さいき - みる会図書館


検索対象: 体のなか
15件見つかりました。

1. 体のなか

渭化誓で起きる病気 げんいん さいきんしようかかん しようかかん もともと消化管にはいない細菌が消化管に入りこむと、病気の原因になる しよくちゅうどく かいよう ことがあります。たとえば、食中毒や潰瘍などの病気が起きるおそれがあり ます。 どくそ どくそ はつねつ に、毒素を放出します。この毒素により、発熱、 げりおうと しよくちゅうどくしようじよう 下痢、嘔吐などの食中毒の症状があらわれます。 しよくちゅうどくげんいん さいきんおせん 食中毒とは、細菌に汚染された食べ物や飲み物 少し前までは、食中毒の原因は、ほとんどサルモ きん かんせん さいきん を、食べたり飲んだりすることで起きる病気です。 ネラ菌による感染でしたが、最近はリステリア菌 しよくちゅうどく きん 食中毒というと、サルモネラ症とチフスがよく知 やカンピロバクター菌などによる食中毒もふえて られていますが、このふたつは、おなじサルモネ います。 しよくちゅうどく さいきん きん ラ菌のなかまによって引き起こされます。サルモ そのほかにも、食中毒を起こす細菌がいます。 さいきんおせん しよくちゅうどく きん ネラ菌による食中毒は、この細菌に汚染された肉、 1996 年に、重い食中毒を引き起こす新しいタ きゅうにゆうたまこ だいちょうきん 牛乳、卵などを食べることによって起こります。 イプの大腸菌があらわれました。ふだん、わたし しゆるいいじようだいちょうきん さいきんちょうないしようか この細菌は腸内で消化され、死んでこわれるとき たちの腸のなかには 300 種類以上の大腸菌がす さいきんにんげん がい んでいますが、これらの細菌は人間には害をあた えません。しかし、イギリスのスコットランドで、 しほう げんいんきん しよくちゅうどく 食中毒により 21 人が死亡し、その原因菌をしら しんしゆだいちょうきんオー べたところ、新種の大腸菌 (O-1 57 ) だったの しよくちゅうどく しよくちゅうどく 食中毒 きん しよくちゅうどく しよう しよくちゅうどく ちょう , 0 、 0 の にんげんーい一ざいぼう △人間の胃細胞の表面につくピロリ菌。 あたたかい場所に放置された食べ物に きんだいはんしよく くつついたサルモネラ菌は大繁殖する。 きん ほうち

2. 体のなか

さいきん 細菌ってなに ? さいきん 細菌とは、とっても小さな生き物だ。細菌は 1 個の生きた細胞からなるが、ふつうは集まってふえ、 さいきん しゆるい さい おく 数十億個もの細菌からなるコロニー ( 集落 ) をつくる。コロニーには、種類のちがうたくさんの細 菌がふくまれていることが多い。 さいぼう こうそう さいほう かく 動物や植物の細胞のはあい、細胞のなかにさまざまな構造があり、とりわけ、大きな核をもつの さいきんさいほう かく とくちょう が特徴だ。いっぽう、細菌の細胞は小さくて、区画のはっきりした核ももたない。 さいほう さいきん きん この世に生まれたとき、あなた さいきんそんざい の体のなかに、まだ細菌は存在し さいきん ません。けれども、たちまち細菌 は体のなかに入ってきます。ロの こうきんこうか なかのだ液には抗菌効果があるの えきころ さいきん で、だ液に殺される細菌もいます。 びせいぶつ また、飲みこまれた微生物の多く は、胃のなかの強い酸によって死 んでしまいます。それでも生きぬ びせいぶつ いてなかまをふやす微生物もいま さいきん す。そのほとんどは細菌です。 びせいぶつ 歯についた微生物 びせいぶつ ロのなかにいる微生物の多く は、歯にくつついて生きています。 さいきん 歯には、たくさんの細菌がすみつ さいきん しこう いています。細菌は、歯垢とよば まく れるネパネパした膜をつくりま さいきん す。この膜は、細菌とだ液と食べ 物のかすでできています。 しこう 歯垢は、歯の表面をおおううす さん い まく 虫歯のできるまで しつあな エナメル質に穴があ エナメル質いて虫歯になる。 健康な歯 しつ まく い膜にすき、ませんが、そのなかに さいきん はぼう大な数の細菌がふくまれて います。そのうちもっとも多いの しゆるい きゅうきん は 2 種類のレンサ球菌で、ともに はいせつぶつ さん 排泄物として酸を出します。この さん 酸が、歯の表面のかたいエナメル しつ 質をじわじわととかすことで、虫 きそく 歯ができます。規則正しく歯をみ しこう がくことで、歯垢ができるのをと め、虫歯をふせぐことができます。 しこう 歯垢がたくさんつくのはこまり ますが、かといって、ロのなかか びせいぶつ らすべての微生物をなくしてしま えばよいともかきりません。ロの びせいぶつ がい なかにいる害のない微生物は、病 げんいん びせいぶつ 気の原因となる微生物の食べる物 や、すむ場所をかわりにつかい、 びせいぶつ これらの微生物がはびこらないよ うにしてくれるのです。そのうえ、 さいきん ロのなかにふだんからいる細菌 さいきんころ ぶっしつ は、ほかの細菌を殺す化学物質 さい をつくります。これは細 きん 菌がもともと自分を っているこ まもるためにや けっかてき とですが、結果的には、わたした ちの体をまもるたすけになってい ます。 しようかかん 消化管のひとつで、上は食道、下は しちょう いえきぶんびつ 十二指腸につながる。酸性の胃液を分泌 しようか して食べ物を消化する。 さん しけき すっぱくて刺激の強い物質。レモン 酸 すさんせい や酢は酸性。 きゅうきん じよう レンサ球菌 じゅず状につながる性質を きゅうきん もつ球菌。 しつ エナメル質 歯の表面をおおい、保護す そう るかたい層。 さいほう きほん 細胞 生き物を構成する基本となる単 さいばう 位。生き物には ] 個の細胞だけでできて なんおくさいまう いるものもいれば、何十億の細胞が集ま ってつくられているものもいる。 ▽歯の表面についた歯垢 ( 黄色 ) の拡大 さんせい ぶっしつ せいしつ こうせい かくだい しこう 写真 ( X200 ) 歯垢 ぞうげしつ 象牙質 さいきん ちりよう 治療をしないとさら に進行する。 歯垢のなかの細菌が さん しつ 出す酸がエナメル質 をとかしはじめる。

3. 体のなか

△長い「触」をのばして、 される。 しよくし ほうぎょ さいきん ほうじよう はつけっきんう はつけっき 0 う さいきんはかい 細菌 ( オレンジ色で棒状のもの ) を取りこもうとする白血球 ( X5882 ) 。白血球のなかに入った細菌は破壊 きずの卸システム れを十分に落とすことができず かききずなど ) のばあいは、よご れども、深いきず ( 爪によるひっ つめ はたいてい自然になおります。け しぜん そうこうでおおっておけば、きず として清潔にたもち、包帯やばん ほうたい せいけつ きずロのよごれをていねいにお 化膿したきずロ かのう 物質を出すものもいます。 ぶっしつ います。また、微生物を殺す化学 びせいぶつころ を「食べる」ことができるものも ます。白血球のなかには、微生物 びせいぶつ はつけっきゅう のできたところに大急きで集まり また、たくさんの白血球が、きず はつけっきゅう 生物の侵入をふせいでくれます。 せいぶつしんにゆう がかたまってかさぶたになり、微 します。きずができた部分の血液 けつえき きたら、体の防御システムが作動 ほうぎょ もしも切りきずやすりきずがで さいきん かんせん に、きずが細菌などに感染してし まうことがあります。そうなると、 かんせん はつけっきゅう 感染とたたかうために白血球がど んどん集まってきて、きずのまわ りが赤くはれてきます。また、き えきたい うみ ずから膿とよばれる黄色い液体が 出てくることもあります。うみの びせいぶつはつけっきゅう 正体は、死んだ微生物や白血球の ざんがい 残骸です。 びせいぶつ さいきん もしも細菌などの微生物が、き けつえき ず口から血液のなかに入りこむ いどう と、血流にのって移動し、体のほ かんせん かの場所で感染を引き起こすこと があります。 かんせん びせいぶつ 感染を引き起こす微生物 きずのなかに入ってくるのは、 すうしゆるい たいていのばあい、数種類のブド きゅうきん ひふ ウ球菌など、皮膚の表面にふだん びせいぶつ からいる微生物です。けれども、 ときには土のなかやそのほかの場 さいきん 所にいる細菌がきず口から入っ て、病気を引き起こすこともあり きんにく ます。たとえば筋肉がけいれんを はしようふう 起こす破傷風は、ふだんは土のな さいきんげんいん かにいる細菌が原因で起きる病気 はしようふう です。かって破傷風はおそろしい 病気でしたが、いまでは多くの国 よぼうせっしゅ ぐにで予防接種がおこなわれてい ます。それでも日本では、年間 かんせん 1 OO 人前後が感染しています。 かいせつ 用語解説 23 あらわれることがある。 するとのどの痛みや、呼吸困難の症状が すむ。このなかまのジフテリア菌に感染 きんかんせん 状の細菌 ) の一種。一部は人間の皮膚に じようさいきん にんげんひふ のさまざまなところに分布する桿菌 ( 棒 ぶんぶ かんきんほう コリネパクテリウム : 土中など、自然界 しぜんかい 化膿きす口から膿が出ること。 うみ かのう するはたらきをもつ。 血液に入ったウイルス、細菌などを破壊 はかい さいきん けつえき 白血球 . 血液のなかの細胞のひとつで、 はつけっき 0 うけつえき さいほう

4. 体のなか

/ わ ありがたくないお客さま わたしたちの体のなかには、も う少し大きな生き物もすみつくこ じようちゅう とがあります。条虫 ( サナダムシ ) こうちゅう きせいちゅう や鉤史などの寄生虫です。けれど も、先進国でくらす人びとが、こ きせいちゅうかんせん うした寄生虫に感染することはめ きせいちゅうかんせん ったにありません。寄生虫に感染 しても、病気になるとはかぎりま せんが、体のなかに細長い虫を飼 そうぞう っているなんて、想像しただけで ぞっとしますよね。 もっと小さな住人 きせいちゅう 寄生虫よりも、もっと小さい微 せいぶつ 生物のほうが、体のなかではずっ とよく見かける住人です。わたし びせいぶつ たちの体内にいる微生物のほとん にんげんこんちゅう さいきん どは「細菌」です。人間と昆虫が さい ずいぶんちがっているように、細 光学朝微靏よりも、 物 △電子顕微鏡は値段が高く、つかいかたもむずかしい。 しかし、 きんしゆるい かくだい かんさつ 菌も種類によって大きなちがいが 体をはるかに大きく拡大して観察できる。 にんげん さいきん あります。細菌のなかには、人間 にんげんがい しようかかん の消化管をすみかにし、人間にロ をあたえずに平和にくらすものも びせしつ しんこ 0 う げ戸試ハん かんせん 感染 . 病気の原因となる微生物が体内に侵入し、そのために病気の症状が起こること。 います。そうかと思うと、わたし けんびきよう びせいぶっさいきんげんせい しんきん 微生物 . 細菌、原生動物、真菌、ウイルスなどの、顕微鏡をとおしてしか観察できない たちの体内に入りこんで、病気を 小さな生き物。 さいきん 引き起こす細菌もいます。でもさ こうくう いんとう にゆうるい えいようきうしう くだ しようか しようかかん 消化管 : 食物を消化して栄養を吸収するための管。ほ乳類ではロ腔から咽頭・食道・ しようちょうだいちょうこうもん しちょう いわいなことに、わたしたちの体 胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門まで。 げんいん さいきんしん さんしよう 条虫 : 14 ページ参照 には、病気の原因になる細菌の侵 さんしよう こうち 0 う ぼうきょ にゆう 鉤虫 . ] 2 ページ参照 入をふせぐ、さまざまな防御シス きせいち 0 う 寄生虫 . ほかの生き物の体のなかや表面にすみつく生き物。その生き物から栄養をとる テムがそなわっているのです。 りえき が、かわりになんの利益もあたえない。 さいきん 細菌 ] 個の細胞だけからなる、とても小さな生き物。バクテリアともいう。 か せき しようじよう じようち 0 う えいよう さいまう けんびきよう 顕微鏡 わたしたちの身のまわりにひそむ生き物について、いまでは多くのことがわかっている。これは、 けんひきよう 科学者たちが顕微鏡をつかって研究してきたおかげだ。人の目では、 0.2 ミリメートルくらいの大き けんびきよう けんびきよう さのものしか見ることができないが、学校などでよくつかわれる顕微鏡 ( 光学顕微鏡 ) では、 O. 2 マ かんさつ イクロメートルまで見ることがてきる。だが、ウイルスのようにとても小さいものを観察するばあ けんひきよう けんびきよう せいのう い、科学者たちはもっと性能の高い電子顕微鏡を使用する。電子顕微鏡をつかうと、 O. 1 ナノメート かんさつ ルのものまて観察できる。

5. 体のなか

おかやまけん きん 命にかかわるおそろしい病気です です。おなじ年、日本でも岡山県 胃のなかにピロリ菌がいる人は ちりよう さい さかいし が、正しい治療を行えば、なおす たくさんいます。 50 歳をすきた での発生をはじめとして、堺市で よほう いじよう きんかんせん だいきほ ことができます。また、予防する の大規模な発生などがあり、全国 人の半数以上は、この菌に感染し きんがい かんせん ています。この菌の害をほとんど で 9451 人が感染し、 1 2 人が死 こともできます。 さいきん こうはんい 受けない人もいます。けれども、 亡しました。この細菌は、広範囲 いかいよう こうせいぶっしったいせい 人によっては、胃潰瘍や胃がんな の抗生物質に耐性をもつので、コ どの胃の病気にかかるおそれがあ ントロールするのはむずかしいこ こうせいぶっしっさいきんころ せいちょう 抗生物質細菌を殺したり、成長をとめ ります。 とがわかりました。 たりする薬。ウイルスには効かない。 ちょうえん いへきいうちがわ 腸炎ビブリオは、 1950 年に大 胃壁胃の内側のかべ。 さかふ ちゅうどく いねんえき ねんえき えきたい 水中にひそむ微生物 粘液ねばばした液体。胃の粘液は、 阪府で発生したシラス中毒のとき いさん し、へき げり きん 胃酸から胃壁をまもっている。 に見つかった菌で、人に下痢を引 コレラは、コレラ菌とよばれる びせいぶつ ゆうがい おせん 汚染 : 病気の原因となる微生物や、有害 さいきんげんいん しお き起こします。この菌は発育に塩 細菌が原因で起きる病気です。こ ぶっしつ 物質などによこされること。 ひつよう が必要なので、ふだんは海水中に の病気はヨーロッパ、北アメリカ、 しゅうしゆく けいれん筋肉がとっせん収縮して、コ しよくちゅう ちょうえん すんでいます。腸炎ビブリオ食中 日本などではまれですが、東南ア ントロールできなくなること。 どく ぎよかいるい しゅうかん ジア、アフリカ、南アメリカなど 毒は、魚介類を生で食べる慣を いじよう とくゆう では、いまでも毎年 IO 万人以上 もつ日本特有の病気と考えられて にんげん おせん かんせん が感染しています。人間は、汚染 いましたが、 1996 年に新しいタ ちょうえん イプの腸炎ビブリオが、世界的に された水や食べ物を飲んだり食べ さいきん そうか 流行しました。最近、日本で増加 たりすることによって、コレラに しよくちゅうどくそう かんせん しようじよう ちょうえん している腸炎ビブリオ食中毒の増 感染します。症状は、下痢やおう きん 吐、足のけいれんです。コレラは 加も、このタイプの菌がふえたこ げんいん とが原因です。 いかいよう 胃潰瘍 A19 世紀のロンドンの医師 ション・スノーは、コレ ヘリコバクター・ピロリ ( ピロ おせん ラが、汚染された水に さいきん リ菌 ) とよばれる細菌は、胃のな かんせん よって感染すること かで生きのこることができるだけ を最初に発見 ではありません。なんと胃でくら した。 きん しているのです ! ピロリ菌は、 じよう さいきん らせん状にねじれた弱い細菌です ( ヘリコとはらせん形の意味 ) 。こ きん の菌がどうやって、胃のなかの過 こくかんきよう 酷な環境を生きぬくことができる のでしよう ? いへきさん うちがわ 胃の内側は、胃壁を酸から保護 ねんえきまく するためにあつい粘液の膜でおお ねん われています。ピロリ菌はこの粘 し、へき えきまく 液の膜をとおりぬけ、胃壁にしが きん みついて生きのびます。ピロリ菌 こうそぶんびつ は、ウレアーゼという酵を分泌 して、自分のまわりの胃酸を中和 させてバリアをつくり、自分の体 をまもっています。 い ほう い かいせつ 用語解説 おお びせいぶつ きん きん きんにく げり か せいき きん い か い い きん

6. 体のなか

ウイルスってなに ? がいかくそとがわ しつ から ウイルスは、おもにタンバク質からなる外郭 ( 外側をつつんでいる殻 ) と、 DNA ( デオキシリボ かくさん かくさん アヨレエヌエー 核酸 ) あるいは RNA ( リボ核酸 ) のどちらかひとつからなる中身でできている。 さいほう いがい そうしよく ウイルスはほかの生き物の細胞のなか以外では、成長も増殖もてきない。ウイルスは、ほかの生 さいほうかんせん ディーエヌエー アールエヌエー さいほう き物の細胞のなかに自分の DNA あるいは RNA をすべりこませることて細胞に感染する。そして細胞 さいほうめいれい をのっとって、自分のコピーをつくるように細胞に命令する。できあがったコピーていつばいにな さいほうかん さいほうはれつ ると細胞は破裂し、数千イ箇のウイルスが外にとひだし、この新しいウイルスがまたべつの細胞に感 せん 染する。 ディーエヌエー さいほう さいきん 病気を起こす細菌 鼻とのどには、いつもたくさん しゆるいさいきん の種類の細菌がすんでいます。ブ きゅうきん きゅうきん ドウ球菌、レンサ球菌などです。 おう きゅうきん きゅうきん ブドウ球菌やレンサ球菌には、黄 きゅうきんようけっせい きゅうきん 色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌 しゆるい など、いろいろな種類があります。 さいきん けんこう これらの細菌は、健康なときには 悪さをしませんが、体調が悪いと きや、ほかの病気になったときな どに、活発にふえはじめ、病気を 引き起こすことがあります。 さいきん 細菌よりも小さいもの 鼻やのどには、ウイルスとよば びせいぶつ れる、もっと小さな微生物もすん けんこう でいます。健康な人の鼻やのどに も、ウイルスはすんでいます。ウ イルスがほかの生き物とちがう点 は、べつの生き物の細胞のなかで せいちょう しか、成長したり、ふえたりでき さんしよう ないところです ( コラムを参照 ) 。 しゆるい 鼻やのどには、さまざまな種類 のウイルスがすんでいます。アデ へんとう ノウイルスはおもに扁桃に、バラ そしき ミクソウイルスは鼻とのどの組織 のなかにいます。また、ライノウ イルスというとても小さなウイル スも、やはり鼻とのどにすんでい ます。 いご な気 しよく さいほう △アデノウイルスはのどので ふえ、かぜを引き起こす ( X167650 ) 。 かいせつ 用語解説 しゅようせし新ん しつ タンバク質 : 生き物の体をつくる主要な成分。 ぶっしつ いでんしこうせい D N A 遺伝子を構成する物質。 ぶっしつ いでんじようほう さいまう ディーエメ工ー R N A : 細胞のなかで D N A のもつ遺伝情報をつたえたり、実行したりする物質。 ティーエヌエー アールエヌエー

7. 体のなか

しんこく はいえん きゅうきんげんいん づきます。かっては深刻な病気で 肺炎レンサ球菌が原因で起こりま よほう きゅうきんせいいんとうえん したが、いまではこの病気を予防 す。これは、レンサ球菌性ロ因頭炎 げんいん さいきん きん するワクチンがあるので、日本で の原因となる菌とにた細菌です。 かんじやすう はいえん の患者数は少なくなっています また、いくつかのウイルスも肺炎 かんじゃ ( 数千人 ) 。しかし、世界中の患者 を引き起こします。 はいえん すう しようじよう 数は、毎年 2000 ~ 4000 万人も ほかにも、症状の軽い肺炎を引 びせいぶつ いて、そのうち 2 ~ 3 万人がなく き起こす微生物がいます。マイコ プラズマとよばれる、とても小さ なっています。そのやく 90 バー はってんとじようこく さいきん セントが発展途上国の子どもで くて、ちょっとかわった細菌です。 さいまうへき さいきん ふつう、細菌はじようぶな細胞壁 す。 けっかく がたけっかくきん をもっていますが、マイコプラズ 結核は、ヒト型結核菌という細 きん マには、うすくてやわらかい膜し 菌によって引き起こされます。最 しょはい 初は肺の病気からはじまって、体 かありません。 のほかの部分へとひろがることも ひやくにちぜきけっかく ねつ 百日咳と結核 あります。熱が出て、体重がヘり、 ひやくにちぜき けっかくちりよう はい せきがつづきます。結核を治療す 肺の病気には、ほかにも百日咳 けっかく る薬はすでに開発されましたが、 や結核などがあります。どちらも、 ひょう いりよう かんせん げんいん がたけかくきん けっかく △結核の原因となるヒト型核菌。 医療や薬に十分な費用をかけられ 感染した人がせきやくしゃみをし けっかく さいきん まず X25035 ) ない貧しい国ぐにでは、結核はあ たときに、細菌をふくむ小さなし しんこく ぶきが空気中にまきちらされるこ いかわらず深刻な問題となってい ひやくにちせき さいきん ます。また最近、日本でも大都市 とによってひろがります。百日咳 ひやくにちぜききん こうせいぶっしったいせい けっかくきん げんいん さい の原因は、百日咳菌とよばれる細 で抗生物質に耐性のある結核菌が 繊毛細胞の表面に見られる、運動性の きん きようちょう 菌です。けいれんをともなう、は ふえてきていて、問題となってい ある細くて短い毛。協調して動くことが きかんねんまく せきほっさ とくちょう にんザん 特徴で、人間の鼻や気管の粘膜の表面の げしい咳の発作が 4 ~ 6 週間もつ ます。 せんもう いぶつ 繊毛は異物をはきだすのにやくに立ち、 たんさいぼう ゾウリムシなどの単細胞生物の体表にあ せんもう いどう る繊毛は、移動するためにやくに立って いる。 けんいん めんえきりよく どくそ 免疫カ : 病原体や毒素など、病気の原因 はいじよ となるものを体から排除する力。 はいまうはいきかんし 肺胞 . 肺の気管支のはしにある小さなふ じようそしきはいほう くろ状の組織。肺胞のうすい膜をとおし けつえきちゅう さんか々ん さんそ て、空気中の酸素と、血液中のニ酸化炭 そこうかん 素が交換される。 そとがわ さいほうへき さいほうさいきん 細胞壁 : 植物細胞や細菌のもっとも外側 にあるじようぶな膜。 かんせんしようよぼう ワクチン : 感染症の予防に用いられる医 薬品。弱い病原体や、病原体の一部を体 こうたい 内に注入することにより、抗体をつくり、 いご 以後その病気にかかりにくくする。 さい さい まく かいせつ 用語解説 せんもうさいぼう まく まく く日本をふくむ多くの国ぐにで、赤ちゃ はしようふう んに、百日、ジフテリア、破傷風とい う 3 つの病気をまとめて予誘する漉合ワク チンが發与されている。 21

8. 体のなか

げんせい しゆるいそく 虫とよばれる原生動物の種類に属 げすい しています。ジアルジアは、下水 おせん で汚染された食べ物や水を口にす しようちょうかんせん ると、小腸に感染するおそれがあ かんせん ります。ジアルジアに感染すると、 げり 下痢を起こすことがよくありま す。 けつえきちゅう そのほか、血液中にすみ、吸血 昆虫によって運ばれる鞭毛虫もい ねったい ます。熱帯アフリカの重い病気で ねむ ある眠り病は、人をさすツェッェ バエによって人の体のなかにトリ べんもうちゅう にんげん はいすいしゆけつによう バノソーマという鞭毛虫が入るこ スは、人間の体のなかでは子ども 肺水腫、血尿、全身出血など、い げんいん さいあく とが原因で起きる病気です。トリ をつくることができませんが、カ ろいろな症状が出て、最悪のばあ バノソーマが全身にひろがると、 に血をすわれてカの体のなかに入 いは死んでしまいます。マラリア ないぞう せつ ちょうないじゅせい 内臓やリンバ節がはれあがった を引き起こすのは、マラリア原虫 ると、カの腸内で受精して、たく ずつうかんせつつう えき げんせい り、頭痛、関節痛などの症状が出 さんの子どもがカのだ液にたまり とよばれる原生動物です。この原 にんげん いしきしようがい たあと、意識障害を起こして、昼 ます。そして、この力が人間の血 虫はカの体内にいて、カが血をす にんげん ねむ ねむ にんげんけつえきちゅう をすうときに、ふたたび人間の体 間眠く、夜に眠れなくなります。 うときに、人間の血液中に入りこ ぶんれつ かんさいほう に入ります。こうして、この病気 さらにひどくなると、つねにもう み、数分間で肝細胞に入って分裂 じようたい ちりよう だんかい ろうとした状態になります。治療 のサイクルがくりかえされるので をはじめ、数千個になった段階で ね かんさいほう けつえきちゅう を行わないと、寝たきりになり、 肝細胞を破壊して血液中に入り、 す。 しほう せつけっきゅうかんせん 多くのばあい、死亡してしまいま おもに赤血球に感染します。そし せつけっきゅう て赤血球のなかでふえつづけ、赤 す。 さし』まう ふくざっ げんせい さいきん けっきゅう 原生動物・細菌よりも複雑で大きな細胞 血球がついにやぶれると、こんど たんさいほう そしき しんにゆう せつけっきゅう 組織をもつ単細胞生物。原虫ともいう。 マラリア はべつの赤血球をさがして侵入し さいぼう たんさいほう 単細胞 : ひとつの細胞。また、ひとつの じんるい マラリアは、人類をおそう、も ます。こうしてふえている原虫の さし一まう 細胞でなりたっていること。 しんこく っとも深刻な病気のひとつです。 なかに、オスとメスの区別のある 捕食動物 . ほかの動物をつかまえて食べ アフリカや南アジア、南アメリカ ものが出てきます。このオスとメ る動物。 おく ちいき などの暑い地域では、毎年数億人 がこの病気にかかり、そのうち マ赤血球からでてきたマラリア原虫 ( 黄色 ) 。 ()l 0040 ) いじよう 1 OO 万人以上が命をおとしてい かんせん ます。日本では、海外で感染し、 はっしよう ゆにゆう 日本に帰ってから発症する「輸入 マラリア」患者が、毎年 1 OO 名 ほどいます。マラリアになると、 こうねつ はげしい高熱が数時間つづいたあ ねつ さ・ と、いったん熱が下がりますが、 はつねつ 一定時間をおいて、また発熱しま ねつほっさ す。これを「熱発作」といい、こ ねつほっさ の熱発作のくりかえしが、マラリ とくゆうしようじよう ち ア特有の症状です。早い時期に治 のうしようじんしよう 療をはじめないと、脳症、腎症、 ちゅう ちいき かんせん マラリア感染のみられる地域 かんせん = マラリア感染の ちいき みられる地域 - かきられたリス クではあるがマ かんせん ラリア感染する ちいき 地域 マラリアのみら ちいき れない地域 *WHO lnte 「 nationalt 「 avel and health 2002 日本 きゅうけつ べんもうちゅう こんちゅう しようじよう しようじよう はかい かいせつ 用語解説 せつけっきゅう かんじゃ りよう

9. 体のなか

ビーぐん さいきん かにはビタミン B 群をつくる細菌 ビーぐん もいます。ビタミン B 群は、わた したちが食べ物をエネルギーに変 てつだ える手伝いをしてくれます。また しんけいせいじよう 神経を正常にはたらかせて、皮 ふもうはつ かんぞうけんこう 膚・毛髪・目・肝臓を健康にたも っためにも重要なやくめをはたし ます。 だいちょうきん △大腸のかべに集団でくつつく大腸菌。 4942 ) だいちょう ひつようぶっしつ に、大腸のなかにふだんからすん に必要な物質をつくる細菌もいま さいきん がい さいきん でいる細菌にも害はありません。 す。細菌はもともと自分のために ビタミン K をつくるのですが、細 しかも、なかにはやくに立つ細菌 もいます。たとえば、ビタミン K 菌が死ぬと、わたしたちの体がそ ケーきゅうしゅう りよう のビタミン K を吸収し、利用でき という、きず口からの出血をおさ けつえき ちょう えるために、血液がかたまるとき るようになります。また、腸のな を物は、ドにド △バクテロイテス。人の体にすんでいる びせいぶつ さいきん 微生物のなかで、もっとも多い細菌。う んちのなかの細菌の 80 パーセント以主か バクテロイデスのなかま。 ( X19585 ) じゅうよう だいちょう さいきん さいほう びせいふつ 細胞より多い微生物 さいぼう ちょうこ 人間の体は、 60 ~ 70 兆個もの小さな細胞が集まっててきてい だいちょう さいきん さいほう だいちょう る。たが大腸にいる細菌の数は、この細胞の数よりも多い。大腸 びせいふつ ちょうこ さいほう にすむ微生物はやく IOO 兆個。つまり、体せんたいの細胞の数よ びせいふつ はいしゆっ り多いのだ。多くの微生物はうんちにまざって体外に排出される。 かんそうしゅうりよう さいきん うんちの乾燥重量の 25 ~ 50 バーセントは細菌がしめている。 さいきん かいせつ 用語解説 しようか えしはうそぶんかい えしはうそきゅうしゅう 消化 : 食べた食べ物を栄養素に分解すること。体はその栄養素を吸収し、エネ丿レギーとしてつかうことができる。 しようちょう いだいちょう しようかかん えいようそきゅうしゅう 小腸・胃と大腸のあいだの細長い消化管。ここで食べ物からほとんどの栄養素が吸収される。 だいちょう しようかかんさいこ きゅうしゅう 大腸消化管の最後の部分。食べ物の残りかすは、ここで水分を吸収され、うんちになる。 けんきせいさんそ かんきよう けんきせいびせしつ 嫌気性 . 酸素がある環境では、生きていけないこと。嫌気性の微生物は空気がないところでも生きられる。

10. 体のなか

かぜをひくのは びせいぶつ かぜの原因となる微生物のひと つに、ライノウイルスとよばれる、 とても小さなウイルスがありま す。ライノウイルスにはたくさん しゆるい の種類があり、それぞれが、とき とつぜんへんい どき突然変異を起こすために、あ ぼうきょ なたの体の防御システムはだまさ げんいん れてしまいます。 さい かぜを予防するには よほう めの体のしくみなのです。 やのどから効率よく追いはらうた こうりつ みとせきと鼻水は、ウイルスを鼻 くしゃみや鼻水が出ます。くしや 化学物質を体が出すことにより、 ぶっしつ す。鼻のなかの粘液の量をふやす ねんえきりよう る体の反応が原因で起きるので はんのうげんいん ウイルスに感染したことにたいす かんせん むしろかぜの症状のほとんどは、 しようじよう 引き起こすわけではありません。 ずつけますが、かぜの症状を直接 しようじようちよくせつ かぜのウイルスは鼻の粘膜をき ねんまく べつの細胞に侵入します。 さいまうしんこゆう だし、そのウイルスたちがさらに たくさんの新しいウイルスをはき らせます。そして細胞が破裂して、 さいまうはれつ のっとって、自分のコピーをつく 胞のひとつに入りこむと、細胞を さいほう ライノウイルスが鼻のなかの細 さいきん いた さいきん かんせん 細菌による感染 へんとうえん 細菌も、のどの痛みや扁桃炎 さんしよう ( コラム参照 ) を引き起こします。 げんいん いた のどの痛みの原因となるのは、レ きゅうきん さいきん ンサ球菌とよばれる細菌です。そ いた のため、このようなのどの痛みは へんとうえん 扁桃炎 へんとう おくりようがわ きゅうきんせいいんとうえん 「レンサ球菌性咽頭炎」とよばれ ています。この病気にかかると、 いた のどがひどく痛みますが、医者に こうせいぶっしっちりよう かかれば、抗生物質で治療しても こうせいぶっしつ らえます。ただし、抗生物質はウ イルスには効きません。 手をあらおう マスクをしよう うがいをしよう へやかんき 部屋の換気をしよう 扁桃とは、のどの奥の両側にある、ピンク色をした丸いかたま した りのこと。鏡の前に立って口をあけ、舌を前につきだし「アー」 へんとう と声を出してみよう。扁桃が見えるはすだ。 びせいふつ へんとう びせいふつ 扁桃のやくめは、ロに入ってくる微生物をとらえて、微生物が へんとう 病気を引き起こすのをふせくこと。だが、ときには扁桃そのもの かんせん けっかへんとうえん が感染してしまい、その結果、扁桃炎になることもある。たいて いた いは、うがいをしたり、痛みどめの薬を飲んだり、のどを冷やし こうせいふっしつひつよう たりすれはなおるが、抗生物質が必要になるはあいもある。また、 へんとう しゅしゆっ ときには扁桃を切りとる手術をしなければならないこともある。 かがみ かんせん きのうきん き 0 うせいでんせんりよく かんせん △レンサ球菌に感染してはれている扁桃。 へんとう 19 消化器・呼吸器などの内壁にある組織。表面はつねに粘液でしめっている。 粘膜 そしき ねんえき なしき ねんまくしようかきこき 0 うき 突然変異 : 生き物の体に親と異なった形質があらわれ、それが子孫に遺伝する現象。 けいしつ げんしよう しそんいでん 気。かぜとにた症状だが、高熱、強い悪寒、全身の痛みなどが特徴。 いた とくちょう おかん こうねつ しようじよう インフルエンサ . インフルエンザウイルスの感染によって起こる急性で伝染力の強い病