シューメーカー - みる会図書館


検索対象: 二つの環境 : いのちは続いている
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1. 二つの環境 : いのちは続いている

で、水は固くなる。だから、地球の表面の三分の二が海とはいっても、隕石のようなものが衝 突すれば、どこも固くなる。 ところが、シューメーカー・レビー第九彗星が墜落した木星の成分は水素やアンモニアなど まさっ のガス ( 気体 ) だ。ちょうど、地球に落下する隕石が空気との摩擦で真っ赤になって燃えるよ うに、木星の内部に飲みこまれるはすだった。たとえシューメーカー・レビー第九彗星が巨大 で猛スピードであっても、それは変わらないだろうと予想された。 かく ところが、シューメーカー・レビー第九彗星の一番大きな部分 ( 核という ) が木星に衝突し ちり た瞬間、約二万キロメートルにも及ぶ真っ黒な塵が巻き上がり、その有様は地球からでも見え るほどとてつもないものだった。これから起こること、未来のことを予想するのは難しい。そ ひかくてきたんじゅん れが隕石の衝突のように比較的単純なものでもそうだ。まして命のような複雑なものはこれ からど、つなるかわからない つくづく、未来は予想できないし、まただからこそ楽しみもある。 ちり 「二万キロメートルの範囲に拡がった塵」 光は一秒間に地球を七回り半し、光の速さは一秒間に三十万キロメートルだ。ということは、 地球一回りはおおよそ四万キロメートルである。一一万キロメートルというと実に地球半周りだ。 も、つ

2. 二つの環境 : いのちは続いている

3 ・ダイナミックに生きる 一九九三年三月二四日、アメリカのパロマー山天文台で天体を観測していたシューメーカー もうれつ 夫婦とレビー氏は木星の近くで猛烈なスピードで落下していく彗星を発見した。観測に使った わくせい カメラは四六センチメートルのシュミットカメラ。巨大な惑星の木星に近づきすぎたこの彗星 ちょうせきはかい は、引力でゆがみ、「潮汐破壊」を受けて、サヤエンドウのように変形していた。それからグ しゅんかん いっせい ングンと木星にひきつけられていく彗星。地球上の望遠鏡が一斉にその瞬間を見つめていた 一年四か月後の一九九四年七月一七日、発見者の名前をとってシューメーカー・レビー第九彗 しようとっ 星と名づけられたサヤエンドウ型の彗星は、九個の破片となって次々と木星に衝突した。地 上の天文台はもちろん、宇宙空間のハップル宇宙望遠鏡、そして奇しくもちょうどそのときに しゅんかんとら 木星に接近していた「ガリレオ探査機」も彗星が木星に衝突する歴史的瞬間を捉えた。 は、頭より本能がえらい。そのことを知ることが「環境の人門」なのだ。 はヘん しよ、つとっ

3. 二つの環境 : いのちは続いている

だ」というだろう。その場合のカタクチイワシ の環境とは餌となるプランクトンが増えること シューメーカー・レビー第九彗星、大陸の大 移動、南極の旅行、そしてカタクチイワシ : 地球の活動はダイナミックだ。 もともと地球の気温は誕生の時には二〇〇 〇℃位だったと言われているし、少し前 ( 二万 年ほど前 ) までは、今より一〇℃も気温が低か さばく った。ウイスコンシン水期の中で地球は砂漠と 氷河におおわれていた。森林はほとんどなく、 生物はその片隅でひっそりと暮らしていた。そ の状態が十万年も続いたあと、ヤンガードリア スと呼ばれる気象変動があり、急に温度が上が かたすみ すいせい 2 0- 2 イワシの漁獲量 ( 万トン ) 0 5 0 5 0 3 2 2 1 ′…ス更 ・海水温度 2 0. 1 0 0 2 海水温度 ( ℃ ) 1 9. 9 5 0 1 9. 8 1 9 0 0 1 9 8 0 1 9 2 0 1 9 6 0 1 9 4 0 西暦 ( 年 ) 海水温度とカタクチイワシの漁獲量の関係 きよかくりよう

4. 二つの環境 : いのちは続いている

この宇宙探査船が「ガリレオ」と名づけられていたことは印象的だ。四百年前、ガリレオ・ とな ガリレイが「地動説」を唱えたのは、彼が当時、できたばかりの望遠鏡を使って木星や土星の たんねん けいさんじゃく 運動を丹念に観測したからだ。オランダで作られた望遠鏡、そして計算尺がガリレオの武器 のぞ だった。それまで宇宙は神が作りたもうたものであり、決してその内部を覗きこんだり、計算 おきて したりしてま ) すよ ) 、 ( し ( オしただ天体をそのまま受け入れなければならない、という当時の掟にガ リレオは挑戦したのだった。 ろうごく きんやぶ 禁を破ったガリレオがその後、宗教裁判にかけられ抵抗空しく牢獄に捕らわれたのはしかた ゃぶ は′、 0 かい かないかもしれない。伝統を破るものは迫害に遭い、そして伝統を破ることによって新しい時 代が拓かれるのだから。 ところで、シューメーカー・レビー第九彗星の衝突は、予想もしない結果をもたらした。も しようげ・き くだち いんせき し彗星が固い岩にぶつかれは、大きな衝撃が起こり、隕石はこなごなに砕け散るだろう。海 しよ、つとっ に突っこんでも、とてつもないスピードで衝突するのだから、水も岩のように固くなる。水 か固いとい、つのは不思議だが、私たちがかんたんに水の中に手を入れることができるのは「ゆ もうれつ ひま つくり」入れるからで、猛烈なスピードで水中に入ろうとすると、水の分子が動く暇がないの ひら ていこ、つ わ 4

5. 二つの環境 : いのちは続いている

くなるこの境界からだけ出てくる。そして、この境界はカナダの恐竜の谷だけではなく、中国、 アフリカなどの世界のあらゆる場所から発見される。地球上をおおっているこの境界こそ恐竜 しよ、つこ 絶滅の原因となった隕石の衝突の物的証拠と見られている。 恐竜の世界が目の前に広がってくるようだ。 はく亠のき はんえい 白亜紀。それはあの恐竜が繁栄し地上を闊歩していた時代だ。そのとき、イリジウムに富ん ついらく たいきけんやぶ だ直径一〇キロメートルの隕石が地球に接近、大気圏を破ってメキシコ付近に墜落した。ちょ くだ しよ、つとっ うど、木星に衝突したシューメーカー・レビー第九彗星とおなし大きさの隕石は、粉々に砕 ちり け、その塵は二万キロメートルの広さに広がり、地球全体をおおう。 くも かえ ちり 岩石でできた塵が舞う。たちまち、空は曇り、昼は夜になり、太陽の光も上空の塵に跳ね返 されて地上に届かない。暗い日が続く。暗いだけならがまんできるが、太陽の光が届かないと いうことはエネルギーが地表にこないということでもある。植物は太陽の光を失い、光合成が できないので次々と枯れていく 。植物を食べて生活をしていた恐竜もお腹を満たすものがない。 きよ、つり・ゅ、つ 太陽の光が弱くなれば、気温も下がる。昔、恐竜は変温動物といって、気温が下がれば体 温も下がると言われていた。もし恐竜が変温動物なら気温が下がると体温も下がり、動けなく 7 ) 9