7 照 準 0 0 0 〇 3.5 リング孔の直径 , mm. く図 209 > リング照星の孔径と目に映る円形白線の太さとの関係 ( a ) きついリング , ( b ) ゆるやかなリング 慮しなければならない。 太陽がおだやかにやわらかく標的を照ら 理論だけからいえば , 黒点とリング内縁 しているような曇天時には , きついリング との間に見える円形白線が細ければ細いほ 照星を用いて照準するのが効果的である。 標的黒点とリング内縁との間の円形白線の ど , 正確な照準の実現が期待されるはずで ある。しかし実際問題として , そのよう 映像が明瞭に網膜上にキャッチされ , 照準 なきついリングをつねに使用することは不 上のわずかな誤差も発見できるからである 可能といわなければならない。そこで , 射 ( 図 21 の。 距離 50m のスモールボア・ライフル射撃の 早朝時 , 薄暮時 , 霧がかかっているとき ときに用いるリング照星は , 孔の直径が などの可視条件の悪い場合には , 標的黒点 2 ・ 85mm 以上 , 4 ・ 2mm 以下のもので満足 とリング内縁との間の円形白線の映像が不 しなければならないことになる ( 図 209 ) 。 明瞭となるので , この円形白線を太くして きついリング照星は , かなりの視力をも つ射手が , 最も完成度の高い射撃姿勢 ( 伏 射 , または膝射姿勢 ) で射撃する場合にか ぎって使用される。 ゆるやかなリング照星は , 視力の弱い射 手安定性の低い射撃姿勢 ( たとえば立 射姿勢 ) で射撃するときに , これを使用す リング照星はきわめて微細な るのによい。 動揺にも敏感に反応して銃と標的との関係 位置に影響を及ぼすので , 立射のような安 定度の低い射撃姿勢でこれを活用するに は , いつばんに長期にわたる練習が必要で ある。 標的の鮮明度と被照射度 , 使用すべきリ ング照星の孔径の大きさとの関係について は , とくに細心の注意をはらわなければな らない。 220 < 図 210 > 太陽がおだやかに照射してい るとき ( 曇り日 ) における標的黒点と リング内縁との間の円形白線の映像
照射条件不良時の照準 く表 8 > 指導的射手が採用している照星の幅の絶対値と , 照星の見かけ幅の照門 切込みの見かけ福に対する割合 ( 照距離 25m , ラビッドファイア・ビストル射撃 ) 射手名 ゲ・ウオリンスキー ア・ザベリン べ・クリへリ エヌ・カリニチェンコ イエ・チェルカソフ ウェ・ソロキン ウェ・ナソノフ 照星の見かけ幅の照門切込みの見かけ 照星幅の絶対値 ) 甘 イエ・ハイドウロフ ペ・シエプタルスキー び出して , 正確な照準の実現をはかること ができる。 ソ連の指導的射手がヒ。ストル射撃で採用 している照星の幅と , 照星の見かけの幅と 照門切込みの見かけの幅との比を表 6 ~ 8 に示しておく。 照射条件の悪い場合にはいろいろなもの があるが , 射手がとくに注意しなければな 照射条件不良時の照準 幅に対する割合 らないのは , 目にさしこむ太陽の直射光 線 , 晴天のときの雪原の反射光線 , 銃とサ イトの光沢面の反射光線 , とくに強く照射 された標的の反射などが射手の目をくらま すように作用している場合である。このよ うな照射条件下で目の保護を考えずに照準 を行なうと , 光線の刺激によって催涙 , 激 痛 , まばたき , 不随意的閉瞼などの現象が 誘発されて , 照準を大いにむずかしくする ばかりでなく , 粘膜の刺激による目の疾患 をまねくこともある。したがって , 射手 は , 目の働きにとって最良の条件をつくり 出すことと視力の維持について , とくに留 意しなければならない。 225
照射条件不良時の照準 く図 216 > 太陽が強烈に標的を照射して いるときの射手の網膜上に生じる標的 黒点 , 照星 , 照門の映像 後から標的を直射している場合には , 標的 の白い部分が強烈に照射されて , それが強 力な光源と化したかのように射手の目に映 く図 215 > 強い直射日光から目を守るた る。目の透光組織に発生する回折現象と強 めに用いられる日よけ用ひさし帽 烈な光の分散現象のために , 照門ばかりで なく照星までが二重になって目に映り , 照 を塗るか , 銃身上に布製のテーフ。をはるか 門や照星はもとより標的黒点までがぼやけ ( 図 214 の上 ) , あるいは絶縁性のテーフ・を て見えるようになる ( 図 216 ) 。 銃身にまきつけるか ( 図 214 の下 ) すると このような条件下で , ヒ。ーフ。・サイトを よい。 使用しても , よい結果は得られない。とく 直射日光から目を守るには , 日よけ用の にリング照星を使用して正確な照準を行な ひさし帽を利用する ( 図 215 ) 。 直射日光の過度に強い日中に , 何の保護 おうとしても , それはほとんど不可能であ る。強く照射された標的が発する輝光のた 手段も用いずに , 悪条件の克服に悪戦苦闘 するのは愚の骨頂である。太陽が射手の背 めに , 標的黒点は輪郭のぼやけた不明確な く図 217 > 太陽が強烈に標的を照射しているときの射手の網膜上に生じるリング照 星と標的黒点の映像。 ( a ) きついリング照星 , ( b ) ゆるやかなリンク照星 227
•O(D<DQ(D 00000 サイトの選定 50m 標的 300m 標的 2.0 0.75 距離小 強し , 接目良 照射極めて 2 .25 照射好適 2.75 眼距離小 照射強し , 接 照射好適 2.75 50m 標的 照射強し 照射極めて強し。 もしくは視度不良 300m 標的 照射強し 照射極めて強し。 もしくは視度不良 最も広く 用いられ るもの 1.25 3.25 曇天 , 接眼距離 小 , 照射強し , 接眼距離大 視度不良に して接眼距 離大 1.75 < 図 212 > 照度と使用すべきリング照星およびヒ。ーフ。照門との関係 ( ソ連製フリー ライフル用として準備されているインサートとディスク ) し , 1936 年に世界ではじめて 400 点満点の 400 点を撃ちあげたソ連のエヌ・アレクセ ーエフも , リング照星を用いてこの偉業を なしとげたのである。 ある特定の照星と照門の組合せだけで , 万人に適合し , あらゆる射撃条件のもとで 正確な照準が行なえるような万能ヒ。ーフ。・ サイトは存在しない。現代のターゲット・ ライフルには各種の孔径をもつフロント・ サイトとリヤ・サイトの各セットが付属品 として装備されているので , 射手は , この なかから射撃条件に最も適応したものを選 223
色によって分類してみると , 次のようにな る。 低い濃度および中等濃度の黄色と橙色一 ースペクトル紫色部の光線をよく吸収し て , 網膜上における標的黒点 , 照星 , 照門 の映像の明確化を促進するという特色をも 暗色ーーー低い濃度および中等濃度の褐色 味をおびた灰色のフィルターであって , ス ペクトル各部の光線を平等に吸収するが , いくぶん黄色味がかった色のおかげで , ス ペクトル紫色部の光線をいくらか多く吸収 するという特色をもつ。 中間色ーー緑色がかった灰色のフィルタ ーであって , スペクトル紫色部の光線を吸 収するという点では , 暗色フィルターにく らべてわずかに劣るが , 目にあたる感じで ははるかにこれにまさる。 曇ってはいるが明視度の高い日 ( うすぐ もりの日 ) には , 低い濃度の黄色フィルタ ーが適している。 太陽が照ってはいるが照度の強くない日 中における射撃 , および太陽光線が横から 標的を照らしている朝夕の時刻における射 撃では , 黄色 , 橙色 , または濃度のいくぶ ん高い黄色のフィルターを使用する。中間 色と暗色 , つまり , 通常のサングラスに近 い濃度の緑色がかった天色フィルターと , 同じく褐色味をおびた灰色フィルターの利 用もまた効果的である。 太陽が射手の背後にあって強烈に標的を 直射しているような場合には , きめて濃度 の高いフィルターを使用する必要がある。 具体的にいえば , 黄緑色 ( 比較的濃度の高 いものを使用すれば目に快適な感じをあた える ) , 橙色 ( 黄褐色 ) , 中間色 ( 青緑がか った灰色 ) , 暗色 ( 褐色味をおびたもの ) などが適している。なお , その濃度はいず 照射条件不良時の照準 有機硝子から 成る円板 リング照星 リング孔 3. 5 ~ 4. 0mm 229 は灰青色 ) というぐあいであった。 ュは黄緑色 ( 照門にとりつけたフィルター フィルターは暗青色 ) , イギリスのパリシ のオークリーは明褐色 ( 照門にとりつけた りつけたフィルターは明黄色 ) , イギリス イン , カーターは暗橙色 ( めがねわくにと も , たとえばアメリカのライト , ェ只ーワ 選手権大会に出場した選手について見て ざまのものがある。これを第 37 回世界射撃 色 , 橙色 , 暗褐色 , 不透明の無色などさま ようである。有機ガラス円板の色は , 黄緑 なるが , だいたい 0.5 ~ 2. Omm の間にある リング・サイトの厚さは , 射手によって異 描いたものである。この場合に使用される かわりに , エナメルか絵具で黒くリングを もの ( 図 218 ) か , または金属製リングの スの円板に薄い金属製リングをはめこんだ りつけられるフィルターは , 着色有機ガラ この組合せの構成部分として照星座にと さめている。 たフィルターの組合せを利用して成功をお めたフィルター , またはサイトにとりつけ 使用して射撃する場合に , めがねわくには 最近における外国選手は , リング照星を は無用である。 る。暗くなりすぎるであろうなどとの心配 て高い濃度のフィルターを使用すべきであ 標的に対して射撃する場合には , 思いきっ いつばんに , 太陽に強く照射されている 同じ程度のものでなければならない。 れも , 一般のサングラスの最も暗いものと く図 218 > 組合せ式フィルターの構成
7 照 く図 190 > 光線回折現象 く図 189 > 球面収差現象 い媒体である ) を通過するときに , この両 験によって確認することができる。 媒体の内部において分散する。眼球内にお 曇天の日を選び , 遠くに識別のむずかし ける光の分散は , 網膜の背後層で光線が反 い目標を設定する。次に , 小さい孔を通し てこの目標を注視すると , それはまえとは 射させられることによっても発生する。眼 比較にならないほど明瞭に識別される。 球内に光の分散現象がおこると , その結果 の場合の孔は , いわば人工の瞳孔である。 は , 輝光におおわれた視界 , 弱く光って見 光線が孔を通過するとき , とくに瞳孔を える光霧につつまれたような視界の発生と 通過するときには , 一種の弯曲作用をおこ なって現われる。眼球内における光の分散 し , その結果 , 平行光線の光束は網膜上の 現象は , 黒い背景の前にあって強く照射さ 1 点に結集せず , 環状をなして集中し , 映 れている物体を注視する場合 , または前方 像の鮮明度を減少させる ( 図 19 の。これが に光源があって , その光線が射手の目を直 射している場合などに , とくに顕著に発生 いわゆる“光の回折”現象であって , 光の もっ波動的性質によるものである。映像の する。 まわりにおける回折環は瞳孔の孔をきわめ 物体の周囲に光輝が発生して , 網膜上の て小さくしたときだけに発生し , 瞳孔の直 その物体の映像の鮮明度を低下させる現象 も , 眼球内における光の分散によるもので 径が小さくなればなるほど , 回折環の直径 ある。この物体のまわりにおこる光輝は , は増大する。この意味で , 光の回折現象は 太陽が標的を強く照射している場合などに 球面収差現象の反対現象であるともいえ とくに顕著であって , 光輝が発生すると , る。実際問題として , 光の回折現象がおこ るのは , 多くは , 太陽が前方から強く射手 それが強く照りかえして眼球内に強度の光 の目を照射している場合 , または太陽の直 の分散をおこし , その眩視作用のため , 標 的黒点は周縁のぼやけた灰色の斑点 , 照門 射を受けて照門 , 照星が強く反射している と照星は輪郭のぼやけたものとなって , 網 場合などであろう。 膜上に映像されるようになる。 光の分散現象 このように , 球面収差現象による光の分 散は , 瞳孔を広くするにつれてその程度を 光学器官としての目の働きを大きく阻害 高め , 回折現象による光の分散は , 瞳孔を するもう 1 つの現象として , 目の内部にお せばめるにつれてその程度を高める。この こる。光の分散”現象がある。 事実は , 光の分散を完全に除去することが 光線は , 網膜にいたる道程として水晶 不可能であることを意味すると同時に , 視 体 , 硝子体 ( ともに絶対的透明性をもたな 208
く図 211 > 早朝 , 薄暮 , 降霧時などの視 度の低い場合における標的黒点とリン グ内縁との間の円形白線の映像 これをはっきりと視認できるように , ゆる やかなリング照星を使用する必要がある ( 図 211 ) 。 標的が太陽に直射されている晴天時に は , リング照星の効果は大きく低下する。 強く太陽が照りつけているときに , きつい リング照星を使って照準することはほとん ど不可能であり , ゆるやかなリング照星を 用いても正確な照準ができない場合が多 い。こういうときには , フィルター , くも りガラス , あるいはリング照星に代えてポ スト照星を使用することが必要になる。 ビーフ。照門のピーフ。の直径を選ぶ場合 も , リング照星のときと同様に , 照射条件 と射撃姿勢の特性を考慮に入れなければな らない。 フリー・ライフル用のヒ。ープ照門には , 0 ・ 75 ~ 1.75mm の範囲で各種の直径のヒ。ー プをもつディスクのセットが準備されてい る。この中から , 可視条件の悪いときには 直径の大きいビーフ。を選び , 可視条件のよ サイトの選定 いときには直径の小さいヒ。ーフ。を選んで使 用すべきである ( 図 212 ) 。 射手の目が接眼筒から遠くに位置するよ うな射撃姿勢をとる場合は , その接眼距離 の増大につれて , 直径の大きいピープ照門 を使用する必要がある。 表 5 は , ヒ。ーフ。・サイトを装着したライ フル銃による圏的射撃で , 指導的射手が使 用しているサイトの型式と大きさにかんす するデータを収録したものである。 この表によると , 指導的射手の圧倒的多 数の者がポスト照星を採用し , わずかに一 部の者がリング照星を採用しているようで ある。しかしこの事実だけから , ポスト 照星がリング照星にくらべて , 本質的にす ぐれており , 有利であるなどと即断しては ならない。いやむしろ , 人の目がもつ光学 的不完全性 ( とくに回折現象と光滲現象 ) に着目するときは , 本質的に見て , リング 照星のほうこそ , より有利であって , より 正確な照準を可能にするといわなければな らない。このリング照星の利点にかんする 著者の見解の正当性を裏づけるものとし て , 次の事実をあげることができる。 1958 年の第 37 回世界射撃選手権大会 ( モ スクワ ) では , スモールボア 3 姿勢種目に 出場した 65 名の外国選手のうち , 60 名まで がリング照星を使用し , アーミイ・ライフ ル 3 姿勢種目に出場した 45 名の外国選手の うち , 36 名までがリング照星を使用してい た。そして , 注目すべきことには , リング 照星を用いた選手の大部分の者が , 伏射 , 膝射 , 立射の 3 姿勢を通じ , 一貫してリン グ照星を使用しつづけていたのである。 また , 1936 ~ 1939 年の国際通信競技のス モールボア伏射種目では , 毎回ソ連の射手 が勝利をおさめていたが , そのソ連射手の 大部分の者がリング照星を使用していた 221
4 第置を 目の構造と照準時における目の働き 覚のための最良の条件は , 瞳孔に中間的な 大きさをあたえた場合に ( 瞳孔の大きさ が , 球面収差現象と光の回折現象に対して まったく反対に作用するために ) , 生み出 されることを示している。そして , この中 間的な瞳孔の開きは , その直径が約 3mm のときであるとされている。 したがって , 射手は , 瞳孔の大きさに影 響を及ぼす太陽の照度に応じて , 帽子のひ さし , くもりめがね , 遮光器 , 人工瞳孔と しての透視孔等を利用するなど , 手段をつ くして , 目の働きのために最良の条件をつ くり出すように努力しなければならない。 さらに , 照門 , 照星をすすで黒くして , サ イトの反射による眩視作用の防止をはかる 着意も必要である。 最後に , 暗黒の背景をもっ明るい物体を 大きく見せるような , 光滲現象にもとづく 光の収差について一言しておかなければな く図 192 > 目にはいった光束の屈折状況。 らない。図 191 を見ていただきたい。左側 ( a ) 正常眼 , ( b ) 近視眼 , ( c ) 遠視眼 の細い白帯は右側の細い黒帯とまったく同 も , 標的の白色部の被照射度に変化があれ じ幅をもっているのであるが , 見たところ ば , 射手の目には異なった幅をもつものと では , 白帯の幅のほうが広いように感じら して映ることになろう。 れる。この光滲作用による眩視作用は , そ こうして , ポスト型の照星を装着した銃 の物体の被照射度または光輝度が増大する で射撃する場合は , 同一照射度のもとで各 につれて , ますます大きくなる。したがっ 発射を行なうようにすることがとくにたい て , 照準したときの照星と標的黒点との間 におく。白一線 " の太さが同じであって せつなのである。 近視 , 遠視 , 乱視 目に当たった平行光線が , 遠近調節を必 要としないで , びたりと網膜に焦点を結ぶ ような目を。正常眼 " といい ( 図 192 の a ) , 目に当たった平行光線が網膜のてまえで焦 占を結ぶような目を。近視眼 " という ( 図 192 の b)o 眼球の軸の長すぎること , 目の屈折力が 大きすぎること , またはこの両方の欠点を く図 191 > 光滲現象。同じ幅の帯であっ ても , 黒い背景の中の白帯は白い背景の 中の黒帯よりも幅が広いように見える。 209
照準法 照星頂をびったりと黒点下際に接着させる と , その反射光線のために黒点の下際部が その上部にくらべてはるかに明るく見える ことになる ( 図 20 の。こうして , 黒点下際 の発見が不可能となり , 照準の同一性を保 持することがきわめてむずかしくなるので ある。 ピストル射撃の場合は , 照門と照星との 間隔が比較的小さく , 照門と照星が射手の 目から遠くはなれた位置におかれるので , 照準にあたって , 照星と照門をともに比較 < 図 200 > 白一線を設けない照準方式に 的明瞭に視認できる。したがって , 標的黒 よる場合の照星と標的黒点の見えぐあい 点の映像の鮮明度を犠牲にして , 照星と照 ( 照星からの反射光線のために黒点下際 門を明確に見いだすような焦点の合わせ方 がより明るくなって見える ) が適当とされるのである ( 図 20D 。 照星頂との間に白い細線が認められ , かっ ピープ・サイトによる照準 黒点下際が比較的明瞭に視認される程度に まで , 照星頂を黒点下際に向けて近づける ピーフ。・サイトを用いる場合は , 照準の 必要がある。 ための注視対象となる照門 , 照星 , 標的の どんなに鋭敏な視力をもつ射手であって うち , 最も射手の目に近く , したがって最 も , 白一線をおかずに , 照星頂と黒点下際 も注視に不便な対象物である照門を注視す とをびったりと接着させる方法によって , る必要がないので , 照準動作が大いに容易 正確な照準を実現することは至難のわざで となり , 単純化される。 ある。 ヒ。ーフ。・サイトで , オーフ。ン・サイトに 射手がいかに入念に照星にすすを塗った おける照門の役割をはたすものは , 小さく としても , その照星がぜったいに光を反射 丸いピーフ。 ( 透視孔 ) であり , 照準にあた しないということはありえない。そこで , っては , このピープを通して照星と標的の 2 つの対象物を注視すればこと足りるので ある。つまり , 右目でヒ。ーフ。をのぞき , ポ スト照星であればそれを標的の黒点下際に 導き , リング照星であれば黒点をリングの 中心に位置させるようにすればよいのであ る ( 図 202 ) 。 照準にあたって , ピーフ。の中心点の探 求 , およびその中心点と照星頂とを一致さ せることに注意を集中する必要はない。目 にそなわっているつりあい感覚によって , この 2 つのことが自動的 , 不随意的に行な 215 く図 201 > リポル , く一射撃の照準時にお ける照門 , 照星 , 標的黒点の見えぐあ い ( 射距離 25m )
サイトの選定 く図 208 > 目に映ったとき最も適正な関係比をもつ照星と 照門切込みの幅 ( 拳銃用オープン・サイト ) せである。 ピストル射撃では , ライフル射撃の場合 とちがって , 標的黒点の見かけの大きさが 非常に大ぎくなるので , 照星の見かけの幅 をこれと同じにするわけにはいかない。こ の点からすれば , どのような幅の照星でも よいことになるが , 経験上からして , かな り広い幅をもつ照星を使用するのでなけれ ば , 目の疲労をともなわずに正確な照準を 行なうことができないという結論が出てい る。そして , 種目によって異なるが , いっ ばんに , 次の幅をもつ照星が適当であると ( シルエット的 ) ラヒ。ッドファイア・ヒ。ストル , 25m ( シルエット的 ) センターファイア・ヒ。ストル , 25m ( 固定標的 ) センターファイア・ヒ。ストル , 25m ( 固定標的 ) フリー・ヒ。ストノレ , されている。 3.0 ~ 3.5mm 3.0 ~ 3.5mm 2.6 ~ 3.2mm 3.2 ~ 3.6mm 50m 端との間の間隙は , ライフル射撃の場合よ なる。したがって , 照星の両側と切込みの を同時によりはっきりと視認できることに 距離が比較的短いので , 照星と照門の輪郭 位置することになり , かっ照星 , 照門間の らべて , 照星と照門が射手の目から遠くに ル射撃の場合は , ライフル射撃の場合にく をもっ切込みが望ましい。ただし , ヒ。スト がくっきりと浮き上がって見えるような幅 同様 , 照準のとき , 照門切込みの中に照星 ライフル銃用オーフ。ン・サイトの場合と りも小さくてよく , 照星の幅と照門切込み の見かけ幅との関係比は 1 : 1.5 , または 1 : 2 となるのが適当とされている ( 図 208 ) 。 ピープ・サイトの選定 ピーフ。・サイトのフロント・サイトとし て最も照準に便利なのは , ポスト照星とリ ング照星である。 ポスト照星の幅の選定にかんする原則 は , オーフ。ン・サイトについて述べたもの とまったく同じであって , 照星の幅が標的 黒点の直径と同じに ( 実際には , 左右各側 において 0.05mm ずつ大きく ) 目に映るよ うになるとき , 最も正確な照準を期待でき る。 この要求を満足させるような蝠を具体的 に決定するための基準となるデータを , 参 考までに表 4 に示しておく。 リング照星の孔の直径の選定にあたって は , 標的黒点の直径の大きさ , 視力の鋭敏 度 , 射撃姿勢の性格 , および光線条件を考 く表 4 > ポスト照星の幅決定の参考データ 射距離 (m) 3 0 0 5 0 標的黒点の標的黒点の見照星の かけの直径 直径 (cm) 6 0 1 1 . 24 幅 (mm) 1 . 80 2 . 02 ( 注 ) 黒点の見かけの直径は、射手の目と照 星との間の距離を 900mm として算定し たものである。 219