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検索対象: チベットの聖なる山へ
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1. チベットの聖なる山へ

山をめぐります。そして一二年に一度の辰年には大祭がおこなわれます。今年がその大 祭にあたるのです。 大祭の参加者はおよそ四〇〇〇人。その九割は北ドルボの人々だといいます。北ドル ボの人口はおよそ六〇〇〇人なので、住民の半数以上が参加していることになります。 せいざん 北ドルボの、老人や病人をのぞいたほとんどの人がこの聖山に集まっているようなもの です。 じゅんれいしゃ 祭りは四日間続きます。巡礼者たちは、丸一日かけて聖山をめぐり、チベット仏教の 」、っそ、つ かんじよう おど 高僧から「灌頂」を受け、踊りや歌をひろうします。 どきよう スムドウ・ゴンパ僧院では、毎日五〇人以上の僧が列席して読経がおこなわれていま さんけいしゃ かみざ した。参詣者がたえません。左右の上座にすわっているのは、北ドルポを代表するふた りの高僧、マルコム・リンポチ工とケンデン・リンポチェです。ふたりの前には巡礼者 の行列ができていました。ばくも行列にくわわって、ケンデン・リンポチェにカタを手 わたしました。ケンデン・リンポチェはばくの首にそれをかけてくれました。高僧にカ タをかけてもらうと幸福になれるといわれています。 巡礼祭には、楽しい行事ももりこまれています。 ろうじん たつどし ぶつきよう

2. チベットの聖なる山へ

に人ったのです。雨が降りしきるなか、人々は田植えをしています。男の人たちは水牛 あざ みんぞくいしよう なえ を使って田おこしをし、色鮮やかな民族衣装を着た女の人たちが、苗をうえています。 きようどう しいます。 田植えの作業は、雨が降るころを見はからって、近所の人たちが共同でやると ) 昼食にネパール風のカレーをごちそうになりました。料理の仕方が変わっていて、生 じよう の米をいためてから、たいらにつぶして、フレーク状にします。こんなふうに米を食べ はんな るのははじめてです。ふつくらとして水分をたくさんふくんだご飯に慣れていると、ど いんしよう うしても生米をそのまま食べているような印象を受けます。 きゅうおうきゅう 標高一四〇〇メートル、四二万人がくらす首都カトマンドウに入り、旧王宮広場を とりあえずのゴールとしました。広場には、たくさんの人々があふれていました。国民 きよ、つ A 」 の九割がヒンズー教徒の国です。ヒンズ 1 教の、何千という神さまをまつったほこらが あります。毎朝、人々は自分がもっとも好きな神さまのほこらの前にやってきて、色鮮 やかな美しい花をそなえていくといいます。 ヒンズー教の寺院、パシュバティナ 1 ト寺院にもいきました。寺院の中には、ヒンズ 1 教徒しか入ることができません。 寺院の前を流れるバグマティ川では、人々が川の水で身を清めていました。ヒマラヤ

3. チベットの聖なる山へ

ぼくじよ , フ じゅんれいしゃ です。アンデスの巡礼者たちも、石を積みあげ、小さな家や牧場を作っていました。地 いきしゅうきようちが 域も宗教も違うのに、同じように祈りをささげています。違うのは、アンデスの人々は しようらい らいせ 来世のためではなく、将来自分が家や牧場を持てるようにと祈っていたことです。来世 ゅめ いんしよ、ってき げんせ の夢を祈るヒマラヤの人々、現世に夢をみるアンデスの人々の違いが印象的でした。 きゅうしやめん ふたた 急斜面を下りると、タル川が見えてきました。再び強い雨が降りはじめました。ころ びそうになりなからもなんとか歩いていると、渓谷の岩壁に張りつくように北ドルポ最 げんぎい 古のコンモチェ・ゴンパ僧院がありました。現在の建物は三〇〇年前に建てられたもの だそうです。僧院の中庭では、降りしきる雨のなか、バター茶と「トウルマ」というッ まど さとう アンパ、そしてバタ 1 と砂糖のお菓子が巡礼者にふるまわれました。二階の小さな窓か わか ら、若い僧が巡礼者でごったがえす中庭を見下ろしていました。 りつば さらに斜面を下ると、コンモチェ・ゴンパ僧院よりも大きくて立派なツアカン・ゴン ハ僧院か、やはり岩壁に張りつくように建っていました。小さな人り口から巡礼者たち が出入りしています。雨はあがりましたが、あいかわらず空はどんよりとしています。 急斜面にへばりつくように続く道は、全体としては下りながらも、アップダウンをくり かえしています。 そういん かし いの 104

4. チベットの聖なる山へ

はっ」っ さい′」 最後に長寿を約束する「セルキム」というチャン ( 大麦を発酵させて作る酒 ) 、幸運 を呼ぶとされる小さな丸薬の「チンラップ」、安全のためのお守りである「スンワー」 じゅれいしゃ くもっ という赤いひも、そして「ツォ ー」という供物のお下がりが巡礼者に配られます。 くもっ まっせき 供物をもらって外に出てくる人々の顔は本当にうれしそうです。末席にすわる若い僧 ぎしき が、ときどきチベッタン・ホルンをふくなか、儀式は続きます。 たっせいかん せいざん 聖山シェ 1 リ・リオドウックダをめぐった昨日は、みんな達成感や喜びがあったにし じゅんすい ひょうじよう つか ても、やはり疲れきっていました。今日は純粋な喜びを表情にあらわしています。喜び ぜん のあまり、ばう然とした顔の人までいます。 そういんしゅうい 巡礼者があまりにも多いので、僧院の周囲は順番を待つ人たちでごったがえしていま そう むか かんじよう した。そのため灌頂をする僧は、三人ずつ二列にならんで巡礼者を迎えていました。巡 しことになっていますが、なかに 礼者は自分が好きな僧のならぶ列で灌頂を受ければいゝ はちゃっかりしている人もいて、両方の列で受けています。五〇〇〇本も用意されてい たスンワーがなくなってしまいました。 灌頂を受けた人々は広場に集まって、再びのびのびと楽しそうにチャムをはじめまし た。夕方には雨もあがりました。 ちょうじゅやくそく ふたた わかそう 108

5. チベットの聖なる山へ

9 マ = ル = ト国 円 % 年 中来・北栗縦断 人人 円 97 年 ーリ冫グ海峡積断な 円 95 年 アマゾゝ源流 中央ルデス探検 円 93 年に月 5 日 チリ・カヨ島出 1

6. チベットの聖なる山へ

・ 0 ャ ばくらか出かけると、も一つ、たくさんの 人々が歩いていました。巡礼者の歩くべ 1 おどろ スが速いのに驚きました。おじいさんやお ばあさん、赤ちゃんを背負った母親もいま す。小さな子どもたちもいます。みんな、 もたもたしているとおいていかれてしまう ひっし ので、必死になってついていきます。だれ もテントなどは持ってきていません。みん な、一日で聖山を一周するつもりなのです。 みち ごたいとうち 五体投地をする人はいませんでした。道 は筋にマ = 石をならべたものやチョルテン ぶっとう ( 仏塔 ) があると、巡礼者たちはそのたび いの にひざまづいて祈ります。 歩くべ 1 スが速いうえに、標高が高くな あら るにつれて斜面が急になり、息が荒くなり しやめん 101 [ 3 ] ドルボの巡礼祭

7. チベットの聖なる山へ

人々は熱むに祈りをささげていた。 ツアカン・ゴンパ僧院にいってみました。 どうくっ 洞窟のようなところかと思ったら、僧院は 意外としつかりした建物でした。本堂も、 ほんかくてき りつばぶつぞう 立派な仏像がある本格的なものでした。本 めいそう おくそうぎぜん 堂の奥に僧が座禅をくんで瞑想する場所が じゅうしよく あり、住職はそこにいました。 ぶつきようと 「ばくも仏教徒ですが、いつも祈るわけで にちじよう もないし、日常のおこないも決してよくは ありません。そんな人間はいい来世をむか えられないのでしようね」とたずねると、 「そんなことはありません。自覚している のならば、これからはおこないをあらため て、まじめに生きればいいんですよ」とい います。 「来世とはなんなのですか」という質問に、 じかく い い 113 [ 3 ] ドルボの巡礼祭

8. チベットの聖なる山へ

トト、にを二、 ゞ、・ - もし・当ぎ第・ , 第、 - しン 村ごとに踊る人々。 最終日も雨でした。この日も歌と踊りが 続き、空き地を見つけては、みな歌ったり 踊ったりしています。みんな、のびのびと 本当に楽しそうです。 夕方になって、雨もあがりました。村ご とにいくつもの踊りの輪ができています。 巡礼者たちは、一二年に一度の祭りが終わ お るのを惜しむかのように踊りつつけていま した。 ◆ニマ・ラマに聞く しゆさいしゃ 巡礼祭が終わったあと、主宰者のひとり であるニマ・ラマに話を聞きました。ニ マ・ラマは、サキャ・ラマとともに、今回 たいわん せんでん の巡礼祭の資金集めと宣伝にあたり、台湾 しきん わ お ど 109 [ 3 ] ドルボの巡礼祭

9. チベットの聖なる山へ

◆ネパール到着 ネパールに入りました。メキシコ以来、ア がっしゅうこく メリカ合衆国、カナダ、ロシア、モンゴル、 中国と大きな国ばかり旅してきました。五年 間で六か国しか通っていません。ひさしぶり に月さな国に入りました。 ( 。一一二一 ( 亜熱帯の国の雰囲気がただよいます。ヒマ ちが ラヤの北と南の違いか、人々の顔が変わり、 いなさくぶんかけん 食べ物が変わりました。はじめて稲作文化圏 とうちゃく 七月一〇日、国境の町ジャンムーに到着。 も騒がしいほど活気にあふれた町でした。ヒマ 緑ラヤの南と北でさまざまな物がいきかいます。 ここで、いままで旅をともにしてきたマ・ジ ドンくんともお別れです。 ラ さわ こっきよう 87 [ 3 ] ドルボの巡礼祭

10. チベットの聖なる山へ

さと さまが誕生して、悟りをひらき、そして亡 くなった三つが重なる、チベット仏教にと じゅうよう かくち ってもっとも重要な日です。チベット各地 きよう せいち の聖地や僧院に人々が集まってお経を読み、 おど 「チャム」と呼ばれる踊りを舞います。 この日をめざして、聖なる山カイラスに じゅんれいしゃ も巡礼者たちがたくさん集まってきます。 そして、カイラス山のふもとのタルチェン 村ではサカダワ祭がおこなわれるのです。 サカダワ祭は、「タルチョー」というお ン経や馬の絵が描かれた白色または五色の旗 うす 物、 ? チや、「カタ」という薄いスカーフのような きぬぬのむす 絹布が結びつけられた、高さ一三メ 1 トル の大きな柱を年に一回新しいものに立てか ぎようじ える行事です。 トを たんじよう そういん 63 [ 2 ] カイラス山の巡礼祭