太陽 - みる会図書館


検索対象: 二つの環境 : いのちは続いている
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1. 二つの環境 : いのちは続いている

も背を高くすることが絶対条件。もし、背を伸ばすのに時間がかかると他の木が先に大きく なって太陽の光にありつけない。そうすると、もう大きくもなれないので、隣の木には永久に 丿べンジはできない でも、与えられる太陽の光は弱い。背は高く大きくならなければならないし、太陽の光は弱 と第、 1 レゅ むじゅん この矛盾を木は特殊な体のしくみで解決した。 木の皮の少し内側に「形成層」という場所を作る細胞がある。毎年、春になったら形成層の さか 細胞は盛んに新しい細胞を作り、外側には皮になる細胞を、そして内側には木を支える細胞を 送り出す。形成層の外側に送り出された細胞はコルク層になり、数年後には形を変えて皮にな る。実は、木の皮は生きてはいない。誕生したときには生きていたが、木を外敵から守るため に姿を変えて〃皮みになるとき自分は死ぬ。そして防御の任務につくのである。 反対に形成層の内側に押し出された細胞は、生まれたその年だけ生きているが、次の年に形 成層が新しい細胞を作り始めると、ほとんどの細胞はその命を終わる。 外の皮になる細胞が死ぬのはわかるが、なぜ、木の内側に入った細胞まで死ぬのだろうか ? ヒ冂を高くするためには幹を太くしなければならない。も 木は背を高くしなけれはならない。ゴ じようけん ば、つぎよ さいば、つ 15 5

2. 二つの環境 : いのちは続いている

さいぼ、つ し幹を作る細胞がみんな生きていると、生活する ための水やエネルギーをそれだけ多く必要とする。 でも、太陽の光はそれはど強くなく、背の高い木 の中の細胞を生かしておくほどにはエネルギーを くれない 背は高くなりたい、 幹は太くしたい、でも栄養 は限られている。だから、体の中の生きている細 胞はできるだけ少なくする。みんな死んでもらっ て木を支える役割だけやってもらう。生きていれ ばエネルギーを使うからだ。 木の断面を見ると、年輪が見える。 一番外側から少し内側の形成層の細胞だけが、 生きている。その内側で白い色の部分は辺材とい かんし うが、はんのわすかな細胞 ( 監視細胞 ) だけが生 ; 辺材 形成層 木の形成層と外側 ( 皮 ) と内側の構造 外樹皮 コルク層

3. 二つの環境 : いのちは続いている

実に九六 % に達した。一二〇人の学校ではたった五人が生き残ったと同し。そして、多分、生 き残ったものもガリガリにやせ細って、酸素のほとんどなくなった世界で息を潜めていただろ くかえ このように、「酸素」一つをとっても地球はダイナミックなドラマを繰り返してきたが、な んと言っても酸素が増えて地球の上空に「オゾン層」ができたのは画期的だった。オゾン層は 大気中の酸素の増加とともに少しすっ厚くなり、すっかり地球をおおうようになった。そのお かげで地表には太陽からの有害な光が届かなくなった。 ・ : 太陽の光って有害 ? ・ 太陽の光はクリーンで健康に良いと思っている人は多いだろう。太陽はわたしたちに柔らか い光を与えてくれる。特に、冬の寒い日、ひなたで太陽の光にあたっていると、ばかばかと体 しん の芯まで暖めてくれる。それはなにもいらない、ただ幸せを感じる時だ。あの太陽の光を思い ふく 出すと、あの光の中に有害なものが含まれているとは考えられない。 今から一三〇年前、ドイツのヘルムホルッという大学者は「なぜ、太陽はあれほど光り輝い ているのに何十億年も燃え続けることができるのだろうか ? どうも、石炭や石油を燃やして ひそ やわ かがや

4. 二つの環境 : いのちは続いている

・節約して生きる 石油や石炭がなくなるというので太陽の光を利用して発電したり、お湯を沸かしたりする研 究が進んでいる。確かに、水力や風力に比べれば太陽の光を利用しても自然はあまりこまるこ とはなさそうである。でも、太陽の光を利用する前に、大昔から太陽の光だけで生活をしてい る生物、つまり「木」のことを少し勉強しておこう。 かり・ 植物は自分で生きていける。草食動物が草を食べ、肉食動物は狩をして飢えをしのぐのに、 植物は何も食べないでも生きる。しかも、植物は動かない。だから動物のように水が飲みたく なっても水辺に行くこともできない。時には激しい風が吹くこともある。少し移動すれば寒さ や風をよけることができても、それでも動かない。 お腹が減っても他の生物を殺さす、自分だけで生きるというのは大変だ。植物はそれを実行 している。動かすに生きている木のしくみはどうなっているのかフ ます太陽の光がエネルギー源なので、光を浴びなけれはいけない。そのためには隣の木より となり 132

5. 二つの環境 : いのちは続いている

しるよ、つには田 5 、んュいか・ : 」と疑問をもち、研究したがわからなかった。 げんしろ かくゆうこう 実は、太陽は「原子炉」だ。太陽は「水素爆弾」と同じ核融合反応が起こっている。だから 太陽の表面は六〇〇〇℃という高い温度になるし、ガンマ線や >< 線というような非常に危険な でんじは しがいせん 放射線や、紫外線などの有害な光 ( 正しくは電磁波という ) を出す。 かがや ヘルムホル 原子炉だから原子力が発見されなければ太陽がなぜ輝いているかはわからない ッより三〇年はど後の、キュリー夫人のラジウム発見まで待たなければならなかった。 ところで、太陽から出る「電磁波」のうち、ものすごく危険なガンマ線などは地球に届かな いが、紫外線は来る。そして、紫外線といっても波長によって三種類に分類されている。それ が紫外線、紫外線、 0 紫外線と言われているもので、このうちもっとも有害なのは一番波 長の短い 0 紫外線、そして次に紫外線だ。現在はまだ地球はオゾン層がおおっているので、 0 紫外線はオゾン層で吸収されて地表に来ない。紫外線もかなりオゾン層で吸収される。ま だ今は、オゾン層をくぐって地表まで来るのは << 紫外線と紫外線の一部ということになる。 だから安全だ。 昔は「日光浴しなさい ! 」と言われたものだ。紫外線は皮膚や全身の抵抗力を増やし、血 ひふ ていこ、つり , よノ、ふ

6. 二つの環境 : いのちは続いている

くなるこの境界からだけ出てくる。そして、この境界はカナダの恐竜の谷だけではなく、中国、 アフリカなどの世界のあらゆる場所から発見される。地球上をおおっているこの境界こそ恐竜 しよ、つこ 絶滅の原因となった隕石の衝突の物的証拠と見られている。 恐竜の世界が目の前に広がってくるようだ。 はく亠のき はんえい 白亜紀。それはあの恐竜が繁栄し地上を闊歩していた時代だ。そのとき、イリジウムに富ん ついらく たいきけんやぶ だ直径一〇キロメートルの隕石が地球に接近、大気圏を破ってメキシコ付近に墜落した。ちょ くだ しよ、つとっ うど、木星に衝突したシューメーカー・レビー第九彗星とおなし大きさの隕石は、粉々に砕 ちり け、その塵は二万キロメートルの広さに広がり、地球全体をおおう。 くも かえ ちり 岩石でできた塵が舞う。たちまち、空は曇り、昼は夜になり、太陽の光も上空の塵に跳ね返 されて地上に届かない。暗い日が続く。暗いだけならがまんできるが、太陽の光が届かないと いうことはエネルギーが地表にこないということでもある。植物は太陽の光を失い、光合成が できないので次々と枯れていく 。植物を食べて生活をしていた恐竜もお腹を満たすものがない。 きよ、つり・ゅ、つ 太陽の光が弱くなれば、気温も下がる。昔、恐竜は変温動物といって、気温が下がれば体 温も下がると言われていた。もし恐竜が変温動物なら気温が下がると体温も下がり、動けなく 7 ) 9

7. 二つの環境 : いのちは続いている

でも、木の生活と人間のそれがあまりにちがうので、人間がこのままの生活をしながら太陽 エネルギーを利用することができるのか疑問だからだ。木は自分の体を作っているはとんどの 細胞に死んでもらい、葉は最大限に拡げて太陽の光を受ける。ヒコーキで空から見ると木の葉 で地面がおおわれている。それほどの太陽の光をもらっても木は節約に節約をしなけれは生き ていけない。 それに対して人間はしたい放題、食べたい放題だ。寒ければがまんせすにストープをたき、 暑いと言ってはクーラーをかける。食べ物を半分残すこともある。そんな人間があれはどの節 約をしている植物をまねることができるのだろうか ? 木ばかりではない。多くの動物も最大 けんやく 限、倹約して生きている。 サケを調べてみよう。 サケはウナギなどと同しく、 川の上流で生まれ、少し大きくなったら川を下って海で育っ動 もど 物だ。太平洋を回遊して大人になり、子どもを産むまでに成長すると、またもとの川に戻って くる。サケがその人生の大半を海で育つのに、なぜ同し川に戻ってくるのか ? なぜ自分が生 まれた川ということがわかるのか ? なぜ同じ川に戻ってこなければいけないのか ? すべて、 さいば、つ 136

8. 二つの環境 : いのちは続いている

きねんひ 実物が残っていて、隕石の落下地点には記念碑も建てられている。 ぜひ 是非、見たいものだ。 実物は迫力がある。隕石を見ると、大きな隕石がそはに落下してビックリして顔を見合わせ うやうや おしよ、つ る江戸時代の人たち、さっそく大さわぎになって駆けつける近くの寺の和尚さん、そして恭し ふく くささげられた隕石を覗きこむお城のお殿様 : : : 連想は膨らんでい めずら しよ、つとっ わくせい ところで、地球のような惑星や月のような天体に隕石が衝突することは珍しくない。太陽 ちり ただよ や地球ができる前、宇宙にはガス雲が漂っていた。次第に、そのガス雲が成長し塵になり、集 おく まり始める。あるものは太陽を作り、あるものは地球、そして参加が遅れた塵は、大きくなっ た星の重力に弾き飛ばされるように宇宙のかなたに飛び去った。 この力を「スウイング・バイ効果」というが、太陽から一五兆キロメートルのかなたに集ま めいおうせい って、「彗星のふるさと」を作った。「オールトの雲」である。そして、それと冥王星の外側の ・ベルト」で彗星が誕生し、木星や地球、そして月に落下してくる 「エッジワース・カイハ いんせきつい と考えられている。月の表面のあの無数のあばた、「クレーター」と呼はれる凹凸が隕石の墜 らく 落のあとだと知ったとき、あまりに多い隕石のあとに驚く。こんなに多いのであれは、今でも はじ おお 1 ) 7

9. 二つの環境 : いのちは続いている

的に有名な『ネイチャー』という科学雑誌に、「成層圏に上昇したフルオロカーポンから放出 されたハロゲンがオゾン層を減少させる」という論文を発表した。 大さわぎになった。 成層圏のオゾン層がなくなると、太陽の有害紫外線が一気に地表にくる。それは「みんなが 皮膚ガンになる」とい、フことを意味していた。 そうなると、スプレーや冷蔵庫、エアコンなどに使っている「夢の化合物」、 0 O がダメ おこ だ ? それは大変なことだ。「なにを言うのだ ! そんなはずはない」と怒る人が出た。その 人たちはオゾン層のことを研究していたわけではない。その化合物を製造したり、売っていた 人たちだ。 新しいことに反対する人たちがいるのはいつものことだが、この場合はもう一つ、納得でき ないこともあった。 誰でも、成層圏のオゾン層が壊れて太陽の紫外線が直接、地表に達したら大変だということ はかい は知っている。でも、オゾン層というのははるか上空のことだ。そのオゾン層破壊の原因が、 そんな小さなものを使ったからといって地球が破壊する 朝、洗面所で使うスプレー ? ? ひふ おお だれ こわ しがいせん せいそうけん

10. 二つの環境 : いのちは続いている

じゃり いる。清流に飛び跳ねる魚、川辺の森、そして急流を流れ下る砂利、それらは川の持っ力で生 き、そこの自然を形作っている。そして彼らが生きているのは、かって海面を照らした太陽の 光のおかげだ。 そこに人間がダムを作り、その水力で発電するということは「魚、森、そして砂利」か利用 して来た太陽のエネルギーを横取りするということだ。ダムを作り発電をする人は別に魚から 横取りするつもりはないけれど、結果としてそうなる。 こうちょ、つかい ダムを作るときには自治体や電力会社が付近の住民を集めて公聴会というのを開くことが 多いが、下流に住む人ではなく「魚」を集めて公聴会を開いたらどうだろうか。魚にとっては 上流にダムを作られることは大変なことなので大勢の魚がその公聴会に出席するだろう。 魚のお母さんは立ち上がって、 そだざか 「私には二人の息子がいます。育ち盛りです。もしダムを作り水が流れてこなくなったら息 子は死にます。どうか、息子の命を助けてください。」 電力会社の人は答える。 えいきよう 「よく理解できます。確かにダムを作ると、あなたの息子さんには影響があるでしよう。で 118