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検索対象: 旧約聖書物語
188件見つかりました。

1. 旧約聖書物語

115 くら くる日もくる日も、旅はつづいた。暗くなってくると、隊商たちが野営して夜をあかすならわしになっている ばしょ 場所で休んだ。それから海岸をはなれて内地のほうへむかい、ぶじにカナンへもどることがでぎた。 ちか ヤコ・フは、むすこたちがいつもどってくるかと、召使いを見はりに出していたので、かれらが近づいてきたと ほうこく いう報告をうけて、待ちかまえていた。かれらが、じぶんのテントまでそろってきたとき、ヤコプは、シメオン もそこにいるのを見た。それからヤコプは、べニヤミンをひさしぶりに抱きしめた。そして、神の大きなめぐみ かんしゃ に感謝をささげた。 かな ヤコプは、待ちくたびれて、もう望みもないかと悲しんでいたところだったから、これで胸をなでおろしたの だった。ところが、むすこたちが、ヨセフは生きているどころか、とのさまの身になってエジプトの国じゅうを しんそう おさ 治めているとはなすのを聞くと、目をまわし、身ぶるいした。心臓もとまりそうになった。こんなにふいに、す しん ばらしいよろこびに出あうと、何が何だかわからなくなってしまった。どうしても信じられなかった。坐りこん わる だまま、だまってむすこたちの顔をながめるだけだったので、かれらは、悪いことをしたと思ったほどだった。 それでも、もう一度、ヨセフがったえるようにいったことばを、そのままくりかえしたのだが、やつばりヤコ ブの心は、みだれてしまったままだった。やっとのこと、みなで、ヤコ。フの弱い足をささえてやりながら外へ出 にぐるま て、ヤコプがじぶんの目で、エジプトの荷車や、かれをエジプトへむかえるための馬車を見たとき、うたがいが はれた。心に元気が出てきた。 「むすこのヨセフが、生きていてくれるたけで、ありがたいことだ。わたしは、死なぬうちに、ヨセフに会い にしくことにする。」 たび 力いカん かお のぞ めしつか たいしょラ やえい よわ ばしゃ むわ かみ 3 ョセフ

2. 旧約聖書物語

それから王は、もう一度ョセフのほうをふりむいた。 しゅじん 「わたしの見るところでは、すべてのものの主人である神が、おまえを守っておられる。そして、この国じゅ うで、おまえほどりつばな意見をのべてくれるものはいない。それゆえ、わたしは、おまえがおしえてくれたこ とをとりおこなうのを、いっさい、おまえにまかせることにする。 けんりよく わたしは、おまえに大きな権力をさずけるから、おまえはこのエジプトぜんたいの、それそれの地方で、はた しんよう こくもっ にんげん やくにん らきがあって信用のできる人間をえらんで役人にして、ゆたかな年には穀物をあつめて、たくわえさせよ。おま ころ めいれい えの命令にしたがわぬものがあったなら、殺してよろしい。すべてのわたしの人民は、わたしの命令によって、 おまえのいうことを聞かなければならぬ。」 ゅび ゅび 王は、そのしるしに、指から王の印をきざんだ指わをはずして、ヨセフの指にはめた。それからョセフに、エ ジプトのおもだった貴族や大臣たちだけがきるような、りつばなアサのころもをきさせた。そのころものえりの 上の、ヨセフの首には、黄金のくさりをかけてやった。それから、王のほかのだれのものよりもりつばなかざり ぜんこく めいれい のついた戦車を、ヨセフのためにつくるようにと命令した。こうして王は、ヨセフをエジプト全国の上に立つ人 にした。そしていった。 じんみん 「わたしは、エジ。フト王ファラオである。そのわたしが命令する。エジプトじゅうの人民は、だれひとり、お まえのゆるしがなくては、手や足をうごかすことをしてもならない。」 それからまた王は、じぶんでえらんだ名をョセフにあたえた。それはザフナテ・パネアというのであって、国 を救うものとか、神秘をあきらかにするものとかという意味だった。 くらいけんりよくだい その日からは、ヨセフは、王だけをのければ、エジプトで位も権力も第一のひとになった。こうしてエジプト すく せんしゃ くび しんび きぞくだいじん こがね けん かみ めいれい とし じんみん 3 ョセフ

3. 旧約聖書物語

229 四十日たってから、かれらはカデシの野営地にかえってきた。木からもいできた新鮮なイチジクやザクロをい つばいかついでいた。また、たつぶりとブドウのついたつるは、あまり重かったので、棒につりさけて、ふたり してかついでいた。 ほうこく かれらは、イスラエルの指導者たちのあつまりに出てきて報告をした。かれらが見てきた土地では、ムギ畑も 牧場も、すばらしくゆたかなものだった。それからかれらは、むかしヤコプが住んでいてョセフが子どものとき ばたけまきば をすごした谷間のあたりまで、さぐりにはいっていったのだが、ムギ畑や牧場のほかにも、オリープやブドウや ちち イチジクが多くて、乳やはち蜜がたくさんとれることをみてきた。 じようへき ほうこく けれど、ありがたくないことも、報告した。城壁でかこまれた町がいくつもあったので、そこへはいってもみ た。が、ふせぎやすく攻めにくい土地だということがわか 0 た。力の強い王たちがいて、兵士をあつめて、人民 をがっしりと治めていた。それだけでなく、その〈プロンの地方には、アナク人といって、おそろしく強くて丈 ぎよじん のたかい、巨人のようなれんじゅうが住んでいた。 かみしようり 十一一人のスパイのうちで、カレプとヌンの子のヨシ = アとは、われわれは神が勝利をあたえてくださることを 信じて、ただちにすすんでいって攻めこむべきですと、あつまりでもうし立てた。のこりの十人は、見てきたこ ぎけん しんげき とで、がっかりし、おじけづいていたので、進撃などすれば、どんなすごい危険にさらされるかしれないと、 どう しやべりつづけた。それで、あつまった一同は、たいへんなことにぶつかったものだとおそれおののいて、立ち はんたい あがってモーセに反対した。 「われわれは、 = ジ。フトで死んだほうがよかったのです ! いや、荒野でたおれていても、そのほうがよかっ荒 たのです ! これからさきへすすむのは、まったくの破減の道です・ーーわれわれはむごたらしく殺され、女や子 しどうしゃ みつ やえいら はめつ あれの つよ おも しんせん ころ つよ ばたけ じんみん たけ

4. 旧約聖書物語

211 なんど ところで、イスラエル人の中には、うまれつき人にさからうたちの、不平不満な心のれんじゅうもいて、かれ らはいやいやながらしかたなく、これまでモーセの指導にしたがっていたのだった。かれらは、モーセのまえ せきにん おそ におしかけていって、みなをこの恐ろしい危険におとしいれたのはあなたの責任だといって、せめた。 「あなたがわれわれをさそい出して砂ばくで死なせようとしたのは、あのエジ。フトには墓にするところがなか けいりやく ったからとでもいうのですか。あなたはどうして、われわれを計略にかけて、ゴセンからむりやりににげ出させ いのち たのですか。どうして、あわれな女や子どもたちまでひきずりこんだのですか。ゴセンでは、とにかく命だけは あん懸ん 安全だったのだ。あなたは、あのときゴセンへもどってきて、王にさからうようにあおりたてたが、われわれは あん懸ん なんど へいわ 何度も何度も、平和で安全にここではたらきたいのだから、ほっておいてくださいと、たのみこまなかったです けんり ただ か。エジプトでは、われわれだけが、ほんとうのどれいではなかった。エジプト王の権利は、正しくみとめれば ほねさ すな よかったのだ。ここでみじめに死んで、骨を砂ばくの砂にさらすよりは、エジプト人にどれいのようなあっかい をされても、生きていたほうが、よっぽどよかったのです。」 モ 1 セは、それを聞いて心をうごかされなかった。おこってことばをかえすことも、かれらのおくびようさを とがめることも、しなかった。 モ】セは、かれらなどとはちがって、はっきり見とおしていた。いま、すこしでも心をうごかして、かれらの さいあくきけん いうことを聞けば、最悪の危険がおそいかかってきて、恐ろしいみな殺しにあうことになるのだ。そしてモーセ けっしん は、しばらくのあいだ考えた。しかし、決心はかたくて、うごかなかった。かれらに、たのんだ。 けっしん 「こわがらずに、しつかりしていてください。ひとりのこらず、決心して、おそれる心をすてなさい。そうすモ しゅじん かみ れば、神の救いがあるのだ。それは、きようここで、あらわれてくるのだ。すべての主人であるところの神工ホ かみすく きけん しどう ・ころ ふへいふまん

5. 旧約聖書物語

184 ような風が、南のほうのリビアの砂ばくにおこって、吹きつけてきだした。そのあらしの中に、砂ばくの砂やち たいよう おおなみ りがまきこまれて、みつしりとした高い大波のようになってすすんだので、空のまん中にあった太陽は、かがや かしいオレンジ色から、血のように赤い玉にちちこまって、月よりもかすかな光になったかと思うと、やがて消 えていった。 それからまた、地面やナイル川の州から、もうもうと水蒸気がわきあがってきて、エジ。フトじゅうは、昼だと いうのに、むしあつい夜のようになり、やみは、手でさわることができるかと思うほど、ひたひたとこくただよ けっしよう っていた。雪がつくる結晶のような、こなよりもこまかい砂が、風で吹きおくられてきて、どんな割れめからで たべものさけ もすきまからでも、もぐりこんで、エジ。フト人の食物や酒そのほかの飲みものに、まじってしまった。 ほうがく ほんの三、四歩さきの人のすがたも、うすれて見えなくなった。方角がすこしもわからなくなったから、門、 ら出て道を歩く勇気のあるものはひとりもいなかった。家の中でさえ、もえるような空気が、のどや肺そうにつ まってきた。家の中を歩くのにも、ただ弱いランプの光だけがやみの中のたよりで、みな、つまずきながら手さ ぐりでうごいた。三日のあいだすっと、だれも家から出ていくものはなく、だから、人びとのいききは、ばった りたえてしまった。 ただゴセンの地だけでは、日はいつものようにのばってはしすみ、空には、もとどおりにすみきった光がかが ゃいていた。 そうだん 三日めがおわるころになって、エジプト王はモーセをよびよせた。相談あいての大臣たちと、長いあいだはけ ふたは ぎろん をしいかということで、二派にわかれて、た しく議論をして、王はすっかりくたびれてしまっていた。どうすれま、 あたま がいに頭をかかえこんでしまった。かれらのうちで、もののわかった人たちは、王にむかって、ヘブライ人たち みつか ゅうき じめん みつか よわ すいじようき すな だいじん すな ひる

6. 旧約聖書物語

362 くる ることもできないほど苦しい立場に追いつめられ、もう長くもちこたえる望みはたえはててしまった。 かな ャベシの町のかしらたちは、破れたとは思っていなかったが、町の人びとのみじめなありさまを見て、悲しみ と絶望に心もくじけてしまって、ナハシ王に使いをおくっていった。 「わたしたちは、町をあけわたして、王がどんな条件をだされても、それをみとめます。ただし、わたしたち いじよう やくそく いのちたす と約束をかわして、町の中のすべての人の命を助け、あなたの軍勢をこの土地からひきあげさせて、これ以上わ くる たしたちを苦しめないようにしていただきたいのであります。」 けいれい ナハシ王は、おくられてきた使者たちに、じぶんで会った。使者たちは、王のまえにうやうやしく敬礼した。 わら 王は、かれらの元気のない声に耳をかたむけ、餓えてあおざめ、やつれた顔を見つめていたが、やがて大声で笑 いだした。この王の名は、「ヘビ」という意味だったが、その顔にヘビのようにずるそうな色をうかべ、むじひ たいちょう なぬけめのない目でまわりに立っている隊長たちを見やってから、使者たちに、町へもどるように命じていった。 こう じようけん 「おまえたちをここへよこしたものたちにつげるがよい。 これがわたしの条件だ。すぐに町の門をひらいて降 伏するのだ ! そして、わたしがめぐみぶかいことのしようことして、おまえたちのうち、わたしの命令をきか かお ぬすべてのものの右目をえぐりだしてやる。よいか、すべてのものの片目を、顔からえぐりだす ! そうすれば、 この日からのち、おまえたちはたがいに片目でななめに見るようになり、おまえたちを見るすべてのイスラエル てき たね 人にとっては、はじの種となり、おまえたちの敵にとっては、あざけりのまととなるだろう。それにしても、 まイスラエルじゅうに、おまえたちのためをはかったり助けたりしてくれるものは、ひとりもいないとは、あわ れなものだな ! 」 ャベシの町のかしらたちは、このいまわしいたかぶったことばにはげしく怒って、たたかいつづけることにむ ふく ぜっぽう たちば ゃぶ ししゃ かため つか じようけん たす かお ぐんぜい ししゃ ししゃ かため かお のぞ

7. 旧約聖書物語

334 にたゆ 畑のまん中にある、いただきのたいらな大きな石のまえで立ちどまった。 それで、とりいれをしていた人びとは、車に近よった。ぬいとりのあるおおい布をあげると、空にかがやいて てんし たいよう いる太陽が、おおい布の中の天使のひろげたつばさにてりつけた。それはまるで、昼のかがやきの中でまぶしい りようしゅ やくそく あかりがともされたようだった。そしてかれらは、「約東の箱」と、。ヘリシテの領主たちがそのわきにおくこと を命じた金の像のはいっている木の箱を見た。 人びとはそれを見て、よろこびとおどろきとでくるったようになり、そして、このうれしい知らせをつたえる とお ために、使いを遠くひろくおくった。そして、じぶんたちで、ペリシテ人がおくった神聖な乳牛を車からときは けむり ちちうし なし、車の材木をこまかに割って、乳牛をいけにえにして神にささけた。いけにえの煙は風のない朝空に立ちの じようへきとう とお ぼり、遠くはなれたエクロンの町の城壁の塔の上で、まだこちらを見まもっていたペリシテ人にも見えた。 しかし、ペリシテ人は、「約束の箱」をひきわたしたものの、そののちも、やはりイスラエル人をしいたげて、 よげんしゃ いまではイスラエルじゅうで預言者とみとめられ、イスラエルのさばき人に したがわせつづけた。サムエルは、 カオ えらばれていたが、エリの死を悲しんで、もう「箱」のまえでつかえることをしなかった。ある丘の上の家の中 ぶそく ばしょ が「箱」をすえておがむ場所とさだめられた。そして、エレアザルという名のレビ部族の人がえらばれて、「箱」 を守ることになった。しかし、サムエルはラマの町にもどって、じぶんがうまれた家に住んでいた。 はいあたま ( 1 ) 髪に土をふりかけるーーこの人びとは罪をくいあらためるしるしに灰を頭にふりかけた。それとおなじことであろう。 つか かみ ざいもく そう ぬの やくそく はこ ちか はこ かみ はこ ぬの ひる しんせいちちうし おか びと

8. 旧約聖書物語

331 やくそく それで、すべての用意がととのえられ、「約束の箱」が、手をふれられたりけがされたりしてはいけないとい ちか とり - うので、だれもそれに近よらないように、夜どおしきびしい見はりがつけられた。つぎの朝の日の出に きせつ りようしゅ いれの季節だったので、あけがたの空はすばらしく晴れわたっていたーー神官をはじめ、きかざった領主たちゃ たくさんの人びとがあつまった。 ぐんゼい ヘリシテの軍勢がイスラエルの軍勢を破 だが、あたりはしずまりかえって、さけび声ひとっきこえなかった。。 かお わす やくそく った日のことは忘れられてしまっていた。かれらは、「約東の箱」をのせた車のあとにしたがったが、その顔に おそ やくそく は、気づかいや恐れだけがあらわれていた。「約東の箱」はぬいとりのあるおおい布をかけられ、そのわきには、 とうちちうし ちち 金の像をおさめた箱がおかれていた。車は、乳のように白い二頭の乳牛にひかれて、エクロンの町の門へとむか っていった。 町の門のところで、神官たちは、ふうがわりでやばんな儀式をおこなった。そして、さだめられた時間に、二 とうめうし 頭の雌牛は、どこへでもいきたいところへ自由にいけるようにときはなされた。雌牛たちをさえぎったり、みち きんし きんし びいたり、追ったり、さそったりすることは禁止され、その禁止をおかしたものはだれでも、死刑にされること になっていた。 雌牛たちは、たづなをもっていたものが手をはなすとすぐ、立ちどまりもためらいもせずに、ゆっくりすすみ じようへき かげ つづけ、町の城壁が朝日の影をおとしているところからぬけだして、太陽がまぶしくかがやくところへ出ていっ なんとう た。そして、エクロンの町の門からのびている本道を南東へそれると、荒れはててふみわけ道もない平野を、ソ = レクの谷のほうへすすんでいった。 しんかんりようしゅ 神官、領主たちをはじめ、エクロンやそのまわりのいなかからあつまった、たくさんの見物人は、車のあとか めうし しんかん じゅう はこ ぎしき はこ たいよう しんかん めうし ぬの ぐんい けんふつにん しけい やふ

9. 旧約聖書物語

272 かみにつこう 間にひびきわたり、金色の髪が日光を受けてかがやいた。 けいかくじっこ・う それから何日か、かれはじぶんが考えだした計画を実行するためにはげしくはたらいた。まず、山々のふもと さく にある自然にできたくば地を柵でかこった。くば地からは、ひあがった川床が岩だらけの道のようになって平地 りようがわ のほうへくだり、その両側はけわしく切り立っていた。 ばしょ あなほ その仕事がすむと、野のキツネやジャッカルがよくとおることがわかっている場所にはどこでも、穴を掘って たにま ばたけ わなをしかけた。そして、昼まは山の谷間の割れめで、夜は月に照らされたブドウ畑で、待ちかまえて、足のは やくておくびようなけものたちを狩りたてて、手でとらえた。 キツネをとらえると、それを運んでいって、そのために用意しておいた柵の中にとじこめた。キツネたちは、 ひつよう 柵をとびこすこともできず、どのようにしてもにげだせなかった。かれは、キツネたちが必要になるときまで、 のぞ あの かってにさせておいた。そして、ただひとつのはげしい望みにかりたてられて、休みなくはたらいた。 わす いまいましいペリシテ人たちに、二度と忘れられないほど思い知らせようというのだった。 ほね きんにく かれは、骨ぐみのたくましい顔や手足を日に焼かれ、青い目はきらきら光り、からだじゅうの筋肉がこわばっ けいかくひつよう ていたが、それでもヘビのようにすばしこかった。そして、じぶんの計画に必要なだけ多くのけものをとらえて しまうと、長い時間をかけながらたき木をたばねて小さなたいまつをたくさんつくり、木のやにをぬりつけて、 かわかしておいた。これでとうとう、仕事はおわった。 こうしてすっかり用意ができたある夜、ま夜中に起きあがって、岩のあいだのく・ほ地につくったけもののかこ いわいわ いへおりていった。とりいれどきの満月のころで、あお白い月の光が、しずまりかえった木々や岩々のひとつひ とつにそそぎかけていた。 さく し・こと ひる かお はこ まんげつ しごと かわどこ さく

10. 旧約聖書物語

134 てぎれん・こう をしているとき、そのヘブライ人たちが、敵と連合して、じぶんに戦いをいどみ、じぶんの支配をくつがえして ふみん 自由な民になりはしないかと思った。 不安にとらえられて、王はかれらをつよくにくむようになった。 せんそう そうだん 国の外での戦争がひととおりかたづいたとき、王はおもだった大臣たちと相談をした。王はいった。 きけんぶつ 「あのヘブライ人どもは、われわれをおびやかす危険物になってしまった。かれらを、おさえつけておくよう かす に、手をうっておかなければ、やがて、国の中でハエのようにはびこって、われわれエジプト人よりも数が多い ほどになるだろう。だから、かれらをこらしめてやって、われわれに反抗したり、裏切ったりする力も気もちも なくなるようにしておかねばならぬ。」 かんとくかん それで王は、ヘブライ人たちのところへ何人かの監督官をおくり、手きびしくあっかうようにと命令した。監 ぐん ぐんす 督官たちは、ゴセンをいくつかの郡にわけ、また、それそれの郡に住むヘブライ人を、 いくつかの組にわけた。 くみ かんとくかん ひとつの郡にひとりの監督官がつぎ、ひとつずつの組には、ヘブライ人の中からえらんだ組がしらをおいた。へ びようにん ブライ人たちは、子どもだろうと老人だろうと病人だろうと、すべて王のためにはたらかなければならぬと、き びしくもうしわたした。 監督官たちは、すこしずつ、ヘ・フライ人におしつけるしごとを大きくしていったので、しまいにはヘ・フライ人 かん たちは、むごたらしくも、どれいのような身になってしまって、それからぬけだすこともできないのだった。監 と / 、かん くろうれんぞく 督官たちにしいたげられて、ヘブライ人たちの生活は、たえまのない苦労の連続になって、まるで牛や馬のよう に、ぼうやむちで打たれながら、へとへとになるまではたらかされた 0 もうはたらく力も出なくなったものは、 すてられて死んでいった。 うんが ヘブライ人たちは、運河をほったりダムをきずいたりさせられた。それは、ナイル川の水を高いところにまで じゅうたみ と ~ 、かん かんとくかん ぐん ろうじん せいかっ だいじん たたか はんこう うらぎ しはい