人 - みる会図書館


検索対象: 体のなか
33件見つかりました。

1. 体のなか

おかやまけん きん 命にかかわるおそろしい病気です です。おなじ年、日本でも岡山県 胃のなかにピロリ菌がいる人は ちりよう さい さかいし が、正しい治療を行えば、なおす たくさんいます。 50 歳をすきた での発生をはじめとして、堺市で よほう いじよう きんかんせん だいきほ ことができます。また、予防する の大規模な発生などがあり、全国 人の半数以上は、この菌に感染し きんがい かんせん ています。この菌の害をほとんど で 9451 人が感染し、 1 2 人が死 こともできます。 さいきん こうはんい 受けない人もいます。けれども、 亡しました。この細菌は、広範囲 いかいよう こうせいぶっしったいせい 人によっては、胃潰瘍や胃がんな の抗生物質に耐性をもつので、コ どの胃の病気にかかるおそれがあ ントロールするのはむずかしいこ こうせいぶっしっさいきんころ せいちょう 抗生物質細菌を殺したり、成長をとめ ります。 とがわかりました。 たりする薬。ウイルスには効かない。 ちょうえん いへきいうちがわ 腸炎ビブリオは、 1950 年に大 胃壁胃の内側のかべ。 さかふ ちゅうどく いねんえき ねんえき えきたい 水中にひそむ微生物 粘液ねばばした液体。胃の粘液は、 阪府で発生したシラス中毒のとき いさん し、へき げり きん 胃酸から胃壁をまもっている。 に見つかった菌で、人に下痢を引 コレラは、コレラ菌とよばれる びせいぶつ ゆうがい おせん 汚染 : 病気の原因となる微生物や、有害 さいきんげんいん しお き起こします。この菌は発育に塩 細菌が原因で起きる病気です。こ ぶっしつ 物質などによこされること。 ひつよう が必要なので、ふだんは海水中に の病気はヨーロッパ、北アメリカ、 しゅうしゆく けいれん筋肉がとっせん収縮して、コ しよくちゅう ちょうえん すんでいます。腸炎ビブリオ食中 日本などではまれですが、東南ア ントロールできなくなること。 どく ぎよかいるい しゅうかん ジア、アフリカ、南アメリカなど 毒は、魚介類を生で食べる慣を いじよう とくゆう では、いまでも毎年 IO 万人以上 もつ日本特有の病気と考えられて にんげん おせん かんせん が感染しています。人間は、汚染 いましたが、 1996 年に新しいタ ちょうえん イプの腸炎ビブリオが、世界的に された水や食べ物を飲んだり食べ さいきん そうか 流行しました。最近、日本で増加 たりすることによって、コレラに しよくちゅうどくそう かんせん しようじよう ちょうえん している腸炎ビブリオ食中毒の増 感染します。症状は、下痢やおう きん 吐、足のけいれんです。コレラは 加も、このタイプの菌がふえたこ げんいん とが原因です。 いかいよう 胃潰瘍 A19 世紀のロンドンの医師 ション・スノーは、コレ ヘリコバクター・ピロリ ( ピロ おせん ラが、汚染された水に さいきん リ菌 ) とよばれる細菌は、胃のな かんせん よって感染すること かで生きのこることができるだけ を最初に発見 ではありません。なんと胃でくら した。 きん しているのです ! ピロリ菌は、 じよう さいきん らせん状にねじれた弱い細菌です ( ヘリコとはらせん形の意味 ) 。こ きん の菌がどうやって、胃のなかの過 こくかんきよう 酷な環境を生きぬくことができる のでしよう ? いへきさん うちがわ 胃の内側は、胃壁を酸から保護 ねんえきまく するためにあつい粘液の膜でおお ねん われています。ピロリ菌はこの粘 し、へき えきまく 液の膜をとおりぬけ、胃壁にしが きん みついて生きのびます。ピロリ菌 こうそぶんびつ は、ウレアーゼという酵を分泌 して、自分のまわりの胃酸を中和 させてバリアをつくり、自分の体 をまもっています。 い ほう い かいせつ 用語解説 おお びせいぶつ きん きん きんにく げり か せいき きん い か い い きん

2. 体のなか

体のなかに虫がいる ! か きせいちゅう あなたの飼っているイヌやネコに寄生虫はいませんか ? もしいたなら、 きせいちゅう くじよ 動物病院につれていって寄生虫を駆除してもらわなければなりません。ペッ きせいちゅうかんせん にんげん トほど多くはありませんが、人間も寄生虫に感染することがあります。人間 きせいちゅう しゆるい しようかい じようちゅうせんちゅう の寄生虫にはたくさんの種類があり、ここで紹介する条虫と線虫は、そのほ にんげん いちれい んの一例にすきません。 じようちゅうせんちゅう しゆるい きせいちゅう 条虫と線虫は、まったく種類のちがう寄生虫で す。もちろん、形はにていますがミミズともいっ かんけい かんせん さい関係ありません。感染のしかたも、食べる物 もちがいます。 せんちゅうるい こうちゅうかいちゅうべんちゅう はいちゅう 線虫類には、鉤虫、回虫、鞭虫、肺虫、胃虫、 しじようちゅう しゆるい 糸状虫など、たくさんの種類があります。大部分 せんちゅう の線虫は、川、海、土のなかなどでくらしていて、 きせい 生き物に寄生するものは、そのなかのほんの一部 きせい きせい にすきません。それでも、生き物に寄生する寄生 いちゅう ちゅう せんちゅうるい しゆるい 虫のうち、線虫類はいちばん種類が多いのです。 せんちゅうるい こうちゅう 線虫類のなかでも、鉤虫は、ペットのイヌやネコ きせいちゅう しゆるい にもっとも多い寄生虫です。種類によっては人に かんせん こうしゅうえいせいはったっ も感染しますが、公衆衛生が発達した先進国では、 かんせん 人への感染はめったに起きません。 にんぶえい 生まれたばかりの赤ちゃんや子ども、妊婦や栄 ようじようたい こうちゅうたいりようかんせん 養状態の悪い人が、鉤虫に大量に感染すると、重 い病気になるおそれがあります。 にんげん 人間の体内に入る こうちゅうたまこ 鉤虫の卵は土のなかでふ化して発育し、幼虫に ようちゅう せいちゅう せいちゅう そして腸のかべにしがみつくと、 ちょう され、こんどは消化管に入ります。 しようかかん くと、肺からせきによってはきだ はい 鉤虫の幼虫は、ほほ成虫に近づ こうちゅうようちゅう さらに成長します。 せいちょう にのって肺にたどりつき、そこで はい ねらせて血管に侵入すると、血流 けっかんしんにゆう んどです。小さな幼虫は、身をく ようちゅう 穴をあけて侵入するばあいがほと しんこゅう あな しで歩いている人の足の皮膚に ひふ 人間の体のなかに入るのは、はだ にんげん おりかかるのを待ちます。鉤虫か こうちゅう らゆらとゆすりながら、人間がと にんげん して地面から立ちあがり、体をゆ なります。幼虫はしっぽを支えに ようちゅう 赤くもりあがった発しんができる。 て動きまわるときに膚のなかをとおると、 く体内に入った鉤蚕の蛎虫が、血管をさがし けっかん こうちうよ - ちのう 12

3. 体のなか

しよう かんせん しゆくしゆけつえき たまこ ニサキス症といい、胃アニサキス に感染します。卵は小腸でふ化し 宿主の血液をすって、生きるため ぎよかいるい いどう せいちゅう ひつようえいよう 症のばあい、魚介類を生食後 4 ~ たあと、大腸に移動して成虫にな に必要な栄養をとります。まもな ようちえんほいくえん しゆくしゅ さんらん 8 時間で、はきけやおう吐をとも ります。学校や幼稚園、保育園な くして産卵すると、卵は宿主のう しゅうだん ない、上腹部にはげしい痛みを起 ど、集団生活をしている子どもに んちにまざって外に出されます。 げすいみしより こします。腸アニサキス症では、 多く発生しています。 国によっては、下水を未処理のま かんがい 生食後 1 2 時間 ~ 数日ほどして下 ま川に流し、その川の水を灌漑に ふくぶいた きよかいるい りよう 腹部が痛みだします。魚介類を生 利用するところもあります。その しゅうかん せんちゅうるい たまこ で食べる習慣のある日本では、毎 アニサキスも線虫類のなかま ばあい、卵が土のなかに入り、ま かんせん いっしゅ せいちゅう で、回虫の一種です。成虫はクジ 年 2000 人くらいの人が感染して たおなじサイクルがくりかえされ よう きせい ラやイルカなどの胃に寄生し、幼 います。 ます。 きせい 虫はサバ、アジ、イカなどに寄生 きせい しています。アニサキスが寄生し きよかいるい こうちゅう ている魚介類を生で食べると、幼 鉤虫が体のなかに入ると、まず よほう 病気やけがを予防し、寿命を いへきちょうへき ようちゅうしんにゆう 幼虫が侵入した部分がかゆくなり 虫が胃壁や腸壁に入りこんで、ア けんこう そうしん のばし、健康をまもり増進するために行 おとな し ) へき しようかかん てき ニサキス症を起こします。胃壁に ます。消化管に入ると、大人のは われる、社会的な活動のこと。 きせい きようきゅう あいは、少しからだの調子が悪い 寄生したばあいは胃アニサキス 灌漑 . 水田や畑に水を供給してうるおす きせい しようちょうへき こと。 症、腸壁に寄生したばあいは腸ア と感じるだけかもしれません。け れども、子ともや、栄養の不足し おとな ている大人のばあい、鉤虫によっ て重い病気にかかってしま うことがあります。 こうちゅう 鉤虫は薬をつか くじよ って駆除でき かんぜん ますが、完全 けんこうじようたい に健康な状態 にもどるため には、十分な 食事をとるこ とが重要です。 しようちょう しよう だいちょう たまこ じようふくぶ ちょう いた しよう アニサキス かいちゅう ちゅう こうちゅう えいきよう 鉤虫が体におよほす影響 公衆衛生 じゅみよう こうし 0 うえいせい ちゅう しよう かんがい ちょう ふそく えいよう こうちゅう こうち 0 う マ鉤虫 ( X495 ) は「歯」をつかって佰主の腸にしがみつく。 じゅうよう きようちゅう きようちゅう 蟯虫という名前を 耳にしたことがあると ぎようちゅうせん 思いますが、蟯虫も線 きせいちゅう ちゅうるい 虫類のなかまの寄生虫で だいちょうきせい きようちゅうせいちゅう す。蟯虫の成虫は人の大腸に寄生 きようちゅうかんせんしよう して、蟯虫感染症を起こします号 きようちゅう きせい 蟯虫に寄生されると、おしり ( 肛 もん 門のまわり ) がとてもかゆくなり、 しよくよく 落ち着きがなくなったり、食欲が きようちゅう なくなったりします。蟯虫は、夜、 こうもんそとがわたまこ 肛門の外側に卵を産みます。その たまこ 卵が下着や手について、べつの人 こ

4. 体のなか

のなかの薇生物 びせいぶつ けんこう 健康な人が呼吸をするとき、微生物はたいていのばあい、のどから奥へは びせいぶつはい 入りません。けれども、ときには微生物が肺に入りこんで、病気を引き起こ すことがあります。 おく びせいぶつ のどの奥に入った微生物はすべ きかん あつねんえき て、気管のかべをおおう厚い粘液 そう の層につかまります。そして、び せんもう っしりとはえた繊毛とよばれる細 きかん い毛によって、気管から運びださ れ、のどのなかに押しもどされま びせいぶつ す。その後、微生物は飲みこまれ さん ころ て、胃のなかの酸によって殺され ます。 けれども、体力が落ちていると めんえきりよく きや、免疫力の弱いお年寄りは、 びせいぶつお きかん 気管から微生物を押しもどしきれ びせいぶつ はい ず、肺のなかに微生物が入ってし まうことがあります。 い としよ はいえん 肺炎 びせいぶつはいかんせん 微生物が肺に感染して起きる病 はいえん 気のひとつに、肺炎があります。 はいほう えんしよう はいえん 肺炎は、肺胞の一部に炎症が起き たいへんかんせん る ( はれてふくらむ ) 大変な感染 症です。日本では、 1 年間に IO はいえんしほう 万人近くが肺炎で死亡していま はいえん しん しいん す。肺炎は、 3 大死因 ( がん、心 そうびようのうそっちゅう い 臓病、脳卒中 ) につぐ第 4 位の死 ほうげんいん 亡原因なのです。しかも、そのほ としよ さいいじよう とんどが 65 歳以上のお年寄りで こうれいか す。今後、高齢化社会が進行すれ そうか ば、さらにその数は増加すると考 はいえん えられています。肺炎になると、 こきゅうこんなん 呼吸困難、たんのからんだせき、 しようじよう はつねつ むねいた 発熱、寒け、胸の痛みなどの症状 があらわれます。 はいえん げんいん 肺炎には、さまざまな原因が考 はいえん えられます。ある種類の肺炎は、 しよう かんせん はいえんかんじやはい △肺炎患者の肺のレントゲン写真。感染した部分 ( 水色 ) で はいほう は、肺胞にうみがつまって肺がかたくなっている。 けっかくかんじゃ 結核患者数の推移 1 OOO すいい かんじゃ 〔人口 2 万人にたいしての患者数〕 1997 年 ぞうか 増加に転じる 1 985 1990 1 995 2000 1 965 1970 1975 1 980 〔年〕 けっかくはっせいどうこうらようさ こうせいろうどうしよう 平成 1 6 年度結核発生動向調査 * 厚生労働省 20

5. 体のなか

げんせい しゆるいそく 虫とよばれる原生動物の種類に属 げすい しています。ジアルジアは、下水 おせん で汚染された食べ物や水を口にす しようちょうかんせん ると、小腸に感染するおそれがあ かんせん ります。ジアルジアに感染すると、 げり 下痢を起こすことがよくありま す。 けつえきちゅう そのほか、血液中にすみ、吸血 昆虫によって運ばれる鞭毛虫もい ねったい ます。熱帯アフリカの重い病気で ねむ ある眠り病は、人をさすツェッェ バエによって人の体のなかにトリ べんもうちゅう にんげん はいすいしゆけつによう バノソーマという鞭毛虫が入るこ スは、人間の体のなかでは子ども 肺水腫、血尿、全身出血など、い げんいん さいあく とが原因で起きる病気です。トリ をつくることができませんが、カ ろいろな症状が出て、最悪のばあ バノソーマが全身にひろがると、 に血をすわれてカの体のなかに入 いは死んでしまいます。マラリア ないぞう せつ ちょうないじゅせい 内臓やリンバ節がはれあがった を引き起こすのは、マラリア原虫 ると、カの腸内で受精して、たく ずつうかんせつつう えき げんせい り、頭痛、関節痛などの症状が出 さんの子どもがカのだ液にたまり とよばれる原生動物です。この原 にんげん いしきしようがい たあと、意識障害を起こして、昼 ます。そして、この力が人間の血 虫はカの体内にいて、カが血をす にんげん ねむ ねむ にんげんけつえきちゅう をすうときに、ふたたび人間の体 間眠く、夜に眠れなくなります。 うときに、人間の血液中に入りこ ぶんれつ かんさいほう に入ります。こうして、この病気 さらにひどくなると、つねにもう み、数分間で肝細胞に入って分裂 じようたい ちりよう だんかい ろうとした状態になります。治療 のサイクルがくりかえされるので をはじめ、数千個になった段階で ね かんさいほう けつえきちゅう を行わないと、寝たきりになり、 肝細胞を破壊して血液中に入り、 す。 しほう せつけっきゅうかんせん 多くのばあい、死亡してしまいま おもに赤血球に感染します。そし せつけっきゅう て赤血球のなかでふえつづけ、赤 す。 さし』まう ふくざっ げんせい さいきん けっきゅう 原生動物・細菌よりも複雑で大きな細胞 血球がついにやぶれると、こんど たんさいほう そしき しんにゆう せつけっきゅう 組織をもつ単細胞生物。原虫ともいう。 マラリア はべつの赤血球をさがして侵入し さいぼう たんさいほう 単細胞 : ひとつの細胞。また、ひとつの じんるい マラリアは、人類をおそう、も ます。こうしてふえている原虫の さし一まう 細胞でなりたっていること。 しんこく っとも深刻な病気のひとつです。 なかに、オスとメスの区別のある 捕食動物 . ほかの動物をつかまえて食べ アフリカや南アジア、南アメリカ ものが出てきます。このオスとメ る動物。 おく ちいき などの暑い地域では、毎年数億人 がこの病気にかかり、そのうち マ赤血球からでてきたマラリア原虫 ( 黄色 ) 。 ()l 0040 ) いじよう 1 OO 万人以上が命をおとしてい かんせん ます。日本では、海外で感染し、 はっしよう ゆにゆう 日本に帰ってから発症する「輸入 マラリア」患者が、毎年 1 OO 名 ほどいます。マラリアになると、 こうねつ はげしい高熱が数時間つづいたあ ねつ さ・ と、いったん熱が下がりますが、 はつねつ 一定時間をおいて、また発熱しま ねつほっさ す。これを「熱発作」といい、こ ねつほっさ の熱発作のくりかえしが、マラリ とくゆうしようじよう ち ア特有の症状です。早い時期に治 のうしようじんしよう 療をはじめないと、脳症、腎症、 ちゅう ちいき かんせん マラリア感染のみられる地域 かんせん = マラリア感染の ちいき みられる地域 - かきられたリス クではあるがマ かんせん ラリア感染する ちいき 地域 マラリアのみら ちいき れない地域 *WHO lnte 「 nationalt 「 avel and health 2002 日本 きゅうけつ べんもうちゅう こんちゅう しようじよう しようじよう はかい かいせつ 用語解説 せつけっきゅう かんじゃ りよう

6. 体のなか

しんこく はいえん きゅうきんげんいん づきます。かっては深刻な病気で 肺炎レンサ球菌が原因で起こりま よほう きゅうきんせいいんとうえん したが、いまではこの病気を予防 す。これは、レンサ球菌性ロ因頭炎 げんいん さいきん きん するワクチンがあるので、日本で の原因となる菌とにた細菌です。 かんじやすう はいえん の患者数は少なくなっています また、いくつかのウイルスも肺炎 かんじゃ ( 数千人 ) 。しかし、世界中の患者 を引き起こします。 はいえん すう しようじよう 数は、毎年 2000 ~ 4000 万人も ほかにも、症状の軽い肺炎を引 びせいぶつ いて、そのうち 2 ~ 3 万人がなく き起こす微生物がいます。マイコ プラズマとよばれる、とても小さ なっています。そのやく 90 バー はってんとじようこく さいきん セントが発展途上国の子どもで くて、ちょっとかわった細菌です。 さいまうへき さいきん ふつう、細菌はじようぶな細胞壁 す。 けっかく がたけっかくきん をもっていますが、マイコプラズ 結核は、ヒト型結核菌という細 きん マには、うすくてやわらかい膜し 菌によって引き起こされます。最 しょはい 初は肺の病気からはじまって、体 かありません。 のほかの部分へとひろがることも ひやくにちぜきけっかく ねつ 百日咳と結核 あります。熱が出て、体重がヘり、 ひやくにちぜき けっかくちりよう はい せきがつづきます。結核を治療す 肺の病気には、ほかにも百日咳 けっかく る薬はすでに開発されましたが、 や結核などがあります。どちらも、 ひょう いりよう かんせん げんいん がたけかくきん けっかく △結核の原因となるヒト型核菌。 医療や薬に十分な費用をかけられ 感染した人がせきやくしゃみをし けっかく さいきん まず X25035 ) ない貧しい国ぐにでは、結核はあ たときに、細菌をふくむ小さなし しんこく ぶきが空気中にまきちらされるこ いかわらず深刻な問題となってい ひやくにちせき さいきん ます。また最近、日本でも大都市 とによってひろがります。百日咳 ひやくにちぜききん こうせいぶっしったいせい けっかくきん げんいん さい の原因は、百日咳菌とよばれる細 で抗生物質に耐性のある結核菌が 繊毛細胞の表面に見られる、運動性の きん きようちょう 菌です。けいれんをともなう、は ふえてきていて、問題となってい ある細くて短い毛。協調して動くことが きかんねんまく せきほっさ とくちょう にんザん 特徴で、人間の鼻や気管の粘膜の表面の げしい咳の発作が 4 ~ 6 週間もつ ます。 せんもう いぶつ 繊毛は異物をはきだすのにやくに立ち、 たんさいぼう ゾウリムシなどの単細胞生物の体表にあ せんもう いどう る繊毛は、移動するためにやくに立って いる。 けんいん めんえきりよく どくそ 免疫カ : 病原体や毒素など、病気の原因 はいじよ となるものを体から排除する力。 はいまうはいきかんし 肺胞 . 肺の気管支のはしにある小さなふ じようそしきはいほう くろ状の組織。肺胞のうすい膜をとおし けつえきちゅう さんか々ん さんそ て、空気中の酸素と、血液中のニ酸化炭 そこうかん 素が交換される。 そとがわ さいほうへき さいほうさいきん 細胞壁 : 植物細胞や細菌のもっとも外側 にあるじようぶな膜。 かんせんしようよぼう ワクチン : 感染症の予防に用いられる医 薬品。弱い病原体や、病原体の一部を体 こうたい 内に注入することにより、抗体をつくり、 いご 以後その病気にかかりにくくする。 さい さい まく かいせつ 用語解説 せんもうさいぼう まく まく く日本をふくむ多くの国ぐにで、赤ちゃ はしようふう んに、百日、ジフテリア、破傷風とい う 3 つの病気をまとめて予誘する漉合ワク チンが發与されている。 21

7. 体のなか

吸血動物が運ぶ病気 びせいぶつけつえき そとがわ ときには、微生物が血液のなかに直接注入されることで、体の外側のまも とつば きゅうけっこんちゅう りを突破してしまうこともあります。それが起きるのは、吸血昆虫などの動 物にさされたり、かまれたりしたばあいです。力やマダニやノミは、この方 ほう きゅうけつ 法で病気を運ぶ吸血動物です。 きゅうけっこんちゅう びせいぶつけつえき 力やブヨなどの吸血昆虫にさされた経験は、だ っしょに微生物も夜のなかに入りこみます。 れにでもあるでしよう。たいていはさされたとこ ろがはれて、かゆくなるだけで終わります。けれ こんちゅう げんいん きゅうけつ ども、ときにはさした昆虫の体内に、病気の原因 力は、吸血動物のなかでもいちばんたくさんの びせいぶつ びせいぶつけつえき いじよう となる微生物がいて、その微生物が血液のなかに 病気を運びます。毎年 1 OO 万人以上の死者を出 さんしよう そそきこまれてしまうこともあります。 すマラリア ( 27 ページ参照 ) も、カによって運 ねったい こんちゅう 気温の高い熱帯の国ぐにでは、昆虫によって運 ばれます。そのほかにも、カが運んでくる病気が ねつ ばれる病気が、とくに問題となっています。 あります。たとえば、ウ工ストナイル熱のウイル ひふ けつえき 吸血動物は、人の皮膚をさすとき、血液をかた スも、カによって運ばれます。これはインフルエ ぶっしつ はつねつ のう まりにくくする化学物質が入っているだ液を、き ンサとにた発熱を引き起こしますが、脳がはれる きゅうけつ のうえん しんこくしようじよう ず口にそそぎこみます。もしもこの吸血動物が病 ( 脳炎 ) などの、もっと深刻な症状が出ることも げんいん びせいぶつ えき 気の原因となる微生物をもっていれば、だ液とい あります。 にんげん マ人間の血をすう力。メスの力だけが血をすい、オスは花の蜜をすう。 ちよくせつ ほう けいけん きゅうけつ

8. 体のなか

腸にすむき大な業虫 じようちゅう こうちゅう 鉤虫の長さは、わずか 1 センチほどです。いっぽう、条虫は、はばは数ミ リメートルですが、全長 1 0 メートルに達することもあるのです ! この巨大 きせいちゅう せんちゅう な寄生虫は、線虫とはちがい、生き物に寄生しないと生きていけません。ふ せいちゅう つうは成虫のときだけ人の体内でくらし、幼虫はべつの宿主動物の体内です ゆうこうじようちゅう ようちゅうき ごします。たとえば、有鉤条虫は、ブタの体内で幼虫期をすごします。 せいちゅう 成虫になった条虫は、人間の腸のなかでくらしま せんちゅう きゅうしゅう しようか すが、線虫とちがって、消化された食べ物を吸収す えいよう じようちゅうかんせん ることで栄養をとります。人が条虫に感染するのは、 てきせつ おせん ほとんどのばあい、適切に調理されていない汚染食 げんいん 品を食べたことが原因です ( 調理するときに十分に びせいぶつ 火をとおせば、食品にふくまれる微生物はすべて死 めつ 滅します ) 。ただし先進国では、食品の安全にかんす ほうりつ はいじよ る法律によって、条虫はほとんど排除されています。 きょだい たっ きせい しゆくしゅ ようちゅう ちょう じようちゅう ゆうこうじようちうとうせつかくだい マ有鉤条の頭節の拡大写真 ( X74 ) 。 き 0 うばん かぎじよう 吸盤と、輪にならんだ鉤状の「」が 見える。 じようちゅう ゆうこうじようちゅう 有鉤条虫の一生 虫 よ - ちゅう 0 →◎ー、 ブタに 食べられる きんにく のうちゅう ブタの筋肉のなかで 嚢虫になる とうせつ 頭節 みじゅくへんせつ 未熟片節 ちうらん 土のなかの虫卵 うんちとして 排せつ 卵のつまった せいじ 0 くへんせつ 成熟片節 はい

9. 体のなか

△ベストの原因となるベスト菌。 るノミが、病気を運ぶことはめったにありません。 けれども、ノミがたまたま条虫を飲みこんで、人 げん 間にうつしてしまうことがあります ( 1 4 ページ さんしよう 参照 ) 。また、ノミはほかにもいくつかの病気を 運ぶことがあります。 きん ベストを引き起こすべスト菌は、ネズミに寄生 するノミによって運ばれます。この病気は過去の ものだと思われがちですが、アフリカやアジア、 南アメリカではいまでもときどき発生します。ペ ねつ ストにかかると、熱が出て体力が消耗し、わきの いた ちりようおく 下や首がはれて痛み、治療が遅れると、 40—90 しほう バーセントが死亡してしまいます。 げんいん きん じようちゅう マダニ きゅうけつ マダニは 8 本足の吸血動物で、クモとおなじな かまです。マダニにさされたことでうつる病気に は、ライム病があります。これは、ボレリアとよ さいきん ばれるらせん形の細菌が引き起こす病気です。ラ さいしょ イム病にかかると、最初にマダニにさされた場所 はんてん かんせつえんいた に大きな赤い斑点ができ、その後、関節炎 ( 痛み かんせつ をともなう関節のはれ ) が起きることもあります。 にんげん ペットに寄生して、たまに人間をさすこともあ きせい かこ しようもう きせい かいせつ 用語解説 はっしようれい 25 ねつ ウ工ストナイル熱 : アメリカ・カナダで毎年流行が起こり、アフリカ・ヨーロッパ・西アジアなどで発症例がある。日本ではまだ発生 は報告されていない。 ほうこく

10. 体のなか

渭化誓で起きる病気 げんいん さいきんしようかかん しようかかん もともと消化管にはいない細菌が消化管に入りこむと、病気の原因になる しよくちゅうどく かいよう ことがあります。たとえば、食中毒や潰瘍などの病気が起きるおそれがあり ます。 どくそ どくそ はつねつ に、毒素を放出します。この毒素により、発熱、 げりおうと しよくちゅうどくしようじよう 下痢、嘔吐などの食中毒の症状があらわれます。 しよくちゅうどくげんいん さいきんおせん 食中毒とは、細菌に汚染された食べ物や飲み物 少し前までは、食中毒の原因は、ほとんどサルモ きん かんせん さいきん を、食べたり飲んだりすることで起きる病気です。 ネラ菌による感染でしたが、最近はリステリア菌 しよくちゅうどく きん 食中毒というと、サルモネラ症とチフスがよく知 やカンピロバクター菌などによる食中毒もふえて られていますが、このふたつは、おなじサルモネ います。 しよくちゅうどく さいきん きん ラ菌のなかまによって引き起こされます。サルモ そのほかにも、食中毒を起こす細菌がいます。 さいきんおせん しよくちゅうどく きん ネラ菌による食中毒は、この細菌に汚染された肉、 1996 年に、重い食中毒を引き起こす新しいタ きゅうにゆうたまこ だいちょうきん 牛乳、卵などを食べることによって起こります。 イプの大腸菌があらわれました。ふだん、わたし しゆるいいじようだいちょうきん さいきんちょうないしようか この細菌は腸内で消化され、死んでこわれるとき たちの腸のなかには 300 種類以上の大腸菌がす さいきんにんげん がい んでいますが、これらの細菌は人間には害をあた えません。しかし、イギリスのスコットランドで、 しほう げんいんきん しよくちゅうどく 食中毒により 21 人が死亡し、その原因菌をしら しんしゆだいちょうきんオー べたところ、新種の大腸菌 (O-1 57 ) だったの しよくちゅうどく しよくちゅうどく 食中毒 きん しよくちゅうどく しよう しよくちゅうどく ちょう , 0 、 0 の にんげんーい一ざいぼう △人間の胃細胞の表面につくピロリ菌。 あたたかい場所に放置された食べ物に きんだいはんしよく くつついたサルモネラ菌は大繁殖する。 きん ほうち