地域包括支援センターは、介護保険法改正によって新たにつくられた機関です。 ここには、主任ケアマネジャーが配置され、相談・助言・指導などの業務にあたっ ています。 0 地域包括支援センターの役割 それの相談業務にあたっています。 主任ケアマネジャーは、 2005 年の介護 地域包括支援センターは、地域住民の保健・ 保険法改正により創設されたもので、地域包 福祉・医療の向上、心身の健康維持や生活の 安定などを目標に、地域における総合的なマ 括支援センターでの相談、プラン作成、ケア ネジメントを行い、問題解決に向けての取り マネジャーへの支援などを行います。 居宅や施設のケアマネジャーの仕事は、要 組みを実践していく機関です。この機関は、 2005 年の介護保険法の改正に伴い創設さ 支援や要介護者の支援を行います。しかし、 れました。ここでは、①高齢者の実態を把握 地域包括支援センターでは、「要支援 ] 、 2 」 する総合的な相談窓口機能、②介護予防マネ に認定された人、非認定であるがこれから要 ジメント、③権利擁護事業、④介護サービス 介護・要支援になるおそれのある「特定高齢 者」を対象に、地域において介護予防サービ 以外のさまざまな生活支援も含む包括的・継 スの提供をマネジメントしていきます。 続的マネジメントを目標としています。 そのためには、主任ケアマネジャーは、関 夛主任ケアマネジャーの役割 連機関相互のネットワークをつくり上げて、 地域の高齢者の支援体制を強化していく役割 地域包括支援センターには、総合的な相談 窓口機能として社会福祉士、介護予防マネジ を担っています。 具体的には、民生委員、ボランティア団体、 メントとして保健師、包括的・継続的なマネ ジメント・ケアマネジャーの支援として主任 福祉事業者、自治会の人々などと、地域ケア ケアマネジャーなどの職員が配置され、それ についての会議を開くこともあります。また、 64
メを診新実務研蓚課程 時間数 課 程 ケアマネジャーの試験を受けよう 講義演習 2 時間 2 時間 2 時問 1 時間 2 時間 2 時間 1 時間 各自で学習 2 時間 2 時間 3 時間 2 時間 介護保険制度の理念と介護支援専門員 介護支援サービス ( ケアマネジメント ) の基本 要介護認定等の基礎 介護支援サービス ( ケアマネジメント ) の基礎技術 受付及び相談と契約 アセスメント、ニースの把握の方法 居宅サービス計画等の作成 実習オリエンテーション 介護支援サービス ( ケアマネジメント ) の基礎技術に関する実習 アセスメント、居宅サービス計画等作成演習 モニタリングの方法 地域包括支援センターの概要 介護予防支援 ( ケアマネジメント ) 介護支援サービス ( ケアマネジメント ) の展開技術 相談面接技術の理解 チームアプローチ演習 意見交換、講評 出典 : 「厚生労働大臣が定める介護支援専門員等に係わる研修の基準」 ( 平成 18 年厚生労働省告示第 218 号 ) より作成 4 時間 4 時間 6 時間 4 時間 4 時間 1 時間 インタビュー 実務研修は、前期と後期に分かれ、かな 男性 46 歳 実務研修の最終日には りの時間を要するので、仕事との折り合い 拍手がわきおこった をつけて出席するのに苦労しました。また、 演習などに入ると、グループワークも多い 毎日必ず勉強し、仕事で遅く帰っても、 ため、参加者同士お互いに意見交換するう 過去問を 1 題でも解こうという意気込み ちに仲良くなり、励ましあいながら勉強し で、ケアマネジャー試験に合格しました。 ました。ですから、最終日の講習修了日に そして、実務研修では、多くの実践に即し は、お互いの努力をたたえて、教室内に自 た内容を学習しました。 然と拍手がおこったんですよ。
①介護支援分野 ケアマネシメントについて 基本姿勢、役割、機能 基本姿勢、役割、機能などについての内容が含まれます。介護保険制 度の基本理念の中に示される介護支援サービスの在り方やケアマネジメ ントの過程などについて理解しておきましよう。 最近では介護予防ケアマネジメントやモ二タリングに関する内容も出 題されています。また、事例をもとにした適切なケアマネジメントを選 択させる問題も必す出題されています。問題の文章が長いので、落ち着 いて読みまちがえないことが大切です。 ・傾向と学習ポイント・ 介護支援・介護予防支援について 介護支援・介護予防支援 ほ ( ま毎年出題されています。居宅介護支援サービス、介護予防支援サー ビス、施設介護支援サービスの目的、対象者、援助や運営方法などを整 理して覚えておくことが大切です。 また、最近では、指定居宅介護支援事業者や特定高齢者などについて も出題されています。 この分野はほかの項目とも関連づけて覚える内容であるため、時間を あまりさかすに効率的な学習をしましよう。 ・傾向と学習ポイント・ 132
ケアマネジャーの具体的な 0 仕事の紹介 ケアマネジメントとは、利用者一人ひとりに合った介護サービスの内容を決めて いく手法ですが、それを実践するケアマネジャーの具体的仕事をみていきます。 、メイン業務はもちろん いきます。ですから、「ケアプラン」と一言で ケアプランの作成 表現していますが、作成するまでには、さま ケアマネジャーは、利用者の要支援・要介 ざまなプロセスが必要になります。この仕事 護度によって、それそれに合った介護サービ の醍醐味は、利用者と共になって、人生をコー ス計画書を作成します。これは、ケアプラン ディネートしていけるところにあります。 といわれます。この作成にあたっては、「そ ゞう担当者会議は共通の認識を の人がその人らしく生活するためにはどのよ 高めていく場 うな支援が必要なのか」ということを、利用 サービスの利用を始める前には必す、利用 者とのコミュ二ケーションを通して模索して ・ケアプラン作成 ( 居宅介護支援の場合 ) までの流れ ① ② ③ 話 つこを今 を いと困確の 、つ生き て やてじ活く りい、の たる話様 いこを子 ことーや とやか体 なでがの とき一状 にる 2 態 ④ サービス提案 具体的にどんな介護保険 サービスが必要か考え、提 案する。 : : : ②と③はアセ スメントといわれる。 あいさっ 利用者に「はじめまして」 のあいさつをする。 承諾 計画書に利用者からを もらう。 説明 利用者にサービス案を含 む計画書を説明する。 0 0 ゆ 34
・ 3 介護保険制度の中でのケアマネジャーの役割 ①ケアプラン作成 ☆利用者と心を通わせることが大事 ☆ケアプランは在宅と施設の 2 つ 要介護認定 ( 「要支援 ] 、 2 」と「要介護 ケアプランを作るうえで大切なのは、文章 ] ~ 5 」 ) を受けて、介護保険サービスを利 力や特別な技術ではなく、利用者と心を通わ せることができるか否かです。あわてずに 用する場合は、ケアプランが必要になります。 ケアプランは、在宅生活者のためのケアプ 利用者にとって何が必要なのかをじっくりと 見極め、ますは、ゆっくり利用者の話を聞く ラン ( 居宅介護支援事業所が作成 ) と施設入所 ことが大事です。 者のためのケアプランの 2 つに分けられます。 利用者の語る昔話やその人が歩んできた道 要支援者については、地域包括支援セン のりなどが、適切なケアプランとして反映さ ターのケアマネジャーが一連の流れを担当し れることもあります。ですから、人と話すこ ます。しかし、居宅介護支援事業所のケアマ とが好きな人や聞き上手な人は、よいプラン ネジャーが地域包括支援センターからの委託 を作ることができます。 業務として行う場合もあります。 歩けるように・ 穴事をしたい・・ ①利用者の話をよく聞く。 ②利用者の生活の質を向 上させるにはどんなサー ビスがよいか考える。 一緒に決めマ いきましよう。 ポイント , 利用者 0 ケアマネジャー 26
施されているかをチェックしなければなりま マネジャーになってからは、介護という視点 せん。看護師に従事していたときの医療知識 から利用者を全人的にとらえていくことが大 や経験が問われるのはもちろんですが、それ 切になります。ですから、いくら医療的な専 以上に介護プランの作成能力や、多くの介護 門知識にたけていても、コミュニケーショ サービスと連携するコーディネート能力も問 ン能力や人間性に欠けるようではケアマネ ジャーは務まりません。それだけに医療・介 われてきます。 また、看護師のときは、医療的視点から患 護分野では、高く評価されるやりがいのある 者さんを問診するという立場でしたが、ケア ボジションです。 ケアマネジャーの試験を受けよう : 「インタビ、 チェック ! 看護師からも佳看護師から 女性 ( 59 歳 ) だれにでも トライできる仕事 看護師の仕事をしていたとき、近所に特 別養護老人ホームができたので、そこに転 職しました。そのうち、介護保険がスター トし、「世界にたったひとつの日本にしかな い」ケアマネジャーという仕事に興味を持 つようになりました。この仕事のよさは、 介護保険の本来の理念である「公正・中立・ 利用者本意のケアマネジメント」を実行で きるところです。この理念を実施するべく、 私は自分で独立型居宅介護の会社を立ち上 げました。経営は大変ですが、貧乏を楽し むゆとりがなければこの仕事は務まりませ ん。これからケアマネジャーをめざす人は、 もしかしたら、それがあなたにびったりの 一生の仕事になるかもしれないのですか ら、がんばってトライしてみてください。 国家試験を 都道府県知事 受けて 試験を受けて 資格取得 実務経験 5 年以上 ( 従事日数 900 日以上 ) ケアマネジャー 実務研修受講試験に合格 資格取得 ケアマネジャー実務研修を修了 99
①介護支援分野 介護支援分野は、解答免除がなく、全員が受験しなければならない分野です。ケア マネジャーの中心業務ともいえる介護保険制度への理解力が問われています。 ←价護支援分野の 構造を知ろう ケアマネジャー試験のなかでも、出題数が 25 問といちばん多いため、この分野の構造 を把握して、出題傾向に合わせて学習するこ とが大切です。 介護支援分野の構造 介護保険制度導入の背景介護問題、従来の制度の問題点、介護保険の実施状況など。 2 介護保険制度 ( 1 ) 3 介護保険制度 ( 2 ) 介護保険制度 ( 3 ) 6 、介護保険制度 ( 4 ) 0 ケアマネジメント 、 3 介護支援・介護予防支援 126 目的、保険者・被保険者など。 保険給付の手続き、保険給付の種類・内容 要介護認定、要支援認定 事業者・施設、介護保険事業計画、地域支援事業、審査請求など。 基本姿勢、役割、機能など。 居宅介護支援、介護予防支援など。
独立型居宅介護支援事業所の場合は、どのようなサービス機関からも自由で中立 な立場にあるため、利用者の二一ズに合ったさまさまなサービスを組み合わせる ことが可能です。 き独立型は広い範囲でサービスを 当、サービス併設の 選ぶことができる 事業所のメリット 本来ならば、いくつかのサーヒス事業の情 独立型居宅介護支援事業所は、一言でいう 報のなかから利用者か選ぶことができるとい ならは、サービスを持たずにケアプランだけ うのが介護保険の「契約の原理」です。しか を専門に作る事業所といえます。また言い換 し、サービスが併設されていると、その他の えるならは、一般的な指定居宅介護支援事業 情報に目が向かない傾向になります。 所の一部分にあたるともいえます。 もともとケアマネジメントとサービスの提 利便性や採算を考え、多くの場合、居宅介 供は別のものです。担当のケアマネジャー 護支援事業所には、ディサービスやヘ丿レバー ステーションなど、介護保険サービスを提供 を自由に選ぶことができるのと同じように、 サービス提供事業所も利用者が何の気兼も する事業所が併設されています。 なく選べるようなシステムになっていなけれ ケアマネジャーと同じところに、利用者が 希望するサービスがあれば、近くにサービス ばなりません。そのような意味からも、サー ビス提供事業所のない独立型の事業所こそが 担当者がいるので連絡が取りやすいため、 ] 介護保険の基本の形であると思います。今後 度の話し合いでサービス提供にまで結びつき は、介護保険制度における居宅介護支援は独 やすいというメリットもあります。 立し、ケアプランのみの事業所がスタンター ドになるかもしれません。 68
おうえき 応益負担 気おうのう 応能負担 ■力、・ 介護支援サービス ~ 介護認定審査会 ー介護保険制度 給付管理 ケアプラン 援助困難事例 QOL 客観的に見て援助が必要とされるケースでも、本人や家族の拒否などにより、援助に困難を ともなう事例。また、地域でのサービスを受けることなく、孤立した状態にある高齢者や家 族などの場合もこれにあたる。 介護保険制度にみられるように、受けるサービスの質と量に応じて費用を負担する方式。社 会保障制度の費用の負担方式の 1 つ。 利用者の負担できる能力 ( 収入の額など ) により受けたサービスの費用を負担する制度。所 得再分配の考えに基づき、低所得者は、税金、社会保険料などを減免し、高所得者は、より 高い負担率を課すという仕組み。 要介護者などが保健・医療・福祉に関する多様なサービスを適切に利用できるようにマネジ メントすること。ケアマネジャーや介護支援事業者が行う。ケアマネジメントともいう。 保健・医療・福祉に関する学識経験者から構成される市町村に設置された附属機関。要介護・ 要支援認定に関しての審査・判定を行う。 1 997 年介護保険法が成立し、 2000 年 4 月から施行された。この制度の目的は、「加齢 にともなって生する心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排泄、食 事等の介護、機能訓練、看護、療養上の管理その他の医療を要する者等」が「その有する能 力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」必要な保健医療サービス、福祉サー ビスを給付する仕組みをつくり、「もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ること」 と規定されている。 (Quality of Life) 生活の質。精神的な満足感、幸福感も含めてとらえられる。生活全般に ついて満足が得られるような自立した生活を送り、 QOL を高めることが、医療・介護・福 祉分野の目標になっている。 介護サービスが実施されたのち、利用者に提供されたサービス実績を確認し、国民健康保険 団体連合会に報告する業務。 要介護者や要支援者が利用するサービスを盛り込んだ計画をいう。在宅の要介護者は居宅介 護サービス計画。介護保険施設に入所している要介護者は施設サービス計画、要支援者は介 護予防サービス計画と呼ばれる。 、ケアマネジメント利用者のニーズに合った資源を開発し、他職種との連携を図りながら地域ケアシステムを構 こうくう ロ腔ケア 国民健康保険 団体連合会 ( 国保連合会 ) 築させていくこと。介護支援サービスと同義で使われることも多い。 ロ腔の清掃、歯科治療、摂食・嚥下のリハビリテーションなどにより、疾病予防、 QOL の 向上をめざす。 国民健康保険の規定に基づき設立された公的法人で、都道府県ことに設置されている。介護 保険の保険給付にかかる費用の請求があったときには、支給限度額内のサービスであるか否 かを審査し、事業者や施設に支払いをする。支払額は保険者である市町村に請求する。 157
、介護老人福祉施設介護老人保健施設可介護療養型医療施設など 介護保険施設に勤務するケアマネジャーの場合、利用者は施設の入所者になりま す。居宅介護支援事業所のケアマネジャーの仕事と比べ、どのような点がちがう のかを見ていきます。 、介護保険施設の種類 介護保険施設には、①介護老人福祉施設 ( 特別養護老人ホーム ) 、②介護老人保健施 設、③介護療養型医療施設などがあります。 各施設に共通した人員基準は、医師、ケアマ ネジャー ( 入所者 ] OO 人に対し、常勤で ] 人以上が標準 ) 、介護職・看護職 ( 入所者 3 人に対し、原則 1 人以上 ) 、栄養士、理学療 法士または作業療法士 ( 介護老人福祉施設で は機能訓練指導員 ) というように定められて います。 ①介護老人福祉施設では、入浴、排泄、食 事等の介護、日常生活上の世話、機能訓練、 健康管理、療養上の世話などのサービスを提 供し、②介護老人保健施設は、看護、医学的 管理のもとにおける介護、機能訓練、必要な 医療、日常生活上の世話などのサービスを提 供します。また、③介護療養型医療施設は療 養上の管理、看護、医学的管理のもとにおけ 62 る介護、その他の世話、機能訓練、必要な医 療といったサービスを提供するところです。 施設で働くケアマネジャーの場合、ケアプ ランを作成する業務に関しては、居宅の場合 と変わりませんが、利用者は入所者であり、 提供できるサービスも施設内のものが多いた め、その提供状況を把握しやすいという利点 があります。居宅の場合のように、通所リハ ビリやディサービス、訪問介護サービスなど を利用者の状況に合わせて組み合わせていく ということがないので、ほかのサービス提供 者との調整や連携などの業務は少なくなりま す。 施設のケアマネジャーは、これから施設に 入所する利用者のためにどのようなサービス の提案ができるかを考えます。そして、サー ビス実施後はモ二タリングによって再評価 サーヒスは施設内のものか多い