までも、《かくれ じん ゅうき 家》に運びつづけてユダヤ人をたすけた、ミープのような勇気ある女性たちのいたことも、 わす アンネの日記とともに忘れてはならないでしよう。 ころ せんそう にんげんしやかい アンネを殺したのは戦争です。ヒトラーやナチスを生み出してしまった人間の社会です。 はくがい せいかっ ユダヤ人の迫害や《かくれ家》の生活が、どれほど苦しくつらいものだったかは、いま そうぞう にんげんおなにんげん のわたしたちにはとても想像がっきません。また、人間が同じ人間にたいして、なぜあん しる にこう記しています。 はこ よ め わかとも た くる め とお ほんしんぶん じよせい いさんのこ 132
した。 み うんが ちゅうしんがい 中心街の運河ぞいにある古ばけた《かくれ家》にアンネ一家は身をひそめ、ナチス・ド しようじよ ひみつけいさっ * 3 ィッの秘密警察におびえながら、少女アンネはひそかに日記を書きつづけていたのでした。 しんゅう な あ につきちょう アンネはこの日記帳に、どんなことでも打ち明けられる親友《キティ》と名づけました。 じぶん じゅう せかい ゼつぼう そして、自由をうばわれた、とざされた世界のなかでもけっして絶望することなく、自分 か できごとおも み なか め ひび を見つめ、世の中に目をひらいて、日々の出来事や思いを書きとめていったのです。 うしな ゅめきぼう レようじよ しレゅんき かんじゅせい 思春期の少女らしいするどい感受性、そして、どんなときでも失わなかった夢と希望 あか ちから よ かん につき ひと つよ この日記には、読む人に生きる強さを感じさせる、明るさと力があふれています。みなさ よ きかい げんさく んも機会があったら、ぜひ原作を読んでください につきちょう りようしん ものがたり さて、この物語は、アンネが両親から新しい日記帳をプレゼントされたときからはじま ります。 よ ふる あたら か 0
くにぐに 国々をつぎつぎと征服していきました。 じん みんぞく せかい ヒトラーは、「ドイツ民族だけがもっともすぐれた人種だ。ユダヤ人などは世界からな うし つみ くしてしまえ ! 」とさけんで、なんの罪もないユダヤ人をつぎつぎにとらえ、まるで牛や かしゃ きようせいしゅうようじよ 馬のように貨車につめこんでは強制収容所におくり どく ころ こみ、毒ガスなどで殺していったのです。 とうじ 当時ヨーロッパに住んでいた一千万人あまりのユ ごろさくせん ダヤ人のうち、このナチスのユダヤ人みな殺し作戦 おとな のぎせいになったのは、子どもから大人までじつに しこくぜん 五百万人にものばりました。日本でいえば、四国全 体の人口をはるかに上まわる人びとのいのちが、わ ねんあいだ ずか二、三年の間にうばわれたのです。 すうまんにん アンネ一家のほかにも、数万人のユダヤ人が住む ぐんせんりよう アムステルダムの街も、ドイツ軍に占領されていま せいふく たい じんこう ひやくまんにん じん じんしゅ じん まち うわ こ にっぽん ひと せんまんにん じん じんす
ハ・ = ~ 35 、 , .0 ' 罍ラ 7 フォア 文庫 B229 膩ⅡⅧⅢ旧間ⅧⅡ II 9 7 8 4 6 5 2 0 7 4 4 2 8 I S B N 4 ー 6 5 2 ー 0 7 4 4 2 - 5 C 8 2 9 8 \ 5 6 0 E アシネの日田 1 9 2 8 2 9 8 0 0 5 6 0 8 メ 物 き五 ロロ 原作 = アンネ・フランク文 = 大石好文 じせかいたいせん は′、がい 第一一次世界大戦中、ナチス・ドイツの迫害をうけて、わずか さいかな しようがい しようじよ 十五歳の悲しい生涯をとじた少女アンネ・フランク。 〈かくれ家〉に身をひそめながら、アンネが書きつづけた印記 かのじよ につき は、世界じゅうの人々の心をとらえました。 , 彼女はこの日己 ちょうしんゅう、、、 帳を親友キティと名づけ、大切にします。思春期の少女らし かんじゅせい ゅめきほう いするどい感受性、どんなときでも持ちつづけた夢と希望 : ころ ・人はなせ殺しあうの ? あなたはどう考えますか。 ・「解説」より びようき あ 学校にも行けす、友だちにも会えす、病気になろうと何があ で ろうと、一歩も外へ出ることのできなかったアンネは、「ほと まいあさやねうら はな につき んど毎朝、屋根裏へ行ってペーターとお話しします」と日記 に書いています。 「もしも羽根があって、ここからふわ と こころ す じゅう っと、好きなところへ自由に飛んでいけたら : : : 」と、心の ねが ひ 内に、そんな願いを秘めていたことでしよう。 ( 早乙女勝元 ) か が み とも たいせつ フォア文庫 B229 理論社 定価 ( 本体 560 円 + 税 ) = = ロ フォア文庫の整理番号 ・アルファベットとシンポル・マークの色によって対象 を表示してあります。 ・数字は対象別の通し番号です。 ・定価の変更によって広告表示と実際の定価カ咬っ ている場合もあります。 アンネ・フランク・原作 A = 小学校低・中学年 B = 小学校中・高学年 = 小学校高学年・中学 FOUR 装丁安野光雅 BUNKO