子 - みる会図書館


検索対象: ノンちゃん 雲に乗る
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1. ノンちゃん 雲に乗る

ちゃんを「裏のおりこうさん」とよんでいます。おばあさんが何かのおまつりの日に、おはぎ をつくって、「これ、『裏のおりこうさん』とけ工、持ってってこう。」といえば、それは、ほ、 でもない、ノンちゃんのことです。 ( けっしてにいちゃんではありません。にいちゃんは、神 主さんの家では、「フトべェ」で通っているのです。 ) : ノンちゃん : どうしてわからないのでしよう : それなのに : ・ : 雲の上のおじいさんには : の : : : りこ - つなことが・ ノンちゃんは、こまって、「おじいさん、まだあたしの : ・こと、よくわからない ? ・」 : どうもはっきりわからんのだ : 「わからんのだよ、それが : ・。」おじいさんは、首をひねり ました。「おまえは、 いったい、自分をいい子と思っとるのかね ? わるい子と思っとるかね ? 」 にんぎ 4 つぎ ノンちゃんは、なんだかなさけなくなってきましたが、 少し他人行儀になら ずにはいられませんでした。 「あたしは、わるい子じゃありません。」 わら 「ほ - っ いい子か。」おじいさんの目が笑いました。「どんなふうにいい子かな ? 「親に孝行です。」 「ふむ、それから ? 」 「友だちにしんせつです。」 一生けんめい かん 183

2. ノンちゃん 雲に乗る

ノンちゃんは、ちょっとおどろき、また少しはにかんで、おじいさんを見かえしました。 「あたしのこと ? あたしのことも話すの ? 」 「そうさ。これからがだいじなとこじゃないかい。おまえがどんな子か : : : おまえがどんなに いい子か、それともどんなにわるい子か、そのだいじなところを話してもらわにゃならんよ。」 へん おじいさんは、ずいぶん変なこというな、と、ノンちゃんは思いました。おじいさんほどの 人なら、ノンちゃんがどんなにりこうな、どんなにいい子か、もうとっくにわかりそうなもの です。 神主さんのおばあさんなんか、だれも何もいわないのに、ノンちゃんがおとなりへひっこし てきて二、三日もすると、もうちゃんとそれを見ぬいていました。 そのとき、ノンちゃんはまだ五つで、とても小さかったのです。けれども、縁がわ近くに寝 ばうべんけい て、一生けんめい、おとうさんのおみやげの「ムサシ坊弁慶」の絵本を勉強していました。 ノンちゃんのお話 ( ノンちゃんのある日 ) かんぬし えん 181

3. ノンちゃん 雲に乗る

そうしたら、そのときこそ、ノンちゃんはその子をよぶのです。 「ハナ子ちゃん、 ( またはタロちゃんでもかまいません。 ) ちょっといらっしゃい。おかあさん がおもしろいお話をしてあげるわ。」 そして、ノンちゃんは、はじめます。 「あるところに、ノンちゃんという子がいました。いまから二十年ほどまえの、ある春の朝、 ノンちゃんは ああ ! その子はなんというでしようー きっと、きっと、いっかきっとー ノンちゃんは、こうかたく決心すると、いまもあいかわらず、おかあさんの待っている森か げの家をめざして、ひゅうー と風をき「て、自転鵈をとばします。 278

4. ノンちゃん 雲に乗る

これでは というのはな、まだまだ自分はえらくないと思うこころだ。これではならない、 いっすんばうし ならないと頭をさげるたんびに、人間は、まるで一寸法師がウチデノコヅチを打つように、ズ ン、ズンと大きくなる、えらくなる。それにひきかえ、おれはえらいぞ、あたしはたいしたも んだと思うたんびに、 小さくちぢまる。うそじゃないぞ。うそだと思ったら、ためしてみろ。 これから毎日、あたしはえらい、あたしは『いい子だ』と思っとるがいい。かならすおまえは、 ・。」おじいさんは、自分のいってるこ つまアらん人間になる。じつにふしぎなもんじゃなあ : かんしん とに、ひどく感心してしまったとみえ、何度かうなずきつつ、考えこんでいましたが、そのう ち、ハッと気がっき、「おお、そうじゃ、そうじゃ。おまえがいい子だという話をしとったのだ ところがあるね ? 」 な ? さて、おまえには、まだほかにどんないい ノンちゃんは、いおうかし 、うまいかと考えました。おじいさんはいま、「自分はえらくない と思え」と教えてくれました。ノンちゃんも、それはそうだと思います。けれど、「あたしは、 ばかな子です」なんていうのは、とてもおかしくて、はずかしいことのような気がしました。 それにいま、ノンちゃんはまた一つ、ぜひおじいさんに話したいことを思いだしてしまったの です。そして、それはじまんといわれれば、じまんになることかもしれません。 ノンちゃんはしばらく迷ったあげく、思いきっていいました。 きゅ - っちょう 「あの : : : あたし、級長になったの。」 187

5. ノンちゃん 雲に乗る

し、 ち や ん は し、 奥ぎし 子 だ ノ ン ち や ん は っ さ ん と を せ そ し て ま た ハ と い て ま 東 の 話 あ し や び ん で き て に は わ か り ま せ で お か あ の 尸 が ん な な る と ま や と と そ れ 力、 ら お あ の 声 は さ く な し ま た の で 何 の や ん 何 を い っ の お カゝ あ さ ん プ 子 死 な な ね 死 ぬ そ っ お で ガ ガ タ し か ら 目 さ め た ん で し . よ - っ お 力、 あ さ ん ロ き い る よ と 大 き な で い て い る の き ぇ に し、 ち や ん は ツ 立 ナっ あ る と 茶 の 間 へ い て し い ま し た そ て そ の と き ト ン ト ン ト お あ さ ん の 足 が 階 3 か ら お て ま ・一 1 な に し て ー 1 っ ん す 春 ち ん 255

6. ノンちゃん 雲に乗る

「トシちゃん、こんなわからずやは、ほったらかしといたほうがいいよ。」と、おとうさんがい レました。 「まあ、おにいさんたら、そんなこといって、かわいそうじゃありませんか。だから、 ょにつれてらっしゃいって、 いったのに」 せきり めんえき 「だめなんだよ、この子は : 赤痢は免疫がないんだよ。またはらでもこわされると、やっ かいだからね・ 「だいじよぶですよう ! 」ノンちゃんが、わきから叫びました。「セキ、セキ、セキリキンな んか、東京にだって、そんなにやたらにいないって、おじいちゃんがいいましたようー」 これを聞くと、おばちゃんもいそいで横をむき、だまってしまいました。やはり、おとうさ 、と思ったのでしよう。 んのいうように、ノンちゃんのような子は、かまわないほうがいレ しんとした空気のなかに、ノンちゃんの泣き声だけが、いちだんと高くあたりへひびきわた りました。 と、その拍子のように、おとうさんは、ばったばった、手とひざをたたいて立ちあがりまし 「じゃ、あとをしつかりたのむ。」 これは、おばちゃんにいったのです。

7. ノンちゃん 雲に乗る

おかあさんは、びつくりしたようにふりかえり、 「ああ : : : にいちゃんにもこまるねえ : ああ、ノンちゃん、すまないけど、えちご屋まで お酢とりにいってきてくれる ? 持ってきてくれるっていって、持ってこないから。」 げんき 「うん、いってくる ! 」ノンちゃんは、元気に立ちあがりました。 にいちゃんがいたずらをすればするほど、ノンちゃんは、それだけ「いい子」になるのです。 それだけ「いい子」になって、おかあさんをなぐさめたいと思うのです : それなのにー にいちゃんは、そんなことしたおぼえはないといっていますー ばうべんけ 「うそオつけッ ! 」ムサシ坊弁慶の目が、ノンちゃんをにらみました。 「うそじゃないー うそじゃない ! 」ムジツの罪に、おとしいれられてはたまらないので、ノ むちゅう ンちゃんも夢中でにらみかえしました。そして、もう少しで、にいちゃんが、ノンちゃんにつ かみかかりそうになったときです、おとうさんが、中へはいりました。 ちゃ 「なんだ、タケシ、お茶がこぼれるぞ。」 にいちゃんは、急にぐんにやりなって、 「だって、ぼく : : : そんなことしないんだもの : 「だけど、おかしいじゃよ、 / しか。おかあさんもノブ子も、おまえがしたといってるぞ」 「ノブ子が自分でして、おかあさんにうそっいたんだ。」 174

8. ノンちゃん 雲に乗る

むこうがわが、よく見えまい ? むこうの人にも、おまえは見えん。声が聞こえるだけじゃ。む こうはおとな、こっちは子どもじゃ。だから、心配せんでもよい。それに、たいていのおとな どもには、子どもの話がわからんから、聞いてるうちにねむるだろうよ。ほれ、もうねむっと るのもある。」 おじいさんの指さすほうを見れば、なるほど、おとうさんがたばこをのむとき、鼻から出す 煙のようなものが、ふたところ、四ところから、ふうふう立ちのぼっていました。 「わしたちは、いままでこの子の話を聞いてたんだが : : : おもしろかったそ。」おじいさんは、 ちょうきちあたま 。だが、女の子、ひとつお そういって長吉の頭をなでました。「おやじとけんかした話さ : まえを先にしようじゃよ、 / しカ ? どうもおまえは、ひどく家で待たれてるようなにおいがする。 要するに : : : おつばいくさいんじゃ。」 おじいさんは、ここでひとつ、ノンちゃんのほっ。へたをつつつくと、さて、みんなのほうへ 向きなおりました。 : この子を先まわしにしていいかね ? 家にひ 「どうだい、みなの衆。またとび入りじゃが : かれる気もちは、だれもおなじとはよく知っとるが : : : わしには子どもずきという弱点があっ てな。すまんが : 「どうぞどうぞ、ごえんりよなく。」 けむり しゅう はな

9. ノンちゃん 雲に乗る

おちついてはじめました。 「にいちゃんのほんとの名は、田代タケシです。でも そうしいかけて、ノンちゃんは笑ってしまいました。 つばりおもしろい子です。 わら にいちゃんは、にくらしいけれど、や 110

10. ノンちゃん 雲に乗る

わるくち 「こないだ、おれの悪口、先生に、 ししつけたじゃねえか。」 『ムギが大きくなってきたが、ムギ畑へはいって、ムギ 「こないださ。先生があそび時間に、 をぬいたりする者は、この組にはないね』っていったとき、おめえ、『野村さんが、毎日ぬい しいつけたじゃねえか。」 ています』って、 わるくち 「だって、あれは悪口じゃないわ ! ほんとのことじゃないの ! ねえ、おじいさん、ほんと のことは、いわなくちゃいけないんでしよう ? だまってたら、うそねえ ? 」 「なかなかむずかし 「さあ、それは : : 」おじいさんは、おもおもしげに首をかしげました。 もんだい い問題じゃ。長さんが、先生にそういわれて、ああ、わるかった、もうしまいと思うような子 ひつよう どもであれば、わしは、何もおまえがロだしする必要もなかろうと思う。なぜかというに、そ ちょう う気がついたとき、長さんは、もういい子になっとるのだからな。だいじなムギをひっこぬい 、つけねば気がすま たあくたれとは、別の子どもになっとるのじゃ。それでもなお、先生にいし んというのなら、わしはそういう人間を、『シャクシジョウキ』というー」 しいはなちました。 おじいさんは、去」っ。はり、 ちょうきち ノンちゃんは、長吉のほうへ、チラチラ、目をくばりながら、だまっていました。 シャクシジョウギ ! なんてへんなものなのでしよう。ノンちゃんは、そんなものになりた べっ のむら 108