レザンティア - みる会図書館


検索対象: 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印
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1. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

「ナハルーンさま ? 」 「そうですね。 : どうでしようか。われわれとレザンティアに移るというのは」 「レザンティア ? 」 彼らの国だ。大陸の北部。 「そこでなら : : : あるいは。はっきりしたことは言えませんが、〈星〉の輝きがあるいは戻る かと」 「でも 皇太子と共になどと、かるがるしく決められない。 「わたしはかまわない。ナハルーンの占いは良く当たる。あなたがそうしたいのなら、幸福に なりたいのなら、喜んで宮廷に迎えよう」 エストウーサは微笑んだ。 「そうなさいますか ? 」 問われ、心が揺れた。レザンティアには、ここほどの〈機械〉はないだろう。少しは暮らし やすいのかもしれない。 行きます。 そういえば楽になるだろうと思いながら、即答できなかった。やっとたどり着いたここを、

2. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

た。ナイザのことだ。 表向きは、テ・クラッドで学んでいったレザンティアの〈機械工〉たちへの特別指導。 八区育ちの、生粋の〈機械人〉の指導など、またとない機会だった。レザンティアに、こと わる理由はない。 だが両者とも、この約束が駆け引きであることは心得ていた。処刑されたスパイがレザンテ ィアの者であったことは、周知の事実。 いしゆがえ ナイザを差し向けるのは、その意趣返しに過ぎない。 わかっていながら、どちらもそれを口にしなかった。 俺は俺のやり方でたたかう。 ナイザはヴュティーラに言った。 二人のレザンティア行きは、目的を異にしている。だが、それに反発するつもりはない。 正義はかならずしも一つではない。 「ヴュー」 ナイザに肘でつつかれ、ヴュティーラはうんざりした。期待するような眼差しは、おなじみ のことをやりたがっている。 る は「またあ ? 」 星 嫌な声を出したが、彼は気にしない。にこにことうなずく。 「病人がいるから、小さくね」 ひじ ぎっすい

3. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

目を伏せたまま、アキエは顔を上げられない。その蒼い目を見るのが怖かった。 「こたえよ」 男の声は怒るでもからかうでもなかった。ただ、事の真偽を欲している。 冷たくなった指を、アキエは握りしめた。奥歯を食いしばり、顔を上げる。 おんみ 「翼の紋章と、御身のお歳から察しますれば」 直接知っているのではなく、推測なのだと強調する。胃がわなないた。だれもーー、気づくな アキエはつづけた。声を震わせないよう苦心して。 よっ 「レザンティア帝国の、パズドリア皇家の、世継ぎの君さまかと」 カジャが目を剥く。レザンティア帝国の、ーーー皇太子 白金の男は、かすかに笑んでうなずいた。 「いかにも。わたしはレザンティア皇太子、エストウーサ・パズドリア。そなたたちに、用が あってまいった とーも 前置きはせぬ。わたしの供となり、テ・クラッド へ行かぬか ? 」 テ・クラッドリ どきりとする。なぜまた、その名が出るのかー

4. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

当時レザンティアには、五人の王子がいた。三人の母から生まれた王子たちの長兄が、世継 ぎの座に座っていた。 ほうむ 十五歳だったエストウーサは、第二皇子。その彼を皇太子にするために、兄皇子を闇に葬れ ナハルーンはあの時、アキエに占い盤を示した。星の位置が間違っている。エストウーサが 世継ぎにならぬかぎり、レザンティアの〈星〉は悪い道をたどるのだと。 メセネットの暗殺者は、いかなる理由であれ依頼を断らない。 みずか アキエも断らなかった。そして、自らの手でレザンティア皇太子を弑した。 占い盤が正されたと、ナハルーンは規定以上の額を礼として払った。彼の気持ちなどどうだ っていいと、アキエは気にもとめなかった。 0 っ ) 、 0 エストウーサが皇太子を継いだとたん、レザンティアの風向きが変わりはじめた。続いてい 」飢が収まり、穀物は嘘のように豊作に転じた。 とどこお わいろ ごうびよう 滞っていた工事が終わり、賄賂ばかりの領主が突然の業病で命を落とす。 治世にたまっていた不満が、河のように流れ薄まってゆく。人々に、笑顔が戻ってゆく。 偶然と呼んでしまえばそれだけのことを、アキエは〈偶然〉とは受け取らなかった。ナハル ーンは、まことの占い師なのだ。それも、エストウーサの星だけを占うように生まれついた。 みちび ナハルーンはエストウーサの星を読み、彼を導いてゆくのだ。彼の星を輝かせるためなら

5. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

幹部たちがはっとする。彼らがざわめくよりも早く、一人の従者の携帯していた通信機が鳴 取り上げた彼は、すぐに側にいた主に耳打ちした。主は顔色を変える。 「長老 ! レザンティアの飛行艇が、八区に着陸を要請しています ! 」 「レザンティアに」 空気が張り詰める。リカレドが動き、足早に男のもとに向かった。従者から通信機を奪い取 る。 「予定外のことみたいだ」 ナイザが耳打ちした。その彼の顔も、心なしかこわばっている。 レザンティア : ヴュティーラはばんやりと思い出した。世界一の大国で、フイゼルワルドには敵だったエス トリカを滅ばした国だということしか、知らない。 大国の飛行艇なら、テ・クラッドへの突然の訪問もあるのだと感心する。自国の飛行艇を持 っているのだ。 仕方ない。疑わしいとはいえ、む 「わかった。乗組員の数を訊け。仮票をそろえておく。 げに追い返すわけにはいかぬ ! 」 リカレドが通信相手をうなり飛ばす。幹部たちがそわそわとしだす。 「態勢を切り換えるぞ。八区全体に警戒を要請しろ」 る。 けいたい

6. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

181 星は踊る 「どういう意味 ? 訊ねると、ふたたびナイザは笑う。いま告げるつもりはないかのように。 「お姫様だから : : : かな」 ごまかしの言葉を、追及せずにおく。これ以上なにか聞いても、混乱するばかりだろう。 今の彼女には、自分自身さえわからない。 わたしはどうすればいいの ? 〈グリーヴィア〉として、ここで暮らすの ? 暮らしたい ( なにがしたいの ? ) 前方の空に、黒いしみが現れた。高度を下げながら近づいてくるそれは、白い外布を輝かせ た飛行艇になる。 「到着か」 いっそう 飛行港の動きが、一層慌ただしくなった。誘導され、レザンティアの飛行艇は、まっすぐヴ ュティーラたちのほうへ向かってくる。 彼女たちのいる部屋の、真下に着陸するのだろう。 いかり 錨が下ろされ、飛行艇がその腹を滑走路につけるのをふたりは黙って見ていた。 かっちゅう 内部から下ろされた階段を、白い甲冑の男性を先頭に人々が下りてくる。それを迎えに、 リカレドを中心とした評議会員が動く。 「レザンティア皇太子、エストウーサ・パズドリアだ」

7. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

208 ヴュティーラはうなずく。戦いに身を投じかけたまま、行くわけには、ゝよ、。 「わかりました。わたしは、共にレザンティアへ帰れるよう期待しています」 エストウーサが言い、静かにナハルーンが同意した。

8. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

大陸世界地図ー ~ 彡クイ彡 第第にマ レザンティア国 く神々の山脈〉と蜂ランシルヴァ テリア・ダッシリナ フイゼレワルド王城 ガスフィルド : ・ ラドの町 トランセッレノヾ タイガ川 0

9. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

アキエは日がなうつらうつらしている。 起こさぬようにとそっと、二人は人さし指を立てた。 けげん カジャが怪訝な顔をする。 「なんだよ ? 」 ないしょ 「内緒」 そろって横をむかれ、カジャはふてくされた。 「ああそうかよ」 「そうだよー ナイザがやり返す。そのまま、声をひそめた。 「いざ」 「ーーーレザンティアへ」 指を前方へ倒す。 カジャが鼻じろんだ。 それぞれの思いを乗せ、飛行艇はレザンティアへ向かってゆく おわり

10. 星は踊る : アル・ナグクルーンの刻印

レザンティア皇太子のお抱え占い師。全身をすつばり覆うファッションのため、声から男と わかる以外は不明。アキエと同業になりますが、術の系統は違うようです。 ( アキエはメセネ ットなので、メセネット流を使っている ) 。 イメージとしては、彼はスライムです ( ドラクエの ) 。仲間になってフィールドを歩いてい はず スーパーデフォルメ るときの横顔と弾み方が : 。わたしが書いた ()D のイメージイラストのせいなんです が。内輪なネタだな、こりや。あとでひぐらし便にその絵を載せましよう。 それで、もう一回脱線していい ? 占い師と言えばわたしにはつらい思い出が。今更ですが サターン 版プリメをやって、暗黒街のポスを育成していたのに、途中でグレて逮捕されたために せっとうだん けず しようふ ( 何で窃盗団の手引きなんかするのよおっⅡ ) 数値を削られ、結果はただの娼婦になってしま ったという。しくしく。せめて占い師でとどまって欲しかったのに : その③ウイラ・ジーン。 おそらくシリーズ中二番目に年寄りになる人 ( 最年長は四百歳のパーフィ・ラー ) です。と 言っても、長命種なので、人間の歳に直すと三十ちょっとくらいでしようか。マニキュアなん か塗 0 てるお洒さんですが ( 彼は 6 ) 、足の指だして、ふーふー乾かしてるのを想像すると 笑える。髪ながい人はってからやらないと、塗ったばかりのマニキュアにべっとりくつつい とたりするし ( 経験者 ) 。ああ、やつばり魔法で乾かすのかもしれない。 あ その④エストウーサ・パズドリア。 言わずと知れた ( 誰も知らないって ) レザンティアの皇太子。シリーズ中美人度は 21 です かか おお