おかやまけん きん 命にかかわるおそろしい病気です です。おなじ年、日本でも岡山県 胃のなかにピロリ菌がいる人は ちりよう さい さかいし が、正しい治療を行えば、なおす たくさんいます。 50 歳をすきた での発生をはじめとして、堺市で よほう いじよう きんかんせん だいきほ ことができます。また、予防する の大規模な発生などがあり、全国 人の半数以上は、この菌に感染し きんがい かんせん ています。この菌の害をほとんど で 9451 人が感染し、 1 2 人が死 こともできます。 さいきん こうはんい 受けない人もいます。けれども、 亡しました。この細菌は、広範囲 いかいよう こうせいぶっしったいせい 人によっては、胃潰瘍や胃がんな の抗生物質に耐性をもつので、コ どの胃の病気にかかるおそれがあ ントロールするのはむずかしいこ こうせいぶっしっさいきんころ せいちょう 抗生物質細菌を殺したり、成長をとめ ります。 とがわかりました。 たりする薬。ウイルスには効かない。 ちょうえん いへきいうちがわ 腸炎ビブリオは、 1950 年に大 胃壁胃の内側のかべ。 さかふ ちゅうどく いねんえき ねんえき えきたい 水中にひそむ微生物 粘液ねばばした液体。胃の粘液は、 阪府で発生したシラス中毒のとき いさん し、へき げり きん 胃酸から胃壁をまもっている。 に見つかった菌で、人に下痢を引 コレラは、コレラ菌とよばれる びせいぶつ ゆうがい おせん 汚染 : 病気の原因となる微生物や、有害 さいきんげんいん しお き起こします。この菌は発育に塩 細菌が原因で起きる病気です。こ ぶっしつ 物質などによこされること。 ひつよう が必要なので、ふだんは海水中に の病気はヨーロッパ、北アメリカ、 しゅうしゆく けいれん筋肉がとっせん収縮して、コ しよくちゅう ちょうえん すんでいます。腸炎ビブリオ食中 日本などではまれですが、東南ア ントロールできなくなること。 どく ぎよかいるい しゅうかん ジア、アフリカ、南アメリカなど 毒は、魚介類を生で食べる慣を いじよう とくゆう では、いまでも毎年 IO 万人以上 もつ日本特有の病気と考えられて にんげん おせん かんせん が感染しています。人間は、汚染 いましたが、 1996 年に新しいタ ちょうえん イプの腸炎ビブリオが、世界的に された水や食べ物を飲んだり食べ さいきん そうか 流行しました。最近、日本で増加 たりすることによって、コレラに しよくちゅうどくそう かんせん しようじよう ちょうえん している腸炎ビブリオ食中毒の増 感染します。症状は、下痢やおう きん 吐、足のけいれんです。コレラは 加も、このタイプの菌がふえたこ げんいん とが原因です。 いかいよう 胃潰瘍 A19 世紀のロンドンの医師 ション・スノーは、コレ ヘリコバクター・ピロリ ( ピロ おせん ラが、汚染された水に さいきん リ菌 ) とよばれる細菌は、胃のな かんせん よって感染すること かで生きのこることができるだけ を最初に発見 ではありません。なんと胃でくら した。 きん しているのです ! ピロリ菌は、 じよう さいきん らせん状にねじれた弱い細菌です ( ヘリコとはらせん形の意味 ) 。こ きん の菌がどうやって、胃のなかの過 こくかんきよう 酷な環境を生きぬくことができる のでしよう ? いへきさん うちがわ 胃の内側は、胃壁を酸から保護 ねんえきまく するためにあつい粘液の膜でおお ねん われています。ピロリ菌はこの粘 し、へき えきまく 液の膜をとおりぬけ、胃壁にしが きん みついて生きのびます。ピロリ菌 こうそぶんびつ は、ウレアーゼという酵を分泌 して、自分のまわりの胃酸を中和 させてバリアをつくり、自分の体 をまもっています。 い ほう い かいせつ 用語解説 おお びせいぶつ きん きん きんにく げり か せいき きん い か い い きん
渭化誓で起きる病気 げんいん さいきんしようかかん しようかかん もともと消化管にはいない細菌が消化管に入りこむと、病気の原因になる しよくちゅうどく かいよう ことがあります。たとえば、食中毒や潰瘍などの病気が起きるおそれがあり ます。 どくそ どくそ はつねつ に、毒素を放出します。この毒素により、発熱、 げりおうと しよくちゅうどくしようじよう 下痢、嘔吐などの食中毒の症状があらわれます。 しよくちゅうどくげんいん さいきんおせん 食中毒とは、細菌に汚染された食べ物や飲み物 少し前までは、食中毒の原因は、ほとんどサルモ きん かんせん さいきん を、食べたり飲んだりすることで起きる病気です。 ネラ菌による感染でしたが、最近はリステリア菌 しよくちゅうどく きん 食中毒というと、サルモネラ症とチフスがよく知 やカンピロバクター菌などによる食中毒もふえて られていますが、このふたつは、おなじサルモネ います。 しよくちゅうどく さいきん きん ラ菌のなかまによって引き起こされます。サルモ そのほかにも、食中毒を起こす細菌がいます。 さいきんおせん しよくちゅうどく きん ネラ菌による食中毒は、この細菌に汚染された肉、 1996 年に、重い食中毒を引き起こす新しいタ きゅうにゆうたまこ だいちょうきん 牛乳、卵などを食べることによって起こります。 イプの大腸菌があらわれました。ふだん、わたし しゆるいいじようだいちょうきん さいきんちょうないしようか この細菌は腸内で消化され、死んでこわれるとき たちの腸のなかには 300 種類以上の大腸菌がす さいきんにんげん がい んでいますが、これらの細菌は人間には害をあた えません。しかし、イギリスのスコットランドで、 しほう げんいんきん しよくちゅうどく 食中毒により 21 人が死亡し、その原因菌をしら しんしゆだいちょうきんオー べたところ、新種の大腸菌 (O-1 57 ) だったの しよくちゅうどく しよくちゅうどく 食中毒 きん しよくちゅうどく しよう しよくちゅうどく ちょう , 0 、 0 の にんげんーい一ざいぼう △人間の胃細胞の表面につくピロリ菌。 あたたかい場所に放置された食べ物に きんだいはんしよく くつついたサルモネラ菌は大繁殖する。 きん ほうち
はいすい 生活お冰 きん 寄生虫 5 , 1 2 きせいちゅう カンピロバクター菌 鉤虫 5 , 1 2 こうちゅう 抗生物質 1 1 , 1 9 こうせいぶっしつ 公衆衛生 1 2 , 1 3 こうしゅうえいせい 顕微鏡 4 , 5 けんびきよう 原生動物 26 , 27 げんせい 嫌気性 8 けんきせい 結核 21 けっかく けいれん 1 1 蟯虫 1 3 きようちゅう 吸血動物 24 きゅうけつ 偽足 26 きそく コリネパクテリウム さくいん 0 あ RNA 1 7 アデノウイルス 1 7 1 2 , 1 3 20, 21 22 , 23 アールエヌエ - 0 さ さいきん 細菌 5 , 7 , 8 , 1 0, 1 7 さいぼう 細胞 5 , 9 , 1 7 きん サルモネラ菌 しよう サルモネラ症 さん ジアルジア しこう 歯垢 7 しゆくしゅ 宿主動物 しようか 消化 5 しようかかん 消化管 4 , 5 , 8 , 1 0 じようちゅう 14 , 1 5 26 1 0 1 0 ジョン・スノー 食中毒 1 0 しよくちゅうどく 小腸 8 しようちょう 条虫 5 , 1 2 , 14 , 25 0 は はいえん 肺炎 20 はいえん きゅうきん 肺炎レンサ球菌 はいほう 肺胞 20, 21 はしようふう 破傷風 23 はつけっきゅう 白血球 23 21 アニサキス アメーバ い 胃 7 し、へき 1 3 26 胃壁 1 1 インフルエンザ 1 8 , 1 9 インフルエンザウイルス 1 8 ウイルス 1 7 ねつ ウ工ストナイル熱 24 , 25 しつ O- 1 57 1 0 エナメル質 7 ウレアーゼ 1 1 カ 24 0 か おせん 1 5 8 セルロース せんちゅう 線虫 せんもう 繊毛 だいちょう 大腸 8 1 2 たんさいまう バラミクソウイルス 17 びせいぶつ 微生物 4 , 5 , 9 , 1 6 , 20, 22 ビタミン K 9 ぐん ビタミン B 群 9 がたけっかくきん ヒト型結核菌 21 せき 百日咳 21 せききん 百日咳菌 21 きん ピロリ菌 1 1 きゅうきん ブドウ球菌 1 7 , 23 ブヨ 24 ベスト 25 ベスト菌 25 ヘリコバクター・ピロリ きん 回虫 かいよう 潰瘍 かぜ かそく 仮足 かのう 化膿 かんがい 灌漑 かんせん 印氿 ′、木 1 0 1 8 26 23 1 3 5 へんせつ 片節 へんとうえん 扁桃炎 べんもうちゅう 鞭毛虫 ほしよく 捕食動物 0 ま 1 5 1 9 26 26 , 27 1 0 単細胞 26 , 27 しつ タンバク質 チフス 1 0 ちょうえん 腸炎ビブリオ ツェッエバエ ディーエヌエー DNA 1 7 27 1 1 1 7 マイコプラズマ 21 マダニ 25 とうせつ 頭節 1 5 とつぜんへんい 突然変異 トリバノソーマ 1 9 27 0 な ねむ 眠り病 ねんえき 粘液 ねんまく 粘膜 のうえん 脳炎 のうちゅう 嚢虫 ノミ 27 1 1 1 9 24 1 5 25 マラリア 24 , 27 マラリア原虫 27 虫歯 7 めんえきりよく 免疫カ 20 0 やらわ 有鉤条虫 14 , 1 5 ライノウイルス 17 , 19 ライム病 25 きん リステリア菌 1 0 きゅうきん レンサ球菌 7 , 17 , 19 きゅうきんせいいんとうえん レンサ球菌性因頭炎 1 9 ワクチン 21 ゆうこうじようちゅう コレラ コレラ菌 30 きん 1 1 1 1
しんこく はいえん きゅうきんげんいん づきます。かっては深刻な病気で 肺炎レンサ球菌が原因で起こりま よほう きゅうきんせいいんとうえん したが、いまではこの病気を予防 す。これは、レンサ球菌性ロ因頭炎 げんいん さいきん きん するワクチンがあるので、日本で の原因となる菌とにた細菌です。 かんじやすう はいえん の患者数は少なくなっています また、いくつかのウイルスも肺炎 かんじゃ ( 数千人 ) 。しかし、世界中の患者 を引き起こします。 はいえん すう しようじよう 数は、毎年 2000 ~ 4000 万人も ほかにも、症状の軽い肺炎を引 びせいぶつ いて、そのうち 2 ~ 3 万人がなく き起こす微生物がいます。マイコ プラズマとよばれる、とても小さ なっています。そのやく 90 バー はってんとじようこく さいきん セントが発展途上国の子どもで くて、ちょっとかわった細菌です。 さいまうへき さいきん ふつう、細菌はじようぶな細胞壁 す。 けっかく がたけっかくきん をもっていますが、マイコプラズ 結核は、ヒト型結核菌という細 きん マには、うすくてやわらかい膜し 菌によって引き起こされます。最 しょはい 初は肺の病気からはじまって、体 かありません。 のほかの部分へとひろがることも ひやくにちぜきけっかく ねつ 百日咳と結核 あります。熱が出て、体重がヘり、 ひやくにちぜき けっかくちりよう はい せきがつづきます。結核を治療す 肺の病気には、ほかにも百日咳 けっかく る薬はすでに開発されましたが、 や結核などがあります。どちらも、 ひょう いりよう かんせん げんいん がたけかくきん けっかく △結核の原因となるヒト型核菌。 医療や薬に十分な費用をかけられ 感染した人がせきやくしゃみをし けっかく さいきん まず X25035 ) ない貧しい国ぐにでは、結核はあ たときに、細菌をふくむ小さなし しんこく ぶきが空気中にまきちらされるこ いかわらず深刻な問題となってい ひやくにちせき さいきん ます。また最近、日本でも大都市 とによってひろがります。百日咳 ひやくにちぜききん こうせいぶっしったいせい けっかくきん げんいん さい の原因は、百日咳菌とよばれる細 で抗生物質に耐性のある結核菌が 繊毛細胞の表面に見られる、運動性の きん きようちょう 菌です。けいれんをともなう、は ふえてきていて、問題となってい ある細くて短い毛。協調して動くことが きかんねんまく せきほっさ とくちょう にんザん 特徴で、人間の鼻や気管の粘膜の表面の げしい咳の発作が 4 ~ 6 週間もつ ます。 せんもう いぶつ 繊毛は異物をはきだすのにやくに立ち、 たんさいぼう ゾウリムシなどの単細胞生物の体表にあ せんもう いどう る繊毛は、移動するためにやくに立って いる。 けんいん めんえきりよく どくそ 免疫カ : 病原体や毒素など、病気の原因 はいじよ となるものを体から排除する力。 はいまうはいきかんし 肺胞 . 肺の気管支のはしにある小さなふ じようそしきはいほう くろ状の組織。肺胞のうすい膜をとおし けつえきちゅう さんか々ん さんそ て、空気中の酸素と、血液中のニ酸化炭 そこうかん 素が交換される。 そとがわ さいほうへき さいほうさいきん 細胞壁 : 植物細胞や細菌のもっとも外側 にあるじようぶな膜。 かんせんしようよぼう ワクチン : 感染症の予防に用いられる医 薬品。弱い病原体や、病原体の一部を体 こうたい 内に注入することにより、抗体をつくり、 いご 以後その病気にかかりにくくする。 さい さい まく かいせつ 用語解説 せんもうさいぼう まく まく く日本をふくむ多くの国ぐにで、赤ちゃ はしようふう んに、百日、ジフテリア、破傷風とい う 3 つの病気をまとめて予誘する漉合ワク チンが發与されている。 21
△ベストの原因となるベスト菌。 るノミが、病気を運ぶことはめったにありません。 けれども、ノミがたまたま条虫を飲みこんで、人 げん 間にうつしてしまうことがあります ( 1 4 ページ さんしよう 参照 ) 。また、ノミはほかにもいくつかの病気を 運ぶことがあります。 きん ベストを引き起こすべスト菌は、ネズミに寄生 するノミによって運ばれます。この病気は過去の ものだと思われがちですが、アフリカやアジア、 南アメリカではいまでもときどき発生します。ペ ねつ ストにかかると、熱が出て体力が消耗し、わきの いた ちりようおく 下や首がはれて痛み、治療が遅れると、 40—90 しほう バーセントが死亡してしまいます。 げんいん きん じようちゅう マダニ きゅうけつ マダニは 8 本足の吸血動物で、クモとおなじな かまです。マダニにさされたことでうつる病気に は、ライム病があります。これは、ボレリアとよ さいきん ばれるらせん形の細菌が引き起こす病気です。ラ さいしょ イム病にかかると、最初にマダニにさされた場所 はんてん かんせつえんいた に大きな赤い斑点ができ、その後、関節炎 ( 痛み かんせつ をともなう関節のはれ ) が起きることもあります。 にんげん ペットに寄生して、たまに人間をさすこともあ きせい かこ しようもう きせい かいせつ 用語解説 はっしようれい 25 ねつ ウ工ストナイル熱 : アメリカ・カナダで毎年流行が起こり、アフリカ・ヨーロッパ・西アジアなどで発症例がある。日本ではまだ発生 は報告されていない。 ほうこく
/ わ ありがたくないお客さま わたしたちの体のなかには、も う少し大きな生き物もすみつくこ じようちゅう とがあります。条虫 ( サナダムシ ) こうちゅう きせいちゅう や鉤史などの寄生虫です。けれど も、先進国でくらす人びとが、こ きせいちゅうかんせん うした寄生虫に感染することはめ きせいちゅうかんせん ったにありません。寄生虫に感染 しても、病気になるとはかぎりま せんが、体のなかに細長い虫を飼 そうぞう っているなんて、想像しただけで ぞっとしますよね。 もっと小さな住人 きせいちゅう 寄生虫よりも、もっと小さい微 せいぶつ 生物のほうが、体のなかではずっ とよく見かける住人です。わたし びせいぶつ たちの体内にいる微生物のほとん にんげんこんちゅう さいきん どは「細菌」です。人間と昆虫が さい ずいぶんちがっているように、細 光学朝微靏よりも、 物 △電子顕微鏡は値段が高く、つかいかたもむずかしい。 しかし、 きんしゆるい かくだい かんさつ 菌も種類によって大きなちがいが 体をはるかに大きく拡大して観察できる。 にんげん さいきん あります。細菌のなかには、人間 にんげんがい しようかかん の消化管をすみかにし、人間にロ をあたえずに平和にくらすものも びせしつ しんこ 0 う げ戸試ハん かんせん 感染 . 病気の原因となる微生物が体内に侵入し、そのために病気の症状が起こること。 います。そうかと思うと、わたし けんびきよう びせいぶっさいきんげんせい しんきん 微生物 . 細菌、原生動物、真菌、ウイルスなどの、顕微鏡をとおしてしか観察できない たちの体内に入りこんで、病気を 小さな生き物。 さいきん 引き起こす細菌もいます。でもさ こうくう いんとう にゆうるい えいようきうしう くだ しようか しようかかん 消化管 : 食物を消化して栄養を吸収するための管。ほ乳類ではロ腔から咽頭・食道・ しようちょうだいちょうこうもん しちょう いわいなことに、わたしたちの体 胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門まで。 げんいん さいきんしん さんしよう 条虫 : 14 ページ参照 には、病気の原因になる細菌の侵 さんしよう こうち 0 う ぼうきょ にゆう 鉤虫 . ] 2 ページ参照 入をふせぐ、さまざまな防御シス きせいち 0 う 寄生虫 . ほかの生き物の体のなかや表面にすみつく生き物。その生き物から栄養をとる テムがそなわっているのです。 りえき が、かわりになんの利益もあたえない。 さいきん 細菌 ] 個の細胞だけからなる、とても小さな生き物。バクテリアともいう。 か せき しようじよう じようち 0 う えいよう さいまう けんびきよう 顕微鏡 わたしたちの身のまわりにひそむ生き物について、いまでは多くのことがわかっている。これは、 けんひきよう 科学者たちが顕微鏡をつかって研究してきたおかげだ。人の目では、 0.2 ミリメートルくらいの大き けんびきよう けんびきよう さのものしか見ることができないが、学校などでよくつかわれる顕微鏡 ( 光学顕微鏡 ) では、 O. 2 マ かんさつ イクロメートルまで見ることがてきる。だが、ウイルスのようにとても小さいものを観察するばあ けんひきよう けんびきよう せいのう い、科学者たちはもっと性能の高い電子顕微鏡を使用する。電子顕微鏡をつかうと、 O. 1 ナノメート かんさつ ルのものまて観察できる。
さいきん 細菌ってなに ? さいきん 細菌とは、とっても小さな生き物だ。細菌は 1 個の生きた細胞からなるが、ふつうは集まってふえ、 さいきん しゆるい さい おく 数十億個もの細菌からなるコロニー ( 集落 ) をつくる。コロニーには、種類のちがうたくさんの細 菌がふくまれていることが多い。 さいぼう こうそう さいほう かく 動物や植物の細胞のはあい、細胞のなかにさまざまな構造があり、とりわけ、大きな核をもつの さいきんさいほう かく とくちょう が特徴だ。いっぽう、細菌の細胞は小さくて、区画のはっきりした核ももたない。 さいほう さいきん きん この世に生まれたとき、あなた さいきんそんざい の体のなかに、まだ細菌は存在し さいきん ません。けれども、たちまち細菌 は体のなかに入ってきます。ロの こうきんこうか なかのだ液には抗菌効果があるの えきころ さいきん で、だ液に殺される細菌もいます。 びせいぶつ また、飲みこまれた微生物の多く は、胃のなかの強い酸によって死 んでしまいます。それでも生きぬ びせいぶつ いてなかまをふやす微生物もいま さいきん す。そのほとんどは細菌です。 びせいぶつ 歯についた微生物 びせいぶつ ロのなかにいる微生物の多く は、歯にくつついて生きています。 さいきん 歯には、たくさんの細菌がすみつ さいきん しこう いています。細菌は、歯垢とよば まく れるネパネパした膜をつくりま さいきん す。この膜は、細菌とだ液と食べ 物のかすでできています。 しこう 歯垢は、歯の表面をおおううす さん い まく 虫歯のできるまで しつあな エナメル質に穴があ エナメル質いて虫歯になる。 健康な歯 しつ まく い膜にすき、ませんが、そのなかに さいきん はぼう大な数の細菌がふくまれて います。そのうちもっとも多いの しゆるい きゅうきん は 2 種類のレンサ球菌で、ともに はいせつぶつ さん 排泄物として酸を出します。この さん 酸が、歯の表面のかたいエナメル しつ 質をじわじわととかすことで、虫 きそく 歯ができます。規則正しく歯をみ しこう がくことで、歯垢ができるのをと め、虫歯をふせぐことができます。 しこう 歯垢がたくさんつくのはこまり ますが、かといって、ロのなかか びせいぶつ らすべての微生物をなくしてしま えばよいともかきりません。ロの びせいぶつ がい なかにいる害のない微生物は、病 げんいん びせいぶつ 気の原因となる微生物の食べる物 や、すむ場所をかわりにつかい、 びせいぶつ これらの微生物がはびこらないよ うにしてくれるのです。そのうえ、 さいきん ロのなかにふだんからいる細菌 さいきんころ ぶっしつ は、ほかの細菌を殺す化学物質 さい をつくります。これは細 きん 菌がもともと自分を っているこ まもるためにや けっかてき とですが、結果的には、わたした ちの体をまもるたすけになってい ます。 しようかかん 消化管のひとつで、上は食道、下は しちょう いえきぶんびつ 十二指腸につながる。酸性の胃液を分泌 しようか して食べ物を消化する。 さん しけき すっぱくて刺激の強い物質。レモン 酸 すさんせい や酢は酸性。 きゅうきん じよう レンサ球菌 じゅず状につながる性質を きゅうきん もつ球菌。 しつ エナメル質 歯の表面をおおい、保護す そう るかたい層。 さいほう きほん 細胞 生き物を構成する基本となる単 さいばう 位。生き物には ] 個の細胞だけでできて なんおくさいまう いるものもいれば、何十億の細胞が集ま ってつくられているものもいる。 ▽歯の表面についた歯垢 ( 黄色 ) の拡大 さんせい ぶっしつ せいしつ こうせい かくだい しこう 写真 ( X200 ) 歯垢 ぞうげしつ 象牙質 さいきん ちりよう 治療をしないとさら に進行する。 歯垢のなかの細菌が さん しつ 出す酸がエナメル質 をとかしはじめる。
近づいてよく見ると・・・ きん 体のなかに「ばい菌」が入ると、病気になることがあるのは知っています きん よね。だから、「ばい菌」が食べ物にくつつかないように、食事の前にはかな らず手をあらいます。切りきずやかすりきずをつくったときは、「ばい菌」に かんせん せいけつ 感染しないように、きずロのよごれをよく落として清潔にします。この「ば きん けんびきよう い菌」の正体は、小さすき、て顕微鏡がなければ見ることのできない「微生物」 とよばれる生き物です。 びせいぶつ びせいぶつ 微生物は病気を引き起こすこと けんこう もありますが、健康なときでも、 あなたの体のなかにひそんでいま す。それも、びつくりするほどた くさん ! あなたの体のなかにい びせいぶつ る微生物の数は、なんと、 1 OO ちょうこ 兆個にものぼり、地球上のすべて にんげん の人間の数よりも多いのです。し びせいぶつ かし、たいていの微生物には害か なく、それどころか、あきらかに やくに立っているものもいます。 びせいぶつ ほとんどの微生物は、鼻やロ、胃 しようかかん や腸などの消化管にすんでいます びせいぶつ が、ときには、これらの微生物か、 けつえき 血液などの体のほかの部分に入り こんで、病気を引き起こすことも あります。 がい い ちょう さつ エムア - ルアイじききようめいえいぞうほう >M R Ⅱ磁気共鳴映像法 ) で撮 えし、 だんめん 影した体の断面。レントケン 検葢や M 目はどの最新の技術 かんさつ をつかえば、体のなかを観察で ぎじ 0 つ きる。だが、こうした技術をつ かっても、わたしたちの体のな かにひそむ生き物たちを見るこ とはできない。
ビーぐん さいきん かにはビタミン B 群をつくる細菌 ビーぐん もいます。ビタミン B 群は、わた したちが食べ物をエネルギーに変 てつだ える手伝いをしてくれます。また しんけいせいじよう 神経を正常にはたらかせて、皮 ふもうはつ かんぞうけんこう 膚・毛髪・目・肝臓を健康にたも っためにも重要なやくめをはたし ます。 だいちょうきん △大腸のかべに集団でくつつく大腸菌。 4942 ) だいちょう ひつようぶっしつ に、大腸のなかにふだんからすん に必要な物質をつくる細菌もいま さいきん がい さいきん でいる細菌にも害はありません。 す。細菌はもともと自分のために ビタミン K をつくるのですが、細 しかも、なかにはやくに立つ細菌 もいます。たとえば、ビタミン K 菌が死ぬと、わたしたちの体がそ ケーきゅうしゅう りよう のビタミン K を吸収し、利用でき という、きず口からの出血をおさ けつえき ちょう えるために、血液がかたまるとき るようになります。また、腸のな を物は、ドにド △バクテロイテス。人の体にすんでいる びせいぶつ さいきん 微生物のなかで、もっとも多い細菌。う んちのなかの細菌の 80 パーセント以主か バクテロイデスのなかま。 ( X19585 ) じゅうよう だいちょう さいきん さいほう びせいふつ 細胞より多い微生物 さいぼう ちょうこ 人間の体は、 60 ~ 70 兆個もの小さな細胞が集まっててきてい だいちょう さいきん さいほう だいちょう る。たが大腸にいる細菌の数は、この細胞の数よりも多い。大腸 びせいふつ ちょうこ さいほう にすむ微生物はやく IOO 兆個。つまり、体せんたいの細胞の数よ びせいふつ はいしゆっ り多いのだ。多くの微生物はうんちにまざって体外に排出される。 かんそうしゅうりよう さいきん うんちの乾燥重量の 25 ~ 50 バーセントは細菌がしめている。 さいきん かいせつ 用語解説 しようか えしはうそぶんかい えしはうそきゅうしゅう 消化 : 食べた食べ物を栄養素に分解すること。体はその栄養素を吸収し、エネ丿レギーとしてつかうことができる。 しようちょう いだいちょう しようかかん えいようそきゅうしゅう 小腸・胃と大腸のあいだの細長い消化管。ここで食べ物からほとんどの栄養素が吸収される。 だいちょう しようかかんさいこ きゅうしゅう 大腸消化管の最後の部分。食べ物の残りかすは、ここで水分を吸収され、うんちになる。 けんきせいさんそ かんきよう けんきせいびせしつ 嫌気性 . 酸素がある環境では、生きていけないこと。嫌気性の微生物は空気がないところでも生きられる。
△長い「触」をのばして、 される。 しよくし ほうぎょ さいきん ほうじよう はつけっきんう はつけっき 0 う さいきんはかい 細菌 ( オレンジ色で棒状のもの ) を取りこもうとする白血球 ( X5882 ) 。白血球のなかに入った細菌は破壊 きずの卸システム れを十分に落とすことができず かききずなど ) のばあいは、よご れども、深いきず ( 爪によるひっ つめ はたいてい自然になおります。け しぜん そうこうでおおっておけば、きず として清潔にたもち、包帯やばん ほうたい せいけつ きずロのよごれをていねいにお 化膿したきずロ かのう 物質を出すものもいます。 ぶっしつ います。また、微生物を殺す化学 びせいぶつころ を「食べる」ことができるものも ます。白血球のなかには、微生物 びせいぶつ はつけっきゅう のできたところに大急きで集まり また、たくさんの白血球が、きず はつけっきゅう 生物の侵入をふせいでくれます。 せいぶつしんにゆう がかたまってかさぶたになり、微 します。きずができた部分の血液 けつえき きたら、体の防御システムが作動 ほうぎょ もしも切りきずやすりきずがで さいきん かんせん に、きずが細菌などに感染してし まうことがあります。そうなると、 かんせん はつけっきゅう 感染とたたかうために白血球がど んどん集まってきて、きずのまわ りが赤くはれてきます。また、き えきたい うみ ずから膿とよばれる黄色い液体が 出てくることもあります。うみの びせいぶつはつけっきゅう 正体は、死んだ微生物や白血球の ざんがい 残骸です。 びせいぶつ さいきん もしも細菌などの微生物が、き けつえき ず口から血液のなかに入りこむ いどう と、血流にのって移動し、体のほ かんせん かの場所で感染を引き起こすこと があります。 かんせん びせいぶつ 感染を引き起こす微生物 きずのなかに入ってくるのは、 すうしゆるい たいていのばあい、数種類のブド きゅうきん ひふ ウ球菌など、皮膚の表面にふだん びせいぶつ からいる微生物です。けれども、 ときには土のなかやそのほかの場 さいきん 所にいる細菌がきず口から入っ て、病気を引き起こすこともあり きんにく ます。たとえば筋肉がけいれんを はしようふう 起こす破傷風は、ふだんは土のな さいきんげんいん かにいる細菌が原因で起きる病気 はしようふう です。かって破傷風はおそろしい 病気でしたが、いまでは多くの国 よぼうせっしゅ ぐにで予防接種がおこなわれてい ます。それでも日本では、年間 かんせん 1 OO 人前後が感染しています。 かいせつ 用語解説 23 あらわれることがある。 するとのどの痛みや、呼吸困難の症状が すむ。このなかまのジフテリア菌に感染 きんかんせん 状の細菌 ) の一種。一部は人間の皮膚に じようさいきん にんげんひふ のさまざまなところに分布する桿菌 ( 棒 ぶんぶ かんきんほう コリネパクテリウム : 土中など、自然界 しぜんかい 化膿きす口から膿が出ること。 うみ かのう するはたらきをもつ。 血液に入ったウイルス、細菌などを破壊 はかい さいきん けつえき 白血球 . 血液のなかの細胞のひとつで、 はつけっき 0 うけつえき さいほう