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検索対象: 墜落 第1巻 驚愕の真実
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1. 墜落 第1巻 驚愕の真実

A 用語解説 ( アルファベット順 ) 用語解説 ( アルファベット順 ) ACARS (aircraft communications addressing and reporting system) ェアクラフト・コミュニケーションズ・アドレッシング・アンド・リポーテ イング・システム。航空機と地上の間で運航情報などを送受信するデータ通 信システム。通称ェーカーズ。 AD (airworthiness directive) ェアワーディネス・ディレクテイプ。耐 空性改善命令。 FAA ( 米連邦航空局 ) が航空機の点検や改善を要求する命 令。法的拘束力を持つ。 ADF (automatic direction finder) オートマティック・ディレクショ ン・ファインダー。自動方向探知器。地上の NDB ( 無指向性無線標識 ) か ら発射されている電波を受信し、電波の発信源の方向を探知する航法装置。 APU (auxiliarypowerunit) オーグジリャリー・パワー・ユニット。補 助ェンジン。推進用のエンジンとは別に搭載された補助動力装置。通常は飛 行中に使用されず、航空機が地上にいるときに空気圧、油圧、電力などを供 給する。 ARTS (automated radar terminal system) オートメーテッド・レーダ ・ターミナル・システム。ターミナル管制情報処理システム。直接電波を 照射して目標の位置を確かめる一次レーダーに加え、航空機に搭載されてい るトランスポンダー ( レーダー応答装置 ) が送り返す電波を利用する二次レ ーダーから得た情報をコンピューターで処理し、航空機便名、飛行高度、対 地速度などを表示する装置。通称アーツ。 ATC (air traffic control) 工ア・トラフィック・コントロール。航空交 通管制。航空機が安全に効率よく運航できるよう離着陸の順序や時間、飛行 経路、気象状況などの情報を提供する業務。 ATIS (automatic terminal information service) オートマティック・タ ミナル・インフォメーション・サービス。飛行場情報放送。気象情報や使 用滑走路、進入方式など、航空機の離着陸時に必要な空港の情報を放送する サービス。 27 ラ

2. 墜落 第1巻 驚愕の真実

C D E F CVR (cockpit voice recorder) コックピット・ポイス・レコーダー。操 縦室音声記録装置。無線による航空管制機関との交信、操縦室内の乗務員同 士の会話、客室乗務員との会話などを記録する。通常、 30 分のエンドレス・ テープが使用され、常に最終の 30 分の音声が録音される。 FDR ( フライ ト・データ・レコーダー ) と同じく、航空機の事故調査用の機器である。火 災や衝撃に耐えられるよう耐熱・耐衝撃構造がとられている。 DFDR (digital flight data recorder) デジタル・フライト・データ・レ コーダー。アナログ式の FDR ( フライト・データ・レコーダー ) に記録さ れるデータ ( 高度、対気速度、機首方位、垂直加速度、時間など ) に加え、 機体の姿勢、舵面の動き、エンジン推力の状況といったデータを磁気テープ にデジタル式で記録する。航空機のシステムの複雑化に対応するため、 70 年 代以降に使用されるようになった。 DM E (distance measuring equipment) ディスタンス・メジャーリン グ・イクイップメント。距離測定装置。航空機から特定の地上局までの距離 を測定する。航空機から質問電波を発射し、それを受けた地上局から自動的 に発信される応答電波が航空機に達するまでの経過時間から距離を算出す る。 EPR (engine pressure ratio) 工ンジン・プレッシャー・レシオ。工ンジ ン推力の目安。ェンジン排気の圧力を、吸い込む空気の圧力 ( 圧縮機入り口 圧力 ) で割った値。 FAA (Federal Aviation Administration) フェデラノレ・エビエーショ ン・アドミニストレーション。米連邦航空局。アメリカの航空行政当局。 1958 年に設立された連邦航空機関が 66 年、運輸省の設置に伴い改組されたも の。 FDR (flight data recorder) フライト・データ・レコーダー。飛行記録 装置。高度、対気速度、機首方位、垂直加速度、時間などのデータを記録す る。記録方式は、ステンレス・テープにダイヤモンド針で刻まれるアナログ 式。デジタル式の DFDR ( デジタル・フライト・データ・レコーダー ) は、 機体の姿勢、舵面の動き、エンジン推力の状況といったデータも記録でき る。 CVR ( コックピット・ポイス・レコーダー ) と同じく、航空機の事故 調査用の機器。火災や衝撃に耐えられるよう耐熱・耐衝撃構造がとられてい 274

3. 墜落 第1巻 驚愕の真実

( 長い時間をかけて ) 航空機は元の釣り合い速度に戻る。 このように推力増加は、航空機を上昇させる。逆に推カ減少は、航空機を下降させる。航空機で は、推カ変化は縦の経路角を変化させる。 飛行には、経路を横に曲げることも必要である。そのためには、航空機を横に傾ける。こうして、 曲がりたい方向に揚力を傾ける。そのためには補助翼 ( エルロン ) および内側スポイラー ( インボ 1 ド・スポイラー ) が使われる。 風見安定 航空機はまた、風をはじめとする各種の擾乱を受ける。これによって姿勢 ( すなわち迎角 ) や速度 陸などが乱される。それを修正するために、各種の舵面が用いられる。 跡舵面には、すでに述べた昇降舵、補助翼のほかに、方向舵 ( ラダ↓がある。さらに抵抗や揚力を 奇 変化させるためのスポイラーがある。 能また翼面積を等価的に増大させる ( 離着陸速度を小さくするための ) スラットとフラップがある。 御スラットとフラップは、通常一つのレバ 1 で同時に出し入れされる。 さらに航空機では、釣り合い状態を積極的に維持するために、風見安定とよばれる性質が付与され 四ている。風見安定とは、航空機が勝手に ( 例えば手ばなし飛行で ) 機首を風上に向ける性質である。 風見安定は、主に水平尾翼と垂直尾翼によって与えられる。この性質により、釣り合い迎角は自動 じようらん 253

4. 墜落 第1巻 驚愕の真実

第一話は、「酔っぱらい運転、の話である。航空機ではまさかと思ったが、現実には起きた。幸い 貨物便で、犠牲者は少なかった。しかし酒酔い運転は、航空機でも自動車でも、同じように起こる。 第二話は、「急病による発作」の事例である。これも航空機と自動車で、同じように起こる。ただ し操縦者が一人の場合、航空機では致命的である。いや、必ずしもそうではない。予想を超える場合 もある。 第三話は、修理のミスが引き起こした悲劇である。これこそ、予想を超える大事故の典型であろ う。満員の乗客を乗せた大型機が「操縦不能」に陥った。このようなことが現実には起こる。 第四話は、「もう一つの操縦不能」事故である。機種は違うが、操縦不能という意味では同じ事故 が四年後に起きた。そして乗客の三分の二を生還させた。この機の乗員の技量は、まさに予想を超え このシリ 1 ズで航空機事故のいろいろな姿を、一般の方に知っていただきたいと考えている。記述 は事故報告書に従うが、細部は省略した。また論評を加えることは、できる限り控えた。記述のもと になった文献は、巻末に示される。 各話の最初の一項 ( 最初の小見出しのもとの記述 ) が、その事故の要約である。主要文献もそこに 示される。その次の小見出しから、事故機の飛行の概要が始まる。そして原因の記述に移る。各話こ ういう構成になっている。

5. 墜落 第1巻 驚愕の真実

( 航空機と地上を結ぶデータ通信網 ) でメッセージを送った。そして周波数一二九・四五メガヘルツ で交信を要請、二分後にディスパッチは、 232 便と交信に成功した。 一五時一三分、管制官は乗員に「航空機がス 1 ・シティに向かって飛んでいる」ことを告げる。管 アファーマテイプ 制官は乗員に「スー・シティに行くほうをとるか」尋ねる。乗員は「その通り」と答えた。このとき 航空機はレイク・ビューとバトル・クリークの中間にいた ( 図 4 ・ 3 のの位置 ) 。 便に対し、航空交通管制 (<+0) によるレーダ 1 誘導が開始された。航空機はアイ ォワ州スー ・シティの、スー・ゲ 1 トウェイ空港に針路を誘導され始めた。 乗客は、エンジン機能停止直後、第二エンジンの機能停止を知らされた。 先任客室乗務員がコックピットに呼ばれた。彼女は、客室が緊急着陸に備えるよう告げられる。彼 女は客室に戻り、客室乗務員一人ひとりに、緊急着陸に備えるように告げた。 一五時二五分、乗員はディスパッチに、「のサンフランシスコ・メインテナンス施設 ()o ä) に直ちにコンタクトしたい」と要請、「メイディである」ことを伝えた。メイディとは、船舶・ 航空機が発する音声による無線救難信号である。 非番の }—0< ( 訓練審査官 ) 機長 ( コックピット・ポイス・レコーダー ) の録音が始まるのは一五時二六分四二秒である。こ のとき機長は、ス 1 ・シティのアプロ 1 チ・コントロールと交信していた。 O はここから、最後 2 2 2

6. 墜落 第1巻 驚愕の真実

あ行 か行 さ行 用語解説 ( 五十音順 ) アンチ・スキッド (anti-skid) 航空機が着陸した後、急プレーキをかけ ても自動的にプレーキの利きを調整し、滑りを防止する装置。 オートスロットル (autothrottle) 自動推力調整装置。自動的にエンジン のパワーを調節する装置。設定された速度や上昇率を保持するよう推力を調 節したり、着陸復行時に推力を自動的に増大させたりする。 オートバイロット (autopilot) 自動操縦装置。機体姿勢、高度、方向な どを保持し、自動的に飛行を制御する装置。現在では、進入着陸の自動化な ど複雑な機能も備える。 隔壁 (bulkhead) 航空機の胴体を仕切る壁。 風のシア (wind shear) ウインド・シア。風向、風速が水平または垂直 方向に変化する気象現象。 管制承認 (clearance) クリアランス。飛行計画を承認すること。なお、 飛行計画をはじめ、離陸、進入、着陸などに対して与えられる承認もクリア ランスだが、これは管制許可という。 ギア (gear, landing gear) ランディング・ギア。着陸装置。航空機が離 着陸する際に使用される装置。「脚」とよばれることが多い。通常は前脚と 主脚で構成される。 迎角 (angle of attack) 本来は気流と翼のなす角度で、迎え角ともいう。 本書では通常、気流と胴体軸のなす角度の意味で用いる。低速で飛行すると きには、揚力が増すため機首を上げて迎角を大きくする。 抗力 (drag) 航空機が空気中を進行するときに、前進に対抗する空気の 力のこと。航空機を減速させる方向に作用するため、前進するためには推カ が必要になる。 コール・サイン (call sign) 呼び出し符号。航空機が航空管制機関などと 通信する際の符号のこと。 失速 (stall) ストール。迎角を限界以上に大きくすると、気流が翼面か ら剥離し、揚力が減少して抗力が増大する。この現象を失速という。 270

7. 墜落 第1巻 驚愕の真実

アイ・キャント・プル・ゼム・オフ o < 機長「いや、スロットルは引けない。そうしたら失敗する。スロットルが ( 航空機を ) まっ すぐ向けるんだ、おい」 ・四秒後 レフト 副操縦士「左、アル」、「左、スロットル」、「左」、「左ー ・一六時〇〇分〇九秒 別の対地接近警報が鳴り始める。 ウイ・ア 1 ・ターニング 副操縦士「曲がっている。曲がっている。曲がっている 一六時〇〇分一六秒 衝撃音。 陸 着 跡生存者、一八五名 奇 一六時〇〇分一六秒、航空機は滑走路の終端、センタ 1 ラインのやや左側に着地した。 機 ヒヒ 最初に右翼端が地面に接触し、次に右主脚が接地した。航空機は滑走路の右側に横滑りし、ロール 御して裏返しになった。 目撃者によれば、航空機が発火し、横とんば返りし、滑走路葺 ( あるいは西を横切り、停止し 四た。 第 消火活動と救出活動が直ちに開始された。 237

8. 墜落 第1巻 驚愕の真実

釣り合いと操縦 最後に、舵面の動かない航空機の飛行を解説したい。そのために、まず飛行力学の基本から始め 水平定常飛行では、航空機に働くすべての力が釣り合っている。すなわち推力と抗力が、また揚カ と重力が、それぞれ釣り合っている。 ある航空機について、操縦桿の位置を固定すると、釣り合いを実現する迎角は一つしかない。迎角 とは、主翼と気流のなす角である。通常は胴体軸と飛行方向 ( 重心の速度 ) のなす角として定義され る。 ハイロット ( ないしオートパイロット ) は、迎角を変えるために、昇降舵 ( エレベーター ) を動か す。大型機では、それに付随して、水平安定板 ( 水平尾翼の主要部 ) も取り付け角を変える。こうし て、迎角を変化させる。 操縦とは、基本的には、昇降舵で迎角を変え、釣り合い状態を変えることである。揚力は、迎角と 速度の二乗の積に比例する。その揚力は重量に一致しなければならない。迎角を変えることは、速度 を変えることにほかならない この状態から推力を増すと、航空機の速度は一時的に増加する。そして速度増加で揚力を増した航 空機は、上昇に移る。しかし昇降舵を動かさなければ、釣り合い迎角は変わらない。放置すれば、 る。 2 5 2

9. 墜落 第1巻 驚愕の真実

と考えられる」と結論している。 左右エンジン推力の同時増減 事故機の飛行で、乗員がただ一つ行った積極的飛行制御は、推力の増減であった。それも非対称の 推力でなく、左右エンジンの推力を同時に増減するタイプの制御であった。これがどのような意味を 持つか。最後に解説したい。 しかしそれを行うには、まず風見安定について述べなければならない。航空機に付与される諸々の 特性のうち、飛行制御上最も重要なものは風見安定である。風見安定とは、機首が風上を向く性質で 落ある。 風見安定の最も単純な例は、風向計である。風向計は常に風上を向く。その性質は、後尾にある羽 山 鷹 によって作り出される。航空機では、垂直尾翼と水平尾翼がその役割を担う。前者は方向の、後者は 巣 御 縦の、風見安定にそれぞれ寄与する。 〇例えば航空機が機首を横に振ったとする。すると風 ( 相対速度 ) は、機体対称面に斜めに吹き込ん 走でくる。この角度を横滑り角といい、機体は横滑りしているという。 迷 厳密には横滑りと機首の左右振り ( ヨー ) とは異なる。図 3 ・を参照されたい。 この図の横滑り 三角滝をゼロに戻そうとする性質が、方向の風見安定である。方向の静安定ともいう。 同様に、航空機が機首を上下に振ったとする。すると風 ( 相対速度 ) の方向が ( 上下に ) 変化す 199

10. 墜落 第1巻 驚愕の真実

ーんノ′ノ 上昇するにつれ、速度は減少する。しかし惰性で、 釣り合い速度を通り越して減少する。すると今度は揚 力が減少し、航空機は降下に移る。 降下した航空機は、速度を増す。そして惰性で、再 例 機び釣り合い速度を通り越す。速度を得た航空機は、再 行 形び上昇する。 模この運動を遠くから見ると、経路が波打って見え ドる。その運動はジェット・コースターが、経路を上下 モするとき速度を増減させるのと似ている ( 図 4 ・川 ) 。 イ ゴ ニ 05 四 0 秒の遅れ フ この振動を減衰させるのは、空気抵抗である。それ も、速度の変動に対する抵抗の変化分だけが効く。よ 図ってほとんど減衰しない。 正常機であれば、この運動を抑止するのは容易であ る。フゴイド運動には縦のピッチ角 ( 姿勢角 ) 変化が 連成している。パイロットはピッチ角を制御すること 258