減価償却 - みる会図書館


検索対象: 会計の基本がわかる本
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1. 会計の基本がわかる本

減価償却による 資金回収のプロセス ・固定資産への投下資金が減価償却により流動資産化している 次ページの図表で解説しよう ( 丸数字は図と連動 ) 。 の費用を非現金費用と呼ぶことがある。 にすぎないのだから、もう現金を払う必要はない。このような性格 費というおカネが出ていくわけではない。初期の購入代金の後計上 減価償却費として毎年少しすっ費用計上するが、実際に減価償却 して回収されているのだろうか。 資産を購入すると一度に多額の支出をするが、それはどのように このように、減価償却という手続により、固定資産の価値の減少 ④・・・やがて売上債権が回収されて現金になる。 ③・・・製品が販売されると売上債権が発生する。 で固定資産の一部が流動資産に転じる。 減る。製造原価は製品 ( 棚卸資産 ) として計上され、この時点 ②・・・減価償却費の分だけ製造原価に入り、その分だけ設備の価値は ①・・・設備投資をすると固定資産が増える。 評価してはいけないという例である。 が多くの現金を回収していることになる。利益という見かけだけで じ利益を上げていても、多くの償却負担をこなしている B 社のほう 次ページの A 社と B 社の比較の例で解説しよう。同じ売上高で同 とになる。これを狭い意味でのキャッシュフローと呼ぶことがある。 ので、実際は売上を通じて「利益 + 減価償却」の分が回収されるこ 減価償却費という現金の出ない費用を損益計算書に計上している ■現金の出ない費用を計上し、利益十減価償却費として回収される を流動資産の価値の増加へ移しているのである。

2. 会計の基本がわかる本

43 減価償却の対象と 発生場所や表示方法 ・取得価格 10 万円以上の固定資産が対象になる 減価償却とは、要するに購入額をある期間に分けて少しすっ費用 にするしくみだ。減価償却の対象は取得価格 10 万円以上、耐用年数 1 年以上の固定資産であり、償却資産と呼ぶこともある。 建物や設備などだけでなく、ソフトウェアや営業権のような無形 いきもの 固定資産、さらには馬や牛などの生物も対象になる。なお、土地、 こっとう 借地権、書画・骨董などは時の経過に応じて価値が減るものではな いため、減価償却はできず非償却資産と呼ばれる。 ■直接法はそのまま現在価値を示し、間接法はニ本立てで表示する 減価償却費は発生場所により計上区分が違う。工場で発生したも のは製造原価報告書の「経費」に入り、やがては売上原価へと移る。 本社や営業所で発生する償却費は販売費および一般管理費に入る。 一方、減価償却の分だけ資産の価値が減るわけだから、それを貸 借対照表に表示する。たとえば、 100 万円で買った機械を毎年 10 万 円すっ償却 ( 費用化 ) していれば、現在価値は「 100 万円一 10 万 円 x 現在までの使用年数」となる。 その表示方法には直接法と間接法という 2 通りがあり、見方が異 なるので注意しよう。 ・直接法・・・もとの買値 ( 取得価額 ) から減価償却の分を引いて、 B / S には償却後の残高 ( 簿価 ) を表示する。そして、注記に「〇 〇資産の減価償却累計額は△△」と表示する。 ・間接法・・・資産を取得価額のままにしておき、その下に償却費の累 計である減価償却累計額を表示する。つまり、もとの価格と償却 累計がペアで表示されるのでわかりやすい。一般に、無形固定資 産は直接法、有形固定資産は間接法で表示される。

3. 会計の基本がわかる本

霎喧霆ト主副 キャッシュフローの理想 連結キャッシュフロー計算書の例 ( キリンビール ) 2006 年 12 月期 ( 単位 : 百万円 ) ( 一部抜粋 ) 111 , 560 68 , 432 △ 9 , 976 △ 6 , 609 △ 8 , 131 9 , 736 △ 2 , 007 △ 7 , 940 6 , 169 195 3 , 031 △ 5 , 198 △ 8 , 558 △ 43 , 517 123 , 685 △ 59 , 953 4 , 745 △ 6 , 716 9 , 095 △ 75 , 585 △ 26 , 253 △ 153 , 239 △ 980 77 , 684 △ 21 , 770 △ 69 , 900 △ 14 , 830 △ 17 , 408 △ 309 △ 50 , 012 704 △ 78 , 862 164 , 800 650 86 , 588 1 税金等調整前当期純利益 2 減価償却費 ( 省略 ) 6 退職給付引当金の増減額 ( 減少 : △ ) 7 受取利息及び受取配当金 8 持分法による投資利益 9 支払利息 1 0 固定資産売却益 1 1 有価証券・投資有価証券売却益 1 2 固定資産廃棄売却損 1 3 投資有価証券評価損 14 売上債権の増減額 ( 増加 : △ ) 1 5 たな卸資産の増減額 ( 増加 : △ ) 1 6 仕入債務の増減額 ( 減少 : △ ) ( 省略 ) 23 法人税等の支払額 I 営業活動によるキャッシュ・フロー 1 有形・無形固定資産の取得による支出 2 有形・無形固定資産の売却による収入 3 有価証券・投資有価証券の取得による支出 4 有価証券・投資有価証券の売却・償還による収入 5 子会社株式の取得による支出 6 連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 ( 省略 ) Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー 1 短期借入金の増減額 ( 減少 : △ ) 2 長期借入れによる収入 3 長期借入金の返済による支出 4 社債の償還による支出 ( 省略 ) 8 配当金の支払額 9 少数株主への配当金の支払額 10 その他 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 現金及び現金同等物に係る換算差額 Ⅳ V 現金及び現金同等物の増減額 ( 減少 : △ ) Ⅵ 現金及び現金同等物の期首残高 Ⅶ 連結範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額 ( 減少 : △ ) Ⅷ 現金及び現金同等物の期末残高 毒資金繰りとキャッシュフローの理解 キリンビバレッジと メルシャンの株式 取得に 1 , 000 億円と いう特殊要因が響 いている。 ・ 147

4. 会計の基本がわかる本

減価償却の発生と流れ 製造原価報告書 材料費 労務費 経費 発生場所 P/L 工場 減価償却費の発生 」 = = 一経営の視点から会計を見る 本社、営業所など B/S ( 間接法 ) 建物 150 , 000 減価償却累計額△ 8 , 000 設備装置 30 , 000 減価償却累計額△ 5 , 000 固定資産の計 167 , 000 B/S ( 直接法 ) 建物 142 , 000 設備装置 25 , 000 固定資産の計 167 , 000 ( 注 ) 有形固定資産の減価償却累計額 13 , 000 円 減価償却の特例・・・中小企業向けには期限付きだが 30 万円未満資産の全額損金算入特例も ある。また、 10 万円以上 20 万円未満の少額資産は 3 年 ( 36 か月 ) で均 等償却できる。 MO ・ 107

5. 会計の基本がわかる本

42 あなたは減価償却を 語れますか ・減価償却を 3 つの側面で理解しよう 減価償却という言葉はよく見聞きするが、意味をしつかり理解し ていたり説明できる人は少ない。次の 3 つを押さえよう。 ■年数に応じた費用配分の側面 たとえば、 1 億円で店舗ビルを買って商売を始めたとしよう。期 末の決算で購入代 1 億円全部を費用に入れたところ、大赤字になっ てしまった。さて、翌年はどうかといえば、ヒ、ルの購入代がないた め、光熱費・通信費くらいしか費用がかからずに商売したことにな る。このため、利益がどんどん出た。 しかし、このやり方でよいのだろうか ? ビルは長年にわたって 使うものであり、 1 年限りの消耗品ではない。使う年数に応じて、 少しずっ費用にすべきと考えるのが合理的だ。その費用を減価償却 費と呼び、損益計算書に表す。これが費用配分の側面である。 ・使用に応じた資産評価の側面 1 年後のビルの価値は、どんなに手入れされていても使う間に買 値より価値が減っていると考えるのが常識だ。減った分とは何かと いうと、費用配分で費用に入れた分のことである。そこで、ビルの 価値は「買値 ( 1 億円 ) ー減価償却費の累計分」で求め、貸借対照表 にのせる。これが資産評価の側面である。 ■過去の投資に対する資金回収の側面 減価償却費といっても、初期の購入代金をあとから費用計上して いるにすぎないから、現金が出ていくわけではない。現金の出ない 費用を計上し、最終的には「利益 + 償却費」の分だけ回収されることに なる。つまり、減価償却という手続きにより、過去の投資額を少しずっ 回収しているということになる。これは、キャッシュフローに表れる。

6. 会計の基本がわかる本

損益と収支の違い 現金があること 収支 = 収入ー支出 現金主義 資金繰り表 キャッシュフロー計算書 期間 儲けること 損益 = 収益ー費用 発生主義と実現主義 P/L 蟲 ~ 資金繰りとキャッシュフローの理解 損益と収支が合わなくなる要因の例 収益ー費用 収入ー支出 回収しないと収入に 売掛金や受取手形で 掛売り も売上に計上する ならない 後で支払う 費用に入れるものも 掛買い ある 仕入代金を支払済み 在庫の存在 売れない商品は売上 原価に入れない のものもある 固定資産 一度に多額の支出に 減価償却分だけ費用 にする なる 減価償却 現金は出ない 費用に入れる 収益 ( 売上 ) ではない 借入金 現金が増える 費用ではない 返済 現金が減る 要因 ・ 141

7. 会計の基本がわかる本

問 2 A 社は 3 月期決算である。 2007 年 6 月 10 日に 48 万円でパソコ ン一式を購入した。初年度の償却費を①定額法と②定率法 で計算しなさい。なお、パソコンの耐用年数は 4 年とする。 ①定額法 ー夛経営の視点から会計を見る ②定率法 問 3 次の文章の空欄に最もよく当てはまる語句・数値を記入し なさい。 2007 年度からの新しい減価償却制度では、従来の残存価額が 廃止され、①匚ここここコ経過後の資産の価値 ( 残存簿価 ) は 代表的な計算方法の一つである③匚こ : こ : こコは、減価償却費 が毎期均等になる。もう一方の④ [ こここ : 〕こコでは、改正後は償 却率の値が「 : : 3 〕 : コの⑤匚 : : 〕こ : : : 〕〕コ倍になり、従来よりも早い段 階で多くの償却ができるようになった。 多くの償却費を計上できるということは、損益計算書の ⑥匚ここここコに計上されて利益を減らす。しかし、税金計算で は⑦ [ ここここコが増えるため所得が減り、従来よりも税負担が 軽くなる。 なお、減価償却費の計上は任意であり、税法では上限の限度 額が定められているだけである。なお、上限を超えた場合の超 過分は、税金計算では [ こ : のコから除かれる。逆に、少なく計上 して利益を増やしても⑧匚こここ : こ : : : : ] を遅らせることになり、財 務の⑨匚ここ : : : : : : : : : : : : ] を損なうことになる。 ・ 133

8. 会計の基本がわかる本

ロ営業で黒、投資で赤、 財務でやり繰り 146 ・ ュフローでまかなえることが理想である。 まとめると、設備投資は借入れに頼るのではなく、営業キャッシ があるといえる。 シュフローが赤字ということは、返済を進めているからむしろ余裕 フリーキャッシュフローが赤字のときの不足分を補う。財務キャッ 社債の発行 ( 償還 ) 、配当の支払いなどが主なものである。通常は 財務活動のキャッシュフローは、短期と長期の借入金 ( 返済 ) 、 目される指標である。 が蓄財しようが自由というわけだ。キャッシュフロー分析で最も注 営業で稼いだカネを投資に回しても余っており、借金返済に使おう ッシュフローとは、文字通り自由に使えるカネという意味である。 ーキャッシュフローと呼び、プラスになるのが理想だ。フリーキャ 特に、営業キャッシュフロー + 投資キャッシュフローの値をフリ プラス ■フリーキャッシュフローは黒字が理想 ていることになり、リストラの最中かもしれない。 をしていれば、赤字になるのが普通だ。黒字の場合は資産売却をし 結子会社化のための株式取得などが主なものである。前向きな投資 投資活動のキャッシュフローは、設備投資、有価証券の売買、連 金が流出しているわけだから危険である。 営業キャッシュフローが赤字だと、本業から水が漏れるように資 部資金 ( 自己金融 ) と呼び、企業の資金力を示す。 なりやすい。営業キャッシュフローは本業から得た資金であり、内 から出発するが、ここが赤字でも減価償却費を足し込むから黒字に 営業活動のキャッシュフローは黒字が当然である。税引前の利益 ・営業キャッシュフローは黒字、投資キャッシュフローは赤字が普通

9. 会計の基本がわかる本

ーマーケティング費用と 管理費が販管費 ・固定費的な性格が強いから販管費の見直しが続く 経営の主な活動は仕入れ・製造・販売とそれを支える管理活動で ある。このうち仕入れや製造の費用は売上原価に入る。販売と管理 面についてはいろいろな費用が発生するから、それらをまとめて販 売費及び一般管理費、略して販管費 ( ハンカンヒ ) と呼ぶ。 その内訳は、販売費として荷造発送費、広告宣伝費、販売員給料 や販売手数料などがある。いわばマーケティング費用である。一般 管理費としては家賃、消耗品費、旅費交通費、光熱費など日常的な ものに加え、本社の建物設備の減価償却費や研究開発費がある。 重要なものとして、給料・手数料などの人件費は売上対人件費比 率の算出に使われる。広告宣伝費や研究開発費は投資行為なので、 ライバル企業との比較に使われる。減価償却費もキャッシュフロー を計算するのに使われる。 費用のかけ方で企業の性格が表れるが、実は販管費の明細は有価 証券報告書の「注記事項」として別に表示される。しかも開示され る費目の数は企業によりいろいろで、比較しにくい面もある。 ■売上原価と販管費の違い 売上原価は売上の変化に対応しているのに対し、販管費は売上よ りも期間の長さに比例する費用が多い。たとえば、人件費や家賃は 期間に比例し、期間が倍になれば費用も倍になる。このため、販管 費は期間費用とも呼ばれ、固定費的な性格が強い。 だから、放っておくと大変なことになる。工場の合理化の努力を 本社の肥大化した管理部門が消費しているようではいけない。

10. 会計の基本がわかる本

ま資産と負債の圧縮が年中 叫ばれるワケ 益のみで評価してはいけないということだ。 ローは多いのである ( 次ページ図表参照 ) 。単純に損益計算書の利 逆転する。つまり、見かけの利益は少なくても実質のキャッシュフ 「利益 + 減価償却費」というキャッシュフローの見方で比較すると 的な企業よりも利益が少なくなりやすい。だから、利益ではなく 積極的に設備投資をする企業は減価償却費が多くなるから、消極 ■利益 + 減価償却費で比較する プラス 却費や各種引当金なども同じ効果がある。 を増やす要因になる。そのほかにも、現金の支出を伴わない減価償 買掛金が増えるとその分だけ支払いを遅らせるから、キャッシュ ■その他のキャッシュを増やす要因 は、売上債権や在庫の増加が利益を上回ったときに起きやすいのだ。 シュ不足になることがよくわかる。つまり、黒字倒産 ( P. 138 参照 ) その下の売上債権や棚卸資産の増加額のほうが大きければ、キャッ また、キャッシュフロー計算書を見れば、税引前利益が黒字でも は資産と負債の圧縮を年中叫ぶのだ。 に頼ると、支払利息が増えてさらに資金不足になる。だから、企業 ているだけだから資金を減らす。これらの資金不足の解消を借入金 を減らすことになる。在庫が増加すると、投下した資金がモノで寝 売上が増えても売掛金がそれ以上に増えると、回収が遅れて資金 ・売上債権や在庫・資産が増えるとキャッシュが減る