友だち - みる会図書館


検索対象: えりなの青い空
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1. えりなの青い空

すずはら 声をかける。女の人がふりむいた。目元が鈴原さんとそっくりだった。 とても、きれいな人だ。 「あの : ・ : 。鈴原さん、いますか ? 女の人が、まばたきをする。いらっしゃいというふうに、手をふった。 庭の中に入る。バラのにおいが強くなった。白や赤やピンクや、いろん な色のバラか咲いている ちか 「あなたは : : : 。千夏のお友だち ? 」 友だちではないと思う。鈴原さんのことを千夏ちゃんとかスズとか呼 んだことはないし、いっしょに帰ったこともない。一度だけ、ブナの木 の下でいっしょにねころんだだけだ。そういうのは、友だちとは言わな し ) 田 5 、つけ・れ ) : よくわからない よくわからないので、よくわかっていることだけを答えることにした。

2. えりなの青い空

すすはら った。晴れた日に、鈴原さんに会いたいと思うのは、友だちってことなの かな。 いろんな木の下にねころんで、ずっとだまっていたり、ときどきおし ゃべりしたりすることを楽しいと感じるのは、友だちってことなのかな。 そんな気もするし、ちがう気もする。 考えてみてもわからない ふたかわ 「双川、あのな : そう言ったきり、平井先生はとてもこまったような顔になった。こほ んとセキをして、手の中のプリントの東をかかえなおした。 新聞紙が風にゆれる。その音によくにた、かわいた音がした。 カサコソ、カサコソ。 晴れた日に新聞紙をしいて、鈴原さんとねころばう。 えりなは大きく胸いつばいに、息をすいこんだ。 むね 108

3. えりなの青い空

どき行ってみてくれるか。やつばり友だちが来てくれるのが一番、うれ しいと思、つから。プリントとかわたすから、とどけてくれるか」 あの、ちがいます」 「ちがう ? 」 すすはら 「鈴原さんとは、そんな友だちじゃないです」 「だって、わざわざ鈴原の家に行ってくれたじゃないか」 、晴れた日だったから : : : 」 「それは : 「は ? なんだ、それ ? 」 えりなは、窓から空を見上げた。ガラスのむこうで、空は、うすい雲 におおわれていた。 今度、晴れたら、神社のイチョウの木のところに行ってみよう。新聞 紙をもって、鈴原さんをさそって行ってみよう むね 楽しみだなと感じた。胸がわくっとした。鈴原さんに会いたいなと思 晴れた日は新聞紙をしいて空 107

4. えりなの青い空

黒ネコのしつほは、たしかに〈っ〉の形に曲がっていた。でも、真っ 黒な顔の中にピンクの鼻がちょこんとあって、かわしし 前の右足の先 だけが白いのも、片一方だけ白いながぐっをはいてるみたいで、かわい 「えりちゃん、お友だちにネコもらってくれる人、いないかしらね 「友だちに : 「そう。でもね、かわいがってくれる人じゃないとダメなの。ぜいたく させなくていいから、ほんとうに心から、かわいがってくれる人」 真帆ちゃんは、動物が好きだ。動物をかわいがる人だ。でも、先月、 たんじようび お誕生日のプレゼントにペットショップでネコを買ってもらったばか りだ。仄色の毛の長いネコで、とても高いのだそうだ。 あさみ すずはら : 。原さ 麻美ちゃんは、生き物は苦手だと言っていた。鈴原さんは : んは、ど、つだろ、つ。ネコが、好きかど、つかわからない聞きそびれたまま はいいろ かたいつほう

5. えりなの青い空

「どんなにおい ? 」 ひなた 「えっとね、おつばいのにおいがして、日向のにおいがして、赤ちゃん のにおいがする」 ハヤンがミヤオとないて、そのまま、大きなあくびをした。 池内さんがまた、につこりと笑う。白い子ネコの耳にそっとさわった。 「よかったね。おまえは、かわいがってくれる人にもらわれて、ほんと よかった」 「ほかの赤ちゃんは、もらい手が見つかった ? 」 むすめほ 「ええ、シマはとなりの市に住んでる娘が欲しいって。ほかのネコも、 友だちや知り合いの人がひきとってくれるの。ただ : 池内さんは、真っ黒の子ネコをそっとだきあげた。 「この子だけは、まだ、もらってくれる人がいないの。真っ黒で、ほら しつばが曲がってるでしよ。だからかな」

6. えりなの青い空

ふたかわ すずはら 「わたしは、双川えりなです。鈴原さんと同じ五年二組です」 「まあそう。学校のお友だちなのね - 女の人が笑う。 「ちょっとまってね。千夏に話してくるから。ほんとに、ちょっとまっ ててね」 女の人が急ぎ足で、家に入っていく。庭が明るくなる。空がどんどん 晴れていくのだ。 まど ふと二階の窓にひとかげが見えた。鈴原さんのような気がする。新聞 紙をもち上げてふってみた。ひとかげが消える かわりのように、アゲハチョウがあらわれた。ひらりひらりとバラの 花の上をとんでいる。ひらりひらり、ひらりひらり : ハタンと大き げんかん な音がした。、、 シーンズに野球帽をかぶった男の子が、玄関からとびだし てきた。アゲハチョウがとびたっ ちか 晴れた日は新聞紙をしいて 87