高く、森林資源に恵まれた国の一つと言 える。我が国の豊富な森林による安定し た水の供給が、多くの人口の居住を可能 としているほか、急傾斜地の多い我が国 で山崩れなどの災害を防ぐ役割を果たし ているなど、我々に多くの恩恵をもたら している。しかし、人口が増加した現在、 我が国の一人当たりの森林面積 ( 9 ニ〇 診 ) は世界平均 ( 〇・七一診 ) よりも低い値 となっており、今後とも、我々の生活の 基盤を守るうえで森林の保全や適切な林 業経営を行っていく必要がある。 また、森林は野生生物の生息地として も重要であるが、我が国の森林は人間の 影響を受けた一一次林や植林地がほとんど で、自然状態を保った森林は国土の二〇 % に満たない。現在我が国ではイリオモ テヤマネコやシマフクロウのように絶滅 に瀕した生物種が少なくなく、これらの 保護を図るうえからも自然林をはじめと する森林の保全が必要であり、各種の開 発行為においても森林生態系への配慮が 不可欠である。
的な ZCO は、「自然保護債務スワップ」 ( Ⅷ頁 ) などの手法を用いて、熱帯林の保 全のための活動を世界各地で行っている。 森林原則声明の採択 たと などす要タベ問きてな採 各さ がるでぎ題いのい択ト 国あな広かと世もさ九 国れ 2 たル及際る機範総ぃ界のれ鬢 何 でさ的こ能な え的でた れなとの問曷 る倉あ桑で午 の、協、保題な。 畆る 求 原ま力開全で森そが るの原り森違原開 こ半最霖。 , ー 。をき府を組開林討は意る拘地 踏では這み発のさ、義は束頁球 まあ適、にか持れ森はじカサ える切な対重つる林大めのが ◎森林原則声明の概要 前 森林問題は環境と開発のすべての問題に関連し , 総合的に検討されるべきである。森林の多様 な機能の保全 , 持続可能な開発が重要である。各国は , 政府の適切なレベルでこの原則を追求す べきである。 Ⅱ原則 ・各国は自国の資源に主権を有するとともに責任を有する。 ・森林の機能 ( 生態系の維持 , 生物多様性の宝庫 , エネルギー資源 , 炭素の吸収源 , 雇用の創出な ど ) を発揮させるための保全及び持続的経営への努力が重要である。 ・森林の財とサービスの包括的な評価により森林資源の経営を行うべきであり , そのような評 価手法の開発が必要である。 ・森林面積と森林生産性を維持 , 増加するための努力を , 森林消失地における再造林などを通じ て行うべきである。 ・すべての国 , 特に先進国は世界の緑化の行動を起こすべきである。 ・途上国における森林の保全と持続可能な経営は , 国際的な資金的・技術的協力によって支援す べきである。 ・森林に関する正確な情報提供は , 一般の人々の理解と見識ある政策決定に不可欠である。 ・森林政策は , 先住民とその共同体の文化や社会的組織を維持するため適切に支援すべきであ る。また , 先住民 , NGO, 女性などの森林政策の策定 , 実施への参加を促進すべきである。 ・林産物の貿易は , 国際貿易法規及び諸慣行と合致すべきであり , 自由な国際貿易を促進するべ きである。また付加価値林産物に対するよりよい市場アクセスの促進と , 産品の地元における 加工を奨励すべきである。 ・森林に関する調査・研究及び国際的情報交換を強化すべきである。 ◎タイ北部チェンマイ地方の熱帯季節林地 帯では , 森林産業公社 ( 日 0 ) によってハ ード・ウッド , チークの育苗 , 植林がすす められている。 ( 写真提供 : 薄木三生 )
◎紙・紙板の 1 人当たり消費量及びリサイクル量 消費量 319 311 九・一一 % を、また広葉樹製材では八・四 % を我が国が輸入している (FAO 『 Yea 「 book FO 「 est P 「 oducts 1994 』 ) 。 このように我々の生活が世界の森林と 深いかかわりを有すること、また森林問 題が地球規模の問題であることを認識し、 300 247 204 ( キログラム / 年 ) 151 40 50 リサイクル率 29 20 35 3 27 25 貶中国 中南米 ノルウェー 日本 。カナダ , スウェーデン 米国 0 19 21 32 木材資源の有効利用を各方面で行ってい く必要がある。古紙のリサイクル利用も その一例である。我が国はリサイクル率 が五〇 % と世界最高水準にあるが、紙の 消費量自体も世界有数であり、今後もリ サイクル利用の一層の推進が必要と言え 注 : 消費量は 1988 年の数値。リサイクル量は廃棄された紙のうちリサイクルされた量で 1987 年の数値。 資料 : レスター・ R ・プラウン ( 加藤三郎訳 ) こ地球白書 1991 ー 92 」ダイヤモンド社 , 145 頁 より作成。 ◎主要国の森林率及び 1 人当たりの森林面積 森林率 1 人当たりの森林面積 国名 ( 森林面積 / 陸地 ) ( % ) (ha/ 人 ) フィンランド 日 南 米 米 国 アフリカ、、 13 市 中 0. 世 界 注 : 森林率の算出に用いられている陸地の面積は , 国土面積から主要な湖や川を除 いた面積である。 我が国の国土に占める森林の割合は約 六七 % であり、この値は世界的に見ても る。 我が国の森林 資料 : FAO CYearbook Production 1993. 「より作成。
文明が発生し人類の活動領域が拡大す るにつれて、木材の使用量や開拓地の面 積が拡大したことにより、世界の森林は 絶えず減少してきた。かってはうっそう としていたヨーロッパの森林も産業革人叩 以降急激に減少し、その多くが農地や居 住地へと変わっていった。ただ、これま で、このような大規模な森林の破壊が起 こったのは、高度な都市文明が成立し人 口増加の著しかった温帯の先進地域であ った。近年、問題となっているのは、熱帯推 地域に位置する開発途上国における急激積 な森林の減少や劣化である。世界で最後林 の に残された広大な自然生態系である熱帯 界 世 林の破壊が懸念されている。 g-v <O ( 国連食糧農業機関 ) が九〇の熱帯 森林の減少 減少しつつある森林 森林の減少 ◎ 林保有国を対象として行った調査による と、熱帯林は、一九八一年から九〇年の 間に毎年一五四〇万の割合で減少して いる ( I-L < 0 『森林資源評価一九九〇プロジェク トし。これは我が国の面積の約四割に当 たる広大な面積である。 101.1 0 8 7 ′′ 0 - う ) 先進地域 世界 100.3 99.4 ′ - , ′ 97.5 指 967 開発 、、 95 ・ 3 途上地域 数 、、 93.2 世界計 422.437 万 ha 先進地域 187.694 開発途上地域 234.743 1989 年 1979 1974 注 : 森林面積には自然林、人工林のほか植林予定の伐採跡地が 含まれている。 資料 : FAO CYea 「 book Productiom 1990 より作成 1984 過度な焼畑耕作 ( 伝統的な焼畑農民に加え、 人口増加により新たに参入した住民による影響 が大きい ) 、薪炭材の過剰採取、森林以外の 用途 ( 放牧地、農地など ) への転用、不適切な 商業伐採などが直接の原因と指摘されて いるが、こうした直接の原因の背景には、 開発途上国における貧困、急激な人口増 加などの問題がある。 熱帯林減少の直接の原因では、焼畑耕 作が全体の四五 % と最も高い割合を占め る。地域別に見ると、熱帯アメリカでは 焼畑耕作が三五 % を占め、過放牧がそれ に次ぐ。熱帯アフリカでは焼畑耕作が七 〇 % 以上を占める。熱帯アジアでは焼畑 耕作が四九 % を占め、そのほかに移住、 入植などがある (LL<0\DZLUæ『熱帯林資 熱帯林減少の原因 テーマ篇 Ⅸーく 1 〉 0 9 6 0 9 7
地 森林は、木材や工業原材料などの資源崩四← 山 2 を生産し、人類の生活を支えているが、 地 一」のような物質生産的機能以外にも様々 草 な機能を有している。 例えば、よく発達した森林の表層土壌地 跡 は落葉落枝などの有機物の蓄積や、それ 伐 らを食べる土壌動物などの働きによって、 地 林 空隙の多い土壌構造となっている。この ような土壌は水が土中に浸透しやすく、 広 降雨時にもほとんど地表流は起こらず、較地 比林 したがって土地の侵食も少ない。このこの樹 ~ 皀葉胸 とは山崩れや土石流などの災害を防止す針 浸均囲果 るほか、下流の河川の流量を安定させる態平範 調 ム月 の ことにつながる。また森林の内部や周囲態 では温度変化や強風が緩和され、森林の被れ 最 ( 存在しない土地に比べ、より穏やかな気◎ 森林の減少夸・▽ なぜ森林を守らなければならないのか 橆のタな屋北 160 15 ~ 289 191 22 ~ 193 出典 : 只木良也・吉良竜夫編「ヒトと森林』共立出版 , 197 頁 , 1982 年 ◎地被状態別の年侵食土量の比較 地被型荒廃地 年侵食土量 (mm/ 年 ) 注 : 日本での調査結果 地 裸 農耕地草地・林地 100 ~ 10 1 ~ 0.1 10 ~ 1 0 . 1 ~ 0 . 01 出典 : 只木良也・吉良竜夫編「ヒトと森林」共立出版 , 199 頁 , 1982 年 ◎熱帯林と温帯林の種の多様性の比較 一定面積に生えている樹木の個体数は両者とも同じくらいであるが , 樹木の種類はパソーの 熱帯多雨林のほうがはるかに多く , 種の多様性の高いことがわかる。 帯 林 帯 林 パソーの熱帯多雨林 ( マレーシア ) 春日山の照葉樹林 ( 奈良 ) 熱 テーマ篇 Ⅸーく 2 〉 0 9 8 調査面積 ( ha ) 個体数総計 400 種数総計 139 注 : 胸高直径 20cm 以上の樹木のみを扱っている。 資料 : 吉良竜夫「熱帯林の生態人文書院 , 1983 年より作成 455 28 0 9 9
象条件が形成される。 しかし、多様な森林の機能もひとたび 森林が破壊されると、その回復には長い 時間を要し、荒廃の激しい土地などでは 回復が困難な場合もある。フィリ。ヒンや、を バングラデシュなどで近年多発している 大規模な洪水の原因も森林の減少による ところが大きい 森林減少による地球的規模の影響 熱帯多雨林域の高温多湿な気候は、地 球上で最も種の多様性に富んだ生態系を 成立させており、地球上の生物種の半数 がそこに生息すると言われている。これ らの生物種の一部は「遺伝子資源」とし て、すでに農作物の品種改良や医薬品の 開発などに利用されているが、大部分の 生物種は、まだその性質が解明されてい ない。これらのなかには、将来、人間に大 きな利用価値をもたらす遺伝子資源が存 在していると考えられている。しかし現 在急速に進行している熱帯林の減少は、 ピ提 々 人 む 住 林 帯 熱 ◎ 多数の種の絶減につながり、現状のまま では今後三〇年間で熱帯林に生息する種 の五から一〇 % が絶滅するとの予測もあ る。これらは未知の可能性を持っ遺伝子 資源が地球上から永久的に失われてしま うことを意味する。 また熱帯林は、地球上の生きた植物の 現存量の五〇 % 強を占める巨大なハイオ マスであるが、近年の森林破壊によって バイオマス中に蓄えられていた炭素が大 気中に放出され、地球温暖化を加速して いる可能性がある。森林破壊による炭素 の放出量は約一七億トンから一一〇億トンと推 計されており、これは化石燃料の燃焼に よる放出量の三〇 % から四〇 % に当たる もので ( 霞が関地球温暖化問題研究会編訳『ー 0- oo 地球温暖化レポート 』一九九一年 ) 、温暖化 への影響が懸念される。さらに大規模な 熱帯林の破壊は、地表の熱収支や水収支 の激変により、気流や雨量の変化などグ ロ ー。ハルな気候変動をもたらす可能性が ある。 ◎熱帯林から採集された様々な野生のマンゴー ( 写真提供 : WWF Japan)
—当日ー目ー国 0 ご日 ロ生物多様性保全計画 ロ水産増養殖研究開発計画 ロ環境管理センター メキシコ ■ジャカルタ市大気汚染総合対策 ロ地震防災 ■東ヌサテンガラ州半乾燥地森林 ロ環境研究研修センター 復旧計画調査 ・大気汚染対策燃焼技術導入計画 グアテマラ 第ムシ川上流地域社会林業開発 ・ジャボタベック総合水管理計画 ・中部高原地下水開発計画 ■ウジュンパンダン環境衛生整備 ・グアテマラ首都圏下水道整備計 画 計画 ■バハ・ヴェラバス県森林管理計 0 メラピ火山及びスメル火山防災 事業 ( 2 ) 画 0 チタリック川流域保全林造成事 工丿レサ ) レ / ヾド丿レ ■グランデ・サンミゲル川流域治 業 水及び水資源開発計画 フィリピン ホンジュラス 第テゥパセンティ地域森林計画資 土壤研究開発センター 源管理計画 ■カビテ水供給計画 ■ヒ。ナッポ火山東部河川流域洪水 ・マナグア市廃棄物処理計画 及び泥流制御計画 ・地方主要都市衛生環境整備計画 ・北部バラワン持続可能型観光開 ノヾナマ 発計画調査 ・メトロマニラ上下水道総合計画 ロ森林保全技術開発計画 ベネズエラ ・地方水供給・下水・衛生セクタ ■ツイ川上・中流域環境改善計画 ー計画 〇地方都市水道整備事業 ( Ⅳ ) プラジル 〇ボラカイ島環境保全事業 ロ鉱山公害防止研究センター 〇ピナッポ火山災害緊急復旧事業 ロ産業廃棄物処理技術 〇産業公害防止支援政策金融事業 ロサンパウロ州森林・環境保全研 モンゴ丿レ 究計画 ロアマゾン森林研究計画 ロ環境研究研修センター ・ウランパートル市水供給計画 ■セレンケ県森林管理計画 ロセラード農業環境保全研究計画 ■パンコク都市環境改善計画 中国 ・石炭火力発電所環境評価 ロ水汚染・排水資源化研究センタ ・サンタカタリーナ州南部石炭公 ・チャンパサック及びサラワン県 地下水開発計画 害復旧計画 ・パラナ水資源利用計画 ・ヴィヴィエン地域森林保全流域 福建省林業技術開発 〇チェテ川流域環境改善事業 寧夏森林保護研究計画 管理計画 工クアドル カンポジア ロ国立養殖・海洋研究センター計 ・プノンペン市排水・下水整備計 ・柳州市大気汚染総合対策計画調 画フォローアップ 査及び広域酸性雨降下物モニタ 画 リング調査 ベトナム 〇リマーカヤオ上下水道整備事業 ・ドンナイ川流域水資源開発計画 ・徳興銅鉱山廃水水処理計画詳細 ハ / イ水環境改善事業 設計 ポリビア ・璃江水環境総合管理計画 ・地方地下水開発計画 マレーシア 有害化学物質評価分析・産業廃 ・眠江成都地区水環境総合管理計 パラグアイ 〇アスンシオン上水道整備計画 棄物処理 画 ■太湖水環境管理計画調査 チリ ■北サバ州マラックパラック地域 ■大連市環境モデル地区整備計画 ロ資源環境研修センター 林業開発 ロ鉱山鉱害防止技術アフターケア ■ムダ川流域総合管理計画 調査 〇西安上水道整備事業 ( 2 ) ロ半乾燥地治山緑化計画 プルネイ (D 韓国 ロ環境センター 林業研究計画アフターケア ■サンチアゴ首都圏産業廃棄物管 ロ水質改善システム開発 インドネシア @パプアニューギニア 産業公害防止技術訓練計画 理計画 ロ森林研究計画 ( 日 ) アルゼンチン 水道環境衛生センター ロエ業分野省エネルギー 林木育種計画 熱帯降雨林研究計画 ( Ⅲ ) ・ヴィティ・レヴ島北部地下水開 ■チャコ地域森林資源 ウルグアイ 南スマトラ森林造成計画アフタ 発計画 ロ材木育種計画 ・河川流域対策及び洪水制御計画 トンガ ロ砂防技術センター 開発途上国等の公害△・・ 0 O ニカラグア ラオス 3 〇 3 ロ テーマ篇 刈ーく 5 〉 3 ロロロロロロ
森林の減少▽ ◎日本の自然植生 森林を含む我が国の自然植生は国土面積 の 19.3 % にすぎない。 このうち 58.7 % が北海道に分布している。 出典 : 環境庁。 ' 第 3 回自然環境保全基礎調査 植生調査報告書』 9 ~ 10 頁 , 1988 年 テーマ篇 Ⅸーく 4 〉
酸性雨△ 2 ▽ どのような影響 ' 被害が生じているのか 「酸性雨 (acid 「 a ゴ ) 」という用語は、イギ に痛みを感じたという出来事もある。 リスの科学者ロバ ート・スミスが一八七 次に世界各地の被害状況を紹介する。 一一年に初めて使用した。 湖沼への影響 この酸性雨による影響は、今日、ヨー ロツ。ハを始め北米、中国、東南アジアな ど先進工業国を中心に世界的に発生して おり、国際的な問題となっている。 酸性雨は、湖沼のの低下を招き、湖 底から有害な金属を溶出させ、魚を死減 させるなど湖沼の生態系を破壊し、湖沼 を「死の湖」と化している。また、森林に 降った酸性雨は、葉の代謝を妨げたり土 壌を酸性化したりして、樹木の成長を抑 え、枯死させると言われている。さらに、 酸によって腐食してしまう大理石や金属 などで造られているビル、住宅、橋など の建造物への影響も考えられ、特に、歴 史的な遺跡や石像などが被害を受けてい るという報告や、酸性雨により目や皮膚 ヨーロツ。ハや北米では、酸性雨により 湖沼の酸性化が進んでいる。スウェーデ ンでは、八万五〇〇〇ある湖沼のうち一一 万一五〇〇の湖沼が酸性雨による影響を 受けており、一万の湖沼は既に酸性化し、 そのうち九〇〇〇の湖沼では魚類の生息 に悪影響が出ている。また、ノルウェ では、一三〇〇平方キロの地域で魚がい なくなり、さらに同国南部の二〇〇〇平 方キロの地域で魚類の生息が脅かされて いる。また、カナダでは、四〇〇〇の湖沼 が死の湖と化し、サケが住んでいた河川 でもサケの姿が見られなくなっている。 米国では、ニューヨーク州アジロンダッ 森林被害は、酸性雨に加えて、硫黄酸 化物、窒素酸化物、オゾンなどの大気汚 染物質、病虫害など様々な要因が複合的 に作用して発生していると考えられてい る。森林への影響は、ドイツのシ二ハル ツ、、ハルト ( 黒い森 ) などヨーロッパや北米 に多い。酸性汚染物質が直接森林に影響 を与えている典型的な例として、「黒い三 角地帯」で知られるチェコ西北部、ポーラ ク山を中心に約一三〇の湖沼が酸性化し、 カリフォルニア州、米国北西部及びロッ キー山脈地帯の一万四〇〇の湖沼のうち 三分の一一以上は酸性化するおそれがある といわれている。また、日本にも、酸性雨 の影響を受けやすいと考えられる湖沼が ある。 森林への影響 テーマ篇 V ーく 2 〉 0 6 2 0 6 3
減少している熱帯林の保全と持続的な 林業経営の確立を図るため、様々なレベ ルで国際的な取組みが進められている。 一九八五年、は熱帯林の適正な 開発と保全を図るため、熱帯林行動計画 を採択した。この計画は、①土地利用に おける林業、②林産業の開発、③燃料と エネルギー、④熱帯林生態系の保全、⑤ 制度・機関の分野について国際的な行動 指針を示したもので、現在八五の開発途 上国において、熱帯林行動計画による取 組みが進められている。また、八六年に 横浜に本部が設置された—eeo ( 国際熱 帯木材機関頁 ) は、熱帯木材貿易の安定 的拡大のみならず、生態系維持の観点を 含む森林の保全・開発を推進するため、森 森林の減少 国際的な取組み 熱帯林保全への取組み 林の管理・保育などに関するプロジェク トを実施しているほか、西暦二〇〇〇年 を目標に、持続的管理が行われている森 林から生産された木材のみを貿易の対象 とするとの方向を打ち出している。 我が国は、これらの国際機関の活動に 協力しているほか、林業分野を中心とし た二国間協力を実施しており、これまで、 ◎西アフリカ , カメルーンの熱帯雨 林地帯のムパルマヨ森林保護地域 において , 英国海外開発庁 (ODA) の援助ですすめられる熱帯林再生 プロジェクト ( 写真提供 : 薄木三生 ) 東南アジア、大洋州、アフリカ、中南米の 開発途上国を対象に森林管理や造林技術 の開発などの協力事業を実施し、一定の 成果をあげてきているが、今後、より一 層幅の広い貢献が求められている。 また、 ( 世界自然保護基金、頁 ) 、ネ イチャー・コンサー、、ハンシー 、コンサべー ション・インターナショナルなどの国際 テーマ篇 Ⅸーく 3 〉 1 0 0