・サンゴッタルド峠越え道 ) ト 写真 / 上 : ウィリアムテル・エクス プレス用のパノラマ車両はシートの フリュエレンからは列車に乗り換えるが、駅は桟橋から約 位置が高く、広い窓いつばいに谷間 の風景か続く下 : チューリヒ中央 2 m しか離れていないので迷うことはない。約 20 分後、ル 丿レ 駅前のアフルレッド・エッシャー像 ツェルン方面からのロカルノ行き IR が到着。この列車がウィ リアムテル・エクスプレスとして指定されている。いよいよ 彼はトンネル建設後、鉄道で得た フリュエレンを出発した列車はロイス川の広い谷を走って 利益を現在ではスイス有数の大学 いく。アルトドルフ td 。 rf. 、エルストフェルド ErstfeId を過ぎ のひとっとなった ETH ( チューリ たあたりから両側に山が近づき、サンゴッタルド峠に向けて ヒ工科大学 ) の設立費用などにあ の本格的な上りとなる。実はこの地域はスイス建国の歴史に てた。その業績を評価しチューリ 深く関わった地域。南の地中海貿易圏と北の北海貿易圏を結 ヒ中央駅のそば、バーンホフ通り に面した出口の噴水の上には彼の ぶ最短ルートとして 13 世紀に峠が開削されて以来、アルプス 銅像が立っている。 を越える物資や人はここに集中した。その利権を巡り地元と ハプスプルク家が対立。幾度かの戦いを経て、地元が勝利。 街道沿いのウーリ、オーノヾーヴァルト、シュヴィーツの 3 州が 独立を旦言し、ハプスカレク家からの独立に成功した。 1291 年、スイス同盟の誕生である。 そのサンゴッタルド街道に沿って鉄道を建設したのが、ア ルフレッド・エッシャーだ。彼はスイスで初めて銀行を設立 し、サンゴッタルド峠のトンネル建設費用を賄った。 アルフレッド・エッシャー
わたしは歹いー車で行く 地球の歩き方 BYTRAIN 海外の鉄道は、移動手段として便利で快適なだけでなく 旅そのものの楽しみがあります。 TGV や ICE といった高速鉄道、アルプスの谷間を走る登山電車 何十両もの客車を従えて疾走するアムトラック、国境を越える国際線。 郊外電車に揺られていなかを訪ねるのも楽しいものです。 「地球の歩き方」は、ヨーロッパはじめ世界の鉄道の旅を全面的にサポート。 旅の楽しさを広げます。 ヨーロッパ鉄道の旅 1785 円 2 スイス鉄道の旅 1890 円 3 ドイツ & オーストリア鉄道の旅 1890 円 - 地・のき第 物の第き第 フランス ヨーロッノヾ 鉄道の旅 ロ′ー 0 、ツ物強の 第と第贏灰、スてヨうハを ! ハリ興気軽な列物とっておきの 37 ルート 0 フランス鉄道の旅 1890 円 6 イギリス鉄道の旅 1890 円 6 イタリア鉄道の旅 1890 円 2 スへイン & ホルトガル鉄道の旅 1890 円 住北米大陸鉄道の旅 1890 円 世界の高速列車 EUROPEAN TIMETABLE トマスクック働 4 ” - ー新を編 ヨーロッハ鉄道時刻表 ハラティーノ考の 世界 20 カ国、 70 タイプ 高速列車の大図鑑 ヨーロッパ鉄道ハンドブック 128 円 トーマスクックヨーロッパ鉄道時刻表 日本語解説版 円日本語版は 6 、 12 月の年 2 回発行 地球の歩き方 BOOKS 世界の高速列車 2625 円 をの高・無第のす′、て物を・ 第・ 7 , ン・宿の一第てす 価格は税込です
った断崖絶壁の中を、短いトンネルと鉄橋を交互に通りぬけて いく。やがて谷が開け、右側から近づいてきたシュポール川を 渡るとツェルネッツ rn に到着する ツェルネッツはスイスて羽隹ーの国立公園への入口。どこの風 景を切り取っても国立公園に相応しいと思われるスイスだが、 実は国立公園として指定されている場所は 1 ヵ所しかない。こ こからオッフェン峠を越えてイタリアへ至るこの地域だけが、 Susch スーシュ駅 Zernez ツェルネッツ駅 ZUOZ ツオーツ駅 まったく人の手が入らない自然のままのアルプスが保たれてい る。川は氾濫するにまかせ、公園内を通過する国道は 1 本だけ。 2009 年 10 月現在、アルデッツ ~ シュクオル間で工事が行われてい ハイキング道も制限されており、それ以外の場所への人の立ち るため、列車は運行を停止してい 入りは厳しく制限されている。ツェルネッツ駅からはポストノヾ る。アルデッツからバスに乗り換 スが国立公園との間を結んでいる。 えてシュクオルへ行くことができ ツェルネッツを出発すると、再びイン川の北側を走る。次の る。所要約 12 分。 スーシュ susch はダヴォスへ抜けるフリュエラ峠街道の入口の 村。そして次の駅サグリアインス sagliains が、フェライナ・ト ンネルの入口駅となる。クロスターズやラントクアルト方面へ はこの駅で乗り換えとなる。列車は接続しており、駅に到着す るとすぐにシュクオル始発のラントクアルト行きの急行がやっ 写真 / 左上 : メルヘンの世界に迷い込 んだようなグアルダの町並み右上 : て来る。車をそのまま貨車に積み込んでトンネルを越えるカー ツェルネッツ駅。ここから国立公園へ トレインも利用でき、一番端のホームにカートレイン用の貨車 行くにはポストバスに乗り換える下 : 重ね塗りした漆喰の壁の表面を、金属 やその列車の到着を待っ車の列が見られる。カートレインを利 で引っかくようにして模様を描くスグ 用すれば、クロスターズまではトンネルを越えて約 20 分だ ラフィット アルデッツからはバスで 150
を利用した古いものだ。駅を出たらメインストリートを真っす ぐに進んでツェーリンゲン橋まで行き、断崖絶壁に建つ家や川 の景色を楽しもう。その後は、川沿いのドイツ語圏の旧市街を 歩くのがおすすめ。旧市街も含めて 2 時間もあれは澈策できる。 フリプールからローザンヌへは、 IC 特急だとノンストップで 約 45 分。 IR 急行だと約 50 分で到着する。この区間の見どころ は、 287 年に世界文化遺産に登録された「ラヴォー地区のブド 途中下車の旅 Lausanne ローサンヌ駅 ウ畑」の風景だ。ローザンヌからモントルーまでの間、レマン 湖畔の丘陵にはブドウ農家の村が点在し、一面のブドウ畑が続 く。フリプールからローザンヌへ向かう列車も一部この区間を 通る。 フリプールから約 30 分、ヒュイドウー・シェープル P ⅲ d Ⅸ - Chexbres 駅 ( 特急も急行も停まらない ) を通過すると、列車は右 へ大きくカープし小さなトンネルを抜ける。突然、進行方向左 側の車窓にレマン湖がいつばいに広がる。はるか彼方のジュネ ーヴまで続く大きなレマン湖が眼下に横たわり、その後ろには 写真 / P. 136 左 : 中世の趣を残すべ フレンチアルプスがそびえる。湖の対岸はフランスだ。そして、 ルン旧市街のクラム通り右 : モダン レマン湖に続く南向きの斜面には見事なブドウ畑カ昿がる。約 なベルン駅からスタート P. 137 左 : ブドウ畑が世界遺産に登録 10 分という短い間だが、その風景の美しさにはうっとりとさせ されたラヴォー地区右 : 赤い屋根の られる。最初は約 28m もあった湖との高低差が縮まり、湖畔 家が特徴的なフリブールの町並み。サ リーヌ川を境にドイツ語圏とフランス を走るプリーク、ミラノ方面からのスイス国鉄の線路が近づい 語圏が分かれる下 : ローサンヌにあ てきたら、ローザンヌ駅に到着する。 るオリンピック博物館
フォアアルペン・エクスプレス 典型的なスイスの風景が車窓に流れる Luzern St. GaIIen Romanshorn Text by Kazuya Nemot0 写真 / P. 120 上 : ルツェルン駅に停 車中のフォアアルペン・エクスプレ ス中 : 1 等車両のシートのカバー には列車名の刺繍が下 : 木製のシ ートは列車のシンポルカラー、青と 緑のカラーリング P. 121 上 : ラッパースヴィルの旧市 街をバックに駅を出発するフォアア ルペン・エクスプレス。趣のある旧 市街、おしゃれな湖畔の町並み、湖 を渡る長い橋など見どころが多く、 途中 1 ヵ所途中下車するなら、一番 のおすすめ下 : ツーク湖畔を通過 中の車窓から景色を楽しむ 091 ・予約不要、途中下車カ礫い璟勝路線 グレッシャー・エクスプレスやベルニナ・エクスプレスな ど、アルプスや氷河のドラマチックな車窓風景が楽しめる世 界に知られたシーニック・ルートがある一方、特筆するもの はないが、箱庭のように美しい、スイスの普通の町並みや牧 草地の風景を楽しむための景勝路線もある。その代表が、ス イス中央部のルツェルンと、ドイツ国境にあるポーデン湖畔 の町ロマンスホルン R 。 mansh 。 rn を、約 2 時間 45 分で結ぶフォ アアルペン・エクスプレスだ 途中、フィーアヴァルトシュテッター湖をはじめ、ツーク 湖、チューリヒ湖、ポーデン湖といったさまざまな湖の傍を \ ツ 通り過ぎ、北部スイス丘陵地帯の牧歌的な風景の中を走り、 幾多の小さな町に出合う。もちろん普通列車に乗ればいつで も楽しめる風景だが、このルートには、毎日、専用の車両が あてがわれた特急列車が「フォアアルペン・エクスプレス」の 名前で運行している。車両自体は新しくないが美しく改装さ れており、内装は木目を基調とした落ち着いた雰囲気。スイ スの鉄道には珍しく、飲み物の自販機なども備え付けられて いる。ほば 1 時間ごとにルツェルンとロマンスホルンから出発 し、座席指定も必要なく気軽に乗車できる。 物第物 4
ー」一し 4 こ 登山列車の旅 ・山頂展望台からの感動的な挑め トンネルを抜けると突然、大パノラマが開ける。さきほど はるかに見上げた尾根へ上がったのだ。足元には、ノコギリ のような稜線の向こうに湖とアルプスが顔を出している。 まもなくプリエンツアー・ロートホルン Brienzer Ro 市 orn に 到着。早速、山頂を目指して 15 分ほど登ろう。標高 2350m の 山頂展望台からはベルナー・オーバーラントの山々が遠望で きる。グリンデルワルトの村の奥にそびえていたヴェッター ' では主役。ピラミッド型をしたアイガー北壁 ホルンが、こ の大きさにも驚かされる。振り返れば、駅舎とホテルが非常 に狭い尾根に建っているのがわかる。付近には、長いツノを 持った野生のアイベックスもすんでいる。 帰りは高山植物の花が咲く道をプランアルプまで約 2 時間 歩いてみてはどうだろう。草原のなかを行く SL をゆっくりと 写真に収めることもできる。さらにプリエンツまで歩いて下 るなら、約 3 時間半をみておこう。 写真 / 左 : ロートホルン山頂のホテ ルと、その先に延びるハイキングコ ース。鉄道の運行終了後、静かな山 頂でタ日やご来光が楽しめるのは山 岳ホテル宿泊者の特権右 : 山岳ホ テルに併設されたレストランのテラ スからの眺め。ホテルに泊まらなく ても、せめてここで食事をとりたい プリエンツ・ロ 1 トホルン鉄道 Brienz-Rothorn-Bahn(BRB) ・所要時間 丿工ンツア一トホルン 第 n 「 RO 物 orn ブリエンツ ~ ブリエンツアー・ロートホルン約 1 時間。運行は 5 月下旬 ~ 10 月下旬の毎日 ・乗車券 全席自由席。スイスパスで 50 % 割引 ・予約 予約はできないので、夏休み中などは早めに行って行列に並ば う。それでも乗り切れないこともあり、ヒ。ーク時にはチケット 売り場で予約カードを渡されることがある ・その他 進行方向左側の座席がおすすめ。荒天による運休あり。また極 端に乗客が少ない場合も運休することがある ・ウェブサイト 'WWW. brienz-rothorn-bahn. ch プランアルプ インターラーケンへ← ぐ イリンゲ お、 プリエンツ湖 087
イロロ r 。 I 。に到着だ。サンゴッタルド・トンネルの工事て義 牲になった 10 名の追悼碑がトンネルのそばにある。 アイロロを過ぎるとべリンツォーナに向け、途中 2 回のル ープトンネルを通り過ぎて一気に下っていく。窓の外にブド ウ畑が現れ始め、アルプスの北側とは明らかに景色が違うの が分かるだろう。谷を抜け山並みが遠くに見えるようになる と、べリンツォーナに到着。テイチーノ州の州都で、世界遺 産に登録された城塞があることでも知られている。 ここで線路はふた手に分かれ、一方はこれから進むロカル ノへ。もう一方はルガーノを通り、そのままイタリアのコモ を通ってミラノへ向かう。ここからミラノまでは 2 時間弱の 道のりだ。列車はべリンツォーナを出発すると、ロカルノ湖 を左に見ながら進んで行く。べリンツォーナから終点のロカ ルノまでは約 20 分。ここから先へは遊覧船、またはチェント ヴァッリ鉄道 ( → P132 ) に乗り換えて行くことが可能だ。 写真 / 左 : ロカルノ駅からマッショ ーレ湖畔の遊歩道まで徒歩数分 上 : べリンツォーナの世界遺産、モ ンテべッロ城の城壁下 : ウィリア ムテル・エクスプレスのパッケージ に含まれる記念品 ( 小冊子と小型ア ーナイフ ) 亠ウィリアムテル・エクスプレス WiIIiam TeII Express ーアヴァト フリュエレン シュテッター湖 Fluelen ェル、 Luzer ・所要時問 ルツェルン ~ フリュエレン約 2 時間 45 分、フリュエレン ~ ロカ ルノ約 2 時間。ルガーノへ行く場合はべリンツォーナで乗り換 える。 5 ~ 10 月のみ運行。 1 日 2 便 ・乗車券 乗車券もしくは鉄道パス ( スイスパス、ユーレイルグローバル パス、ユーレイルセレクトパス ) が必要 パッケージの料金は CHF166 。半額カードまたはスイスカード 所持で CHF102.50 、 1 等のユーレイルグローバルバスまたはス イスパス所持で CHF39 ・予約 食事と記念品付きのパッケージは完全予約制 ・ウェブサイト 第、Ⅷ軅 . wilhelmtellexpress. ch 0 30km →クールへ ゲッシエネン GÖschenen アンデルマット Andermatt サンゴッタルド・トンネル ブリークへ / ペリンツォーナ ællinzona ロカルノ Locarno ltaly ルガーノへ
一マ 写真 / P98 : 鉄道とは思えない傾斜 を上る列車 P99 左 : 山頂からご来 光を眺める右 : 帰りはロープウェ イを使って下りたい 登山列車の旅 0 お得なチケット こで紹 ピラトウスに上るには、 介する登山列車のほか、ロープ フ ウェイを使うこともできる。列 ト 車は南側から、ロープウェイは ウ り、谷側 ( 左側 ) は数十 m の切り立った崖。車窓からは線路の ス 北側からアプローチすることにな 下が見えない。よくこんなところに線路を敷いたものだと感 るので、それぞれ違った景色が 山 鉄 楽しめる。往復で異なる交通手 心させられる。最後に大きな岩を右側に回り込むように上る 道 段を使うのがここではおすすめ と、ホテル・ベルビューの下に張り出したように作られた終 だ。ルツェルンを起点に動くの 点に到着する。 であれば上りに列車を使い、下 列車を降りたら山頂から雄大な風景を楽しもう。独立峰だ りはロープウェイを、ピラトウス けあって足下に広がる青い湖から、遠くに連なるアルプスの のあとに別の場所に移動するな ら、鉄道駅への乗り換えが容易 山並みまで、周囲に遮るものはない。また山頂にはふたつの な列車を下りに使うのがいいだ 山岳ホテルとレストランがあるので、ゆっくり食事をするの ろう。そんな人のためにロープウ もいい。山頂の反対側からクリエンス Kriens を経由してルツ 工イと登山列車がセットになっ ェルンに戻るロープウェイとゴンドラのルートもあるので、往 た、お得なチケットが発売され 復を別々にして周遊するのもおすすめだ。 ている。 PiIatus bahn(PB) 1 クリエンス ビラトウス・ク ) ム Pllatuskutm ・所要時間 アルブナハシュタット ~ ピラトウス・クルム約 30 分。 5 月中旬 から 11 月中旬の運行 ・乗車券 。ー乗車券か必要。鉄道パス ( スイスパス、ユーレイルグローバルバ ス ) の割引あり ・座席予約 特になし。夏のシーズン中の午前中などはけっこう混雑す るので、少し早めに行って並んだほうが無難 ・その他 ピラトウスにはベルビューのほかに、展望台から少し離れた所 に建つピラトウス・クルムというホテルがある。 1900 年に建て られた歴史的なホテルだ ・ウェブサイト •www.pilatus.ch アムジゲン AmsIgen フィーアヴァルト シュテッター アルブナハシタット Alpnach 099
アナウンスでわかる言語圏 スイスでは列車のアナウンスで、 現在どの言語圏を移動している かがすぐわかる。というのも第一 声は、必ずその言語圏の言葉で 始まるからだ。ドイツ語での第 一声がフランス語に変われば、 語圏が変わった証拠だ。車掌に よってはドイツ語、フランス語、 イタリア語、英語とよどみなく アナウンスする人もいる。ロマン シュ語以外のスイスの公用語 3 つを話せないと、スイスの鉄道 の車掌にはなれないという。 クラシックなデザインの駅舎が多いが、ベルンの駅はとてもモダンな外観 れた時刻表などに使われる言語はひとつだけ。複数の言語で 併記されていることはあまりない。首都ベルン駅の出発表示 は独、仏、伊で書かれているが、やはり看板などは基本的に すべてドイツ語で表示されている。ただロッカーの使い方な ど、細かな説明が必要なものは 4 カ国 ( ドイツ語、フランス語、 イタリア語、英語 ) で書かれていることが多い。駅ではどこで もピクトグラム ( → P.I ) が多用され、どの駅でも言葉での表 示を見ることはあまりない。 ◎列車 ノヾラエティに富んだ列車を楽しむ 数え切れないほどの景勝ルートがあるスイス。鉄道の旅の 一番の目的は、やはり次々に変わりゆくアルプスの美しい風 景を楽しむこと。とはいえ車窓風景だけが、鉄道の旅の楽し みではない。スイスの列車は単なる移動手段以上に、列車に 乗ること自体が楽しめるような体験をさせてくれる。 グレッシャー・エクスプレスなどの観光用のパノラマ車両 だけでなく、新型の高速列車の車両、ノスタルジックな古い 車両、そして近郊を走る車両もなかなか個性的。スイス国鉄 だけでなく、私鉄、そして登山列車まで含めると、数え切れ ないほどの車両に出合うことだろう。またほかのヨーロッパ 諸国では少なくなりつつある食堂車で食事が楽しめる。 新幹線から寝台特急まで、日本の鉄道の種類の豊富さは世 界有数だが、九州と同じくらいの面積の国土に、これほどバ ラエティに富んだ列車が走っている国は、世界広しと言えど もスイスだけ。鉄道マニアでなくてもきっと楽しめるはずだ。 また後述するようなさまざまな列車の設備が、鉄道の旅を充 実したものにしてくれる。 シャモニ ~ マルティニ間を運行する モンブラン・エクスプレス 鉄道旅行術 4 駅 車 レ コ ョ の っ 気車 囲客 雰の な車
Bus & Ferry 」 ourney スイスでは、バスやフェリーも鉄道と一体となり、 国全体が「スイストラベルシステム」として機能している。 鉄道にバスや船を加えることで、旅はいっそう楽しさを増す。 のんびりと列車で峠の駅に着いた ら、こんどはバスに乗り換えてへ アヒ。ンカーブか連続するスリルあ る道路を目的地に向かう。鉄道と バスを組み合わせると変化ある旅 が楽しめる。例えばグレッシャ ・エクスプレスではトンネルを 通ってしまうフルカ峠。いったん アンテルマットで下車して、オー バーワルトまでバスを使う。列車 からは見えない、迫力のローヌ氷 河のすぐ近くをバスは通過する。 予約がないと乗車が困難なのは、 ベルニナ・エクスプレスに接続 するルガーノからイタリアのティ ラーノへ向かう路線とその逆の 路線。また、季節運行される峠 越えのポストバスは基本的に予 約が必要となる。これらのルー ト以外であれば、少し早めに乗 り場へ行ってバスを待てばほとん どの場合乗車が可能。 ポストバスの公式サイト •www.postbus.ch 峠越えバスの旅 必ず予約をしたいルート ◎バスと船の旅 ノヾス 山あいの村や秘境と呼ばれる山奥まで、国の隅々にまでバ ス路線網が広がっているスイス。鉄道以上に細かく全国に張 り巡らされたバスの路線と鉄道を組み合わせれば、効率的な 旅を楽しめる。全国にネットワークをもつポストバス以外に も、多数の民営バスが運行されており、小さな町や村をカノヾ ーしている。 ◎ポストバス 昔からアルプスの峠で活躍してきた郵便馬車の伝統を引き 継ぐ交通機関、ポストバス。その歴史は約 18 年にも及ぶ。今 も郵便物を運んでいるが、旅客の輸送がメインになっている。 鉄道との接続もとられており、とても便利。ポストバスは、 黄色い車体とホルンのマークが目印。 く運行スケシュール > バスは運行スケジュールに基づいて運行されている。運行 時間は、 SBB のサイト ( → p.l ) でチェックできる。現地では、 観光局や駅で確認できる。駅のインフォメーションでもバス のスケジュールを知ることができ、鉄道との接続情報なども 教えてもらえる。 く予約について > 基本的にポストバスは、乗車するときに運転手に目的地を 告げて切符を購入するシステム。座席の事前予約は特にいら ないが、時刻表には、一部路線に予約が必要な「 R 」マークが 付いている。ただこれも予約がないと乗れないわけではなく、 「予約をすすめる」程度のレベル。 212