じゅう - みる会図書館


検索対象: 旧約聖書物語
188件見つかりました。

1. 旧約聖書物語

テを見つめて、胸をはけしくときめかしながら、ゴリアテがにくにくしげなおごりたかぶったことばをはくのを なが じっと聞いた。ゴリアテのものすごい声がびびきわたると、イスラエル軍のうち、流れのそばで水がめに水をみ たしていたものや、陣のはしこ 冫いたものは、腰をぬかすほどおそれて、走ってにげかえった。。 タビデは、それを 見てまゆをひそめた。そして、近くに立っていた人びとをふりむいてたずねた。 「あのにくにくしいペリシテ人は何ものですか。そして、どういうわけで、あの男は、まことの神工ホバにつ ぐんい かえる軍勢をあざけりながら、戦いをいどむのですか。どんな人があのものとたたかうためにえらばれているの ですか。あのものをたおして、イスラエルにくわえられたこのはすかしめとあざけりをそそぐ人は、どのように あっかわれるのでしようか。」 そばに立っていた兵士たちは、ダビデにつげていった。 「まだだれもあの大きな男とたたかうためにえらばれてはいないし、すすんでかれと戦いに出ていくものもい ちょうせん たたか ないだが、かれの挑戦にこたえて一対一で戦い、かれを殺したものがあったら、大金をいただけるばかりでな かぞく しに、王女をもらうことができるだろう。そしてその日からのちは、そのものの父がだれであっても、その家族 はみな、イスラエルの自由な民ということにされるだろう。」 ダビデは、かれらがいうことを聞きながら、考えこんだ。 としうえあに しかし、かれのいちばん年上の兄エリアプは、かれが兵士たちとはなしていることを聞くと、はらをたてて、 よげんしゃ はけしくかれをふりかえった。エリアプは、偉大な預言者サムエルがべツレヘムの村をおとすれた日のことをお わか おとうとよげんしやしゆくふく ・ほえていた。あのとき、エリアプはのけものにされて、このごく若いいちばん下の弟が預言者に祝福され、神聖 あぶらきょ きゅうでん な油で清められたのだった。また、エリアプは、ダビデが王から宮殿によばれたことを聞いたときにも、ねたま むね じん じゅうたみ ちか たたか たい こし ころ ぐん たいきん たたか かみ しんせい

2. 旧約聖書物語

だった人をみなミズバの町によびよせて、かれらのうちでだれを王にするかを知らせてくれるのを待った。 しゅじん さて、そのころ、べニヤミンの地のギべアという村に、キシという名の男が住んでいた。ゆたかな家の主人で、 一族の中でも高い地位にいた。かれにはサウルという名のひとりむすこがあり、いま若いさかりだった。顔だち の美しいことでも、背の高いことでも、かれにくらべられるものはいなかった。かれの目はふしぎなほどすんで あたまかた かがやかしく、イスラエルじゅうのだれとならんでも、頭と肩が上にあった。 くら サウルは、子どものころから、父といっしょにしずかなひきこもった暮しをおくってきて、いまではヒッジや ばん かぞく 牛の群れの番をしていた。かれは家族のほかにはほとんど人に知られておらず、うまれつきつつしみぶかかった ばかりでなく、、 しつも、人びとの目につかないようにひかえめにしているのだった。ときどき、何の理由もなく、 くら むつつりふさぎこんで、心がしずんでいるように見えることがあった。しかし、そのような暗い気分はすぐに晴 れ、身も心もいきいきとかがやくようになるのだった。 こうどう かれは、まるで日にきらめいてふりおろされる刀のように、すばやくきつばりと行動することができた。そし もくてき て、ひとたび心がもえたっと、どのように苦しくてもじぶんの目的をつらぬくという力があった。かれは、すぐ しどうしゃ れた指導者になるようにうまれついた人で、やがてイスラエルの民のあいだで名誉ある地位につくことになった しんこう のだった。しかし、さいごには、うぬぼれやねたみをもち、信仰をわすれ、かれのよい性質がおさえられてほろ び、そのほまれがけがされたのだった。 まあ、それはあとのことで、いま、たまたまある日のこと、サウルの父のロバでまだ鞍やたづなをつけるよう なんとう ぼくじよう にならされていなかったものが何頭か、牧場からさまよって出て、ゆくえが知れなくなった。 キシはそれを聞くと、むすこのサウルをよんで、召使いをひとりつれてすぐ ( をさがしにでかけるように、 ぞく うつく くる かたな めしつか たみ わか せいしつ くら りゅう かお

3. 旧約聖書物語

382 くら ふたりが石をふみつける音が、上のほうにいた見はりの耳にとどいた。見はりは暗やみをすかしてふたりのほ ちょうし うを見おろし、ふたりのすがたがほの白い石を背にじっとしているのを見わけた。そこでかれは、おどけた調子 で仲間によびかけた。 あな 「さあ、ふしぎなことがあるから、きて見るがよいー 見ろ、ヘブライのやつらが、かくれていた穴からはい だしてきたそ。」 じゅうしゃ そのあと、すこしのあいだことばがとぎれた。そして、ヨナタンと従者が、マントにくるまって、上のほうを 見つめていると、ほかの兵士たちが見はりの男のところにあつまって、おなじようにふたりのほうを見おろした。 かれらは、あざけるようにさけんだ。 わす 「さあ、ふたりしてのばってこい 二度と忘れぬように、思い知らせてやるそ ! 」 ョナタンはなんの返事もせず、従者といっしょにわきへそれて、上のほうから見おろしていた兵士たちからす わか じゅうしゃ がたをけした。ふたりはしばらくじっとしていたが、あたりがまたしすかになると、ヨナタンは若い従者にささ ゃいた。 っ 「さあ、あれを聞いたか。『こ い ! 』といったそ。神がわたしたちにお告けになったのだ ! わたしのあとに かみ ついてきなさい。イスラエルの神は、かれらをわたしたちの手にわたされたのだから。」 くら ふたりはマントをぬぎすて、武器をいためないように腰にくつつけて、暗やみの中でじぶんたちの上にけわし いわだな いわだな くそびえ立っている岩のがけを、よじの・ほりはじめた。ョナタンは、手足を岩から岩に、岩棚から岩棚にかけ、 息をつくために休むだけで 2 ほりつづけ、従者はそのあとからよじのばっていった。そしてとうとう、ふたりは いわやま 岩山のいただきにでた。それから、夜のやみをつらぬいてがけからがけへひびきわたるようなさけび声とともに、 なかま へんじ ぶき じゅうしゃ じゅうしゃ かみ こし

4. 旧約聖書物語

せいンの地へつくまで、運んでいくことになった。 そこへつけば、父のヤコプが眠っているシケ えいぎゅう ムの墓で、永久にやすらかに眠ることになる のだ。 イスラエル人たちは、ぐんぐんすすんだ。 たいぐん おどろくほどの大群をつくって、ゴセンから 東へ東へ、開拓されていた細ながい土地をつ たっていった。そこには、ラメセス、スコテ、 。ヒトムなどという、エジプトにとらえられて いたイスラエル人たちが長いあいだかかって きすいた大きな町があった。その道は、モー セの子どものころエジ。フト王がナイル川と海 をつなぐために掘らせた真水の運河にそって よっか いた。そこをいくのに、たっふり四日かか た。夜がくるとテントをはって野営し、朝が くると旅のじゅんびをととのえて、すすんで いった。できるかぎり道をいそいだのだが、 のろのろするヒッジや牛と足をあわせなけれ はか たび かいた ~ 、 はこ まみすうんが ほそ ねむ ねむ とち

5. 旧約聖書物語

209 うご 山のあいだのせまいところに、はいりこんで動きがとれなくなる。 かみ これは、やつらがおがむ神が、やつらを見すててしまったからにちがいない。われわれは、やつらを思うまま かん懸ん にたたきつぶすことができる。やつらが = ジ。フトにはたらきかけた害にたいして、ここで完全にかたきうちする ことができる。やつらは、このエジプト王の力がどれほど強いか、身にしみてわかって、こういって泣きわめく だろう。 なさけ 『ああ、こんな情ないことが、またとあるだろうか ! 』」 けっしん 大臣たちのうち、王とおなじように強情でがんこなものは、王のこの決心を、大声をあげてほめたたえた。 せんとうじゅんび ぐんたいしようしゅう 王はじぶんの戦車の用意をさせ、軍隊を召集し、戦闘準備をさせた。かぶとをかぶり、やりとたてをもった歩 きゅうへいたいきへいたい 兵、弓とおのをも 0 た弓兵隊、騎兵隊、そして戦車隊ー。ーっまり王の全兵力があつめられた。そして進軍の命 令がくだった。 たいちょう ぎよしやきゅうへい しかし、まずまっさぎに、先陣として、御者と弓兵をのせた六百の戦車をすすませた。その隊長には、い めいれい よ〈ブライ人を見つけだして、ぎりぎりに追いつめるまでは、丑や馬をけ 0 してむだに使うなと命令した。 ほんたい そして先陣は、いきおいはげしく突きすすみ、王がひきいる本隊は、そのうしろからつづいてい 0 た。一日 じゅう、じりじりと追いつめていったが、イスラエル人は、そのときまだ、海岸に近いところに野営したままだ っこ 0 ほうこく おく モーセは、見はりのものを送りだして、野営地から遠くのほうを見ていて危険がせまったら報告するように、 といいつけていた。その見はりが、砂ばくのはるかかなたに、かすかな砂・ほこりの雲がたっているのを見た。そモ ぐんせんじんせんしやたい れが、追ってくる王の軍の先陣の戦車隊だ 0 た。遠いかみなりのように、おもおもしいとどろきが、風にの 0 て せんじん ごうじよう やえいち せんしやたい とお とお つよ せんしゃ ゼんへいりよく きけん かいがんちか つか しんぐんめい

6. 旧約聖書物語

296 そこで、ペリシテ人たちはかれをとらえてしばった。かれはひとりで相手はおおぜいなので、さからうことは できなかった。ペリシテ人たちは、かれをガザの町へ引っぱっていった。サムソンがとらえられたという知らせ のび は、野火のようにペリシテじゅうにひろがった。町々の通りは、そのうわさでもちきりになった。 りようしゅ しゅうかしー 。ヘリシテの領主たちは、集会の場でかれが目のまえにひきすえられると、このはずかしめからときはなしてく ろうやくにん れというかれの願いをあざけった。よびよせられた牢役人たちは、サムソンの目をえぐりだしてめくらにし、か というのは、ガザにはー 月がないので、水車場もなかったからであ れに粉ひき場でムギをひく仕事をさせた。 サムソンは、どれいや罪人といっしょに、くる日もくる日もそこに腰をおろして、ふたつの石をかさねたひき くる うすの、上の石をまわしていた。その苦しいしごとのときにも、人びとが通りをいききするもの音がきこえた。 ちか というのは、粉ひき場は町の門の近くにあったからだった。その門は、ずっとむかしの夜、かれが柱も何もかも いしかべ 石壁から引き抜いて、敵をあざけるために、高い丘の上にすえつけておいたものだった。 いまかれは、重い青銅のかせをかけられたまま、力もうしない、 目もうしなって、まい日まい日、せま苦しい っちろう やみの中で、手さぐりしながら生きていた。夜になると、土牢の中によこたわって、かがやかしい光や自由のゆ たいよう けしき かな めに、たびたびおそわれては、悲しく目をさました。 それは、ゾラの村の春の景色とか、太陽にてらされた 山表などのゆめだった。かれのただひとつのなぐさめは、夜のあいだひとりになることだった。なせなら、ペ りようしゅ ひる シテの領主たちの、 しいつけで、昼のあいだはずっと、きびしくかれを見はり、むち打ってはたらかせることにな っていたからである。 ゅうき しかしとうとう、かれに力も勇気ものこっていないことがわかったので、牢獄のとりしまり役は、じぶんのむ こな こな おもせいどう ねが てき つみびと し・こと おか とお こし あいて とお ろうごく すいしやば はしら くる

7. 旧約聖書物語

281 サムソンは、身につけたマントで顔をおおいながら、日ぐれすこしまえに町の大きな門をはいり、その町に住 んでいるある女の家にはいった。町の長官がきめたいつもの時間に、町の門はとざされて、しつかりかんぬきを 「のところに立ってぶらぶらしていた男が、 かけられ、錠をおろされた。しかし、サムソンが知らないうちに、 りゅう 何かの理由でかれを見おぼえていて、かれがその女の家の戸をたたいて中にはいるのをみかけ、それがサムソン であることに気づいた。 男はサムソンのあとをつけ、もうひとりのガザ人にその家を見はらせておいてから、じぶんは町の長官のとこ そうだん ろへそのことを知らせにかけつけた。長官は、サムソンを生けどりにするか殺すかする方法を、人びとと相談し た。かれらは、町の門がしまっている夜のあいだは、サムソンが町からぬけだす恐れがないと思ったので、夜あ くら けまで待ってかれを殺すことにきめた。というのは、暗やみの中でかれに近よってつかまえようとすれば、恐ろ しいめにあうにちがいなかったからだ。 しかしサムソンは、その女の家に二、三時間しかいなかった。ま夜中に、町じゅうがしずまって通りに人がいな くら ようじん くなったころ、かれは起きあがって女に別れをつけ、用心ぶかく暗やみにしのび出た。あちらこちらと、うか がった。何のあかりも見えす、何もうごくものはなかったが、まるでライオンがわなをかぎつけるように、かれ かん の心は何となく不安のようなものを感じた。それですばやく身をひるがえして走りだし、町の門まできた。 門についてみると、かれがぬけだすことをこばむように、しつかりかんぬきがかかって錠がおりていた。かれ はふと立ちどまって、あたりを見まわしながら、聞き耳をたてた。というのは、だれかの足音がすこしあとからソ ついてきていたのが、とっぜんやんだように思われたからだった。 とう おそ 6 かれは、それに気づくと、心の中でにつこりした。塔の上にいた見はりは かれのすがたを見てはげしい恐 じよう ふあん ころ ちょうかん ちょうかん わか ちか ころ ほうほう じよう とお ちょうかん

8. 旧約聖書物語

120 あん悪ん つくことになった。そこのくらしは、平和だった。ョセフは、そのみなのものを、まるで小さな子たちの安全と ひつよう しん よろこびとに一心になった父親のように、見まもった。かれらに必要なものは何でもおくったので、かれらはす ふじゅう こしの不自由もしなかった。 しかしエジプトでは、大きなナイル川が、なかなかめぐみの水をおくってくれようとしなかったのでーー・・ちょ こ、、もっ ふさく うどカナンとおなじように不作はますますはけしいものになった。とうとう、王の倉庫の中の穀物のほかには、 くる 国じゅうにパンのたねはないようになった。つまり、ただョセフの知恵と見とおしのおかけで、人びとは苦しみ と死とからまぬかれていたのだった。 きんこ こくもっ 人びとが穀物のためにはらう金は、王の金庫にいつばいになって、もうかそえることもできなかった。その人 くる ふさく びとの金もなくなってしまったが、不作で苦しんで餓えていたのだから、こんどは、牛や馬やヒッジやロをも こくもっ ってきて、穀物とかえてもらった。 こ ~ 、、もっ それもなくなると、もはや、じぶんのからだではたらくか、じぶんの土地を売りに出すかして、穀物にはらう こくもっ ほかなかった。それで、かれらは、だいじな土地を王に売って、穀物と、たねとをうけとった。ある地方の倉庫 こくもっ が空になると、ヨセフは、そこに住んでいるものたちを、エジプトの中で、まだ穀物がたっふりのこっている、 ほかの地方へうつらせた。 そうこ まいねん 不作がおわったあとでも、人びとは王から土地を借りて、毎年のとりいれの五分の一を金にして王の倉庫にお ひつよう しんかん さめた。ただ、神官たちだけは、そんなことをしなくてもよかった。かれらは、じぶんたちに必要なものは、す べて王の手もとからわたされることになっていたのだ。 から ふさく ちちおや そうこ そうこ

9. 旧約聖書物語

213 ぐん たので、ふりむいて野営地のほうへもどった。 いままでイスラエル人たちを前へ前へとみちびいていた雲の柱は、うごいていって、星がきらめく空とうしろ くる からおそってくる敵とのあいだに、もえあがっていた。つまり、追いつめられて苦しんでいるイスラエル人の大 ぐんせんじん 群と、追いかけてきた王の軍の先陣とのあいだに、あつい黒雲が立ちこめて、それに光がさして、火山がはくけ かみつか むりのように見えていた。そのそばに、恐ろしい火の柱が立っていて、そこに神の使いがいたのであった。 たいちょう ふあん 戦車隊の隊長は、大空の、この世のものとも思えぬ光景は、、 しったいどんなことのしるしだろうかと、不安に あたま くらさきゅう なって頭をなやましたあけく、一隊の兵士を出してしらべさせることにした。兵士たちは暗い砂丘のかげに消え きず ていったが、生きてもどってきたのは、ただひとりだけだった。傷だらけになり、ぶるぶるふるえ、ものをいう せんじんたいちょう わす のが、やっとのことだった。それを聞いた先陣の隊長は、はけしく追いかけよという王の命令は忘れていなかっ そうだん たが、しりごみしないでいられなかった。そして将校たちと相談したあけく、とにかくイスラエル人は海のふち まで追いつめられて、にけることはできぬのだから、夜のあいだはすすむことはしないで、夜があけてから攻撃 することに , きめた。兵士たちも馬も、つかれきっていて、しばらく休ませる必要もあったからだった。それで、 ぐんちか その夜じゅうエジプト軍は近づいてはいかなカった とうほ ~ 、 かな 日がしずむと、東北のほうから風がおこってきて、天と地のあいだを悲しげな音をたてて吹いてきた。さむく 暗い空で、その風はしだいに強くなっていって、しまいには、ものすごいはけしさになった。そして、ふしぎな すな ほどあかるく星がきらめく夜空の下で、大きくほえさけんだ。風に吹きつけられた砂は、泣くような音をたてて いた。夜中をすぎると、半月の光がさしてきた。 やえいち 野営地のたき火のまわりに寄りあつまったイスラエル人たちは、おちおち眠れなかった。女たちは、恐怖にお せんしやたい てぎ やえい はんげつ つよ たい しようこう はしら こうけい はしら ひつよう ねむ めいれい かざん きようふ こうげき たい

10. 旧約聖書物語

383 。ヘリシテの兵士たちにおそいかカった かれらは、ふたりの攻撃を受けて打ちたおされた。見はりの多くは眠っていて、だれも戦いの用意ができてい こうげき てきかず なかった。攻撃があまり急ではけしかったので、かれらは敵の数を見さだめるために立ちどまろうともせず、お どろきおそれながら、身をひるがえしてにけだした。ョナタンはかれらを追いかけて、走りながら殺し、従者は そのあとにしたがいながら殺した。やがて、そのはじめの攻撃で、二十人ばかりの敵がーーーわずか二千平方メー ひろ トルばかりの広さの中にーー、死んでよこたわった。 それから、ヨナタンの弓づるが鳴りひびいた。そしてふたりは、生きのこったものたちが尾根にそって村と陣 くら のほうへにげていくのを追いかけた。ふたりのさけび声は暗やみをひきさき、ペリシテの軍勢をよびさました。 くら あたま ぐんゼい かれらは、眠りで頭がにぶっていたので、イスラエルの軍勢がこそって攻めてきたものと思った。よどんだ暗や おそ みの中でとまどいながら、恐れはいっそうはげしくなった。そして、このさわぎのただ中に、かれらが立ってい るかたい岩そのものがとっぜんぐらぐらしはじめ、地が鳴りひびいて、はけしくゆれるのだった。 かみ じしん 地震のあと、すさまじい風がおこった。「エホバの神 ! 」というさけびが空へ立ちの・ほり、陣の中にいた軍勢 こうげき も、ひらけたところにいたものも、また攻撃から勝ちほこってもどってきていた、むごたらしい兵士たちも、み きようふ な恐怖にうたれてしまった。 こうち ゲバの高地にいたサウル王の見はりは、夜あけのはじめのうすあかりの中で、谷をへだてて見わたした。する ぐんい と、おどろいたことに、。ヘリシテの軍勢はすべて隊をみだしてさわぎ、あちこちと、おしてはかえしながら、た がいにたたかったり、打ちたおしたりしていた。そのざわめきは、ここまでもかすかに耳にひびいてきた。見はサ りは、警報をつたえた。ラッパが鳴りひびいた。イスラエ、ルの軍勢はあつまって隊を組み、すべてのものが隊長 ねむ こうげ・きう きゅう ゆみ ころ こうげき ぐんい ねむ てき ぐんゼい たたか じん ころ じゅうしゃ たいちょう ぐんぜい じん