オゾン層 - みる会図書館


検索対象: 二つの環境 : いのちは続いている
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1. 二つの環境 : いのちは続いている

うす たいりゅうけん 地球表面には空気が多い「対流圏」 ( 大気圏とも言う ) があって、そこで人 間も生物も息をしている。この対充圏の 上、上空十キロメートルになると空気が 薄くなり、「成層圏」と呼ばれるところ になる。そこにオゾン層がある。 ローランドは「この化合物ははとんど 壊れす、大気圏にたまり、少しすつ上空 しがいせん にあがる。そしてそこで太陽の紫外線で : ミシガンの 分解してハロゲンになる : はかい 連中はハロゲンがオゾン層を破壊すると し、つ・ : これは ! オゾン層を壊すので はないか ? 」と田 5 った。 そして、研究の後、一九七四年、世界 こわ (km) 80 中間圏 U 日を オソン層 成層圏 0 きよりせいそうけん 地上からの距離と成層圏。富士山は 3800 メートル。その三倍の高さまで 空気がある。その上が成層圏、下部にあるのがオゾン層だ。 ( 図は、 NPO 法人ストップ・フロン全国連絡会ホームページより引用。 http://www.jason-web.org/

2. 二つの環境 : いのちは続いている

的に有名な『ネイチャー』という科学雑誌に、「成層圏に上昇したフルオロカーポンから放出 されたハロゲンがオゾン層を減少させる」という論文を発表した。 大さわぎになった。 成層圏のオゾン層がなくなると、太陽の有害紫外線が一気に地表にくる。それは「みんなが 皮膚ガンになる」とい、フことを意味していた。 そうなると、スプレーや冷蔵庫、エアコンなどに使っている「夢の化合物」、 0 O がダメ おこ だ ? それは大変なことだ。「なにを言うのだ ! そんなはずはない」と怒る人が出た。その 人たちはオゾン層のことを研究していたわけではない。その化合物を製造したり、売っていた 人たちだ。 新しいことに反対する人たちがいるのはいつものことだが、この場合はもう一つ、納得でき ないこともあった。 誰でも、成層圏のオゾン層が壊れて太陽の紫外線が直接、地表に達したら大変だということ はかい は知っている。でも、オゾン層というのははるか上空のことだ。そのオゾン層破壊の原因が、 そんな小さなものを使ったからといって地球が破壊する 朝、洗面所で使うスプレー ? ? ひふ おお だれ こわ しがいせん せいそうけん

3. 二つの環境 : いのちは続いている

そしてローランドも熱意を失わない。 「さまざまな予測ができるはどに科学を発達させて、結局その予測が実現するのをポーツと 待っことしかできないとしたら、それは役に立ったと一一一口えるでしようか」 ゆず と演説してその主張を譲らなかった。 ただはちしげる ついに、一九八二年九月には南極昭和基地で観測していた日本人科学者、忠鉢繁が、続い て翌月にはイギリス南極調査所のファーマンが十月に上空のオゾン量が八年間で四〇 % も低下 はかい していることを見つけた。しかも、驚くことにそれはすでに破壊されたオゾン層だった。 それから三年後、ファーマンの論文も科学雑誌『ネイチャー』にのった。「南極上空の春の オゾン量が減少し続けている」という内容だ。この論文も疑間が持たれた。 すでに、アメリカの航空宇宙局、の人工衛星にオゾンを測定する計器が積みこまれ、 それが精密な観測をしていた。でもそれにはさつばりオゾン層の変化が現れていなかったから 、、こっ、」 0 実は、オゾン層がそんなに減っているとは予想していなかった Z<<cn< の技術者が人工衛星 のうど で測定したデータの処理をするコンピューターに、オゾンの濃度があまりに薄いときには観測 うす

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ひしよう 二ッポンという学名を持っこの美しい鳥の飛翔は、 夕暮れに舞うトキ二ツボ二ア 今、日本の空では見ることができない。 ( 「第一章友達がいなくなる ? 」 ) Sep 1 ア 2001 あな オゾンホール南極上空のオゾン層にボッカリあいた穴 ( 青紫の部分 ) 。オゾン層 しかいせん には、太陽からの有害な紫外線を防ぐ働きがある。 ( 「第二章空き家になる地球」 )

5. 二つの環境 : いのちは続いている

しるよ、つには田 5 、んュいか・ : 」と疑問をもち、研究したがわからなかった。 げんしろ かくゆうこう 実は、太陽は「原子炉」だ。太陽は「水素爆弾」と同じ核融合反応が起こっている。だから 太陽の表面は六〇〇〇℃という高い温度になるし、ガンマ線や >< 線というような非常に危険な でんじは しがいせん 放射線や、紫外線などの有害な光 ( 正しくは電磁波という ) を出す。 かがや ヘルムホル 原子炉だから原子力が発見されなければ太陽がなぜ輝いているかはわからない ッより三〇年はど後の、キュリー夫人のラジウム発見まで待たなければならなかった。 ところで、太陽から出る「電磁波」のうち、ものすごく危険なガンマ線などは地球に届かな いが、紫外線は来る。そして、紫外線といっても波長によって三種類に分類されている。それ が紫外線、紫外線、 0 紫外線と言われているもので、このうちもっとも有害なのは一番波 長の短い 0 紫外線、そして次に紫外線だ。現在はまだ地球はオゾン層がおおっているので、 0 紫外線はオゾン層で吸収されて地表に来ない。紫外線もかなりオゾン層で吸収される。ま だ今は、オゾン層をくぐって地表まで来るのは << 紫外線と紫外線の一部ということになる。 だから安全だ。 昔は「日光浴しなさい ! 」と言われたものだ。紫外線は皮膚や全身の抵抗力を増やし、血 ひふ ていこ、つり , よノ、ふ

6. 二つの環境 : いのちは続いている

むし のまちがいだから無視するようにプログラミングしていた。 どんな機械でも限界がある。何かを観測するものではその範囲が決まっているし、力を出す 機械でも限界がある。あらかじめ限界を決めておかないと機械が壊れる。 人間の頭は優れているようで、それはどでもない。人間は自分の頭の中にあることしかわか らない。わかりようがない。 Z<co< の技術者は優れた人たちだが、それでも人間の想像力に は限りがある。 事実は、人間の想像をはるかに越えて進んでいた。ファーマンの論文を見た Z<(-n< の科学 者があわててデータをそのまま映し出してみると、春の南極上空のオゾン層にアメリカ全土ほ あな どの面積のオゾンのないところ、つまり「オゾンの穴」がばっかりと開いているではないかー しよ、つげ・き マスコミはこれをすぐ「オゾンホール」と名つけ、その画像は世界中に衝撃を与えた。論 ーしさし 文が掲載されて三か月後のことだった。 みのが 人工衛星に積みこまれた最新の機器が見逃したものを、南極の昭和基地で寒さに震えて日本 人、忠鉢繁が旧式の観測機器で見つけたことも面白い。新しく格好の良いものが優れていると 思いがちだが、古いもののほうが真実がよく見えることがある。むしろ自分の手で確かめるこ こ こわ ふる

7. 二つの環境 : いのちは続いている

まさヾこ 「浜辺の真砂が尽きることがあっても、この世に盜人の種は尽きない」 きも だいとうぞく よいよ死刑になるときでも肝が座っている。五右衛門が と言ったという。さすが大盗賊だ。い 言いたかったのは、何度「いけません ! 」と言っても悪いことをするやつは必すいるという意 : 強盗もこまるか、お金が盗られるだけな 味だが、確かに昔も今も悪いやつはいなくならなし もど ら何とかなる。殺人はかなり困る。命は戻らない。でも、殺人で一度に殺せるのはせいぜい 数人か、数十人だ。 それに比べると、オゾン層を壊すようなものを出すと、人類が全滅する。つまり、オゾン層 きようあくはんにん 力し の破壊は大量殺人と同しである。「釜ゆでの刑」で死刑になった石川五右衛門より凶悪犯人だ。 かんきよう オゾン層の破壊は、環境破壊の特徴をよく勉強させてくれる。ます環境破壊はかすかな自 然の叫びから始まるが、それを聞くことのできる人は少ない。そして第二に、環境はいったん おそ 破壊されたら一気に襲ってくる。そのときは、もう手おくれである。それはシリル紀の絶滅の ときも同しだ。そして第三に、環境は長い時間をかけて作り上げられたものだから、一度そう なったら、みんなが死んで数億年かかって地球をやり変えるしかない。 「死んでも良いじゃないか。そんなに人間が悪いのなら、一度みんな死んで、作り直したは こわ かま と′、ちょ、つ ぜんめつ

8. 二つの環境 : いのちは続いている

、つか良い」 というような乱暴なことを一一一一口う人がいる でも、それはちがう。 人生に夢を持ち、毎日毎日、その夢を追って努力している人がいる。その人たちはを 出しているわけでもなく、ひたむきに毎日を生きているだけだ。また、草原をかけまわって楽 しく遊んでいるあの可愛いシカも化学物質を作っているわけではない。人間のうちでもほんの わすかの人の行動が地球上のすべての命を奪うことになるのだ。 ところで、人間は面白いものを考えるもので、オゾン層がこわれて紫外線が降ってきても良 かさ ばうぎよふく いように「有害紫外線防御服」という洋服が売られている。傘のようなものもあれば、宇宙服 のようなデザインのものもある。それを買えは自分だけは少しの間は生きることができるが、 実は意味がない オゾン層が破壊されたら紫外線を浴びるのは人間だけではなく、地上のあらゆる生き物がダ メージを受ける。植物が育たないので食科がない。動物が育たないので肉もなくなる。第一、 さび 寂し : 人間は動物や植物と一緒でなければ、一年も生きていけないのを忘れている。紫外線 らん。ぼ、つ しがいせん

9. 二つの環境 : いのちは続いている

あな 2 ・穴のあくオゾン層 一九七三年、イギリスのラブロック博士は、クロロフルオロカーポンという化合物が大気中 でどのよ、つになっているかという研究をしていた ( 日本では「フロン」と呼ばれているが、正 りやく しくはクロロフルオロカーポン、略して O O と一一一一口、つ ) 。ラブロック博士自身やそのまわりの はかい 人も、この研究がやがてオゾン層の破壊という驚くべき発見につながるとは夢にも思っていな かった。ラブロックは五〇年ほど前。イ こ乍られたこの化合物がどうなっているかということに興 「あなたたち人間は頭が良いというけれど、結局は目に見えるものしか理解できないのです ねむ か ? 私たちはひっそりと地下に眠っているけれど、もう残りが少ないのです。 りくっ 大昔に生まれた量しかないのですから、使えばなくなる、かんたんな理屈ですよ。それは私 どうなまり たちばかりでなく、人間と昔からっき合ってきた銅や鉛も同じ。私たち金や銅がいなくなった かがや さび 世界、それは輝きもなく、十円玉さえつくれない寂しい世界ですよ。それで良いのですか ? 」

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はだ ろとか、目の色は黒に肌は白にしろとか、とにかく親から子への情報はすべてこのが引 き受けている。四文字で : : : などと書かれているわけだが、その中 に「 9-« (--«」とチミンが二つ隣り合わせになっているところがある。ここが問題で、紫外線を浴 びて運が悪いとこれが「チミンダイマー」というものに変化する。 と続い ていた文字が別の文字になるので、そこの所の意味がわからなくなる。意味がわ からなくても読まなければ生きていけないので「適当に読んでおけ」と言うことになり、自分 の体の一部ではあるが、一部ではないという変な物を作ってしまう。それが皮膚ガンのもとに なる。 紫外線が地上に降ってくるのを防ぐことのできるオゾン層は、十億年以上の長い間の生物の 活動で作り上げた「地球の毛布」のようなものだ。その毛布にくるまって生物はその生を楽し おんけい はんえい み、人間もその恩恵を受けて繁栄してきた。でも、そのオゾン層を壊そうとしているのだから、 人間とは不思議な生き物だ。 だいとうぞく 江戸の昔に石川五右衛門という大盗賊がいて最後は捕まって釜ゆでの刑というので死刑にな った。五右衛門は死ぬとき、 とな つか かま こわ