営業活動とルール 代化センターが作成しているマニュアルは、土地、戸建て、マンショ 不動産の収益性に着目した「収益方式」である。現在財不動産流通近 場性に着目した「比較方式」、不動産の費用性に着目した「原価方式」、 一般に価格を査定する方法としては 3 つの方法があり、不動産の市 ③価格査定に要した費用を、依頼者に請求してはならない。 を明記する。 は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく鑑定評価書でないこと ②根拠の明示は口頭でも書面でもかまわないが、書面を用いる際 ②戸建住宅価格査定マニュアル 件の価格を算出する。 めた一定の条件項目ごとに比較し、それを評点付けすることで査定物 「比較方式」により算出。査定物件と事例物件を、マニュアルで定 ①土地価格査定マニュアル ンの 3 種類で、次の方式で算出する。 ば、価格査定が算出される仕組みになっている。 システムにすべて内蔵されており、必須・任意の入力項目を入力すれ フトが市販されている。これを使用すると、計算に必要な各種係数は 3 種類とも、煩雑な計算を自動化するために開発されたパソコンソ を評点付けすることで査定物件の価格を算出する。 「比較方式」により算出する。査定物件と事例物件を比較し、それ ③中古マンション価格査定マニュアル 要因や、建築後経過年数などの事項を修正して算定する。 の手法、建物部分は標準建築費に加えて、品等格差の判定と付加価値 算出し、その後で合計する。土地部分は①の土地価格査定マニュアル 土地部分は「比較方式」、建物部分は「原価方式」によりそれぞれ
である。 Ⅲー 3 価格を査定する 不動産を売却しようとしている人に対して、その物件がどれくらい の金額で売却可能かという市場価格を具体的に提示して、媒介依頼す るに当たっての参考にしてもらうのが「価格査定」である。価格査定 の作業は、近隣の取引事例などを参考に市場動向をよく把握した上で 行わなければならないが、価格査定の提示額を恣意的に高く示せば、 依頼しようとしている者からは魅力的に映り、媒介を依頼しがちにな るが、結局成約できず、業者としての信頼を失いトラブルにもなりか ねない。このようなことが起こらないように、正当な方法で価格査定 を行った上で、妥当な価格を顧客に提示しなければならない。 価格査定に対するルールとして、業者が媒介契約を締結する際に、 売り出し価格となる媒介価格について意見を述べるときは、その根拠 を明らかにしなければならないと、宅建業法で定めている。その意見 の根拠としては、財不動産流通近代化センターが作成したマニュアル か、これに準じた価格査定マニュアルなどが適当であると、ガイドラ インに示されている。このため、多くの宅建業者は、財不動産流通近 代化センター作成のマニュアルを使用して業務を行っている。 また、ほかにも留意しなければならないこととして、次のことがあ る。 ①依頼者に示す根拠は宅建業者の意見を説明するもので、必ずしも 依頼者の納得を得ることは必要ないが、内容に合理性が必要であ る。 70
購入の影響 住宅の購入にあたり影響を受けたこと ( 分譲住宅 ) 0.0 景気の先行き感 家計収入の見通し 地価 / 住宅の価格相場 住宅取得時の税制等の行政施策 従前住宅の売却価格 金利動向 26.4 14.7 10.0 20.0 30.0 ↓ 22.4 40.0 31.0 12.3 7.9 10.7 22.0 ロプラス影響ロマイナス影響 36.2 35.6 40.0 50.0 45.5 42.6 50.0 60.0 60.0 住宅の購入にあたり影響を受けたこと ( 中古住宅 ) 0.0 景気の先行き感 家計収入の見通し 地価 / 住宅の価格相場 住宅取得時の税制等の行政施策 従前住宅の売却価格 金利動向 10.0 20.0 30.0 23.4 19.3 20.4 13.1 5.8 5.9 7.8 31.4 18.9 14.3 34.3 25.4 ロプラス影響ロマイナス影響 104 2004 年国土交通省「住宅市場動向調査」より
格は手ごろだけれど今まで住んでいた人の跡が気になる、という点に 対応して出てきた商品がリニューアル住宅である。中古の戸建やマン ションを宅建業者が買い取り、間取りを変更したり内装をやり替える などの手を加え再販するという手法で、売上件数を伸ばしてきてい る。中古住宅を購入する顧客にとって、自分でリフォームするとして も予算に限りがあり、どこをどの程度すればいいのかなかなか分かり にくい上に、リフォーム業者に相談すると言いなりになりそうで不安 なものである。 リニューアル住宅は、必要なリフォームが行われているだけでな く、間取りが変更されたり魅力的な建具が使われたりと、中古住宅と は異なった新たな魅力も加えられているものも多く、価格的にも新築 と中古の間というリーズナプルなレベルに設定されている。顧客に とっては、新築に近い感覚で購入することができ、リフォームなどの 余計な出費の心配がない上に、安心して資金計画が立てられ、商品的 にも魅力を感じる仕上がりになっている。 これに似た手法として、古いオフィスビルに手を加え住宅に作り変 える、コンバージョンという手法を使ったビルもある。ビルが建てら れた頃はオフィスニーズの立地だったものが、何十年か経過するうち に住宅としてのほうが、利用価値の高い立地に変わってしまった場合 などに使われる手法である。アメリカの都市部では大々的に取り入れ られているが、日本では建築規制や技術的な難度が伴い、まだ事例が 多くない状況である。 今後も、既存の住戸や建物に商品的な付加価値を加えて作り変える という手法は、ストック住宅や既存ビルの数が多いだけに、広がって いくと見込まれる。 1 70
社業を発展させる 〇不動産オークション 中古住宅の売却を行おうとする場合は、宅建業者に依頼して買い手 を探してもらうほかは、売主自ら行うしか方法がない。売り手は少し でも高い売却価格を希望し、買い手は少しでも安い価格での購入を希 望するが、それを入札・セリといった公開された場で行うのが、不動 産オークションであり、現在いくつかの宅建業者で行われている。 不動産売買取引は、価格という要素以外にも、取引スケジュールや 資金準備など、いくつかの取引条件が合わないと進められないという 複雑さを伴うが、これらをうまく整理した上でオークションが取り行 えるようにしている。一般のネットオークション取引が広がる中で、 売主・買主にとって価格の透明性が高い方法のひとっとして、この手 法が顧客ニーズに応え、受け入れられていくであろう。 〇インスへクションと瑕疵保証 中古住宅を購入する顧客にとって、取引する建物がどれくらい傷ん でいるのか、引渡しを受けてから壊れたり故障したりしないかといっ た不安が常に付きまとい、このことが中古住宅流通の阻害要因とも なっている。新築住宅に比べ中古住宅の流通量が圧倒的に多いアメリ 力では、中古の戸建住宅の取引を行う際には、インスペクションと呼 ばれる住宅性能検査の実施が、都市部の取引では必ず行われている。 わが国でも、この住まいの健康診断といったものを行う検査会社が 数年前から出てきていたが、国でも力を入れて「既存住宅の性能表示 制度」という制度を作り、 2002 年 12 月からスタートしている。現在国 の性能表示制度と民間のインスペクションが並存している状況である が、どちらも受注がいまひとつ伸び悩んでいる状況である。しかし、
国土交通省の住宅市場整備行動計画 2001 年 8 月 23 日 住宅市場整備行動計画 ( アクションプログラム ) の公表について 1 . 国土交通省では、本年 3 月に決定された住宅建設五箇年計画 を受け、消費者が安心できる住宅市場の整備に必要な施策を住 宅市場整備行動計画 ( アクションプログラム ) に取りまとめま したので、公表します。 2 . アクションプログラムのポイント ( 主要施策 ) ー = 安心して売買できる市場を作る ① ② ③ ④ 162 中古住宅の検査、性能評価・表示システムの導入 ・買主に代わって中古住宅の維持管理状況を目視で簡易に 検査点検してくれる 一定のルールに基づき中古住宅の性能を評価・表示して くれる マンションの維持管理履歴情報の登録制度の導入 ・大規模修繕等リフォーム・メンテナンス履歴情報を登録 し、マンションの区分所有者や購入予定者の求めに応じ て公開 中古住宅の質・管理状況を考慮した価格査定システムの 導入 ・履歴情報・現況調査の結果等を考慮した価格査定システ ムの構築 インターネット上での中古住宅の成約価格情報の蓄積と
開業のための手続き 41 には、指定流通機構のサプセンターを運営する曲全国宅地建物取引業 務所の所在するエリアの機構に加入することになる。会員になるため 指定流通機構は全国の都道府県を 4 つに分けて運営されており、事 イテムといえる。 の多くが会員となり利用しているこのシステムは、宅建業者の必携ア 成約報告も、指定流通機構を通じて行うことになっている。宅建業者 義務づけられている、専任や専属専任媒介契約を締結した際の登録や 場動向に基づいた適正な価格の設定や把握が可能である。宅建業法で 大量に蓄積された取引事例を必要に応じて引き出すことによって、市 ディーに進め、成約のチャンスを拡大させられることになる。また、 をキャッチすることが可能となる。これにより、取引をよりスピー のスムーズなやり取りを行うことによって、多くの売り出し物件情報 宅建業者は指定流通機構の会員になり、システムを使って物件情報 が指定する全国 4 つの指定流通機構がある。 の条件に合う物件を、広く探し出せるシステムとして、国土交通大臣 のために、売却物件情報を常時登録しておき、宅建業者が購入希望客 よって、取引の成立が促進され円滑な取引に結び付くことになる。 報が宅建業者の間でスピーディーかっ正確な内容で伝達することに 不動産流通業は情報が何より重要視されており、特に売却物件の情 Ⅱヨ 0 指定流通機構の利用 接問い合わせてみることをお勧めする。 あり、入会するための審査にも日数を要するので、なるべく早めに直 それぞれの保証協会では、会員になり得る資格や会費などの規定が
物件、賃貸物件、成約情報の 5 つである。登録した物件の売却条件が 変更になった場合は「変更」、売り止めや他社で成約などの場合は「削 除」の登録を、それぞれの事由が発生してから速やかに行うことにな る。 ②物件検索 レインズに登録された物件の中から、種別・地域・価格などを指定 して物件を探すことができ、併せて必要に応じて、物件の詳細情報 や、図面の登録がなされていれば引き出すことができる。 ③成約情報 レインズに登録された物件について、登録した会員業者から成約登 録がなされると、成約情報としてコンピューターに保管される。この 情報は、取引事例として会員がレインズ端末から検索して、価格水準 を判断するなどの業務に活用している。 ④登録済証 レインズに物件登録を行うと、登録が完了した証として「登録済証」 が発行される。特に専任や専属専任で媒介の依頼を受けた場合には、 レインズへの登録義務があり、これを果たしたことを依頼者に報告す るため、登録済証を交付しなくてはならない。 ⑤日報 「日報」とは、レインズに新たに登録された物件や、既に登録され ている物件で条件が変更になったものを掲載した、物件リストの速報 のことである。日報は、希望地域や物件種別などを選択することに よって、定期的に夜間ホストコンピューターから各会員へ配信するも のである。直近の新規物件であれば、自動的に配信される日報を見る ことによって、常に最新の情報を入手できることになる。 44
営業活動とル ー丿レ く売共同住宅 ( 中古マンション等 ) 〉 インターネソト 〇〇〇〇〇 聞 新 〇 〇〇 雑 新聞折込チラシ等〇〇〇〇〇〇〇 事項 1 広告主の名称又は商号 2 広告主の事務所の所在地 広告主の事務所 ( 宅建業法施行規則第 6 条の 2 第 1 号の施設を含む。 ) 3 の電話番号 4 宅建業法による免許証番号 5 所属団体名及び公正取引協議会加盟事業者である旨 6 取引態様 ( 売主、代理、仲介等の別 ) 7 物件の所在地 ( 地番は省略可 ) 鉄道、都市モノレール又は路面電車 ( 以下「鉄道等」という。 ) の ① 最寄駅 ( 停留所 ) の名称及び同駅等からの徒歩所要時間 鉄道等の最寄駅からバスを利用する場合は、最寄駅名、物件の最寄 ② りの停留所までのバスの所要時間及び同停留所からの徒歩所要時間 8 ①及び②以外の場合でバスを利用するときは、バスの停留所の名称〇 〇 〇 及び同停留所から物件までの徒歩所要時間。バスを利用しないとき ③ は、公共・公益施設、商業施設その他の著名な施設からの道路距離 及びその施設の名称 ④①から③以外の場合は、鉄道等の最寄駅から物件までの道路距離 9 階数及び当該物件が存在する階 10 専有面積又は間取り 11 ノヾルコニー面積 12 建築年月 ( 未完成の場合は、工事の完了予定年月 ) ①価格 ( 入札の場合は最低売却価格 ) ②敷地が定期借地権であるときは、保証金、敷金等の額 価格のほかに施設等に関する費用を要するときは、その旨及びその ③ 敷地が借地であるときは、当該借地権の種類 ( 旧法の適用を受けるも 14 のについてはその旨 ) 、内容、借地期間 ( 借地権の譲渡又は転貸をす〇 〇 〇 るときは、残存期間 ) 〇 〇 〇 15 国土法による許可又は事前届出を要するときはその旨 〇 〇 〇 16 管理費及び修繕積立金等 〇 17 管理方式 取引条件の有効期限 ( インターネットの場合は情報登録日又は直前の 〇 〇 18 更新日及び次回の更新予定日 ) 囲 14 の事項欄にいう「旧法」とは、借地法 ( 大正 10 年法律第 49 号 ) 、借家法 ( 大正 10 年法律第 50 号 ) 及び建物保護ニ関スル法律 ( 明治 42 年法律第 40 号 ) をいう。 資料 : 不動産の表示に関する公正競争規約 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 -- 〇 〇 〇 13 ー 81
不動産広告に必要な表示項目 く売家〉 インター、不ット 〇〇〇〇〇 聞 新 〇〇 〇 雑 新聞折込チラシ等〇〇〇〇〇〇〇 媒 体 事項 1 広告主の名称又は商号 2 広告主の事務所の所在地 広告主の事務所 ( 宅建業法施行規則第 6 条の 2 第 1 号の施設を含む。 ) 3 の電話番号 4 宅建業法による免許証番号 5 所属団体名及び公正取引協議会加盟事業者である旨 6 取引態様 ( 売主、代理、仲介等の別 ) 7 物件の所在地 ( 地番は省略可 ) 鉄道、都市モノレール又は路面電車 ( 以下「鉄道等」という。 ) の ① 最寄駅 ( 停留所 ) の名称及び同駅等からの徒歩所要時間 鉄道等の最寄駅からバスを利用する場合は、最寄駅名、物件の最寄 ② りの停留所までのバスの所要時間及び同停留所からの徒歩所要時間 ①及び②以外の場合でバスを利用するをきな : 六スの停留所の名称〇 8 〇 〇 及び同停留所から物件までの徒歩所要時間。バスを利用しないとき ③ は、公共・公益施設、商業施設その他の著名な施設からの道路距離 及びその施設の名称 ④①から③以外の場合は、鉄道等の最寄駅から物件までの道路距離 9 敷地面積及び私道負担面積 10 建物面積又は間取り 11 連棟式住宅であるときは、その旨 12 建築確認番号 ( 完成済の場合は省略可 ) 13 建築年月 ( 未完成の場合は、工事の完了予定年月 ) ①価格 ( 入札の場合は最低売却価格 ) ②敷地が定期借地権であるときは、保証金、敷金等の額 価格のほかに施設等に関する費用を要するときは、その旨及びその ③ 敷地が借地であるときは、当該借地権の種類 ( 旧法の適用を受けるも 15 のについてはその旨 ) 、内容、借地期間 ( 借地権の譲渡又は転貸をす〇 〇 〇 るときは、残存期間 ) 及び 1 か月当たりの借地料 16 国土法による許可又は事前届出を要するときはその旨 〇 〇 〇 取引条件の有効期限 ( インターネットの場合は情報登録日又は直前の 〇 〇 17 史新日及び次回の更新予定日 ) 15 の事項欄にいう「旧法」とは、借地法 ( 大正 10 年法律第 49 号 ) 、借家法 ( 大正 10 年法律第 50 号 ) 及び建物保護ニ関スル法律 ( 明治 42 年法律第 40 号 ) をいう。 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 ー一〇 〇 〇 14 ー 80