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検索対象: 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック
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1. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

不動産業界ってどんなところ ? ざっと 400 万円で開業ができることになる。運転資金としても、賃料 を含む事務所経費、車などの営業経費、指定流通機構などの加盟団体 費など見通しがつく範囲での出費で納まる。加えて、分譲事業や買取 り転売といった仕入れコストの必要となる事業を行う場合には、それ なりの資金が必要となり、借入金の利息なども加える必要が出てくる が、仲介だけであれば不要である。 不動産会社の資本金状況をみると 1 , 000 万円以下が半数で、その中 の約 8 割が 500 万円以下となっている。このように少資本で営んでい る会社が多い業種なのである。また、不動産会社で働く従業員の人数 も、 5 人未満のところが約 9 割ということで、従業員数をみても小さ な規模で運営している会社がほとんどであることが分かる。 従業員を 1 人雇えば、仮に歩合給のウェイトが高いとしても月々定 期的に給与の支払いが発生し、これが 1 年間ということでみれば、百 万円単位の出費となる。仲介であれば成約して初めてもらえる成約報 酬である上、場合によっては決済まで受領できないこともあり得る。 しかし、宅地建物取引業の場合は、携帯電話や転送電話といったもの を上手に使いこなしながら、実質ひとりで独立会社を切り盛りしてい る人もたくさんみられる。事務所も自宅をうまく使うことによって、 不動産業と従業者数 ( 単位 : 社 ) 90 100 % 290 , 339 社 20 10 0 50 40 30 80 70 60 252 , 048 ( 01 年 10 月現在 ) ロ 5 人未満ロ 5 ~ 10 人未満ロ 10 人以上 資料 : 総務省「事業所・企業統計調査」 ( 確報 ) 26 , 772 9

2. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

名の通った不動産会社で働いてきた方であれば、その会社の看板と いう信頼があったからこそ得られたネットワークもたくさんある。ま た、小さな会社であっても、その会社の社長ひとりのカで優良情報が 集まってきていることがある。看板や社長といった信頼の源がなくて もビジネス関係が成り立つかの見極めは、ややもすると過信しがちな ため、よく注意をすべきである。 1-3 少投資ハイリターン 初期投資が比較的少額で開業できるのも、宅地建物取引業の特徴の ひとつである。小さな事務所に電話・ファックスとパソコンがあれ ば、最低限の営業拠点は成り立つ。極端にいえば、宅地建物取引業者 免許の要件を満たしていれば、自宅で個人で営むことも可能なのであ る。それだけに、現在宅地建物取引業に従事していて、十分営業力に 自信があるということで、独立開業に至るケースが多い。 具体的に開業に際して必要となるコストを考えてみると、現在特例 措置として施行されている、新事業創出促進法の資本金 1 円を利用し たとして、会社設立費用、事務所賃借料、事務備品、営業供託金等で ( 単位 : 社 ) 90 100 % 277 , 143 社 不動産業と資本金 60 ・。 114 , 099 ・ 30 , 653 118 , 985 ( 2003 年度 ) ロ 2 未満 ( 百万円 ) ロ 2 ~ 5 未満ロ 5 ~ 10 未満■ 10 ~ 50 未満 & 50 ~ 100 未満■ 100 ~ 1 , 000 未満ロ 1 , 000 以上 資料 : 財務省「財政金融統計月報」一法人企業統計年報特集ー 80 70 50 40 30 20 10 0 3 , 982 8

3. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

開業のための手続き 25 も可とする最低資本金規制免除を認める法律が、平成 15 年 2 月に施行 の育成と発展を進めるために、株式会社と有限会社の資本金を 1 円で 上、有限会社は 300 万円以上の資本金が求められているが、中小企業 できることになった。会社設立の要件として株式会社は 1 , 000 万円以 なお、先ごろ新事業創出促進法が施行され、資本金が 1 円から設立 謄本や印鑑証明書などの取得が可能となる。 登記が完了するとあなたの会社が誕生することになり、商業登記簿 請をする。 申請書、議事録など登記に必要な書類を作成し、法務局に登記の申 ⑤登記の申請 てもらう。 銀行などの金融機関に出資金の払込手続きを行い、証明書を発行し ④出資金の払込みと保管証明書の取得 会社のルールである定款を作成し、公証人の認証を受ける。 ③定款の作成と認証 決めた会社の名前が使用できるかどうかを法務局にて確認する。 ②類似商号を調べる 商号、本店、事業目的、役員などを決める。 ①会社の基本事項を決める 実際の会社設立の流れは次のようになる。 の賃貸の仲介」など、宅建業を営むことの記載が必要である。 には必ず事業目的に「不動産の売買」「不動産の売買の仲介」「不動産 いった名称は避けなくてはならない。また、免許申請の関係で、定款 である。例えば、〇〇住宅センター、〇〇流通センター、〇〇協会と らわしいものは、宅建業免許の申請で変更させられる場合があること

4. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

開業のための手続き で代用することが可能であり、保存期間は最終記載がなされた日から 10 年間とされている。 ⑤の従業者証明書は、従事している宅建業を営む会社の社員である ことを明らかにするための社員証である。定められた様式に従って発 行し、従業者全員に常時携帯させた上で、取引に関係する者から請求 されたときには、提示しなくてはならない。この従業者証明書は、ム 社の代表者や一時的に雇用する者にも携帯が求められており、取引主 任者証があるからといって、従業者証明書の代わりにすることはでき ない。なぜなら、従業者証明書と取引主任者証は性質の異なるもので あり、取引主任者証は取引主任者であることの証明書であり、どこの 会社に従業しているかを証することはできないからである。 上記の掲示や備え付けを怠ったり、記載事項にモレや虚偽や誤りが あると、 20 万円以下の罰金に処せられるので注意を要する。 Ⅱヨ 2 事務所以外の拠点の義務 事務所のほかに案内所などの営業拠点を設けて活動する場合にも、 標識の掲示や役所への届出などが必要となることがある。宅建業法で は、次の場所で営業活動を行う場合には、免許を持っている者が行っ ている証として、顧客の目のふれやすい場所にそれぞれ定められた標 識を掲示しなくてはならないと定めている ( 施行規則 19 条 ) 。 ①継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外 のもの ②一団の宅地建物の分譲をする場合の案内所 ③ほかの宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物分譲の代理または 49

5. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

開業のための手続き 不動産などを担保に出したりしていなければ、会社を失ったとして も、個人の財産にまで累が及ぶことはないという安心感がある。 また税制の違いにより、個人の事業所得が大きくなると、その事業 を会社として行うほうが税務上有利になる。個人で行う場合は、超累 進課税率をとっている所得税と住民税が、最大合わせて 50 % の課税と なるが、会社の場合は原則 30 % の均一課税で、事業税などを含めても 個人の事業所得より低くなり、利益が高くなるほど会社のほうが有利 といえる。この外にも、会社の場合は社長本人が役員報酬や役員退職 金を受け取ることにより、所得分散が図られ必要経費として扱われる ことや、自動車などを会社名義で購入するなど必要経費の範囲も広 一言で会社といっても、商法上次の 4 種類に分けられている。 ①合名会社 社員が全員、事業に対して無制限に責任を負う。社員同士の信頼関 係が重視され、債務者からみると取引の安全性が高いが、今では少数 で、昔からやっている酒造会社などにみられる程度である。 ②合資会社 責任形態が、無制限の社員と有限の社員とで構成されている。最近 では、この形態の会社はほとんどみられなくなった。 ③株式会社 出資者である株主が、有限の責任を負う。企業所有と経営が制度的 に分離されており、株主としての地位である株式の譲渡は、原則とし て自由である。広く資本を集めて永遠性のある企業形態とするため に、株式会社は最適なものである。 21

6. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

不動産業界ってどんなところ ? は、「Ⅱー 5 免許の取得」で述べる。 業務経験のある方が自ら営もうとするケースでは、これまでそれな りの営業成績や実績を積み、自分で経営していく自信があるからこそ のことであろう。そのきっかけとしては、自分の会社のほうが高い収 入が見込める、上司やノルマに煩わされず自由に営業がしたい、もと もと独立を強く希望していたなどの理由がよく聞かれる。不動産営業 の給与体系は、必ず歩合的要素が加えられており、給与の中に占める 歩合の割合の高い会社ほど、チラシなどの広告費や営業に使う車の車 両費やガソリン代などのランニングコストといった、営業に必要な経 費まで歩合給の中に組み込んでいるところが多くある。歩合給を多く もらえても、必要経費としての出費が多ければ実質的手取り給与は少 なくなる。「これなら、自分で不動産会社を興したほうが効率的に稼 げる」「一緒に営業していた仲間も、独立開業してうまくやっている」 ということで、宅地建物取引主任者資格の保有と開業資金のめどがあ れば、独立開業してしまうといったケースが結構みられる。 どんな業種であっても、新規に開業しようとするときには、それな りの成功見通しが必要である。宅地建物取引業の場合、これまでの自 分の不動産営業の経験と、そこで培った人的ネットワークをベースと して独立開業することになる。もちろん、新しいビジネスモデルを自 ら生み出しチャレンジするケースもあり、これからはこのようなケー スが増えてくるものと見込まれる。しかし、自分に自信があるかない かは別としても、従来行われているエンド仲介や法人仲介、新築販売 代理、新築建売り分譲、買取り転売といったことを中心に行っていこ うとする場合は、とりあえずは経験と人的ネットワークがとても重要 な要素となる。 7

7. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

営業と取引のヒント するという考え方は商業が盛んな江戸時代から既にあった。そして、 工業化が進み大量生産によって、作れば売れる時代が長く続き、顧客 へ目を向けることを忘れていた。ところが、バブル崩壊以降顧客の選 別眼が厳しくなった。こうして、更に情報社会の進展により顧客が 様々な情報を気軽に入手できるようになった。こうして、企業間競争 も厳しさを増すといった社会状況の中で、市場は企業主導から顧客主 導へと移っていったのである。 不動産取引をしようとしている顧客は、まず信頼できる会社やしっ かりした営業マンの選択から、始める場合が多く見られる。不動産は 高額商品であり、残念ながら昔から不動産業者に騙されたという話が 付き物なのが当業界である。不動産取引を始めようとする顧客が、安 心して任せられ信頼のおける宅建業者に依頼しようとするのは、当然 顧客との関係 姿勢 重点 業務の取り組み方 売上げ中心と顧客中心 売上げ中心 どのくらい売上げを増やすか 単に物件を扱う 取引関係 〇言われたことだけに専念し、 言われたことだけを行う お客様カードなどの記入 事項を通して知る 目先の成約に専念する 顧客中心 固定客を何人増やすか 顧客のライフスタイルの トータルサポートをする 取組関係 〇顧客と一体になって主体的 な姿勢で取引に取り組む 顧客の暮らしぶりやライ フスタイルを理解する 取引を通しての顧客の満 足感に重点をおく 1 1 5

8. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

開業のための手続き ⑨報酬の額 ⑩取引に関する特約、その他参考となる事項 はその年月日となっている。また、帳簿と同様に電子データでの記録 事務所の従業者となった年月日、当該事務所従業者でなくなったとき 号、生年月日、主たる職務内容、取引主任者であるか否かの別、当該 その記載する内容としては、従業者の氏名、住所、従業者証明書の番 取引の関係者から請求があった場合には閲覧させなくてはならない。 ④の従業者名簿は、従業している人や従業していた人の一覧表で、 日で閉鎖した上で、 5 年間保存しなくてはならない。 タの記録で代用することができる。また、この帳簿は各事業年度の末 て紙面に出力表示されるときは、台帳形式の帳簿に代えて、電子デー 帳簿の記載事項がパソコンなどのファイルに記録され、必要に応じ 従業者名簿 ( 様式第八号の二 ) 氏 1 2 3 4 名 従業者証主たる取引主任者 明書番号職務内容であるか否 かの別 性別生年月日 住 所 この事務所のこの事務所の 従業者となっ従業者でなく た年月日 なった年月日 「従業者証明書番号」の欄には、法第 4 8 条第 1 項の証明書の番号を記入すること。 「取引主任者であるか否かの別」欄の欄には、取引主任者である者には〇印をつけること 一時的に業務に従事する者についても記載すること。 記載すべき事由が発生した場合には、 2 週間以内に記載すること。なお、記載事項について変更、訂正等をするときは、 47 変更、訂正等をする前の文字等は、なお読むことができるようにしておくこと。

9. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

開業のための手続き Ⅱヨ 1 事務所に備えなくてはならないもの 宅建業者が免許申請で届け出た事務所には、宅建業法で定められた 次のものを、掲示したり備え付けなくてはならない。 ① 標識の掲示 ( 宅建業法 50 条 1 項 ) ② 報酬額の掲示 ( 46 条 4 項 ) ③ 帳簿の備え付け ( 49 条 ) ④ 従業者名簿の備え付け ( 48 条 3 項 ) ⑤ 従業者証明書の携帯 ( 48 条 ) ①の標識は、正式には宅地建物取引業者標といい、有効な免許を正 式に取得していることを、事務所に来場した顧客に知らしめるととも に、モグリで営業することを防止するためのものである。標識の形式 宅地建物取引業者標 ( 様式第九号 ) 宅地建物取引業者票 国土交通大臣 知事 号 免許証番号 免許有効期間 商号又は名称 代表者氏名 この事務所に置かれている 専任の取引主任者の氏名 主たる事務所の所在地 日から 日まで 年 月 年 月 円ゴ LIIOOE 電話番号 35 cm 以上 45

10. 不動産業 独立・開業と実務ハンドブック

第 開業のための手続き 資格を持っている主婦などが従業しているという形だけ整えて、実際 は働かずに、取引主任者の頭数合わせだけすることは、名義貸しとな り禁止されているので、絶対にしてはならない。 取引主任者には、事務所ごとに専任として設置する取引主任者と、 それ以外の一般の取引主任者がいることになるが、どちらも重要事項 説明ができるなど、取引主任者としての業務内容は同じである。しか し、専任の取引主任者は、同じ会社の中において、複数の事務所を兼 ねて専任の取引主任者になることはできず、事務所ごとに専任でなけ ればならない。 Ⅱー 8 営業保証金の供託 宅建業者が取引を安全かっ公平に行うために、宅建業法ではいろい ろなルールを定めており、それに従って業務を進めることになる。し かし、それでも事故が起こってしまった場合には、取引当事者の損害 を賠償しなくてはならない。いざ損害賠償をしなくてはならないとい う事態になって、資金がないということにならないために、業務を開 始する前に一定額を預けておいて、損害の大きさに応じて賠償できる ようにしたものが、営業保証金制度である。 宅建業者は、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託し なければならない。供託とは、ある財産を法務省が管轄する国家機関 である供託所に提出して、その管理を委ね、供託所を通じてその財産 をある人に受領させることにより、一定の法律上の目的を達しようと するものである。営業保証金の供託義務者は宅建業者となり、供託場 所は主たる事務所の最寄りの供託所である。宅建業者と宅建業に関し 37