作って売る製造業 ( メーカー ) の例 ( 金額 ) ( 数量 ) 1 , 000 650 350 売上原価 売上総利益 ・売上原価の計算プロセス ( 金額 ) ( 数量 ) 期首製品棚卸高 200 20 当期製品製造原価 500 50 合計 700 70 一期末製品棚卸高 50 5 売上原価 G50 65 ・売上原価を求めるには棚卸しという作業が必要 蟲 ~ 損益計算書は引き算の目で上から下へ見る 当、三一三 = 三 仕入れて売る商業の例 ( 金額 ) 1 , 000 650 350 売上局 ー売上原価 ま上総利益 ・売上原価の計算プロセス 期首商品棚卸高 当期商品仕入高 ロ日 一期末商品棚卸高 売上原価 ノしい 商業の場合も製 造業と考え方は 同じ。製品と呼 ばずに商品と呼 ぶ。また、製造原 価の代わりに仕 入高を使う。 ( 金額 ) 200 500 700 650 ・棚卸し・・・期末に在庫高を調査すること。 MEMO ・ 45
グローバル化と商法改正 第 1 章 ・会社法とは・・・ 商法の一部と有限会社法、商法の特例法など分散していたも のを一つに再編成して作られた法律。 バブル崩壊後の長引く不況と経済のグローバル化 不透明な日本の会計制度の透明化 状算の重、 子公告による開示 付会 っ 0 砌知資産の評価 ・「純資産の部」への見直し 金融商品取引法 ・損益計算書の表記の変更 ( 証券取引法 ) ・配当回数の自由化 ・株主資本等変動計算書 ・役員賞与の費用化など ※ 2007 年 9 月からは、証券取引法が金融 商品取引法 ( 金商法 ) へ変わった。 会計への接し方 ッシ少 0
3 ー 。棚卸資産にも 透明化の波が及ぶ ・江戸時代から続く棚卸し たんもの の差額の評価損は P / L に計上しなくてはならない。 ( 売却価値 ) まで帳簿価値を切り下げて B / S に表示し、取得原価と 方である。棚卸資産といえども、収益性が低下したら回収可能額 からは低価法に統一される。固定資産への減損会計適用と同じ考え 原価法が多く低価法は例外的であった。しかし、 2008 年 4 月の決算 従来は、評価基準は原価法と低価法のどちらを採用してもよく、 0 棚卸資産の評価に関する会計基準により低価法へ うち低いほうとする。 造コストのこと ) で評価する。低価法は取得原価と期末の時価の ・評価基準・・・原価法と低価法がある。原価法は取得原価 ( 買値や製 法などいろいろある。 ・評価方法・・・品物の性質や管理レベルに応じて先入先出法や総平均 められた方法と基準がある。 故意に操作すると粉飾決算になる。だから、棚卸資産の評価には決 く評価すると利益は減る。逆に棚卸高を大きくすると利益は増える。 は変化する。売上原価の式からわかるように、期末の棚卸高を小さ 棚卸作業により数量を調べるが、実は棚卸しの評価によって利益 0 評価方法と評価基準で数字が違ってくる さらには、仕掛品や半製品と呼ぶ製造途中のモノなどが含まれる。 に、製品 ( 商業なら商品 ) や、製品を作るために消費される原材料、 消費することを目的として持っているモノを棚卸資産と呼ぶ。一般 かを調べたことから名付けられた。会計上、近い将来に販売したり の商人が、棚から反物などの商品を下ろして、何がどのくらいある 棚卸しは、どの企業でも期末に見られる恒例の風景だ。江戸時代
作成すべき計算書類 こ一会計への接し方 法律 作成すべき計算書類 目的 会社法 株主・債権者 ( 銀行や 貸借対照表、損益計算書、株主 ( 商法 ) 取引先など ) の保護 資本等変動計算書、個別表 金融商品 投資家の保護 貸借対照表、損益計算書、キャッ ( 上場企業に適用 ) 取引法 シュフロー計算書、株主資本等 変動計算書、附属明細書 税法 適正な課税所得の 金融商品取引法とほぼ同様 算出 貸借対照表 B/S BaIance Sheet キャッシュフロー 計算書 C/F Cash 利 OW Statement 損益計算書 P/L Profit & Loss Statement 金融商品取引法・・・証券取引法を改正して、従来の枠に入らないさまざまな金融商品にも 包括的に対応できるようにした法律。 2007 年 9 月 30 日から施行。 MEMO ・ 27
- 商売の鉄則・・・在庫スクナク ・在庫は少ないほうがよい。しかし、機会損失は困る 棚卸資産の効率性を見るのが在庫回転率である。棚卸回転率とも 呼ぶ。在庫の削減を目指すときによく使われる指標だ。この値が大 きいと、少ない在庫で多くの売上を得るから販売効率がよい。回転 率の逆数である在庫回転期間は何日分の在庫を持っているかを示し ている。売上債権回転期間と同じく、月数や日数でみる。 分子を売上高にする例が多いが、売上原価にすると値は原価べー スになるから、仕入との比較がしやすくなる。たとえば、在庫管理 の現場では「売上の 10 日分の在庫を持つ」よりも「仕入の 13 日分の 在庫を持つ」と言うほうがなじみやすい。棚卸資産は期末の値を使 うが、期首と期末の平均値を使うとより正確になる。 ディスカウントストアでは商品別に回転率を把握している。そし て「 10 回転以上の商品は売れ筋として定番化する」というような目 的に使う。もちろん、在庫が少なすぎると欠品になり販売チャンス を逃す ( 機会損失 ) 。したがって、仕入れのさじ加減も商売人の腕 の見せどころなのだ。 逆に、資金的な余裕があれば、品揃え策として在庫を豊富に持っ 方法もある。集客効果を高めて、売上アップをねらうわけだ。 ■高く売るより早く売れ 商売に『高く売るより早く売れ』という格言がある。 1 か月に 1 個の商品を売るよりも、値段を下げて 1 週間に 1 個売るほうがよい という考えだ。つまり、高い利幅を付けるよりも、回転率を高めて 早く売ることで利益の総額を増やすほうが賢いやり方だという意味 である。
35 そもそも負債とは 返すべきもの ・負債は資本と同じ役目があるが、他人のおカネ 負債とはおカネの支払義務のことである。たとえば、商品の仕入 代金の未払い分である買掛金や、店舗を新築したときの借入金など である。「掛け」で仕入れた商品を店頭に並べたり、借入金で店舗 を建てれば商売ができる。つまり、これらの負債は商売の元手にな っている。 このように、負債は資本と同じ働きをしているため、他人資本と 呼ばれる ( 一方、自前の資本は自己資本と呼ばれる ) 。したがって、 負債が多いことが、必ずしも悪いわけではない。負債を有効に利用 できれば、バネのような効果で利益を何倍にも増やすこともある ( 財務レバレッジ。 P. 192 参照 ) 。 一流動負債と固定負債の区分 負債は 1 年以内に返す予定の流動負債と、 1 年を超す固定負債に 分けられる。資産は現金化しやすい順に並んでいるのに対し、負債 の部は、返済期限が到来する順、つまり早く返さなくてはいけない 順に並んでいる。 ■貸借対照表 (B/S) にのらない負債 B/S の負債の額がごまかされると、正しい評価ができなくなる。 負債を正しく計上することはとても重要である。それでも B/S にの らない負債がある。簿外債務 ( または隠れ借金 ) と呼ばれる。簿外 債務の一つである保証債務は、有価証券報告書にのるが、故意に隠 されたらわからないだろう。そのような B/S の暗部が明らかになる のは、その企業が危機のときである。
固定資産が重い会社と 軽い会社 ・固定資産は資金を寝かす 固定資産とは、 1 年以内に現金化される予定のない資産のことで ある。重たくて動かないという理由ではなく、長期にわたりおカネ が寝かされてしまうから固定資産と呼ぶ。有形固定資産と無形固定 資産、投資その他の資産に分けられる。 ■有形固定資産とは建物、土地、機械など形あるもののこと 建物、機械などは、買ったときの価格のまま計上されるのではな い。使用によって価値の減った分を引いて評価する。そのしくみを 減価償却と呼ぶ ( P. 106 参照 ) 。 ・設備投資のサインもある 大きな設備投資は完成までに何年もかかる。建設中に発生したお カネは建設仮勘定という名前で計上され、完成したら建物や設備な どへ振り替える。だから、建設仮勘定が多いときは、「ただ今設備 投資中」のサインである。 ・無形固定資産も意外と多い 今や設備投資もハードよりソフトといわれる時代であり、無形固 定資産も軽視できない。産業財産権、借地権、ソフトウェアなどが あり、購入価額や、自社開発であれば制作コストが計上される。 0 成熟した大企業は、「投資その他の資産」が多い 一般に、商業系の企業は店舗を借りて商売をし、たくさんの商品 を抱えるため、流動資産が多くなる。装置産業や生産財メーカーは 固定資産が大きくなる。しかし、近年の大企業は固定資産のなかで も「投資その他の資産」がやたらと大きいのが特徴だ。企業グルー プを形成し、長期的な金融資産である有価証券や、子会社株式がふ くらんだ結果といえる。
アラリで大もとの利益を見る 、・おそるべし花王のカ 0 売上総利益というよりも俗に粗利と呼ばれる 最初に登場する利益は「売上高一売上原価」により求められる売 上総利益だ。商売では粗利 ( 粗利益、荒利 ) と呼び、文字通りおお ざっぱな利益や、大もとの利益という意味である。商品 1 個で見る と「売り値ー原価」となるから、商品のもたらす利益ともいえる。 粗利が赤字になることはない。前項で述べたように、売れないモ ノ ( 在庫 ) は原価に入らないから、どんなに販売不振でも原価割れ で売らない限り赤字にはならない。しかし、粗利の下の欄にはいろ いろな費用を引くプロセスが待っているのだから、粗利は多いほう がよい。 ■粗利率にも注目しよう 一般には売上が増えれば粗利も増え、売上原価が上がれば粗利は 減る。だから金額だけでなく粗利率も重視される。粗利率は売上原 価率の反対だからどちらかを計算すれば把握できる。 同業他社と比べてみれば、企業の財務体質が見える。 売り・・・スーパーや家電量販店では、商品ごとの粗利や粗利率をき め細かく管理している。適切な価格競争に不可欠だからである。 ・製造業 ( メーカー ) ・・・コストダウンや合理化への強さ弱さが粗利 率に表れる。稼働率 ( 操業度 ) も粗利率に影響する。安売りに 走ると低下するが、価格競争力のある製品を抱えていると強い。 ・モノを扱わない企業 ( 情報サービス・金融など ) ・・・売上原価がほ とんどないので、必然的に粗利率は高くなる。 つまり、粗利率は異業種との比較はできないのである。単純に粗 利率の高い業界に就職したいなどと思わないことだ。
連結のしくみ 企業グループ 連結財務諸表 ・連結貸借対照表 ・連結損益計算書 ・連結キャッシュフロー計算書 関連会社 原則的に出資 ( 持株 ) 比率が 20 ~ 50 % ・当期利益のうち親会社の 出資比率分が親会社の P / L に入る。 ・持分法適用会社と呼ぶ。 ( 』会計への接し方 親会社 子会社 原則的に出資 ( 持株 ) 比率が 50 % 超 ・株式の過半を占めれば支 配しているも同じなので、 業績のすべてを親会社に 含める。 ・連結子会社と呼ぶ。 楽天は TBS 株を 19 % 保有して提携交渉に入った。 20 % にすると 持分法適用会社となり連結に含める可能性がある ( 2007 年 12 月 ) 。 売上規模の小さいほうが親会社になるわけだ。 単独決算が主流の時代に、大きな企業グループを抱える大企業の 平価に連単倍率が使われた。「連結の数字 + 単独の数字」で求める。 たとえば、利益が 1 倍以下はグループ内に赤字子会社を抱えてい ることになる。最近はあまり使われない指標である。 連結の売上局 連単倍率 ( 売上高の例 ) = 単独の売上高 子会社・・・・・・商法では形式的に出資比率が 50 % を超えるかどうかで決まるが、金融商品 取引法では実質的に支配されているかどうかでみる。 関連会社・・・商法では出資比率 20 ~ 50 % をいうが、金融商品取引法では単純な出資比率 だけでなく、人事、技術、取引関係を通じて重要な影響を及ほすかどうかで 決まる。しかし、定義も複雑だし、業績不振企業の出資比率を下げて意図的 な「連結外し」をしたり、複雑な内部取引を使って粉飾の手口に利用される こともある。 = = ロ MEMO ・ 33
転がり具合で効率性を見る ( 回転率 ) 回転率は下がるが、成熟期の経営では資産の圧縮が優先される。 を維持しながら資産の圧縮をする。成長期では積極投資をするから 回転率を上げるには、資産の伸び以上に売上を伸ばしたり、売上 ( ニ律背反 ) の関係にあるという。つまり両立しにくいのだ。 求すると回転率が低下する。これを収益性と回転率はトレードオフ まり総資産回転率を高めようとすると収益性が低下し、収益性を追 逆に、利幅が厚い商品を扱うと利益が厚くても売上が伸びない。っ 安売りをすると、利益は薄いが売上は増えるから回転率は高まる。 ■収益性と回転率はトレードオフの関係にある る。 で同じ収益性なら回転率の高い企業のほうがすぐれているといえ 産 ) で多くの売上を得るほど効率がよい。したがって、業界のなか 繰り返すような商業系の企業は回転率が高くなる。少ない資本 ( 資 前である。一方、賃貸主体で固定資産が軽く、「仕入れて売る」を 装置産業のように総資産が大きな企業は、回転率 1 以下が当たり 円から得られる売上は 1 万円ということになる。 効率性を見る指標になる。全産業平均はおよそ 1 であり、資産 1 万 分母に総資産の値を使うと総資産回転率と呼び、経営の総合的な る。たとえば、総資本 1 億円の会社が年商 3 億円なら 3 回転したと と呼び、投入した資本をどれだけ効率的に使って売上を得たかを見 り返しているわけだ。そこで、売上高を投入量で割った値を回転率 まり、資本を投入して売上というアウトブットを得るサイクルを繰 商売のサイクルは「資本の投入→仕入→販売→回収」である。っ ・資産と売上との対比が回転率