本書は , JISQ9000, JISQ9001, 及び JISQ9004 を引用するにあたり , ( 財 ) 日本 規格協会の標準化推進事業に協賛しています .
TMS ー 40000 3.2 用語の定義 マネジメントマニュアル 辰巳製作所 ( 株 2001 ー 04 ー 02 制定 改定 8 / 53 第 1 版 マネジメントシステムで用いる用語は , 以下の項目以外は JIS Q 9001 : 2000 及 び JISQ 14001 : 1996 の条項 3 の定義に従う . ( 1 ) 部署 : 部・課の総称をいう . ②供給者 : 購買先及び外注先 ( ISO 14001 規格でいう請負者 ) の両方を含む . ( 3 ) 要員 : 従業員及び関連する構内の外注先従業員を含む . ( 4 ) 社内標準 : 社内で設定するマニュアル , 規定 , 管理基準 , 仕様書などを 総称していう . ⑤ ( 6 ) ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 166 マネジメントプログラム : 品質マネジメントシステムの計画を含む . 能力 : IS09001 でいう「力量」を含む . デザインレビュー : 設計・開発のレビューを意味する . 購買製品 : 購買品及び外注委託業務の両方を含む . 検査 : ISO 9001 の「製品の監視及び測定」を含む . マネジメントレビュー : ISO 14001 の「経営層による見直し」を含む .
ネジメントを含む規格と捉えることができる . IS014001 規格の環境側面の特 定と環境影響評価 , OHSAS18001 規格の危険源の特定とリスクアセスメントは , 文字通りリスクの大きさを評価するためのものであるといえる . ISO 9001 でも 顧客満足の調査を行い , その他のデータの分析を求めるのはリスク予防といえ る . また ISO 9004 : 2000 規格の 7.3.1 項「 ( 設計・開発 ) 共通の手引」の中で , 「製品及びプロセスの不具合又は失敗の可能性及び影響を評価するために , リス ク評価を行うとよい」と述べられている . ISO 9001 : 1987 規格では「予防処置」の規定がなかったが , その 1994 年版 以降すべての ISO 規格には予防処置の要求が加わった . このため , ISO 規格は proactive ( 予防活動的 ) な規格になったといわれる . これはまさにリスクの低減 または回避を目指そうということを意味する . ということで , IS09001/ISO 14001 / OHSAS18001 が共通してリスクを取 り扱っていると考えれば , それらのリスクを , 統合したシステムの中で対処し ていくことが好ましいはずである . 2.4.3 ISO 規格の両立性に関する記述 ISO 14001 規格の「序文」に , 次のような表現がある . 「この規格は , 品質システム規格の IS09000 シリーズと共通のマネジメ ントシステム原則を共有している . 組織は , 環境マネジメントシステムの 基礎として , IS09000 シリーズに合致する既存のマネジメントシステムを 使用しても差し支えない . マネジメントシステムの様々な要素の適用は , 目的及び利害関係者の相違によって , 異なることを理解することが望まし い . 品質管理システムが顧客ニーズを取り扱うのに対して , 環境マネジメ ントシステムは , 広範囲の利害関係者のニーズ , 及び環境保全に関して高 まりつつある社会のニーズに対応するものである . 」 明らかに , 幹となる部分の 1 つのマネジメントシステムを意識している . れを受けて , 後でつくられた IS09001 : 2000 規格の「序文」の「 0.4 他のマネ ジメントシステムとの両立性」の中に , 以下のような表現がある . 26
つ づき ( 21 / 37 ) OHSAS 18001 : 1999 ( 要旨 ) 1 ) いわゆるデザインレビューのことである . 関係者の知恵を集めることが趣旨であり , そ れにふさわしい人を招集することが肝要であ る . 2 ) IS09000 の定義「 3.8.7 レビュー」にもあ るように , 設計の適切性 , 妥当性及び有効性 の確認も含まれる . 3 ) 組織によっては , DR 1 「企画段階のレビ ー」 , DR2 「基本設計時のレビュー」 , DR コ、 3 「試作設計時のレビュー」 , DR4 「量産設計 時のレビュー」などと , いくつかの段階で行 2.5 ISO 9001 / ISO 14001 / OHSAS 18001 規格要求事項の比較 うようにしているところもある .
ジメントを改善するための有効なツールになる . 「魂」とは , 前述した経営者の 目的意識と従業員のやる気である . 事実 , IS09000 シリーズや IS014001 規格 の導入を契機に , 従業員の意識を変え , スリムな組織を構築し直し , 企業の体 質を改革すること , すなわちリエンジニアリングに成功した経営者を幾人か 知っている . これらの方々は , どのようにすれば ISO 規格の効能を発揮できる かを理解し , うまくこれを活用したのである . 要は , 道具と ISO 規格は使いよ うである . IS09001 規格は品質を , IS014001 規格は環境を切り口としているが , いず れもマネジメントの仕組みの改善を目指すという点では変わらない . ISO 規格 の本質・特質を十分認識したうえで , 経営者が , マネジメントの質つまり企業 の経営の質を改善しようという目的意識をもって ISO 規格のシステムを導入す れば , 経営に役立つチャンスが広がるに違いない . 12
つ づき ( 36 / 37 ) OHSAS 18001 : 1999 ( 要旨 ) 4 五 2 事故 , 事故誘因 , 不適合 , 並び に是正及ひ予防措置 組織は , 次の責任と権限を定める手 順を確立し , 維持しなければならな a) 次の事項の取扱いと調査 ; ー事故 ; ー事故誘因 ; ー不適合 ; b) 事故 , 事故誘因又は不適合から生 じるあらゆる結果を緩和する措置 ; c) 是正及び予防措置の開始と完了 ; d) 実施された是正及び予防措置の有 効性の確認 . これらの手順は , 提案されたすべて の是正及び予防措置を , 実施に先立つ リスクアセスメントのプロセスを通し て , 見直すことを要求しなければなら ない . 顕在化及び潜在化する不適合の原因 を除去するために取られるあらゆる是 正措置又は予防措置は , 問題の大きさ に対応し , かっ , 生じた労働安全衛生 リスクに釣り合わなければならない . 組織は , 是正及び予防措置に伴う文 書化した手順のあらゆる変更を実施に 移し , 記録しなければならない . 1 ) ISO 9000 の定義 ( 3.6.5 及び 3.6.4 項 ) による と , 「是正処置」とは「検出された不適合又は その他の検出された望ましくない状況の原因 を除去するための処置」 , 「予防処置」とは「起 こり得る不適合又はその他の望ましくない起 こり得る状況の原因を除去するための処置」 のことである . 日本語でよくいう「再発予防 対策」は , 一度起きたことの再発防止を目指 すものだから , 規格でいう「是正処置」のこ とである . 2 ) その処置は本質的な問題には本質的に対応 しなければならないが , 一過性のたまたまの 小さなミスには大袈裟な処置は不要である . 3 ) 処置をとったら , その効果の確認を行い , こ れによりもう発生がないことを確認した後 , その不適合のケースをクローズすることが望 ましい . 4 ) この不適合管理 , 是正及び予防処置は大変 重要である . これを通しても PDCA の小サイ クルが回せ , 改善を達成できるのである . の意味で , 誰が責任と権限をもって実施する のか「責任と権限」を定めておくよう , ISO 14001/OHSAS 18001 では求めている . ISO 9001 に関しても同様に考えるべきであろう . 5 ) ISO 9001 では「とった処置の結果の記録」 となっているが , 4.2.4 項参照となっているの 2.5 ISO 9001 / ISO 14001 / OHSAS 18001 規格要求事項の比較 プ 03
これを改訂する際には , たとえ改善のためであっても , いちいち先方の了解 を得なければならない . つまり , 一度用途への適合性が検証されたら , そのつ くり方を固定し , 継続的に安定した品質を確保しようという考え方である . れを FrozenPractice( 直訳すると「凍ったっくり方」 , つまり固定したっくり方 の意 ) と呼び , 簡単には変更しない . 従って , それ以上の品質あるいは工程の改 善はあえて求めないという仕組みなのである . 確かに , ある部品の性能を改善しても , 原子力発電 , 航空機工ンジンという 全体のシステムとしては役に立たないこともある . さらには , 逆に他の部分に 悪い影響を与えてしまうことすらあるからだ . 実は , ISO 9000 シリーズ : 1994 規格はこの品質保証の考え方の延長線上に あり , 規格がいう「手順の確立」とは , 顧客にとっての良いつくり方であるこ とを確認し , 固定することを意味する . つまりこの規格は , 手順の確立と実行 を通して , 顧客のニーズ・要求事項に適合した品質を提供し続けることを保証 するための仕組みであって , 品質を改善するための仕組みではない . この ISO 9000 シリーズの本質を理解しないと , 過大な期待をもち , そして結果として 誤った評価をしてしまう . 既に安定して良品質を供給できる大企業では , IS09001 規格を導入してもあ まり品質上のメリットはないかもしれない . しかし , つくり方の手順や基準が 十分確立していない , あるいは責任と権限が不明確で組織的に品質管理に取り 組んでいなかったような中小企業では , IS09000 シリーズ規格を導入すること によりそれらが可能になって , 品質のばらっきが小さくなり , 結果として品質 の安定が期待できる . 事実 , 品質の改善・安定につなげた企業もある . しかし , ISO 規格は所詮ツールに過ぎない . これをどう使うかを考えずに , 横 並び意識だけで経営者が認証を取れと部下に指示し , 経営者自身がほとんど参 画・支援しなかったという状態であれば , 「品質が改善する」などという望ま しい成果が簡単に得られるはずがない . 規格の有効性を云々する以前に , まず 経営者の姿勢が問われなければならないということである . 10
つ づき ( 26 / 37 ) OHSAS 18001 : 1999 ( 要旨 ) 組織は , 特に不測の出来事又は緊急 事態発生後には , 緊急事態への準備並 びに対応計画及び手順を見直さなけれ ばならない . 組織はまた , 実行可能な場合には , そ のような手順を定期的にテストしなけ ればならない . 1 ) 製品実現のすべてのプロセス ( すなわち , IS09001 の 7 項 ) 中で , 製品及びサービス固 有の識別が求められている . 2 ) 同時に , 検査状態 ( 合格か不合格か , 検査前 か後かなど ) の識別も要求されている . 3 ) トレーサビリティが顧客から要求されてい ない , また用途などから考えても不要という 場合には , この部分を除外項目とすることが できる . 但し , PL 上の視点も入れておくこと が肝要である . 1 ) 「顧客の所有物」とは , 加工のために顧客か ら支給された素材 , 製品取り付け用特殊部品 テスト機器の貸与 , 並びに開発のための顧客 2.5 ISO 9001 / ISO 14001 / OHSAS 18001 規格要求事項の比較
第 3 章 マネジメントシステムの統合化 統合とは 「統合」という言葉がいろいろな意味で使われている . 例えば , 下記の例であ る . ( 1 ) 統合審査 IS09001 規格に基づく品質マネジメントシステム及び 14001 規格に基づく環 境マネジメントシステムを , 一緒に審査にすることである . 「複合審査」とも呼 ばれる . 審査チームは , 少なくともそのリーダーは品質・環境とも主任審査員 の資格をもっている者であり , 各現場で品質及び環境の両方を一緒に審査して いく . 現場では , 同じ審査員が審査する , あるいは資格のある別の審査員が交 互に質問するという両方のやり方があり得るであろう . ( 財 ) 建材試験センターの資料「 ISO 9000 s と ISO 14001 の統合審査が可能」に は , 下記の記述がある . 「当センターは , 建設分野専門の品質 , 環境部門を審査できる審査員を多 数擁して , 企業の皆様のご希望に沿って効率良い審査を行います . 統合審査には以下のようなメリットがあります . 107
つ づき ( 34 / 37 ) OHSAS 18001 : 1999 ( 要旨 ) 3 ) どんな場合でも , 顧客の了解なしに顧客要 求事項を逸脱した製品は出荷することは許さ れない . これがコモンセンス ( 常識 ) である . 4 ) 手直し , 修理または特別採用された場合 , そ の許可条件に合致していることを再確認する ことが必要となる . 5 ) 処置する内容を示す用語については , ISO 9000 の定義を参照すること . ①修正 : 検出された不適合を除去するため の処置 . 修正として , 例えば , 手直し又 は再格付けがある . ②手直し : 要求事項に適合させるための , 不適合製品にとる処置 . ③再格付け : 当初の要求とは異なる要求事 項に適合するように , 不適合製品の等級 を変更すること . ④修理 : 意図された用途に対して受入れ可 能とするための , 不適合製品にとる処置 . 1 ) 自組織の品質マネジメントシステムが適切 か , 有効かを明らかにするために , また改善 の可能性を指摘するためにも , 必要なデータ 2.5 ISO 9001 / ISO 14001 / OHSAS 18 1 規格要求事項の比較 99