現代の生物と体のしくみが異なる まるで怪獣みたいな生物がいたのね ! 多様化した生物はモンスター化した ? カンブリア大爆発の学説 の登場により生命は大型化し、多 様化していきました。そして化石の研究から、およそ 5 億 4200 万年前のカンブリア紀に生命の多様化が急 激に起きたと考える学説が この学説の根拠となった化石の生物は、カナダのバ ジェス山から見つかったため、 ージェスモンスターな どと呼ばれます。この動物群は、昆虫のような外骨格、 飛び出た眼、鋭いロ、針のようなトゲなどュニークな特 徴を持ったものが多くいました。それ以前の化石にはあ まり見られない特徴で、生物が急激に多様化していった ことがわかります。その原因は、生物が し、食う・食われるという補食関係が生まれたためだと いう説があります。ただし、多様な生物の進化はカンブ リア紀以前から徐々に進行したという見方もあります。 カンブリア紀に起一、った生命進化の大爆発 多細胞生物 ( ↓ カンブリア大爆発 「眼」を獲得 ( K EY WO R D 2 「眼」を獲得 1 多細胞生物 前時代のエディアカラ動物群などは体が複数の細胞で構成されている生 眼を持っていなかった。眼の誕生が物を多細胞生物という。動物や植物 生存競争を激化させ、動物は生き残は、すべて多細胞生物だ。ーっの細 るために多様化したという説を「光胞だけで体が構成されている生物を スイッチ説」という。 単細胞生物という。 216
3 時間目 / 生物の時間引、 0 ー oay 定義 生物の分類にはさまざまな方法がある ・ 5 界説による生物の分類 バクテリアや藍藻 ( らんそう ) などの原核生物すべてが含まれる。 原核生物とは細胞膜内に核をもたない生物のこと。 アメーバやゾウリムシなど、単細胞生物が含まれる。 おもにキノコやカビといった菌類が含まれる。 草や木といった一般的な植物が含まれる。葉緑体を持って光合 成するものが多いが、進化の過程で葉緑体を失ったものもある。 いわゆる一般的な動物が含まれる。自ら栄養 ( 炭素 ) を生み出 すことはできず、他の生物を摂取して栄養を得る。 原核 生物 モネラ界 原生 生物界 菌界 植物界 動物界 核物 真生 ・ドメイン説による生物の分類 大腸菌やバクテリアなど、一般的に知られている細菌・バ クテリアが含まれる。 原核生物の一種で、進化系統的には細菌より真核生物に近 い特徴を持ち、アーキアともいわれる。 動物、植物、菌類など、我々が目にすることができるほと んどの生物が含まれる。 真正細菌 古細菌 真核生物 もっと知りたい 0 、 古細菌 古細菌には細菌が生息しない 高温や高圧の中に生息するも のが多いです。原核生物だ が z < 複製のしくみなど は細菌より真核生物に近いた め、古ク細菌 % ではなくアー キアとも呼ばれます。 ウイルスは生物か ? 感染症の原因となるウイルス は細胞を持たないため、上記 の分類に当てはまりません。 しかし、他の生物の細胞を用 いて自己増殖するため学説に よってはウイルスを「細胞を 持たない生物」とすることも。
わたしたちと同じ細胞を持った 生物が誕生したわ “空気の毒 " を克服した高等生物 ー真核細胞の誕生 光合成生物の生み出す酸素は多くの生物たちにとって 猛毒でしたが、なかには酸素からエネルギーを生み出す 真正細菌もいました。そしてその真正細菌を取り込み、 エネルギー源として活用しようとする原核細胞が現れま す。体内に取り込んだ真正細菌を消化・吸収せず、そこ からエネルギーだけ利用するようになった原核細胞を、 といいます。もともとの原核細胞は酸素に弱いの で、真核細胞は細胞内に仕切りをつくり自身の核を守り ます。そして取り込まれた真正細菌は、 としてエネルギーを生み出す器官になったのです。 たくさん 真核細胞は仕切りで核を守れるようになり、 の遺伝子情報を蓄えられるようになったことで複雑化し ました。その一部は複数の細胞同士が協力する形状に進 になっていったのです。 核細胞 タ部から細胞を取り込む 多細胞生物 ( プ ) ミトコンドリア K EY WO R D 工ミトコンドリア プ多細胞生物 酸素を取り込んでエネルギー ( A T 複数の細胞からなる真核生物のこ P ) を生産する細胞小器官。独自の と。個別の細胞の死を避けるのでは なく、死ぬものはそのままにして他 D N A を持っことから、原始の細胞 の細胞を生き延びさせるためのしく が取り込んだ外部細胞を細胞内に共 生させたものと考えられている。 みを持っている。 146
3 時間目 / 生物の時間 0 ー oqy 定義 真核細胞は核がしつかり守られている ■真核細胞の構造 外部から取り込まれた 細胞小器官 ミトコンドリアは原核細 胞が真核細胞に発展する にあたり、外部から取り 込んだ細菌の生き残りで あると考えられている。 トコンドリア 0 細胞核によって DNA を保護 D N A は酸素によって簡 単に破壊されてしまうた め、ミトコンドリアを取 り込んだ細胞は細胞核の 中に D N A を保護するよ うになった。 0 核 もっと知りたい 0 、 細胞共生説 生物学者のマーギュリスが提 唱した「ミトコンドリアや、 光合成を行う葉緑体は細胞内 に共生する外部細胞に由来す る」という説。これらの細胞 小器官は独自の z < を持 ちます。 細胞 多細胞生物は成長の過程で細 胞を分化させます。そして細 胞が骨や臓器などの役割を持 つようになります。人工的に 分化前の状態をつくり出し、 いろんな役割を担えるように したのが•-æc-D 細胞です。 147
3 時間目 / 生物の時間 0 ー oqy 定義 地球最初の生物は「原核生物」 ー原核生物 ( バクテリア ) の構造 核様体 (DNA) 細胞壁 リポソーム 鞭毛 原核生物の細胞膜は 細胞てあると同時に 1 個の生物でもある 中身かスカスカ ? 原核細胞生物は細胞一個が一つ 原核生物には核がないため、 DNA も他との区別なく細胞の生物として存在しているた 質の中に存在している。細胞め、他の個体との接合に使う繊 毛や移動のための鞭毛を持って を支える内部構造がないた いるものが多い。 め、固い細胞壁を持っている。 もっと知りたい 0 、 地磁気 生命が誕生した頃、太陽風の せいで生物は海中深くでしか 生息できませんでした。しか し、億年前に地磁気が発生 し、太陽風が防がれたことで、 海面近くに生息できるように なったのです。 植物プランクトン プランクトンは微生物の総 称。植物プランクトンと呼ば れるのは、シアノバクテリア ( 藍藻 ) の他にも珪藻類など が含まれます。似たようなも のに思えますが、藍藻は細菌、 珪藻は藻類で植物です。 145
生命が生まれるためには 、特別な環境が必要だったのよ 「熱い海底」が大きな役割を果たした ? 一生命の誕生 地球で最初の生命がいっ誕生したかは諸説あります が、一般的にはおよそ億年前に、生命の最小単位であ る細胞が最初に発生したと考えられています。「原始スー プ」と呼ばれるように、当時の地球の海は やタンパク質、核酸などのさまざまな有機物を多く含ん でいました。深海にある熱水噴出孔の熱により、そのスー したといわれています。 プが変化し とくに重要な役割を果たしたのがリン脂質。一一重の膜 を構成することで、体内 ( Ⅱ細胞内 ) と外界を分ける を生み出しました。その膜の中に核酸やアミ ノ酸からっくられるタンパク質が包まれることで、細胞 の原型といえるものが誕生します。数多く生まれたその 原型のうち、代謝を行って分裂するしくみを獲得したも のが細胞として生き残り、発展していったのです。 有機物から生命が生まれた 細胞が誕生 リン脂質 7 、 ) 細 K EY WO R D 細胞膜 リン脂質でできているが、それだけ リン酸と脂肪酸が結合してできる分 では物質を取り込んだり排出するこ 子で、細胞膜の構成成分。水となじ とができないので、膜の一部にはタみやすい頭部と水を嫌う脚部を持 ンパク質が存在し、物質を透過させち、頭部を外側に、脚部を内側に向 たり他の細胞と結合したりする。 けた二重の膜をつくる。 142
3 時間目 / 生物の時間 3 ー 0 ー 00V 定義 リン脂質の膜とタンパク質により細胞が誕生 ■細胞膜の構造 膜タンパク質 細胞外 リン脂質 頭部 脚部 0 細胞内 膜タンパク質 物質を透過できるのは 膜タンハク質のおかけ リン脂質の膜の途中に点在 するタンパク質は「膜タン パク質」と呼ばれ、これに より細胞膜は特定のイオン やブドウ糖などを通過させ る半透膜となる。 細胞膜の基本は リン脂質のニ重膜 親水性のある頭部が上下に 並び、その内側に疎水性の 脚部が並ぶリン脂質の二重 膜によって、細胞膜の多く が構成されている。 4 もっと知りたい 0 、 海底にある生命の泉 ? 深海に存在する熱水噴 出孔は海底火山の一種で、 2 00 ℃ 5 3 50 ℃にも達 する熱水が吹き出ています。 さらにメタンや硫化水素、ア ンモニアなどのガスや金属イ オンも吹き出しており、太陽 エネルギーを必要としないほ どの化学工ネルギーと有機物 の合成に必要な環境が整って います。そのため、地球最初 の生物もここから誕生したと 考えられています。現在でも 古細菌を筆頭に硫化水素を取 り込むジャイアントチューブ ワームなどの生物が、独特の 生態系を築いているのです。 143
なまえ 恋愛も遺伝子次第 ? 生物のテスト 時間目 1 00 生物の知識がどのぐらい身についたのか、生物のテストに挑戦してみよう ! 問題は 1 問 20 点。答えは 184 ページにあるよ。 ロリン脂質・膜タンパク質の役割は ? 原核生物の細胞膜において、リン脂質と膜タンパク質が果たした役目 は何か。下線部を埋める形で答えよ。 リン脂質 の頭部を外に向けることで、 体内と外界を隔てた。 膜タンバク質 細胞外 膜タンバク質 膜中に点在することで特定の 物質を一 ロ原核生物はどちらか ? 細胞内 膜タンパク質 A と B のうち、原核生物はどちらか ? また、各部の名称を答えよ。 6 〇 . 0 原核生物はシンプル 1 82
、 A : A の形質 2 つの対立遺伝子を持っ時、優性 なほうの遺伝子の形質が発現する。 工ンドウマメのしわのあるなしは、 対立遺伝子により発現する形質。し わがあるほうが劣性なので、 Aa の 遺伝子型を持っていてもしわがある 工ンドウマメにはならない。 ~ A : ニ重らせん、塩基 遺伝をつかさどる D N A の構造はニ 重らせんをしていることがわかって いる。 ニ重らせんは必要に応じて 2 つにわ かれ、塩基をむき出しにすることで、 遺伝情報を伝達する。 塩基は 4 種類あり、それぞれに対応 する塩基を引き寄せることで、情報 伝達が可能になる。 A : 転写、翻訳 D NA はニ重らせんをほどくことに よって塩基をさらけ出す。そこに対 応する塩基ができると、さらにそれ に対応する塩基ができて、 D N A は 複製されていく。 mRNA は DNA から遺伝情報を読み 取り ( 転写 ) 、その情報を他の器官 に伝えて ( 翻訳 ) タンパク質をつくり 出す。 生物のテスト Answer , A : 親水性、透過 太古の昔、有機物から原核生物が 誕生した。誕生に際して大きな役 割を果たしたのがリン脂質と膜タン パク質である。 リン脂質は親水性の頭部によって、 細胞膜を形成した。 膜タンパク質は膜中で、特定の物 質を透過させた。 A : 原核生物は A 核様体、リポソーム、 ミトコンドリア 原核生物はよりシンプルな構造をし た AO タンパク質をつくる器官であ るリポソームと、 DNA を格納する核 様体を持つ。 B の真核細胞の核は、細胞膜によっ て守られているのが特徴。細胞内 にミトコンドリアを持つ。 1 8 ム
3 時間目 / 生物の時間 Bioloqv 定義 RNA が DNA 情報を伝達 ータンバク質合成における遺伝情報の動き DNA の情報を 「転写」し「翻訳」する m RNA が DNA の情報を写し取 ることを「転写」、といい、そ の情報を元にリポソームにタン パク質をつくるための情報を渡 すことを「翻訳」という。 複製 DNA 転写 mRNA 翻訳 細胞核の中の DNA から リポソームへ伝達 D N A は細胞核の外に出られな いため、 m R N A が伝達役とし て DNA の持つ遺伝情報を細胞 質の中にあるリポソームへと伝 える。 リポソーム タンバク質 遺伝情報の流れ 触媒作用 もっと知りたい 0 、 CZ< ワールド説 原始の地球に登場した生物 においては、遺伝情報を担っ ていたのが OZ< ではなく z < であったのではないか という説。 CZ< を構成して いるリポースという物質は、 OZ< を構成しているデオキ シリポースより、生物のいな い環境でも生まれやすいこと から、原始のスープの中で Z< がつくられやすかったの です。また、 OZ< に比べて z < は多彩な役割を担うこ とができる点も重要。ただし これはあくまでも学説の 1 っ で、まだ解明されていない点 も多いです。 1 73