営業活動とルール 頼され、締結する媒介や代理契約。 消費者契約法は、消費者と事業者との契約締結の過程に関するトラ プルを解決するために、契約の勧誘に際して事業者の次のような不適 切な行為があった場合には、消費者は締結した契約を取り消すことが できるとしている。この契約の取消しは、事業者から委託を受けた仲 介業者についても、同様の不適切な行為があれば取り消される。 ・不実告知による取消し 事業者が、重要事項について事実と異なることを告げたことによ り、消費者がその告げられた内容が事実であるとの誤認をし、それ によって契約の申し込みや承諾の意思表示をしたとき。 ・断定的判断の提供による取消し 事業者が、物品・権利・役務その他のその契約の目的となるもの に関して、将来における価値、将来その消費者が受け取るべき金 額、その他将来における変動が不確実な事項について、断定的な判 断を提供したことにより、消費者が確実であるとの誤認をして、契 約の申し込みや承諾の意思表示をしたとき。 ・不利益事実の不告知による取消し 事業者が、ある重要事項や重要事項に関連する事項について、消 費者の利益となる旨を告げ、かっ不利益となる事実を告げなかった ことにより、消費者がその事実が存在しないとの誤認をし、それに よって契約の申し込みや承諾の意思表示をしたとき。 ・不退去・監禁による取消し 事業者が契約の勧誘をするに際して、消費者がその住居や業務を 行っている場所から、退去するように意思表示をしたにもかかわら ず、その場所から退去しなかったり、その消費者を退去させなかっ 95
開業のための手続き ⑨報酬の額 ⑩取引に関する特約、その他参考となる事項 はその年月日となっている。また、帳簿と同様に電子データでの記録 事務所の従業者となった年月日、当該事務所従業者でなくなったとき 号、生年月日、主たる職務内容、取引主任者であるか否かの別、当該 その記載する内容としては、従業者の氏名、住所、従業者証明書の番 取引の関係者から請求があった場合には閲覧させなくてはならない。 ④の従業者名簿は、従業している人や従業していた人の一覧表で、 日で閉鎖した上で、 5 年間保存しなくてはならない。 タの記録で代用することができる。また、この帳簿は各事業年度の末 て紙面に出力表示されるときは、台帳形式の帳簿に代えて、電子デー 帳簿の記載事項がパソコンなどのファイルに記録され、必要に応じ 従業者名簿 ( 様式第八号の二 ) 氏 1 2 3 4 名 従業者証主たる取引主任者 明書番号職務内容であるか否 かの別 性別生年月日 住 所 この事務所のこの事務所の 従業者となっ従業者でなく た年月日 なった年月日 「従業者証明書番号」の欄には、法第 4 8 条第 1 項の証明書の番号を記入すること。 「取引主任者であるか否かの別」欄の欄には、取引主任者である者には〇印をつけること 一時的に業務に従事する者についても記載すること。 記載すべき事由が発生した場合には、 2 週間以内に記載すること。なお、記載事項について変更、訂正等をするときは、 47 変更、訂正等をする前の文字等は、なお読むことができるようにしておくこと。
消費者契約法の適用を受ける契約 事業者 事業者 ( 非宅建業者 ) 事業者 消費者 消費者 売主 ( 宅建業者 ) 買主 消費者 消費者 事業者 事業者 ( 非宅建業者・宅建業者 ) 消費者 消費者契約法の適用 宅建業法の効力規定が 優先して適用される。 適用有り 適用有り なし 適用有り なし たことにより消費者が困惑し、それにより契約の申し込みや承諾の 意思表示をしたとき。 これらの事実を理由とする取消権の行使は、追認することができる ときから、 6 カ月以内に行わなければならない。宅建業者が取引を行 うに際しては、売主・代理・媒介というすべての立場において消費者 契約に当たるか確認を要する。そして、該当する場合には、取消し原 因となるような不適切な勧誘行為を行わないようにすることや、契約 書に消費者契約法で無効となってしまうような、不当な条項を含まな いなどの対応をしなければならない。 Ⅲヨ 0 個人情報保護法について 近年のコンピューターの高性能化や小型化と、インターネットなど の普及によって、個人情報の IT 処理が急速に広く浸透し、個人も企業 も利便性が大いに向上した。しかし一方で、不正利用や情報の漏洩と いった事故も多く起きてきており、個人情報の取り扱いに対する社会 96
営業活動とルール 〇不動産の表示に関する公正競争規約 不動産の表示に関する公正競争規約は、不動産業界が自主的に定め 景品表示法 10 条の規定に基づき、公正取引委員会の認定を受けた、不 動産広告のルールである。この規約は、取引の当事者である企業自身 により適正に作られ、これに法的な保障を与えたもので、不動産公正 取引協議会連合会と、全国 9 地区に設置された不動産公正取引協議会 が運用している。 適正な規約で不動産広告を推進するために、次のような規制をして いる ①広告等の開始時期の制限 工事完了前の宅地や建物の広告をある時期まで禁止したもので、宅 建業法の広告開始時期の制限と同様である。 ②一定事項の表示の義務づけ ( 必要表示事項、特定事項 ) 分譲宅地、分譲住宅、分譲マンション、中古売家など 9 種類の物件 ごとに、一定の事項につき広告に表示すべきことを義務付け、更に 般消費者が通常予期できない、不動産の地勢・形質・立地・環境など に関する事項や、取引の相手方に著しく不利益な取引条件などの特別 な事情がある場合に、その事情を明示することを義務付けたものであ る。 ③表示基準の設定 交通の利便性、所在、面積、環境、価格など 61 の事項について、誰 が表示しても同じになるように表示の基準を定め、完全、最高、格安 など根拠のはっきりしない抽象的な表現などの使用を制限している。 ④不当表示の禁止 一般消費者に実際のものより、優良、有利と誤認されるおそれのあ 79
〇不当景品類及び不当表示防止法による規制 景品表示法は次の表示を不当なものとして禁止し、公正取引委員会 が違反した事業者に排除命令をすることができる。排除命令とは、違 反行為の差し止め、再発を防止するために必要な事項、これらの実施 に関連する公示、その他必要な事項を違反者に命ずることをいう。 ・商品の内容に関する不当表示 不動産の所在、規模、形質、環境に関する事項などについて、実 際よりも優良であると、誤認されるおそれのある表示が該当する。 ・取引条件に関する不当表示 不動産の価格、賃料の額、その支払条件、住宅ローンの条件など について、実際のものや競争関係にあるほかのものよりも、著しく 有利であると誤認されるおそれのある表示が該当する。 ・上記以外の事項で、商品・役務の取引に関する事項について、一般 消費者に誤認されるおそれのある表示 不動産の表示では、おとり広告に関するものが該当する。 公正表示マーク ( 首都圏の例 ) 公正マー 公正態争規約に物加しているですを 不動産会の店強などに貼られてし、 ま 表示。 公正 78
個人情報保護法制の体系イメー 基本理念 基本方針の策定 国の責務、施策 ・地方公共団体等への支援・苦情処理のための措置等 地方公共団体の責務、施策 報告徴収、助言、勧告、合・ヘ 主務大臣 ( 事業等所管官庁 ) による ・第三者提供の制限・開示・訂正・利用停止・その他 ・利用目的による制限・適正な取得・安全管理措置 個人情報取扱事業者の義務 ・苦情の処理のあっせん等 ・保有する個人情報の保護・区域内の事業者等への支援 シ 個人情報の 保護に関する法律 官民を通じた基本法 部門 ) ( 公的 ? 叩 個を , 個国第塗 の ・個人の同意なく、第三者に情報提供してはならない。 ・本人からの求めに応じて、情報を開示する。 ・公開された個人情報が事実と異なる場合は、訂正や削除に応じる。 ・個人情報の取り扱いに関する苦情に対して、適切かっ迅速に対応す る。 顧客から住所や名前などを聞くとき、その情報をダイレクトメール など営業に利用するとき、個人情報が記載されたカードや契約書など を保存したり処分したりなど取り扱うときには、すべて上記の義務が 課せられる。このため、事前に対応方法を決めておき、実施しなけれ ばならない。そして違反があると、主務大臣の命令違反の場合 6 カ月 以下の懲役または 30 万円以下の罰金、報告義務違反の場合 30 万円以下 の罰金が科せられる。 宅建業者の事故例としては、物件紹介の電子メールを複数の顧客に 発信した際に、送付先を BCC とせず送付したため、送付者全員に皆 98
重説前説明 重要事項説明 ( 売買・交換 ) 別添の重要事項説明書は、冒頭に記載の不動産について、当該不動産を取得しようとする者があらかじめ 知っておくべき最小限の事項を列記したものです。 宅地建物取引業法第 3 5 条には、宅地建物取引業者の義務として、宅地建物取引主任者によって書面を交 付して説明しなければならない一定の事項が掲げられており、重要事項説明書はこの義務に対応するもので す。 重要事項説明の内容は大別すると「 I 対象となる宅地又は建物に直接関係する事項」と「Ⅱ取引条件 に関する事項」に分けられます。なお、宅地建物取引業法第 3 5 条以外に同法第 3 4 条第 2 項及び第 3 5 条 の 2 で説明が義務付けられている事項を日頭及び「Ⅲその他の事項」で併せて説明いたします。 1 2 3 4 5 6 7 Ⅱ I 取引の態様 ( 宅地建物取引業法第 34 条第 2 項 ) 登記簿に記載された事項 都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要 私道に関する負担に関する事項 飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況 宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状、構造等 ( 未完成物件のとき ) 当孩宅地建物が土砂災害警戒区城内か否か 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合 取引条件に関する事項 対象となる宅地又は建物に直接関係する事項 1 代金及び交換差金以外に授受される金額 2 契約の解除に関する事項 3 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項 4 手付金等の保全措置の概要 ( 業者が自ら売主の場合 ) 5 支払金又は預り金の保全措置の概要 6 金践の貸借のあっせん 7 割賦販売に係る事項 Ⅲその他の事項 1 供託所等に関する説明 ( 宅地建物取引業法第 3 5 条の 2 ) いずれも取引に当たっての判断に影響を与える重要な事項ですので、説明をよくお聞きいただき、十分ご理 解の上、意思決定をして下さるようお願いいたします。 資料 : 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ( ガイドライン ) 重要事項説明書の作成を行うに際しては、取引物件に 業者、不動産取得時に関わった不動産流通業者等 従前の所有者から引き継いだ資料、新築・増改築等に関わった建築 くその他〉 況 っいて細心、の 86 ているかなどについても、よく確認していくことが求められる。 事者に十分な理解を得た上で、当事者間の合意内容が正確に反映され 注意を払い、綿密に事前調査を行う。そして、取引条件についても当
③ ④ ⑤ 営業活動とルール 周辺の心理的に影響を及ばす施設 例 : 斎場、宗教施設など 地盤沈下・浸水地域 土壌汚染・大気汚染など く心理的なもの〉 ①自殺があった ②火事があった また、この重要な事項について、故意に事実を告げたり不実のこと を告げる行為も、行ってはならないと定められており、宅建業法 35 条 に規定される事項とともに、調査し説明することによって、重要事項 説明義務を果たすことになる。 取引を円滑に進めるためには、物件についての過去の履歴や隠れた 瑕疵なども、明らかにされることが重要であるが、業者がすべて把握 するには限界がある。このため、売主や所有者しか分からない事項に ついては、その内容を説明する告知書を売主などから提出してもら い、これを売主からの開示情報として、取引の相手方に提供すること が望ましいと、国土交通省のガイドラインで示されている。告知書へ の記載事項としては、次のようなものがあげられている。 く土地関係〉 境界確定の状況、土壌汚染調査等の状況、土壌汚染等の瑕疵の存否 または可能性の有無、過去の所有者と利用状況、周辺の土地の過去お よび現在の利用状況 く建物関係〉 新築時の設計図書等、増改築および修繕の履歴、住宅性能評価等の 状況、建物の瑕疵の存否または可能性の有無、過去の所有者と利用状 85
開業のための手続き 免許申請書の第一面 ロ 様式第一号 ( 第一条関係 ) (A 4 ) 1 ー 1 ー 0 免許申請 宅地建物取引業法第 4 条第 1 項の規定により、同法第 3 条第 1 項の免許を申請します。 ( 第一面 ) この申請書及び添付書類の記載事項は、事実に相違ありません。 年月 日 地方整備局長 北海道開発局長殿 知事 申請者 商号又は名称 郵便番号 主たる事務所の 所在 地 氏 名 ( 法人にあっては、代表者の氏名 ) 電話 番号 ミリ番号 ( ) ファクシ 受付年月日 申請時の免許証番号 受付番号 ( 有効期間 : 年月日 ~ 年 月 日 ) : 国土交通大臣 免許証番号 知事 旺年圧目 年 月 日 日から 有効期間 年 月 日まで 法人・個人の別 免許換え後の 免許権者コード 免許の 種類 ー新規 ロ 2 免評換え新規ー - ージロ 工更新 項番◎商号又は名称 フリガナーート - 商号又は 名称 ◎代表者又は個人に関する事項 回役名コ ド フリガナ 氏 名 生年月日 年 ◎宅地建物取引業以外に行っている事業 ◎所属している不動産業関係業界団体がある場合には がある場合にはその種類 その名称 ( 加入 年 月 日 ) ( 加入 月 日 ) 年 ド ( 加入 年 月 日 ) 日 ) 確認欄 年 月 ( 加入 日 ) ( 加入 年 月 号 確認欄 登録番号 確欄 月 日 所属団体コード ◎資本金 ( 千円 ) 億一万一百刀 万一万一千 33
誠実にその業務を行わなくてはならない。また、業務上知り得た秘密 を守る義務があり、退社など業務に従事しなくなってからも同様であ り、このことは使用人やその他従業者についても同じ義務が課せられ ている。重要な事項の不告知等の禁止は、重要な事項について故意に 事実を告げなかったり、事実と異なることを告げる行為をしてはなら ・広告時の取引態様の明示 ( 34 条 1 項 ) ・広告開始時期の制限 ( 33 条 ) ・誇大広告等の禁止 ( 32 条 ) ・媒介契約の規制 ( 34 条の 2 、 3 ) ・注文を受けたときの取引態様の明示 ( 宅建業法 34 条 2 項 ) は、次のものがある。 成約へ向けての営業活動において守らなければならないルールに 的な行動をすることを禁じている。 を締結させた後に申込みの撤回や契約の解除をさせないために、威圧 ず、契約締結に際して一定事項についての断定的判断の提供や、契約 64 る。 確認など一定の処分がないと実施できず、誇大広告は禁じられてい ればならない。広告の実施に際しては、未完成物件は開発許可や建築 者への業務処理状況の報告などを、定められた内容に従って行わなけ 結したときには、それぞれの契約により指定流通機構への登録や依頼 述べるときにはその根拠を明らかにし、専任媒介・専属媒介契約を締 ときには、所定の内容を網羅した書面を交付し、価格について意見を 行う際も必ず広告物に記載しなければならない。媒介の依頼を受けた 「代理」「媒介」のいずれの立場かを明示しなくてはならず、広告を 依頼者から業者が注文を受けたときには、遅滞なく「売主」「貸主」