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1. 墜落 第1巻 驚愕の真実

( 航空機と地上を結ぶデータ通信網 ) でメッセージを送った。そして周波数一二九・四五メガヘルツ で交信を要請、二分後にディスパッチは、 232 便と交信に成功した。 一五時一三分、管制官は乗員に「航空機がス 1 ・シティに向かって飛んでいる」ことを告げる。管 アファーマテイプ 制官は乗員に「スー・シティに行くほうをとるか」尋ねる。乗員は「その通り」と答えた。このとき 航空機はレイク・ビューとバトル・クリークの中間にいた ( 図 4 ・ 3 のの位置 ) 。 便に対し、航空交通管制 (<+0) によるレーダ 1 誘導が開始された。航空機はアイ ォワ州スー ・シティの、スー・ゲ 1 トウェイ空港に針路を誘導され始めた。 乗客は、エンジン機能停止直後、第二エンジンの機能停止を知らされた。 先任客室乗務員がコックピットに呼ばれた。彼女は、客室が緊急着陸に備えるよう告げられる。彼 女は客室に戻り、客室乗務員一人ひとりに、緊急着陸に備えるように告げた。 一五時二五分、乗員はディスパッチに、「のサンフランシスコ・メインテナンス施設 ()o ä) に直ちにコンタクトしたい」と要請、「メイディである」ことを伝えた。メイディとは、船舶・ 航空機が発する音声による無線救難信号である。 非番の }—0< ( 訓練審査官 ) 機長 ( コックピット・ポイス・レコーダー ) の録音が始まるのは一五時二六分四二秒である。こ のとき機長は、ス 1 ・シティのアプロ 1 チ・コントロールと交信していた。 O はここから、最後 2 2 2

2. 墜落 第1巻 驚愕の真実

油圧破壊からの生還ーー予想を超えた乗員の技量 一九八九年七月一九日午後、コロラド州デンバーのステープルトン国際空港を離陸したユナイテッ ー川ー川は、シカゴに向かって高度三万七〇〇〇フィート ( 約一万 ド・エアラインズの 2 3 2 便、 O 一三〇〇メートル ) を巡航していた。乗員乗客二九六名が搭乗していた。 離陸して一時間七分後の一五時一六分ごろ、尾部搭載の第二エンジンが爆発した。飛散したファン ・ディスクは三つある油圧系統のすべてを破壊、 QO ー川は舵面による操縦が不可能になった。 乗員は、たまたま乗り合わせていたユナイテッド・エアラインズの訓練審査担当の機長とともに、 協力して飛行の継続に努めた。残された制御の手段は、左右エンジンの推力を増減することだけであ っ一」 0 ー川は飛行特性が変化して、右へ旋回する傾向があった。それは左右エンジンの推力を非対称 にすることで、かろうじて防げる種類のものであった。また、経路は縦に大きく波打ち、この振動を 制御することは不可能だった。 ミネアポリスの航空路管制センターは、最初アイオワ州のデモイン国際空港へ同機を誘導しようと ・シティのスー・ゲートウェイ空港へ誘 した。しかし交信時の航空機の向きから、管制官は同州スー 導することを示唆した。 機長はこれを受け入れた。客室乗務員は事態を知らされ、着陸に備えた。乗員は燃料を投棄し、予 216

3. 墜落 第1巻 驚愕の真実

消防車再配置 これに先立つ一五時二五分、管制塔 ( コントロール・タワー ) は空港消防部に、 o ー川の緊急事 態を通報した。空港救難消防施設の車輛五台が急発進した。スー ・シティの消防部の車 輛も直ちに加わった。これは地域緊急対応計画の一環であった。 この間、管制塔から中継された情報は「航空機は空港まで届かないかもしれない。空港の南約五マ イル ( 約九キロ ) に墜落するかもしれない というものだった。 一五時四七分、防火主任はコントロール・タワーから、「航空機は空港まで届きそうだ。滑走路引 に着陸するだろう」と伝えられる。消防隊は直ちに滑走路沿いに展開、航空機の到着を待った。 一五時五九分、コントロール・タワーはに「 o ー川は滑走路でなく、滑走路に着陸 するだろう」と伝える。さらにタワーは防火主任に、「何台か車輛がー川の進入経路沿いにいる。 直ちに移動させよ、と通知する。 しかし航空機は衝撃と火災で破壊された。乗員、乗客は二九六名搭乗しており、一一一名が死亡、 四七名が重傷を負った。 死亡者は乗員一名、乗客一一〇名で計一一一名である。重傷者は乗員六名、乗客四一名 ( 一名は後 に死亡 ) で計四七名、軽傷者は乗員四名、乗客一二一名で計一二五名である。このほかに無傷の乗客 ( 乗員はなし ) が一三名いた。 238

4. 墜落 第1巻 驚愕の真実

航空機関士は「ハイドロ・クオンティがオール・ロスしてきちゃったですからなあ」と言った。四 系統フェイルの警報が出た場合、乗員はどう考えるか。当時私が取材した全員が、「警報のほうを疑 う」と答えた。 油圧がなければ舵が利かない。 これは B747 の乗員なら誰でも知っている。しかし油圧がなくて も、ほんのわずかながら舵が利いていると思うのは、むしろ自然のようである。風や、左右エンジン のわずかな非対称などから生ずる擾乱は、舵の利きと区別できない。そもそも乗員には、「尾翼がな い」ということがわからなかった。 しかしあえて個人的見解を述べれば、乗員は、舵が利いていないことに気づいてほしかった。緊急 時こそ、パイロットが真の力量を発揮すべきときである。彼らはこのために高給を食んでいる。私は そう思っている。 全系統の油圧が破壊されて飛べるか 123 便は、隔壁爆発後、操縦できたか。これについてはいろいろな議論がある。ここでは事故調 査委員会の考えを要約する。 事故機の操縦は、練習すれば上達する。しかし最初は制御できず、必ずひっくり返す。 飛行は空気抵抗が大きいほど、すなわち空気密度が大きいほど、容易である。早く降下させたほう が、フゴイド運動もダッチ・ロ 1 ル運動も、減衰が大きくなり制御が容易になる。

5. 墜落 第1巻 驚愕の真実

の三三分三四秒間の飛行を録音していた。 2 3 2 便と co の間の最初の交信が行われる。乗員はに 録音開始直後、一五時一一七分、 「全油圧システムが失われ、油量もない」ことを伝え、「できる限りの支援、を要請する。には 情報がなく、乗員に何も指示できない。 一五時二九分一五秒、客室乗務員の一人が機長に「ユナイテッド・エアラインズの 0 ー川の訓練 審査官 ( トレーニング・チェック・エアマン、 O < ) が、非番でファ 1 スト・クラス席に搭乗して いる。手伝いを申し出ている。ことを伝えた。この審査官は機長の資格を持ち、以下機長と記 す。 機長が応ずる。「オーケ 1 、操縦室に来させなさい 陸 一五時二九分三五秒、機長が操縦室に到着した ( 図 4 ・ 3 、の位置 ) 。 着 の 跡 奇 四人の乗員 機 匕ヒ ここでコックピットの乗員たちを紹介しておく。 御機長アルフレッド・ 0 ・ヘインズは五七歳、一九五六年にユナイテッド・エアラインズに雇用され た。での飛行時間は二万九九六七時間、その中の七一九〇時間をー川で飛んでいる。 四機長へインズは機種限定 ( 機種ごとの資格 ) がー川と B727 の定期運送用操縦士技能証明書 3 第 パイロット・サ 1 ティフイケイト ) と第一種航空身体検査証明書 ( ェアライン・トランスポート・

6. 墜落 第1巻 驚愕の真実

デンバ 1 のステ 1 プルトン国際空港を離陸した。途中ィリノイ州シカゴに着陸し、ペンシルべニア州 フィラデルフィアに向かう予定であった。乗客二八五名、乗員一一名が搭乗していた。 畠操縦 離陸して予定の巡航高度三万七〇〇〇フィ 1 トに上昇するまで、飛行は平穏無事であった。リ 士が操縦していた。オ 1 トパイロットがエンゲ 1 ジ ( 作動 ) され、オ 1 トスロットルはスピード・モ ードの二七〇ノット ( 速度を指示対気速度二七〇ノットに保持する ) で使用されていた。フライト・ プランではマッハ数〇・八三の巡航速度で飛行することになっていた。 離陸して一時間七分後の一五時一六分一〇秒、乗員は大きな、ドンという爆発音を聞いた。振動が 始まり、機体がぶるぶる震えた。乗員は、エンジン計器を点検し、後方の第二エンジン ( 尾部搭載の △印の地点 ) 。 エンジン、図 4 ・ 2 参照 ) が機能停止したことを知った ( 図 4 ・ 3 の右上、 陸 機長はエンジン停止のチェックリストを命じた。チェックリストを行っている間に航空機関士は、 着 跡機体の油圧系統の圧力計と油量計が、ともにゼロを指しているのに気づいた。 奇 副操縦士は「航空機を制御できない。右旋回で降下している」と言った。機長が操縦を代わり、航 機 空機が操縦入力に応答しないことを確認した。 ム月 御機長は第一エンジン ( 左翼のエンジン ) の推力を減じた。航空機はロールして、翼を水平にする姿 勢に戻った。 四乗員は空気駆動発電機を展開した。これは第一補助油圧ポンプに動力を供給する。そして油圧ポン プのスイッチをオンにした。しかし、油圧は回復しなかった。

7. 墜落 第1巻 驚愕の真実

酩酊した機長 一九七七年一月一三日早朝、日本航空の 8 0 5 4 ( 10 5 4 便 ) 、 O ー 8 ー ;-v がアラスカの アンカレッジ空港で離陸に失敗した。 ー 8 は高度約一〇〇フィート ( 約三〇メートル ) で失速して墜落、大破炎上した。ー 8 は米 国モーゼス・レイクから東京へ生きた牛を輸送していた。乗員三名、牛の取扱者二名の搭乗者全員が 死亡した。 原因は機長の酒酔い運転であった。浮揚時、機首上げ ( ローテーション ) の角速度が大きすぎ、ま た機首上げのピッチ角 ( 縦の姿勢角 ) も大きすぎた。最大ピッチ角は約一五度、最大迎角は約一八度 に達したと推測されている。 離陸前の気象状況から、ー 8 には翼面上に氷結が起きていた。翼の性能は揚カ係数で一五パ セント、失速迎角で二度程度劣化しており、これが事態を悪化させた。また機長はパフェッティング ( 失速警報の一つ ) を見落とし、回復操作もなかった。 機長の体内からは、多量のアルコールが検出された。酩酊の程度は、乗員をホテルから空港に運ん だタクシー運転手が空港の運航職員に通報するほどであった。さらに離陸前の地上走行で、機長は別 の滑走路に入り込んだ。そこで「離陸準備完了」とタワーに送信するほど、正常ではなかった。 この事故にはもう一つの側面がある。機長は五三歳のアメリカ人で、一方、副操縦士と航空機関士 めいてい

8. 墜落 第1巻 驚愕の真実

一五時四一分〇九秒、アプロ 1 チ管制官は 232 便に「緊急装置が待機している」ことを伝える。 一五時四一分五二秒、航空機関士が「客室乗務員が、一つの翼で損傷を見たと言っている」と報告 する。機関士は「後部に行って見てみようか」と尋ねる。機長が許可し、機関士は操縦室を離れる。 ダメ 1 ジ 陸 機関士は二分半ほどして戻り、「航空機の尾部に損傷がある」と報告する。機長が「それこそ、私 着 跡が考えていたことだ」と言う。 エンジニアリング 奇 一五時四五分、 co << が 2 3 2 便に「技術部がいま集まっている。進行を見守っている」と送信 シティに着 能してくる。 232 便はに「高度九〇〇〇フィ 1 ト ( 約二七〇〇メートル ) 、スー 御陸しようとしている」と伝える。 ォルターネート・プロシデュア 生巾 一五時四八分四三秒、脚が降ろされる。乗員はに「予備の方法で、脚下げを終了した」 四と伝える。この通信が、 232 便からの最後の送信となった ( 図 4 ・ 3 、の位置 ) 。 ・ハーネス ( 肩ベルト ) を 一五時四九分一一秒、機長はコックピットの乗員に、「ショルダー うまく脱出させられるかもわからない。『プレース、プレース、プレース』というシグナルを機 内放送する。これで客室の人たちに、着陸に備えるよう知らせる」と伝える。 プレース ( 強固にする ) とは、プレース・ポジションの意味である。不時着陸時に衝撃を小さくす る姿勢で、前方に体を折り曲げ足首をつかむ。 ダメージ 「航空機の尾部に損傷がある」 スタンバイ 229

9. 墜落 第1巻 驚愕の真実

くまがや 〇二キロ ) 、熊谷の西二五海里 ( 約四六キロ ) の地点」と伝えた。 一八時五五分〇五秒、東京アプローチは「羽田も横田も受け入れ可能である」旨送信、航空機関士 が「はい。了解しました」と答えた。 これが 123 便からの最後の送信となった。その後、東京アプローチおよび横田進入管制所の呼び かけに対し、 123 便は応答しなかった。 たの みくに 一八時五六分一一六秒ごろ、 123 便は群馬県多野郡上野村の山中に墜落した。場所は三国山 ( 群 馬、長野、埼玉の三県の県境に位置する ) の北北西約二・五キロの地点で、御巣鷹山の尾根であっ た。墜落地点の標高は約一五六五メートルで、機体は旋回しながら急降下、最後は西北西に飛行して 乗員・乗客五二〇名が死亡した。また乗客四名が重傷で救出された。 生存者は後部胴体の後方に座っていた。生存者に、衝突時の衝撃が致命傷に至らなかったのは、奇 跡的であった。 後部圧力隔壁の破壊 事故は圧力隔壁の爆発から始まった。その爆発音が「ドーン」である。爆発が起きたのは、旅客機 の客室 ( とコックピット ) 内の圧力が、高空では外気圧より高いからである。 ジェット機がエンジン性能を十分発揮するには、高い高度を巡航するほうが有利である。そのため

10. 墜落 第1巻 驚愕の真実

第一話は、「酔っぱらい運転、の話である。航空機ではまさかと思ったが、現実には起きた。幸い 貨物便で、犠牲者は少なかった。しかし酒酔い運転は、航空機でも自動車でも、同じように起こる。 第二話は、「急病による発作」の事例である。これも航空機と自動車で、同じように起こる。ただ し操縦者が一人の場合、航空機では致命的である。いや、必ずしもそうではない。予想を超える場合 もある。 第三話は、修理のミスが引き起こした悲劇である。これこそ、予想を超える大事故の典型であろ う。満員の乗客を乗せた大型機が「操縦不能」に陥った。このようなことが現実には起こる。 第四話は、「もう一つの操縦不能」事故である。機種は違うが、操縦不能という意味では同じ事故 が四年後に起きた。そして乗客の三分の二を生還させた。この機の乗員の技量は、まさに予想を超え このシリ 1 ズで航空機事故のいろいろな姿を、一般の方に知っていただきたいと考えている。記述 は事故報告書に従うが、細部は省略した。また論評を加えることは、できる限り控えた。記述のもと になった文献は、巻末に示される。 各話の最初の一項 ( 最初の小見出しのもとの記述 ) が、その事故の要約である。主要文献もそこに 示される。その次の小見出しから、事故機の飛行の概要が始まる。そして原因の記述に移る。各話こ ういう構成になっている。