日本国憲法 - みる会図書館


検索対象: 憲法で平和を考える
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1. 憲法で平和を考える

・参考文献 「日本国憲法』 ( 童話屋 ) 『あたらしい憲法のはなし』 ( 童話屋編集部 ) 「非戦』 ( 坂本龍ー監修、幻冬舎 ) 「憲法と戦争』 ( ラミス・ c ・ D 、晶文社 ) 『スポーツを殺すもの』 ( 谷口源太郎、花伝社 ) 『悪者見参』 ( 木村元彦、集英社 ) 「あの全で何が買えたか』 ( 村上龍、小学館 ) 『ヒジュアル公民 2002 』 ( 東京法令出版 ) 『グラフィックワイド公民』 ( 東京法令出版 ) 『新あたらしい憲法のはなし』 ( 森英樹・倉持孝司編、日本評論社 ) 『ほんとうに憲法「改正」していいのか ? 』 ( 小沢隆一、学習の友社 ) 『ドキュメント憲法を獲得する人びと』 ( 田中イ申尚、岩波書店 ) 『日本国憲法の逆襲』 ( 佐高信編、岩波書店 ) 『有事法制か、平和憲法か』 ( 梅田正己、高文研 ) 『有事法制のシナリオ』 ( 渡辺治・三輪隆・小沢隆一編、旬報社 ) 『世界の中の憲法第 9 条』 ( 歴史教育者協議会編、高文研 ) 『地球憲法第 9 条』 ( 講談社インターナショナル ) 「脱暴力宣言』 ( 平和の文化をきずく会編、平和文化 ) 『「日本国憲法」を読み直す』 ( 井上ひさし・樋口陽ー、講談社文庫 ) 憲法入門』 ( 樋口陽ー、勁草書房 ) 『武力なき平和』 ( 水島朝穂、岩波書店 ) 『憲法への招待』 ( 渋沢秀樹、岩波新書 ) 『新版主権者はきみだ』 ( 森英樹、岩波ジュニア新書 ) ・参考にした H P ・日本ユネスコ協会連盟 http://www.unesco.or.jp/indexb.html ・平和の文化国際年記念私の平和宣 http://www.unesco.or.jp/old/peace/signature new. htm ・平和の文化をきずく会 http://homepage2.nifty.com/peacecom/cop/ ・オーバーヒー博士と 9 条の会 http://www.zip33.com/articIe9/index.html ・日本ハーグ平和運動アピール運動 http://member.nifty.ne.jp/uwfj/hap/ ・平和の文化国際年記念わたしの平和宣 http: 〃 www. unesco. or. jp/peace/manifesto. htm 『やさしいことばで日本国憲法』 ( 池田香代子・ c. ダグラス・ラミス、マガジンハウス ) 『 Finale Dragan Stoikovic ドラカン・ストイコヒッチ完全読本』 ( 集英社 ) 『自衛隊図鑑 2000 』 ( 学研 ) 『海上自衛隊パーフェクトガイド 2002 』 ( 学研 ) 『ジュニア版写真で見る日本の侵略』 ( アジア民衆法廷準備会編、大月書店 ) シリーズ「人権の絵本』 ( 全 6 巻大月書店 ) シリーズ「ジェンダー・フリーの絵本』 ( 全 6 巻大月書店 ) ・色字で表記している本は、小学校高学年から読めます。

2. 憲法で平和を考える

けん けんぼう じよう ぼう じよう 3 人は、インターネットを使って、世界の人は日本国 50 しゅちょう せいき かっこく かいぎ しみん いても「第 9 条の会」が活動している。 オーバビー博士の運動は世界中に広がり、日本にお こそが地球を救うことができると主張している。この 法第 9 条は 21 世紀のモデルになると高く評価し、 9 条 で「第 9 条の会」をつくり、戦争を放棄した日本国憲 ・アメリカのチャールズ・オーバビー博士は、アメリカ はかせ 和憲法を高く評価した内容がふくまれた。 ないよう ひょうか 禁ずる決議を採択しなければならない」と、日本の平 さいたく きん けつぎ は、「各国議会は日本国憲法第 9 条のように、戦争を ・ 1999 年にオランダで開かれたハーク平和会議で なっているという。 全文をきざんだ記念碑ができ、市民のいこいの場に きねんひ テルデ市に、戦争放棄を定めた日本国憲法第 9 条の せんそうほうき ・ 1996 年、大西洋にあるスペインのカナリア諸島・ しよとう 0 憲法第 9 条をどう見ているのかということを調べてみ わたくし ・ 2001 年 5 月、「私たちの国では、毎日のように子 じよせい ろうじんせんとう どもや女性や老人が戦闘にまきこまれて殺されていま しようちょう す。私たちにとっても希望の象徴である、日本国憲 法 9 条を変えないでください」と、旧ユーゴやイスラ ふんそうち こいずみしゅ 工ルなど世界の紛争地から集まった 4 人が、小泉首 しよう ていしゆっ 相あてに申し入れ書を提出した。 ほうふく ・アメリカの報復戦争を契機に、紛争地に武器をもた ぼうりよく わ ない多くの市民が入りこんで、暴力をおさえながら和 みちび かし、 こくさいひぼうりよくへいわたい 解への対話を導こうという、「国際非暴力平和隊」 そうせつじゅんび の創設の準備がすすんでいるという。よびかけ人の ひとりでアメリカ人のデヒッド・ハートソーさんは、「日 本の平和憲法こそ、この運動の偉大なモテルだ」と 強調している。 きゅう か けいき ぶき こうしてみると、日本国憲法 9 条は日本国民のもの せいしんつらぬ だけではない。 9 条の精神を貫くこと、それこそか戦 争をふせぐことにつながるということが、世界中の多く きようつう の人々の共通の思いとなっている。世界の平和をね がう人たちのあいだで、憲法 9 条は広がっている。そ れは、 3 人にとって大きな発見だった。

3. 憲法で平和を考える

この本を読んたあなたへ けんぼう 「憲法」ってどんなイメージがありますか ? 「むすしい」とか 「とつつきにくい」とか、「わたしとは関係ない」とか、感していた 人はいませんか ? そんなふうに感している人にもせひ読んで ほしいと思って、この本をつくりました。 今、世界はけっして平和とは言えません。地球のどこかで戦争や きず じけん テロ事件が起きて、多くの人ひとが亡くなったり、傷ついていま しようきよう す。そのような世界の状況に対して、わたしたちの日本国憲法 はすぐれた名文をもっています。前文にある「われらは、全世界 こくみん きようふ の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存す かくにん る権利を有することを確認する」です。また、日本は二度と戦争 をしないという 9 条もそうです。 でも、憲法に書いてあるからといって、それか実現するかどうか はまた別です。それは、平和をねがう多くの人ひとの手でつくり あけていくものなのたと思います。この絵本をきっかけに、少し でも憲法に興昧をもっていたたけれは幸いです。 かんけい せんそう な けつほう まぬ じよう じつげん み き 57

4. 憲法で平和を考える

1950 2000 みゆき ・美幸の感想 じえいたい 自衛隊は、世界と日本がおかれた状況のなかで生ま げんざい れ、現在までに中身も大きく変わってきました。 9 条の解 せんそう こうせん 釈として、 1946 年に「自衛権の発動としての戦争も交戦 けんほうき 権も放棄したものだ」と言っていたのに、 1991 年には海 外に自衛隊が出るまでになってしまったのです。世界 じようせい 情勢が変わったのだからしようがない、という考えもあるよ けんぼう しゅぎ うですが、日本国憲法の平和主義を考えると、わたしには これでいいのだろうかという思いがします。今後、このあた りをもっと調べていきたいと思います じようきよう じよう しやく けん 13

5. 憲法で平和を考える

じよう 世界の声を先どりした第 9 条 先生「つづけて 9 条の話をしようか。まず 9 条を読ん でみよう。」 みゆき ほうき こうせんけん 美幸「はい。第 9 条【戦争の放棄、戦力及び交戦権 せいぎちつじよ ひにん の否認】①日本国民は、正義と秩序を基調とする国 せいじつ ききゅう 際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武 かいけつ 力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決す ぜんこう しゆだん えいきゅう る手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目 じよう せんそう およ きちょう こくみん こくさいふんそう いかくまた りよく じ みと 的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保 りくかいくうぐん てきたっ いうこと、そして 3 つめに国の交戦権を認めないという の行使はしないということ。 2 つめに戦力をもたないと を言っている。ひとつは戦争や武力による威嚇、武力 先生「そうだね。これはかんたんに言うと、 3 つのこと 持しない。国の交戦権は、これを認めない」 ことだ」 ようじ じゅうよう 洋ニ「短い文章だけれど、すごく重要なことが書いて あると思う」 しゅぎ 18 ゆういち ですか ? 」 祐ー「世界の歴史のなかで生まれたってどういうこと ん生まれたものではないんだ」 は世界の歴史の流れのなかで生まれたもので、とつぜ れきし いう形で明確にした、先駆的な憲法なんだ。でもこれ せんくてき めいかく と武力行使を放棄し、それを一切の戦力をもたないと 先生「そうなんだよ。日本国憲法の平和主義は、戦争 先生「第一次世界大戦後にできた国際連盟は、平和 への歩みの大きな一歩だった。そして、 1928 年にで ふせんじようやく しんりやく かん きた不戦条約 ( 戦争放棄に関する条約 ) は、侵略戦 いほう かっきてき 争を違法なものとする画期的なものだった。しかし、ざ んねんながら第ニ次世界大戦が起こってしまった。な じえい ぜなら、自衛のための戦争をおこなうことは、国の正 けんり 当な権利とされていたからだ。第ニ次世界大戦ののち は、国際連合が生まれた。平和を維持することを目的 こくれんけんしよう とする世界的な機構だ。この国連憲章の前文は『わ せっ じんるい れらの一生のうちにニ度まで言語に絶する悲哀を人類 さんがい に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い』という 言葉ではじめられている。 そして、第 2 条の 4 項は次のように書かれている。 かめい くすべての加盟国は、その国際関係において、武力 による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保 ぜんまたせいじてきどくりつ 全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の つつし 目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎ま なけれはならない。〉」 洋ニ「あれ、なんだか 9 条とにてるね」 先生「そのとおりだ。国連憲章と 9 条の平和への願い は同じであり、日本国憲法の平和主義は、この世界史 的な反戦平和の流れをさらに大きく前進させたもの、 世界の声を先どりしたものと考えていいだろう」 れんめい ひあい しようらい りようどほ いかく

6. 憲法で平和を考える

心の中に平和のとりでを そうごうてき さいたく よくねん こくれんそうかい 1 1 月、総合的学習の発表会があった。約半年間調 は、国連総会において採択された。翌年、国連総会は 2001 年から 2010 年までを「世界の子どもたちのため べてきたことを、 3 人は発表した。 せんげん けんぼう にちじよう 洋ニは、憲法と日常生活のむすびつきや 9.11 テ の平和の文化と非暴力の国際 10 年」と宣言した。 みゆき じえいたい じゅうよう しよめい 2001 年、ユネスコは「わたしの平和宣言」署名を ロのことを、美幸は、自衛隊のことと憲法 9 条の重要 せい ゆういち かんけい おく きようかい 世界で 1 億人以上、日本ユネスコ協会も日本で 1 00 性を発表した。そして祐ーは、スポーツと平和の関係、 おきなわ 沖縄の人びとの思いを発表した。この 3 人の発表は、 万人集めることを決めた。 こうひょう ここには、「すべての命を大切にすること」「暴力を むずかしいテーマであるにもかかわらず好評だった。 ゆるさないこと」「相手の立場にたって思いやり、たす 「きみたちはほんとうによくやった。ぼくが思った以 じよう まつおか けあうこと」「男女とも力をあわせること」など、 3 人が 上の発表だった。ばくも勉強になったよ」と、松岡先 けつろん かんけい 生もほめてくれた。 3 人のなかでしつかりした結論が出 平和と憲法について調べてきたことと関係することが、 わかりやすく身近なこととして書かれている。そして、 たわけではないし、意見のちがうところもたくさんの かんきよう こっていた。けれど、憲法のことを調べるなかで、たく わたしたちの生きている地球の環境を守ることも書か さんのことを発見し、考えるきっかけがつかめたと 3 人 れている。 洋ニは、一人ひとりの心のなかに平和のとりでを築 は思っている。 きようつう 共通して心にのこったのは、「人の心の中に平和の くことは、長い道のりかもしれないけれど、平和に生き きず こくれん かくじつ とりでを築く」という言葉だった。ユネスコ ( 国連教育 るうえでもっとも確実な道ではないだろうかと思った。 きかんけんしよう 科学文化機関 ) 憲章のなかで見つけた言葉で、「戦 美幸は、日本国憲法の前文と 9 条が、心のなかに 争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の 平和のとりでを築くうえで、ひとつの道しるべになるの 中に平和のとりでを築かなければならない」と書いて ではないかと思った。 そして祐ーは、「わたしの平和宣言」署名を集める あった。 ユネスコは 2000 年を「平和の文化国際年」とする 活動に協力してみようかと思っている。 ていしよう ことを提唱し、その年の 1 1 月 20 日にユネスコ憲章 やく ひほうりよく じ じよう こくさいねん 52

7. 憲法で平和を考える

せんそう 男らしさと戦争 みゆき せんそう まつおか 美幸は、ジェンダーが戦争とかかわりがあると松岡 先生にきいたので、調べてみようと思った。ジェンダー てき とは、身体的な男女の性のちがいでなく、社会的につ せいさ くられた性差のことで、「男らしさ、女らしさ」という言葉 けんぼう でよく表わされる。『憲法と戦争』という本を読んで、 美幸は作者であるダグラス・ラミスさんに、思いきって 電話をしてみた。 美幸「ラミスさんは『憲法と戦争』のなかで、自分の かいへいたい たいけん 海兵隊時代の体験をもとにしながら、男らしさと戦争に せい ついて書かれていますね」 ぐんたい 26 か 殺すことが重要であるらしいのです。女性的なものと じゅうよう へつくり変えるためには、いわゆるく女性的なもの〉を じよせいてき ラミス「『人を殺せない人間』から『人を殺せる人間』 ことですね。どんな基礎訓練をするのですか ? 」 美幸「人を殺せるようにするなんて、とてもおそろしい できませんから」 ですね。普通の人には、人を殺すということはなかなか ふつつ 隊で大事なのは、人を殺せるようにするということなの ようにするというのもその一つですが、それ以前に軍 いぜん 的をもって行われました。機関銃などの武器を扱える あっか てき きかんじゅう 入った青年に基礎訓練をほどこす場合、いろいろな目 きそくんれん ラミス「はい。わたしが海兵隊にいた当時、軍隊に は、人間の気持ちのなかで弱い部分やまよう部分だ と、軍は思いこんでいるのです。たとえば兵士たちが ちょっとでも弱い部分を見せると、『おまえたちは女か』 といった言い方で責めるのです」 美幸「どうして、女性的なものを殺すのですか ? 」 たいしつ きほん ラミス「それが軍隊の体質です。軍隊は基本的に男 しゅうだん の集団、男の団体です。男らしさを強調するのは、戦 いに向かわせるためです。戦争をするということと、女 性を軽蔑するということはどこかでつながりがあるので す。『どうした、お前は女か』とバカにした言いかたで へいし せ たたか けいべつ * 参考『憲法と戦争』 (). ダグラス・ラミス ) ラミス「そのとおりだと思います」 れないものだと思いました」 の平和主義は『男らしさ』を押しつける考えとは、相い お しゅぎ 言葉だったのですね。お話を聞いていて、日本国憲法 いい』とも思えるんですが、軍隊に利用されるような りよう 美幸「男らしいという言葉は、ちょっと聞くと『かっこ が訓練の非常に重要な部分なのです」 ひじよう される強い兵士にならなければならないのです。それ から、まよわない強い人間、男らしいという言葉に代表 なろうとするのです。まよいがあっては人を殺せません ずかしくなって、それをふつきって、強くて男らしい男に なぶると、兵士たちは自分のなかの女性的な部分がは

8. 憲法で平和を考える

おきなわ 沖縄の人びとの思い じようちゅう じえいたい おきなわ ゆういち 動かず、自衛隊も常駐し強化され、沖縄の人々の 祐ーは、夏休みに沖縄へ旅行にいった。帰ってきて しゅざい けんぼうかくとく てつきょ おも たなかのぶまさ 「基地撤去」の切実な念いはどんどん遠くなっていっ から、田中伸尚さんが取材して書いた『憲法を獲得す しぜん はかい た。土地をうばわれ、自然は破壊され、米兵の性暴 る人びと』という本を読んだ。そのなかに沖縄の中村 りよくほうかごうとう しようかい 力、放火、強盗などにおびえ、そしてなによりも戦争 文子さんという方が紹介されていた。 きけん ちょっけつ へ直結するかもしれない危険のなかで生活しなけれ 中村さんは、小学校時代から徹底した皇民化教育を はならなかった。 じやはなじんじよう せいちょう それでも、中村さんは 9 条の中身を先どりし、さらに たたきこまれて成長し、母校の謝花尋常高等小学校 じようま せん それを次代につなごうと歩んできた。自宅の 8 畳間に の正教員となった。そのとき、沖縄戦が起こり、お母さ そげき し、とこ えいようしっちょう な べし、ヘ、 憲法 9 条のかけ軸をつるして、 5 月 3 日や 6 月 23 んを栄養失調で亡くし、従兄も米兵に狙撃されて亡く きようしよく 日、 1 1 月 3 日といった節目節目に、声を出して読ん した。戦後、中村さんは小学校の教職の場にもどり、 でいる。そして、「子どもたちにフィルムを通して沖縄 こんな声に出う。 じむきよくちょう てんのう った 戦を伝える会」の事務局長をひきうけた。すさまじい 「お国のため、天皇のためと言って、お前に教えられ じったい むすめ むすこ てきた娘や息子は帰ってこないじゃないか」 沖縄戦の実態を子どもたちに伝えるために、米国公 しゅうぞう かんけい うしな 文書館に収蔵されている関係フィルムを県民一人ひ それは子どもを失った母親や父親、遺族の声だっ しゅんかん とりが 1 フィートずつ買いとり、そのフィルムから『未 た。中村さんはその瞬間、「とり返しのつかないことを しようげん えいが 来への証言』という映画やビデオをつくり、日本だけ してしまった」というはずかしさにおそわれた。そして、 かんばう 艦砲の飛んでこない世の中をつくることがいちばん大 でなく世界中にとどける活動をつづけている。 かくしん 事だと確信したのだ。 小っき 憲法 9 条を大事にして、ねばり強い平和への活動を 中村さんは、日本への「復帰」運動がもっともさか つづけている人がいる。そのことを知った祐ーは、いろ んだった 1960 年代後半に、日本国憲法第 9 条にあ けんみん らためて出会う。復帰にこめられた県民の思いは「平 いろな人の平和への活動についてもっと調べてみた 和憲法のもとに帰ろう」であった。 いと思った。 ぺいぐんきち しかし、復帰後も米軍基地は島に根をはったように せいほう こうみんか てってい み らし、 と じよう * 参考下キュメント憲法を獲得する人びと』 ( 田中伸尚 ) 28

9. 憲法で平和を考える

けんばう 身近にある憲法 まつおか 松岡先生の、「日常生活から憲法を見てみよう」と じゅぎよう いう授業があった。人間が生まれてから死んでいくま じようぶん でに、どんなふうに憲法の条文とかかわるかについて もとびようどう 勉強をした。第 14 条の「法の下の平等」、第 20 条の しんきよう じんそんげんりようせい 「信教の自由」、第 24 条の「個人の尊厳と両性の本 しってき けんこう ぶんかてき 質的平等」、第 25 条の「健康で文化的な生活」など、 ようじ いろいろな条文が日常生活とかかわっている。洋ニ は、憲法というのは身近なものなのだと感じた。それか ら、憲法と日常生活のこととをむすびつけて考えるよう になった。 みゆき 美幸「麻里さんのこと、クラスのみんながいじめてい るよね。ちょっとひどいんじゃない ? 」 ゆういち 祐ー「あいつ、はっきりしないからさあ、なんとなくイラ イラしくるんだよ」 美幸「でも、あからさまにさけて通ったりしなくてもいい じゃない」 祐ー「きっかけはさ、このあいだの『王様ゲーム』な したが んだ。トランプで勝った人の言うことに、みんなが従 うゲームさ。女王様になった子が、そうしようって言っ たんだ」 美幸「なにが王様、女王様よ。わたしたちは、みんな 平等なのよ」 けんぼう にちじよう ほん 6 こくみん 洋ニ「ねえ、そのことって憲法 13 条の『すべて国民 そんちょう は、個人として尊重される』ってこととかかわりがある んじゃないかな。いじめは、憲法から考えても問題じゃ ない ? 」 祐ー「いじめと憲法 ? あのさあ、すべてが憲法で解 けつ 決できるもんじゃないだろ」 美幸「いじめのことを憲法にむすびつけて考えてみる のはいいことかもしれないよ」 洋ニ「そうだよ。クラスで話しあうきっかけになるん じゃないかな」 松岡先生は、ばくたちの話を聞いてうなずいた。 松岡「いじめのことを、憲法とむすびつけて考えること おざわりゆういち はすばらしいことだよ。ぼくが習った小沢隆一先生は、 じんけん 人権についてこう言っているんだ。 『人権というのはく人間が人間らしい生活をするた けんり めに、生まれながらにもっている権利〉であり、日本国 およ 憲法では、第 3 章〈国民の権利及び義務〉にくわしく 定めている。いじめられている子の人権を考えること は、この憲法をわたしたちがしつかりと自分のものにす るうえで大切なことだ。憲法は、自由や平等、人間ら たたか しい生活をもとめる世界中の人びとの、長い闘いのな せんせいせいじ かから生まれた。人権が生まれる前は国王が専制政治 かい ぎむ

10. 憲法で平和を考える

せんそう さんか 一度も戦争に参加していない国 ちょうさ そうごう せんそう 「総合」の調査は少しずっすすんだ。戦争のことを 犠牲者を出した第ニ次世界大戦が終了してから 50 ようじ ゆういち ちいき 周べていた洋ニが、「すごいこと発見したよ」と祐ーと 年以上がすぎた。今、世界には 189 の国と地域があ 美幸にかけよってきた。 るが、戦後一度も戦争に参加していない国は、日本、 スイス、アイスランド、スウェーデン、フィンランド、 洋ニ「ちょっと聞いて ! びつくりしちゃった」 ブータンの 6 か国にすぎません。』」 美幸「なにあわててるの ? 」 美幸「 6 か国だけなんておどろいたわ」 祐ー「早く言えよ」 洋ニ「それだけじゃないよ。『その 6 か国の中に私 ぎせい たいせん ほこ 洋ニ「わかった。じゃあ、第ニ次世界大戦で犠牲に たち日本が含まれることは、たいへん誇りうることで なった人は世界で何人いるでしよう ? 」 す。日本が戦後一度も戦争に参加しないでこれたの そんざい けんぼう 美幸「うーん、 2000 万人ぐらいかな」 は、日本国憲法の存在が大きかったと言われていま 洋ニ「ざんねん ! 6000 万人でした」 す。』だって」 祐ー「それがすごい発見かよ ? 」 祐ー「でも、ベトナム戦争や湾岸戦争のとき、アメリカ しつもん 洋ニ「あせらないでよ。では次の質問。今、世界には 軍が日本の基地から飛びたっていったって、歴史の授 かんせってき 業でやったよね。それって間接的に戦争に参加したっ 190 ぐらいの国があるけど、そのなかで第ニ次世界大 さんか 戦後、一度も戦争に参加していない国はいくつあるで て言えないかなあ」 洋ニ「ここで言っているのは、その国の軍隊が戦争に しようか ? 」 祐ー「半分ぐらいは参加していないんじゃないの ? 」 参加したかしないかだと思う」 わんがん 美幸「でも、ベトナム戦争や湾岸戦争とかあったから 美幸「そうね。祐ーの言ったことは大事だと思うけれ ちよくせつ ど、日本が直接、戦争に参加しなかったのは、憲法の ねえ。 50 ぐらいかな ? 」 洋ニ「ざんねん、 6 か国だけ ! 」 平和主義があったからということよね」 洋ニ「そうなんだよ。このことも発表したいな」 祐ー「ほんとうかよ。そんなに少ないの ? 」 洋ニ「この資料を見て。『全世界で 6000 万人もの しゅうりよう いじよう ニ = ロ みゆき わたくし ふく と れきし ぐん ぎよう ぐんたい しゅぎ しりよう 8