フライ - みる会図書館


検索対象: ロビンソン・クルーソー
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1. ロビンソン・クルーソー

しは、フライデ 1 にむかって、「これから二人で、この舟と同じぐらいの大きさの舟をつくろう。 ふね おまえはその舟で国へ帰ってもいいぞ。」といった。 フライデ 1 はひとことも返事をせず、ひどく思いつめたような、かなしそうな顔をしていた。 そこで、どうしたんだ、とたずねると、フライデ 1 は、「なぜ、だんなさま、フライデ 1 のこと おこ 怒るか ? わたし、なにした ? 」と、反対にたずねた。 ぜんぜんおこ わたしは、それはどういうことだ、とききかえし、こちらは全然怒ったりしていないといった。 おこ おこ 「怒ってない、なんて ! 怒ってない、なんて ! 」とフライデ 1 は同じことを何度もくりかえ してから、「じゃ、なぜ、フライデ 1 追いかえすか ? 」といった。 「だって、フライデ 1 、おまえ、国に帰りたいと自分でいったじゃないか。」とわたしは答え フライデ 1 あそこで、だんなさまあそこいないこと、 「は、、よ、、二人であそこに、こ、。 わかもの のぞまない。」と若者はいった。 わか つまり、わたしと別れて、一人で帰る気はない、 というのだった。わたしは、「このわたしに も行け、というのかい ? あそこに行って、わたしにできることなんかあるのかね ? 」といっこ。 とたんに、フライデ 1 は、きっとわたしのほうに向きなおると、「だんなさま、良いこととて ばんじん もたくさんする。蛮人に、りつばな、まじめな、おとなしい人間になるよう、教える。神さま知 こ 0 はんたい ふね ふね

2. ロビンソン・クルーソー

こ 5 ・カし したと後悔した。とはいうものの、それはあとになってからの話で、その後数週間は、すっかり ん うたぐり深く、用心深くなって、以前ほどうちとけてやさしくしてやることもなかった。たしか しようじきもの わす にこの点でも、悪かったのはわたしのほうで、感謝の気持を忘れぬ正直者のフライデーのほうは、 キ - ようと しんこう まごころ 信仰深いキリスト教徒として、また、真心のこもった友人として、正しいふるまいをすることだ けを考えていたのだ。そのことは、あとになって、よくわかった。 おか ある日、またあの丘にのばった。その日は海にもやがかかって、陸地は見えなかったが、わた しは、フライデ 1 に声をかけて、「フライデ 1 、おまえは自分の国へ帰りたくないか ? 」とたず ねた。「はい、わたしの国にいる、たいへんうれしい。」とフライデ 1 は答えた。 ばんじん 「国へ帰ったらなにをするつもりだ ? また蛮人にもどって、人間の肉を食べるんじゃないか な ? 」とたずねると、フライデ 1 は、ゝ 力なしげな顔をして、首を横にふりながら、「いいえ、 やぎ 。。ハンや山羊の肉や え。フライデ 1 、みんなに、りつばにくらせという。神さまに祈れとい、つ ミルク食べて、二度と人間食べるなという。」と答えた。 「だって、そんなことをしたら、おまえは殺されてしまうぞ。」というと、フライデ 1 はまじ いえ、みんな、わたし殺すことない。みん めな顔をして、ちょっと考えていたが、やがて、「い な、習うこと愛する。」と返事をした。 つまり、蛮人たちは、いろいろ教えてもらうのをよろこぶだろうという意味だった。自分の仲 なら ばんじん ころ かんしゃ よこ りくち ころ なか 3

3. ロビンソン・クルーソー

力なり、つまくしゃ この島へ来てから、こんなに楽しくくらした年はなかった。フライデーは、、 ひつよう べれるようになり、必要な品物の名前や、用事で行く場所の名は、ほとんどわかるようになり、 わたしにむかって、さかんに話をするようになった。おかげで、わたしのほうも、今までほとん き力い がなかった舌を、ま どっかう機会ー・ーということは、話すためにつかう機会という意味だが たすこしは役立てることができるようになった。話をする楽しみができただけでなく、フライデ しようじきせいしつ 1 の人がらも、すっかり気に入った。そのかざりけのない、しんから正直な性質が日ごとにはっ きりしてくるにつれて、この男がほんとうにかわいくなってきた。フライデ 1 のほうも、ほかの なにものにもまして、わたしをしたっていたと思う。 わたしは、フライデ 1 が、自分の国に帰りたいと思っているかどうか、一度たしかめてみよう しつもん と考えた。フライデ 1 は英語がうまくなって、こちらのどんな質問にもほとんど答えられるよう になっていたので、おまえの国は戦争に勝ったことはあるか、とたずねてみた。すると、フライ たたか デ 1 は、にこにこ笑いながら、「はい、はい。わたしたち、いつもよく戦う。」と答えた。つまり、 もんどう いつも勝つ、ということらしかった。そこで、次のような問答がはじまった。 ほりよ 「いつも勝つのなら、フライデー、どうして、おまえは捕虜になったんだい ? 」 フライ一アー 「それでも、わたしの国、たくさん負かす。」 主人。「どういうふうに負かすのかな ? もしおまえの国が敵をやつつけるとしたら、おまえ わら せんそう てき した 315

4. ロビンソン・クルーソー

やくそく ら、わたしのほうから送りかえしたりはけっしてしないと約束した。 フライデ 1 と話しているうちに、わたしにたいするフライデ 1 の愛がゆるぎないことと、ぜっ わかもの わか たいにわたしと別れまいとする気持がよくわかった。同時に、この若者が国に帰りたがっている のは、自分の国の人々を深く愛し、わたしにその人たちのためにつくしてもらいたいとのぞんで いるからだということも、はっきりわかった。だが、わたしには、どうしたらその人たちの役に ねが 立てるか自分でもわからないので、そうしてやろうという考えも、願いもおこらなかった。だが、 フライデ 1 の話をきいて、むこうには白人が十七人もいるらしいと見当がついてみると、この島 をぬけ出したいというわたしの気持は弱まるどころかその反対になった。そこで、いつまでもぐ こう・カし ずぐず迷うのはやめ、航海に役立っ丸木舟をつくるために、フライデ 1 を連れて、手ごろな木を せんだん まるきぶね さがしに出かけた。この島には、丸木舟どころか、かなり大きな船で船団がつくれるくらい くらでも木がはえていた。だが、わたしがとくに気をつけたのは、できあがった舟が簡単に海ま てきとう で運べるように、海岸に近いところで、適当な木を見つけて、前の失敗をくりかえさないように することだった。 そのうちに、フライデ 1 が、手ごろな木を一本見つけだしてくれた。なにしろ、フライデ 1 は、 まるきぶね 丸木舟をつくるにはどういう木がいちばん良いか、わたしなどよりはるかによく知っていたから たお だ。実は、わたしは、今日にいたるまで、あの時二人で切り倒したのがなんという木だったのか、 まるぎぶね はんたい しつばい ふねかんたん 334

5. ロビンソン・クルーソー

しゅ ことを教えてやれといった。それからわたしは、ラム酒のびんをポケットからとり出してフライ デ 1 にわたし、一口飲ましてやれといった。その男は、命が助かったとわかり、そのうえ、ラム しゅ ぐすり 酒が気つけ薬ともなったので、元気をとりもどし、舟の中で身を起こした。ところで、相手の男 力なにかいうのをきこうとして身をかがめ、顔をのぞきこんだとたんに、フライデ 1 がどうした なみだう か、だれでも、もしその様子を見たとしたら、心を動かされて、目に涙を浮かべたにちがいない。 フライデ 1 は、気でもくるったように、その男にキスし、だきっき、しがみついたかとおもうと、 歌ったりしたあげ 泣いたり、笑ったり、大声をあげたり、はねまわったり、おどりまわったり、 くに、また泣いたり、両手をもみあわせたり、自分の頭と顔をピシャピシャたたいたり、それか らまた歌ったり、とびまわったりした。フライデ 1 に口をひらかせて、どうしたのか、わけをい わせようとしても、なかなかうまくいかなかったが、やっと、しばらくたっていくぶん気が落ち 着くと、目の前にいるのは自分の父親なのだ、とわけを話した。 すがた 父親の姿を見、しかもその父親が死をまぬがれたとわかって、フライデーがどれほどうちょう あいじようも てんになってよろこび、父にたいする愛情を燃えたたせたか、その様子を見た時のわたしの感動 こと・は は、とても言葉ではいえないほどだった。同様に、フライデ 1 がひきつづいて父親にしめした大 あいじよう きな愛情についても、わたしには、うまく書けそうもない。なにしろ、フライデ 1 が何回舟から 出たりはいったりしたか、それだけでもかぞえきれないほどだからだ。舟の中にはいった時は、 わら ふね ふね ふね 35

6. ロビンソン・クルーソー

切れわたして、同じことをやらせた。フライデ 1 はすぐ、いわれたとおりにやり、とてもおいし いという身ぶりをした。 ほらあな ばん その晩は、フライデーといっしょに恫穴ですごし、夜が明けるとすぐに、なにか着るものをや るから、ついてくるようにと、身ぶりで知らせた。フライデ 1 はまつばだかなので、意味がわか きのう ると、とてもよろこんだ。昨日二人の蛮人の死体を埋めた場所のそばを通りかかると、フライデ ーは、ちゃんとその場所を指さし、あとで見つけ出せるようにとつけておいた目じるしをわたし に見せながら、死体をもう一度掘り出して、いっしょに食べようという身ぶりをしてみせた。わ たしは、びどく腹を立てた顔つきをして見せ、そんなことはぜったいだめだ、考えただけでもへ どが出そうだという身ぶりをした。そして、さっさとこちらへ来いと手まねきすると、フライデ ーは、たいそうすなおに、いわれたとおりにした。それから、わたしは、敵がもう立ち去ったか ぼうえんきよう どうか、様子を見ようと、フライデ 1 を連れて山の上までのばった。望遠鏡をとり出してながめ まるきふねすがた てみると、蛮人たちがいた場所はすぐわかったが、そこには、人影も、丸木舟の姿もなかった。 なかま これで、蛮人たちが、二人の仲間をあとに残したまま、さがそうともしないでひきあげてしまっ たことカ ゞ、はっきりわかった。 ゅうき だが、わたしは、それだけでは満足できなかった。今では、前よりも勇気が出ていたし、それ ばんじん こうぎしん けらい にともなって、好奇心もいっそう強くなっていたので、家来のフライデ 1 を連れて、蛮人たちが ばんじん ばんじん まんぞく ばんじん のこ ひとかげ てき 305

7. ロビンソン・クルーソー

がっかまったのはどうしてだい ? 」 フライ一アー 「わたしいたところ、やつら、わたしの国の人より、もっともっとたくさんいた。 やつら、一人、二人、三人。だからわたしつかまる。わたしの国の人、あっちでやつら負かす。 わたしそこにいない。あっちでわたしの国の人、一人、二人、なん千人もっかまえる。」 主人。「それじゃ、どうしておまえの味方は、おまえを敵の手からうばいかえさなかったのか ね ? 」 フライ一ア 1 「やつら、一人、二人、三人。おまけにわたし連れて逃げる。丸木舟走らせる。 わたしの国の人、あのとき、丸木舟持たない。」 主人。「ところで、フライデー、おまえの国の人は、つかまえた連中をどうするのかね ? や つばり、どこかへ連れていって、食べてしまうのか ? 」 フライ一ア 1 。「はい、わたしの国の人たちも食べる。みんな食べてしまう。」 主人。「どこへ連れていくのかね ? 」 フライ一ア 1 「みんなが考えるところへ行く。」 主人。「ここへ来ることもあるかい ? 」 フライ一ア ー。「はい、はい。みんなここへ来る。ほかのところへも来る。」 主人。「おまえも、みんなといっしょにここへ来たことがあるかい ? 」 っ っ まるきぶね みかた てき っ れんじゅう に まるきぶね 316

8. ロビンソン・クルーソー

いくらいだった。かっとなったり、ふくれつつらをし まじめな召使はどこにもいないといってい ほねみお たり、悪いことをたくらんだりするようなことはけ 0 してなく、骨身惜しまず、よろこびいさん あいじよう ではたらき、父親をしたう子どものように、愛情のきずなでわたしとむすびついていた。わたし いのち に万一のことが起こ「たら、フライデ 1 は、わたしを救うために、よろこんで自分の命をなげ出 たいど したことだろう。その点は、フライデ 1 がおりにふれてわたしに見せた態度から見て、うたがい ひつよう懸んぜん け・い力し よち の余地がなか 0 た。やがて、わたしは、フライデ 1 を警戒して用心したりする必要は全然ないと、 しん 信ずるようになった。 わたしはフライデーがすっかり気に入ったので、人の役に立ち、人の助けになる人間になるた ひつよう めに必要なことなら、なんでも教えてやろうと決心した。とくに、わたしにむかって話ができ、 りかい わたしの話がよく理解できるようにしてやろうと、力をそそいだ。その点については、フライデ ねっしん 1 は実に物おばえの良い生徒だ 0 た。それに、たいそう熱心で、わたしのいうことを理解し、ま どりよ′、 た、自分のいうことをわたしに理解してもらおうと努力した。うまく話ができるととてもよろこ ぶので、わたしのほうも、フライデ 1 に話をするのが、実に楽しか「た。こうなると、毎日の生 きけん ばんじん 活も、のんびりしたものにな「てきたので、わたしは、蛮人がおそ 0 てくる危険がもうないなら、 と田 5 うようになった。 死ぬまでこの島でくらしてもいい めしつかい すく

9. ロビンソン・クルーソー

ぎぜっ かいふ ~ 、 を飲んだ時より、はるかに元気を回復した。なにしろ、のどがかわいて、今にも気絶しそうにな っていたからだ。 父親が水を飲みおわると、わたしはフライデ 1 を呼んで、まだ残っているかどうかきいた。 「はい。」との答えだったので、父親と同じようにひどくのどがかわいているあのスペイン人に も飲ましてやれと命じた。フライデ 1 がと 0 てきた。ハンも一つ、持たせてやった。スペイン人は す「かり弱 0 て、木かげの草の上で休んでいたが、手足はこわばり、きつくしばられていたため に、むくんでいた。フライデ 1 が水を持っていってやると、起きあがって飲み、。ハンを食べはじ めたので、わたしもそばへ行って、干しぶどうを一にぎりやった。スペイン人は、感謝の気持を たたか ありありと顔に浮かべて、わたしをじっと見つめたが、さっきはあれほどいきおいよく戦ったの に、今はすっかり弱っていて、立ちあがることもできなかった。二、三度立ちあがろうとしたが、 足首がす 0 かりはれあが 0 て、ひどく痛むので、どうしてもだめだ 0 た。わたしは、じっとして るよ、つにと フライデ 1 に命じて、さっき父親にしてやったと同じように、足首をもませ たり、ラム酒をつけてこすらせたりした。 おやこうこう 親孝行のフライデ 1 は、スペイン人のそばにいるあいだも、二分に一度は、いや、もっとひん ばんに、うしろをふりかえっては、父親がもとのところに同じかっこうですわっているかどうか をたしかめていた。そのうちに、父の姿が見えないのに気がつくと、は「と驚いて立ちあがり、 しゅ すがた のこ おどろ かんしゃ 357

10. ロビンソン・クルーソー

いなしに殺してしまうことができるのだと思ったらしい。その時にフライデ 1 の心の中に起こっ おどろ た驚きは、その後しばらくは消えないほど強かった。もし、わたしがそのままにしておいたら、 じゅう きっと、わたしと銃とを、いつまでもうやうやしくおがんだことだろう。フライデ 1 は、その後 じゅう 何日も、銃にふれようとせず、一人でいる時には、相手が返事をしてくれるとでも思っているら じゅう しく、銃にむかってさかんに話しかけていた。あとできいてみると、自分を殺さないでください とたのんでいたのだそうだ。 それはともかく、フライデーの驚きがすこしおさまったのを見とどけると、わたしは、今撃ち 落とした鳥をとってくるようにと命じた。フライデ 1 は、いわれたとおりに走っていったが、お かんぜん うむがまだ完全に死んでいなくて、落ちたところからかなり遠くまで逃げていってしまったので、 しばらくはもどってこなかった。それでも、フライデ 1 は、とうとうおうむを見つけて、わたし わかものてつぼう のところまで持ってきた。この若者が鉄砲のことはなに一つ知らないとわかったので、わたしは、 こっそりと弾丸をこめ、またなにか獲物があらわ フライ一ア 1 が 2 をさがしにいっている亠丿きに、 れたら、すぐ発射できるようにしておいた。だが、そのあとは、なにも見つからなかったので、 こやぎ 子山羊だけを家へ持って帰った。 その晩は、子山羊の皮をはいで、できるだけこまかに肉を切り、煮物用の鍋があったので、そ の肉をすこし入れて、なかなかうまいシチ = 1 をつくった。自分ですこし食・ヘてみせてから、フ ばん ころ はっしゃ こやぎ おどろ たま にものようなべ ころ えもの 312