事件 - みる会図書館


検索対象: いじめの現場 : 子どもたちの叫び声
79件見つかりました。

1. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

4 側の主要メンバーはこの子、笑っていたのはこの子、黙って見ていたのはこの子 : : : と生徒た ちに事を聴いても、全員が正直に言っているかどうかはわからないし、加害行為をどこで線 引きするかも難しい。やった子に反省してもらわないと親の無念は晴れないというのはわかる けど、「報告書を出せ」と言われてどこまで書けますか ? あいまいなまま、とてもそんなこ とはできない 養護女亡くなった子どもの命はとても大切な命だったということ、その子はいしめを受 けて自殺したのだということ、そして、その子がどんなふうに追いつめられていったのかとい うことを、改めてみんなで考えたい。 あらゆる犯罪や、死者が出るような事件・事故は、警察が捜査し、裁判所で裁き、加害 者に罰を与えたり、少年なら更生施設で教育したりする。これをやってないのが、学校のいじ め自殺事件だろう。学校の調査にさまざまな配慮が必要なことはわかるが、やらなくていいと は田 5 わない。 担任男私たちに逮捕権や事情を聴く権限があれば可能だろうが : 主任 < 男たとえば外務省の機密費問題を考えると、だいぶ前からそういう金の使い方はあ った。処分された人は「おれだけしゃない」と一言うだろう。放っておいた組織にも責任はある だろう。しかし、学校でいじめ事件を調査するということは、そうした機密費の背景を外務省

2. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

1 う 8 「みんなでなんとかしなくちゃ」というやり方は、荒れてる学校ならやりやすいと思う。 担任 o 女先生同士が協力して何かやろうとしても、私たちには限界があることも事実。 とえば、学校で事件があったときは校長や教頭が窓口になるシステムができあがっている。二 年前、うちの学校に荒れている子かいて、傘を振り回して暴れたことがあった。緊急事態に校 長は「一一〇番通報すると報道機関にも伝わるから、警察にはこの電話で」と一一一口う。また、 の会合で呼んだ外部の先生の話を教頭が「ふさわしくない」と改ざんして、裁判ざたにな ったときは、私たちに「いっさい話をするな」とかんロ令がしかれた。不用意なことを言って、 大きく取り上げられたら大変だと、教育委員会からも話があった。保身と体面のためだけ。私 は心の中で反発したが、実際、私たちにできることは限られている 担任男私の学校もまったく同じだ。同じ学校かと思うくらいで、びつくりした。以前、 一年生が荒れて逮捕されたことがあったが、学校の中でも情報はオープンしゃなかった。対応 はマニュアル化されていて、窓口は校長、教頭に一本化。私たちには不十分な情報しかない。 知らないことを憶測でしゃべって、真実がねじ曲げられて伝わったらいけないと思うので、私 たちは黙るしかなかった。 そんなふうに事件への対応がマニュアル化されていると聞くと、 いしめ自殺が起きた学 校の記者会見なども合点がいく 。二〇〇〇年七月の埼玉県川口市立中学一年男子生徒の自殺で

3. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

も、十月の千葉県市原市立中学三年女子の自殺でも、学校の言い方はまったく同じ。「いしめ はあった。しかし、いしめか自殺の原因かどうかはわからない」で首尾一貫している。二〇〇 一年一月に横浜地裁で「いじめが自殺の原因だ」という一審判決が出た神奈川県津久井町の事 件 ( 一九九四年 ) でも、事件から七年たち、さまざまな証拠から「学校の責任だった」と判決 が出てもなお、学校側の言い分は変わらない。町と県はすぐに控訴した。 いじめ自殺事件を取材して不思議に思うのは、学校側が独自の調査をほとんどしないこ と。人ひとりが死んでいるのだから、何かあったのか事実関係をはっきりさせるのが当たり前 だと思うのだが : 主任 < 男追及すると、クラスの中で起こったことは最終的にすべて担任の責任になってし まう。完ぺきに担任のひと言だけで自殺したのなら担任の責任だが、そうではないだろう。わ れわれは一個人の責任にしたくない。みんながみんな一生懸命にやってきた。そんなことにな ると担任のなり手がなくなってしまう。事件が起きたとき一番つらいのは担任だ。担任が追い 実 と思ってる先生はいない 傷口に塩を塗るようなことはできない。わ 現詰められて死んでいし 章れわれは仲間意識で守るし、学校は、一担任の責任じゃないということを言って、かばってい 第 かなくてはいナよ ) 。

4. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

ら、そういう ( 生活委員として呼びかける ) 立場になることもあるよという話をし、「深く反 省しているから、みなさんも、これからないよ、フにしましよ、つ」と言おうよ、とい、つ話をした。 私たちとしては、死を重く受け止めている。日ごろから、全校朝会などで命の大切さを訴え、 各担任にも道徳や学活でことあるごとに訴えてほしいとお願いしている。老人ホームや養護学 しと田 5 っている。 校に年二回、訪問することを通して、命のすばらしさをわかってもらえればい ) 生きがいのある学校生活を送ることで抑止力になるのかな、と考えている。 発言の重さに学校側は認識をーー喜多明人・早稲田大学教授 ( 教育学 ) の話 この事件は「兵庫県龍野市の児童自殺事件」 ( 一九九四年九月 ) と似ているなあ、というの が第一印象だ小学六年生が自宅の裏で首つり自殺をしたのだが、動機がわからなかった。た だ、その日、先生にしかられ、体罰もあったらしいことがわかった。自殺の原因を知りたい両 親は学校に説明を求めたが、彳 物日寸のいく説明は得られなかった。両親は訴訟を起こし、事件か ら六年目の去年、自殺と担任の暴行との因果関係を認める判決が出た。 新座市の男子中学生の自殺について、報道されている限られた事実からだが、二つのことを 感している。 一つは、仮面をかぶりすぎた子どもが追いつめられてしまったということ。「学校の中の模

5. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

の職員一人ひとりに明らかにしなさいというのと同じこと。われわれがいしめ自殺で一番に考 えるのは、もちろん亡くなった子どもの命だが、次のことも、つまり、いま生きている子ども のことも考えないといけないんだ。 そうやって一つ一つの事件の背景を明らかにしない結果、先例から何も学べすに繰り返 すことになっているという・ことはないか。 主任 < 男われわれも勉強している。しかし、違う学校に異動すると環境が変わり、また一 学校を取り巻く環境は十校あれば十校とも違う。生徒の家庭環境 から学ばなければならない もさまざまで、十人いれば十通りの環境がある。自殺が起きた学校の事例を研修して、これは 危ないという赤信号はなんとなくわかるけど、見えない場合もあるし、一緒に生活している親 にだってわからないこともある。ますは赤信号を見落とさないための教員研修をしていかない それだけでなく、 といけないが、 学校の中に信号がはっきり見えるような構造をつくらないと いけない。でも、それは難しい 実 現 はっきりしていることが一つある。一生懸命生活している子どもがほとんどだし、間題のな 章 い学校の方が多いこと。だから、事件のあった学校に学しかないのはその通りだ。教員同士 第ならできるは亠 9 だ。

6. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

少年犯罪の被害者支援に全国の弁護士がネットワーク いじめによる暴力などで子どもを亡くしたり傷つけられたりした少年犯罪の被害者や、その 家族の支援を目的とした「少年犯罪被害者支援弁護士ネットワーク」 ( 事務局・児玉勇ニ弁護 、じめの問題 士 ) が発足した。全国の弁護士約五十人による組織で、事件として扱われにくいし にも対応していくという。ニ〇〇一年四月八日に開かれた創立総会には被害者も参加し、今後 の支援活動などについて話し合った。 法改正で保護規定も 西鉄高速バス乗っ取り事件三〇〇〇年五月 ) など相次いだ少年犯罪を受け、刑事罰の対象 望 希 年齢を「十六歳以上」から「十四歳以上」に引き下げるなどした改正少年法が二〇〇一年四月 章から施行された。改正には、被害者や遺族が申し出れば家庭裁判所に意見を言うことができる 第 など、被害者を保護する規定も盛り込まれた。 保護主義の少年法下では加害者が厚く保護される一方、被害者側の権利が軽視されがちとい

7. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

生きるって ? 死ぬって ? 失った命の重さを感じて 自殺で中ニの次男を亡くした父親を招いて わが子を自殺で失った親の気持ちを聞くことで、命の大切さや残された者の悲しみを知って もらおうと、東京都足立区立第七中学はニ〇〇一年六月下旬、一年生 ( 全ニクラス七十六人 ) を対象に「生と死を考える」授業を行った。招かれて話をしたのは o 君の父・大貫隆志さん オし また、学校で事件が起きたとき、常に言われるのが情報開示の問題。子どもが亡くなったら、 親は原因を知りたい。ちゃんと説明できる力量か学校にほしい。 大きな事件があると、たいてい教育委員会の指導室を通して学校長に指示があ 0 て、事実関 係は一般の先生には知らされす、校長、教頭、担任などの間で秘密のうちに処理される。そし て人事異動によ「て、証人を地元から排除する。当然、親は学校に対して不信感を抱く裁判 所でしか問題解決できないのは、親にと「てつらい。「子どもオンブズバーソン」とい「た子 どもの権利を救済する第三者機関が介入して、親の不信感を解消していければいいと私は思「 ている。 ( 朝日中学生ウィークリ ・ 5 . 付 )

8. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

というような子どもたちの動揺をとにかく防ぐ必要があった。集まった保護者に〇〇さんのご 家族の様子を伝え、「亡くなった女子生徒さんの人権とプライバ、ンーを保護したい」と話した。 翌日、臨時生徒集会を開いた 生徒たちの気持ちを落ち着かせるために校長が話をし、「こ んな悲しいことはうちの子だけでいい」というご家族の言葉を伝えた。事故で亡くなったと説 明し、自殺とは言わなかった。その日から三日間予定していた中間テストは一週間延期して、 各担任がクラス全員に面接した。生徒たちがとてもテストを受けるような心理状態ではない、 と判断したからだ。 〇〇中学にはスクールカウンセラーがいるか、今は一人しや足らない。 「なぜサインを見落 としてしまったのか」という思いがみんなにある。一人の先生は倒れてしまった。事件から一 週間ほどして、県の臨床心理士会から市教委に〇〇中学でのカウンセリングの申し出があった。 学校も要請してきたので、数人の方にボランティアで行ってもらっている。生徒や先生に不眠 症、体調不良などの症状が出ていて、保健室に何人かが来ていると聞いている。 市教委は事件後、市内の中学校の生徒指導主任の先生と市の教育センターの教育相談担当ら でフロジェクトチームを作り、「二度と繰り返さないためにどうすれよ、、、 ーしし力」の話し合いを 始めた。結論が出るまでにかなり時間がかかるだろう。一朝一タにできることなら、未然に防 げたはすだ。なんとか結論を出して、来年度の教育政策に生かしていきたい。

9. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

応が原因だとして、元同級生の男子生徒ニ人とその親、市原市、千葉県を相手取り、四千四百 万円の損害賠償を求める訴えを千葉地方裁判所に起こした。「娘に対するせめてもの役目、供 養と思い訴状を提出しました。苦しみと海しさを少しでも取ってあげたい」と両親は話してい る。 学校や市は納得いく説明を、作文も見せず生徒にはロどめーー・・父の話 まさか毎日いしめ この気持ちだけです。何日たとうが、この気持ち : 事実を知りたい。 られていたとは思わなかったし : 学校にきちんとしてもらえなかったんだなあ。娘に何が あったのか、その事実を私たちが知ることが供養じゃないかと思います。 遺書には「死ぬことがこわい」と書いてあります。それでも死ぬんですから : : : 死を選ばざ 登校拒否でもしてくれればよかったんですけどね。 るを得なかったんですから : 葬式の日の夜、男子生徒が数人、花持って来てくれました。仮祭壇の前で、「いじめられて 撃 たの知ってたけど、止められなかった。悔やまれてならない」と話してくれました。十二月に 「小学校の低学年からい は、「いじめていてごめんなさい」と数人の男子生徒と親が来ました。 第じめてたということで、焼香させてくれませんか」という父親もいました。 事件後、妻と二人で学校に行ったとき、校長は生徒たちに作文を書かせたと言いました。そ

10. いじめの現場 : 子どもたちの叫び声

57 第 1 章ーー衝撃 助けてあげられなくて、悔しくてしようがない 朝日中学生ウィーク 事件から リーは、在校生徒への取材を学校側の希望もあり控えていた 一年近くたったとき、高校一年になっていた元同級生の男女三人に、当時のいじめの実態を聞 恐喝した 小学校からいじめていた男子生徒たちはいるが、中学校では殴ったり、けったり、 り、といったことはなかった。中学校での〇〇さんへのいじめは、大きな石を投げて致命傷を あたえるようなものではなくて、多くの子どもたちが小さな石を投げ続けるような感じではな かったかと思う。死の二日前も、〇〇さんは手芸部で喜々として活動している。穏やかに喜ん いしめは内在しているとい、つことを前提に指導しなければ で学校生活を送っているようでも、 を ) 田 5 、つ・ 真相究明は、子どもたちや保護者がもう少し落ち着いてからと考えている。どういう方法が いいのか、アンケートかいいのか、集団で聞くのかいいのか、悩んでいるところだ。担任によ る面接では、〇〇さんが中学一二年になってからのいしめの事実は出てきていない。 ( 朝日中学生ウィークリ 0 . Ⅱ . 四付 )