車いすをおくると、みんなとてもよろこんでくれまし た。生まれてから 1 0 年間、家から外へ出たことのな かった男の子は、自由がきく左手でじようずに車いす を動かし、外を走りました。生まれつき足のない 15 歳 の少年は、じようぶなうでですぐに車いすを乗りこなし かれ ました。彼が車いすで小道を進んでいくと、近所の人 もみんな大よろこびです。近所の人がこんなにいっ しょによろこんでくれるなんてこと、今の日本にあるか なあ、と思いました。 わたしたちは、ベトナムのまずしい子どもたちを救 おうと活動しているので帋か今度の旅では、ベトナ ムの子どもたちから元気をもらいました。日本の子ど せつきよくてき もたちよりもベトナムの子どもたちのほうが、積極的 になにかをやろうとしていることにも気がつきました。 やまみちお 小山道夫さんはこう話してくださいました。、 しえん 「ベトナムの『子どもの家を支援する活動は、べ トナムの子どもたちを助けると同時に、日本をもう一 度見なおすことにつながります。日本はほんとうに先 進文明国なのでしようか。人間を大切にするというこ とを、ベトナムの子どもたちとのふれあいのなかで考 えてみてください。」 またベトナムをたずねたい。ベトナムの「子どもの 家」を支える会の活動を通して、ベトナムとつながっ ていきたい。そして、日本のことも見つめなおしていき たい、と思いました。 ささ 25
せい 本正寸に対し、「すべての子どもたちが、と は、子ども自身が子どもの声を集めてとどけ せいど さんか ようと、「子どもの声を国連に届ける会」が りけ学校制度の中において、その参加の け こうし こんなんとく せつりっそうかい オ利を行使する際に直面している困難に特 2001 年夏の設立総会に つくられました。 けねん きようそうてき リの懸念を表明する。」「高度に競争的な は、全国から 50 人の子ども・若者たちが集 教育制度によるストレスにさらされ、かっそ まりました。ふとしたことでこの会を知り参 こうそく の結果として余暇、身体的活動及び休息を 加してきた中学生から大学生まで、校則の じゅけんたいばっ かんけい 欠くにいたっており、子どもが発達のゆがみ と禹験体罰、おとなと子どもの関係な ぎもん をきたしていることを懸念する。」などの、最 ど、自分のもっている疑問や思いを言葉に しゅうしよけん 終所見を出しました。しかし、 2001 年 11 月 し、他の人の意見にも耳をかたむけます。そ ほうこくしょ に出された第ニ回政府報告書は、この所見 んな場をかさね、たくさんの子どもの生の声 しんさ を無視したものになっています。 をリアルに国連にもっていきたいと、審査が しみん そこでふたたび、市民と N G 0 の手で報 行われる 2004 年 1 月に向けて活動をして 告書をつくるとりくみがはじまりました。今回 います。 とど こくれん わかもの さん およ はったっ けっか か か
わをかものメ さん か る若者た ビースウォークに参 しぶや 「アメリカでのテロ事件とそれにつ 日曜日の渋谷の街。 ほうふくせんそう 歩 報復戦争。こんなことがゆるされてい 若者を中心とした列が進みます。 一歩を平和のために歩む“ピース のか ? こんなことをやめさせるたに オー なにか自分にできることはなだろう ク”です。 2001 年 9 月 1 1 日に ーユー じけん か ? 」 ヨークで起きたテロ事件をきっかナとして はじまった、ピースウォー プラカードをもった、平和をのぞむこと を示す黄色ポンをつけたり、風船や 花たばをつたりと、それぞれ自分で考え ひょうげん ほうほう た方法で、平和に対する気持ちを表現 してしす。 さんか まじめてこういった活動に参加したと いう人もたくさんいます。 わかもの Y え′
人は争いをやめることができるのか ? 平和をつくるとはどんなことなのか ? 心の問題から戦争の歴史や平和の活動、憲法まで さまざまな角度から平和と戦争の本質にアプローチ。 今、この世界でどうやって平和をつくるか、 平和をめざす具体的な活動や行動をとりあげ、 子どもと大人がいっしょに考えあえる。 教室で、サークルで、討論しながら学べる絵本。 セットで総合学習、調べ学習に最適。 平和をつくりあう道をさぐってみよう 平和と戦争の絵本 小学校高学年から 石山久男・岩川直樹・目良誠ニ郎 [ 編集 ] 人はなぜ争うの ? 岩川直樹 [ 文 ] 森雅之 [ 絵 ] 平和ってなに ? 大野ー夫・中村裕美子 [ 文 ] 石橋富士子 [ 絵 ] 石山久男 [ 文 ] 石井勉 [ 絵 ] 非暴力で平和をもとめる人たち 目良誠ニ郎 [ 文 ] 石井勉 [ 絵 ] 黒田貴子 [ 文 ] 石橋富士子 [ 絵 ] 電法で平和を考える 笠井英彦 [ 文 ] 森雅之 [ 絵 ] 女らしく・男らしくではなく、自分らしく生きること 人権の大切さを実感できる絵本 人権の絵本 @ ンダー・フリーの絵本 A4 判変型・上製カバー装・ 40 頁フルカラー・各 1800 円 ( 税別 ) 小・中学生向き木原千春 [ 絵 ] ①しぶんを大切に岩川直樹 [ 文 ] ②ちがいを豊かさに岩川直樹 [ 文 ] ③それって人権 ? 喜多明人 [ 文 ] ④わたしたちの人権宣言喜多明人 [ 文 ] ⑤タイムトラへル人権号満川尚美 [ 文 ] ⑥学ひの手引き岩辺泰吏 [ 編 ] A4 判変型・上製カバー装・ 40 頁フルカラー・各 1800 円 ( 税別 ) 小・中学生向き ①こんなのへんかな ? 村瀬幸浩 [ 文 ] 高橋由為子 [ 絵 ] ②生きるってすてき橋本紀子 [ 文 ] 高橋由為子 [ 絵 ] ③働くってたのしい朴木佳緒留 [ 文 ] もりお勇 [ 絵 ] ④女と男これまで、これから中嶋みさき [ 文 ] もりお勇 [ 絵 ] 伊田広行・堀ロ悦子 [ 文 ] ⑤いろんな国、いろんな生き方 石橋富士子 [ 絵 ] ⑥学びのガイド田代美江子 [ 編 ]
この本を読んたあなたへ わか かん はっしん この巻では、若い人たちが学ひ、平和について発信していくすがた を描いています。 せんそうたいけんしや いせき 戦争体験者の話や、戦争遺跡を通して知った事実を、まっすぐに受 けとめる力。心をゆさぶられ、考えを深めていく力。そして、よひか け、動きたしていく行動力 ! 自分たちとはちがう文化に出あい、そ じゅうなん かんせい れを受けとめる柔軟な感性は、軽がると海をも飛ひこえます。 平和についてともに学ぶとき、若い人たちのもっている、このしな やかな力を感します。こうした学びと行動がいま、日本、そして世 界中に広がっています。 ほうりよく 世界の各地でいまもおきている戦争・暴力しよ強大でとほうもない ものに思えます。けれど、この巻でとりあけたような、若い人たちの ーっひとつのとりくみは、平和へのたしかな力になるのたと思うの です。 最後に、本書は各地で活動している方がたのご協力をいたたき、 完成することができました。 れい この場をかりて、お礼申しあけます。 えが かくち きようりよく さし、ご かくち かんせい
わり 一週間で生徒総数の 8 割をこえる署名を集めました。 へし、こっ これと並行して、毎晩おそくまで請願書の趣旨や文面 かんせい について話しあい、こちらも一週間で完成させました。 ちょう たんとうしや しかし、教育庁の担当者は、いすにふんぞり返っ がねこうこう 小金高校には 4 の大きな行事があり、どの行事 てニャニヤしながら回答するなど、その対応はわたし せいと うんえし、 けっきよく も生徒が中心となて企画・運営をします。 たちののぞむものとはかけはなれていました。結局、 これらの行事を通して、小金高校の生徒は「自分 わたしたちの思いは現実のものとならず、職務命令は ぎろん せきにん たちで考え、議論を重ね、自分たちで責任をもって行 撤回されることはなかったのです。 じしゅじりつ せいしん 動する」という、「自主自律」の精神を育んでいきま そして卒業式当日。わたしたちは式場の外で、流れ しぜん そっぎようしき す。そして、自然に自分たちの卒業式をどうしようか ていく「君が代」を聞いていました。わきあがってくる いか きょむかん と考えはじめるのです。 のは怒りでも悲しみでもなく、虚無感でした。 卒業委員会は、九月下旬からアンケートや勉強 卒業委員会委員長は、「卒業の言葉」のなかで とうろんかい せんげん 、そして討論会をかさねていき、「卒業式要望書」を 「生徒は国旗・国歌をやっていない」と力強く宣 さくせい ましたよさらに会場には、「こがね ! こがね ! 」と、割 作成しました。卒業式には、国旗・国歌を実施しない そうかい へいしき ことなどをもりこんだ「卒業式要望書」は、生徒総会 れんばかりの f 小金コール」。「閉式の言葉」のあと しんぎ ゆうし ばん で審議され、学年を問わずに活発に意見が飛びか に、卒業生有志が「明日があるさ ( 小金版 ) 」を歌い ねっき ざいこうせい ごしや い、熱気あふれる場となりました。その結果、生徒の だし、卒業生が、在校生が、教員や保護者が加わっ そうい かけつ 総意として「卒業式要望書」は可決されたのです。 ての大合唱となりました。 ぎしき 「卒業式は儀式であり、厳粛な鰥囲気のながで行ご ところが、その数日後、教育長から校長に、「卒業 式で国旗・国歌を実施するものとする」という職務命 われなければいけない」と言いますが、号令とともに れい 令が出されました。このときから、わたしたちは職務命 全員がいっせいに起立させられ、礼にかける時間まで じよういかたっ てき しどう 上意下達という大きな敵と向きあうことになった 指導されることに、いったいなんの意味があるので しよう。卒業生も在校生も自分の言葉で語り、自由に のです。 こうのだい ひがしかっしか きかい 千葉県立国府台高校・東葛飾高校も同じような 自分を表現する機会があたえられ、そのなかに小金 じようきよう 状況にあったので、三校の卒業委員会は合同で、 高校への思いをせいいつばいこめることのほうが、ロ てつかいもと せいがんしよめいていしゆっ 職務命令の撤回を求める請願と署名提出を行うこと ポットのように全体が動くことよりも、はるかに意味を を決めました。わたしたちはすぐに署名活動を開始し、 もっています。それが小金の「卒業式」なのです。 命令よー話しあいを まいばん しゅし きかく げじゅん ようほうしょ じっし こっか こっき けっか くわ だいがっしよう げんしゅ ひょうげん 30
わたしたちは平和をめざす 平和と戦争の絵本 黒田貴子 [ 文 ] 石橋富士子 [ 絵 ] リサイクル資料 ( 再活用図書 ) 除籍済 大月書店
・取材協力者およひ団体 ( 敬称略 ) 阿原成光 ( 世界の子どもの平和像を東京につくる会 ) 富山稔子 ( 東大和の戦災建造物の保存を求める市民の会 ) 小澤長治 ( 多摩地区の空襲犠牲者を確認する会 ) 桐藤直人 土屋光男 ( 松代大本営の保存をすすめる会 ) 島重明 崔鐘順 笠井英彦 千野貴裕、鈴木規容 子どもの声を国連に届ける会 CHANCE! ・参考文献 「ガイドブック東京の戦争・平和』 ( 東京平和委員会編、新日本出版社 ) 467 号 ) 「『お墓調べ』から十五年戦争を考える」 ( 桐藤直人、『歴史地理教育』 平和文化 ) 「フォトガイド東京の戦争と平和を歩ぐ ( 東京都歴史教育者協議会編、 「軍需工場と基地と人びと」 ( 東大和市 ) 央公民館・図書館「戦争を伝える第 4 集」 ) 「ヒロシマ、ナガサキの体験をどう生かしていくか」 ( 永坂昭、田無市立中 井増夫、『婦人通信』 2001 年 8 月号 ) 「『最後の子ども』になりたくない一高校生平和セミナールの活動」 ( 小岩 男、『歴史地理教育』 634 号 ) 「『せこへい』の誕生ー『世界の子どもの平和像』広島に建つ一」 ( 澤野重 くる会編、部落問題研究所 ) 「せこへい平和をつくる子どもたち』 ( 世界の子どもの平和像を東京につ 編、平和文化 ) 「ひまわりは太陽に向かって』 ( 世界の子どもの平和像を東京につくる会 レット ) 「てるてるぼうずを窓につるして』 ( 阿原成光、三友社出版 21 世紀ブック 「松代大本営ガイドブックマッシロへの道」 ( 松代大本営の保存をすす める会 ) 『生徒たちのマッシロ大本営」 ( 篠ノ井旭高校郷土班、土屋光男編、 郷土出版社 ) 『学び・調べ・考えようフィールドワーク松代大本営』 ( 松代大本営の保 存をすすめる会編、平和文化 ) 「「慰安婦」問題 Q & A 』 ( アジア女性資料センター編、明石書店 ) 『「従軍慰安婦」にされた少女たち』 ( 石川逸子、岩波ジュニア新書 ) 『「従軍慰安婦」をめぐる 30 のウソと真実』 ( 吉見義明・川田文子編著、 大月書店 ) 「ソウルの初等学校と交流して」 ( 島重明、『歴史地理教育』 633 号 ) 「子どもたちの日韓交流から」 ( 木村誠、『平和教育』 59 号 ) にれだけは知っておきたい日本と韓国・朝鮮の歴史』 ( 中塚明、高文研 ) にれならわかる韓国・朝鮮の歴史 Q & A 』 ( 三橋広夫、大月書店 ) VTR 「大久保小学校の一学期」 ( NHK 教育トゥティ ) 一郎・川村千鶴子、明石書店 ) 『ブラジルと出会おう』い APE ポルトガル語教室、谷啓子・富本潤子、 国土社 ) 「国際理解教育をどうつくる ? ~ 交流から多文化共生へ ~ 」 ( 2001 『子ど ものしあわせ』 10 月臨時増刊号 ) 「 " ダブルの文化”を持っ子どもたち」 ( 小倉敬子、季刊『子どもの権利条 約』 2002 年 2 月号 ) 「火焔樹の花』 ( 小山道夫、小学館 ) 「ベトナムの「子どもの家」一ストリートチルドレンと生きる日本人一』 ( 岡 本文良、金の星社 ) VT 日「中学生が見たベトナム」 ( ベトナムの「子どもの家」を支える会 ) にれならわかる沖縄の歴史 Q & A 』 ( 楳澤和夫、大月書店 ) 「命令より話し合いを一学校自治を貫こうとした 3 ヶ月間の記録」 ( 国府 台・小金・東葛飾高校生編集会 ) 『子ども期の回復ー子どもの“ことば”をうはわない関係を求めて』 ( 子ど もの権利を守る国連 NGO ・ DC 旧本支部編、花伝社 ) 『平和学習実践選集』 ( 満川尚美監修、汐文社 ) ・色文字で記してある本は小学校高学年から読めます。 『多文化教育を拓く一マルチカルチュラルな日本の現実の中で』 ( 渡戸 「日の丸・君が代 50 問 50 答』 ( 歴史教育者協議会編、大月書店 )