となげいたことがある。選挙は敗れた りを知っているとか、親に頼まれたが、 方にはつねに不満がのこる。それでも ほかに応援したい矣補者かいるという のなら、気にしないで「しがらみ」は 「変な声も天の声」と納得させる選挙 でなければならない。 断ち切ってよ いたれがだれに投票し たのか、現行の選挙制度はわからない 不満はあっても不正はない ようになっている。投票用紙に自分の 職選挙は徹底してそうあらねばならな 名前は書かなくていいのだ。憲法でき 有権者は清き一票を投じ、公正な ちんと定められた秘密選挙である。し 選挙がおこなわれなければならないの がらみ関係者には「ちゃんと投票した 権力をだれにゆだねるのか、一大 よ」と嘘をつけばよい。 事である。権力の本質は暴力であり、 危うさはつねにつきまとう。有権者と 投票所で投票用紙を手にしたとき、 わたしたちは完全に自由になる。だれ は神聖な大役なのだ。良心にしたがっ にもじや土されることはない。 熱烈な て内なる「天の声」に耳をすまそう。 支持政党があれば決断がゆらぐことは 私利私欲が渦まく世の中において、 ないが、確固とした信念がなければ、 清き一票はけっこうむずかしい。金品 で票のとりまとめなどをおこなった罪自分のなかから「変な声」が聞こえて くることかある。なぜ自分はこのひと 選 で逮捕される者はあとを絶たない。 挙違反は言語道断としても「しがら 自分のなかの「変な声」にまどわされる み」というものがある。会社ぐるみの ことなく「天の声」をしぼりだすしかな 選挙とか、親類縁者が立候補とか。べ つに違法ではない。い っしょに応援し たいと思うならすなおに一票を投じれ ばいい。こだ社長と裏社会とのつなか に投票するのかー、有名人やタレン ト候補者で、テレビで顔をよく見てい て、なんとなく親しみを感じているだ けではないか、小学校のときの恩師で はあるが実は政策もなにも知らないと か、迷いはじめたらめんどうだ。自分 の空虚さに追いつめられ、なにも書か ないまま投票したり、思いは千々に乱 れて「すみませんでした」とか「ドラ えもん」とか「悪党」などと書くひと もいる。白票も他事記載も無効票とな る。「変な声」にまどわされることな 「天の声」をしばりだすしかない。 選挙速報を見ながらばうぜんとなる だろう。何万票、何十万票もの得票数。欲 「わたし」がだんだんうすめられてい 考 得票数の末尾の「 1 」にちらちら とわたしの幻がうかぶだけでなんとなす ′、 , フれし 、無名の有権者の力は それくらい微力だ。選挙後、「変な声」の の一票を投じてしまったと悔やんだり してもとりかえしはつかない。 そんなときには次の選挙までねちっ
かによって、これから具体的な不利益 的な一票につながり、当然そのまま政 をこうむる。実はすでにこうむってい 治への無関心につながる。すべては るあなたの不平等感はそこから来てい 「投票無気力」とでもいうべきものの るが、それはさらに増すだろう。なぜ 結果だ なら、あなたが意見を言わないから。 この「無気力ーこそ長いキャンペ 1 意見と言ったって政治が難しくて何 ンの結果、醸成されたのだと私は考え とい , フかもしれな ひとつわからない、 ている。政治不信を刷り込まれたあげ い。かしかし、「 O ーや「」 、「誰もあなたを代表しないー 投票なんて何になるのか は言えないだろうか。もっと細かい気 たちは思わされている。 十八歳のあなたはそう思っているの ではないか。 というか、「自分を誰かに代表させ持ちを伝えたくても、「代表制ーは目 るなんてムリと感じる。自分は自分 の粗いシステムだし、そもそも「難し 一一十八歳も四十八歳も、六十八も七 くてわからない」ことなのだからそれ 十八も米寿のご老人も近頃は同じ気持でしかないのだから、その意見を他人 でいいのた ちかもしれない。 は言うことが出来ない。なにしろ、あ しかも投票所では「 ZO 」や「 なたは世界でひとつだけの花だから。 そもそも自分が票を入れたい候補者 カ . しナ′」し いても投票して負ける。勝わけのわからないおじさんに自分を委」よりほんの少しだけ情報量の多い欲 ねたくないのだ 政党名や立候袵者名を、実際のあなた ったとしても得票数の発表を見ると、 考 は書く。ネットのショッピングと違っ こうして「代表制」自体に不信感が 自分はその中の数十万分の一だとわか す ってむしろ虚しくなる。 票 投 そして組織票を持っ団体だけが低い つまり、有権者というものが脱力す ネットのショッピングと違って、完璧に 君 の るようにしか選挙が出来ていない、 投票率の中で当選者数を伸ばし、彼ら あなたにフィットする選択肢なんてない 歳 いう感清。 の「代表」だけが政治をかなり自由に それが棄権につながり、あるいはよ動かす。 くわからないタレント候補へのお祭り あなたは「あなたを代表しないー誰 十八歳からの脱力に しと - っせいこ - っ ( 作家 )
く変わっていく。事故に遭ったり病気 沢山の課題と不平等を、大人たちは になったりもするだろう。その時に 山積みにしてきた。彼らの半分は、投 身体にハンディを負うことだってない 票所に行かない。白票も投じない。不 あなたの仲間の多くが、固定化されたシ とは言えない。 数年もすれば、あなた 都合な問題は見て見ぬふりの先送り、 ステムの中で身動きが取れなくなってい の頭には色んなハテナが湧いている。 若者たちにツケを回して生きている。 る 社会の仕組みはどうしてこんな風なの 彼らはそのまま逃げ切れる。だけど、 しか浮かばないだろう。だけど、ひと か、目の前に立ちふさがるとてつもな あなたはそうはいかない。背中に負わ つだけ、言っておきたいことがある く大きな問題を、誰が解決してくれる された見えない荷物は、もう駆けだす のか とにかく、投票所に行ってみよう。 こともできぬほど重くなっている。だ 準備もいらない、ワケが分からなくて その時、あなたは真剣に考えるだろ から、投票所に行ってほしい。それは . し . しキ / キ / / ′、た、ナンじ、、 0 運転免 う。白紙で投じたその紙に、何を書い 無力なあなたにやっと与えられた、た たらいいのかを。 許を取りに教習所に通うより、面倒く った一つの権利だただ行くだけでい さいアルバイトに行くより、面白くも もしかすると、あなたは既に生き辛 。その一歩はきっと、遠い未来の、 ない授業で居眠りするよりもずっと簡 さを感じている。世界の中で、十五歳あなた自身に、繋がっている。 単だ から三十四歳の若者の死因のトップが 投票所の貼り紙に並ぶ政党や名前を 自殺という国は先進七カ国では日本だ 見ても、あなたにはピンとこないかも ( 内閣府二〇一四 ) 。そう、この国変な声、天の声 しれないか、ピンとこなくていい。知 で生き延びていくのは並大抵じゃない りたくなれば、調べればいい。知りた 貧しくて進学をあきらめる人もいる くなければ、白紙でいし 。白紙でい ( し、バイトやハケンで酷使されている から、投票しよう。 人もいる。格差は広がるばかりか再生 十八歳のあなたはやがて、社会に出産され続けている。あなたの仲間の多 る。恋愛に結婚、子育てに教育、いず くが、固定化されたシステムの中で身 れは親の介護へと、生活はめまぐるし動きが取れなくなっている。 ( 作家 ) かって自民党総裁選において、現職 でありながら思いがけず敗北した福田 赳夫総理が、天の声にも変な声がある 青来有一
学食のメニューをどうするかでもいし 子どもが当事者として主体的に参画す ることで、自分が学校生活保持の一翼 生まれた時から民主主義の社会を生きて を担っているんだという自覚が生まれ いるのであって、選挙に行くのが十八歳 るんです。それが主権者教育です。 から、ということに過ぎない 一一十一世紀の社会では、世代間のパ 1 トナ 1 シップがますます重要になっ きているのであって、選挙に行くのが てきています。十八歳の投票者「第一 十八歳から、ということに過ぎない。 期生ーとして、高い自尊感情を持って 大慌てで模擬投票を行ったりしている 投票行動に臨んでほしいと思います。 高校もあるようですが、もっと早い ちから民主主義の訓練を積むことでは投票実績は次の世代以降に引き継がれ るし、上の世代にも刺激を与えるでし じめて、政治的公平性、政策を理解す る力量が身につくのです。 古くからヨーロッパでは、学校の最 も大切な役目は「民主主義のトレ 1 ニ ングの場ーとしてだとされています。 学校の主役は子どもです。教師は「学 びのサポ 1 タ 1 」として、彼らに判断 力、行動力を身につけさせていかねば なりません。私が教師をしていた時代 には、遠足の候補地は子どもたちの話 し合いで決めていました。危険だとい われる組体操をするのかしないのか、 十八歳が投票するにあたり、踏まえ こと。ラてれは、 ′しお ( 4 」ほ , フカしし という一 「とにかく投票したらい ( ます参加すること ( 社会学者 ) 小熊英ニ そもそも、世の中の何バーセントが、十 分な知識があって投票しているだろう 語に尽きる 世の中には、まじめすぎる若者がい る。なかには、「自分は政治に知識が ないから、投票してはいけないのでは ないかーとか、「問題をよくわかって いないのに、抗議したり声をあげたり するのは無責任だ」などと述べる若者 もいる。年長者から、あれも勉強しろ、 これも勉強しろと言われ続け、それに 応えて「いい子」をやってきた若者に そ、フい , フ人はタタいよ , フに田 5 , フ しかしそもそも、世の中の何パ 1 セ ントが、十分な知識があって投票して いるだろう。いわゆる知識人でも、 「比例代表制における拘東名簿式と非 拘東名簿式の区別を述べなさいー われて、即答できる人はそう多くない
やわかるだろう ! 」と言われたら、そ 会議の進める気味の悪い「改壊憲」 い』芦澤久仁子・参照 ) ういう試合を見に行こうと思わないだ を、「絽歳の君」たちに止めてもらい 日本の「スナップチャット世代」が ろう。しかし一対一なら。今年の選挙 たいという気持ちがあるからなのだけ 何を、誰を選ぶのかは、わからないけ は、わかりやすさで十八歳にアピ 1 ル れども、そうした五十二歳の私の切な れども、十八歳でも十九歳でも二十歳 でもいし る思いを汲んでも汲まなくてもい ( カ この夏に始めて選挙権を行 する可能性があるのではないだろうか 使する若者が投票に行くとき、それま それに、ひょっとしたらいまの十八 ら、十八歳には自分で考えて、投票に でに見ない何かを、私たちは見るのか 歳は、これまでの十八歳とは違うのか行っていただきたいものである。 もしれない。 もしれない。思春期の多感な時期に東 来る大統領選で初めて投票する、あ るいは二度目、という若者のことを、 日本大震災と原発事故、その後の大人 の右往左往を見て育った世代は、自分 アメリカでは「スナップチャット世あの日投票箱に入れた たちが政治にかかわることの意義を、 代」と呼ぶのだそうだ。だいたい十八 候補者の名前を これまでの世代よりもよくわかってい 歳から二十六歳くらいにあたる彼らに 僕達はまだ知らない。 る、ということはないか。だいたい、 顕著なのは、上の世代が共有している 古谷経衡 若者が政治に関心をなくして、はや四 「アメリカは優れた特別な国」とする ( 文筆家 ) 欲 十年くらい経っているのだから、関心 意識をもっておらず、また、自分たち て がないなんていうのも古臭い話ではな のことを「アメリカ国民」ではなく 私が選挙権を得て初めて国政選挙の しカ 投票にいったのは二十一世紀に入って 「グロ 1 バル市民」と捉えていること 三年が過ぎた年の初夏であった。住民す だいいち、日本の歴史の中で、初め 彼らのうちの四五 % がバ 1 票 票のある北海道の片田舎の廃校寸前の サンダ 1 ス支持を表明していて、もっ て十八歳が投票できるという画期的な とも人道にかなっている政治システム 木造校舎に、震える手で投票ハガキをの 年なんだから、ともかく投票にだけは 行ってみようと思うんじゃないか。 握りしめて向かった。北国の夏は儚い。 を「社会主義」と答えた者も五八 % に 空は澄んでいた。陰湿な目つきの立会 と、祈るような気持ちで期待感を膨上るという。 ( ウエプロンザ「アメリ らませてしまうのは、安倍政権と日本力の若者の国家観は親の世代とは大違人は、投票者の一挙手一投足に目を光 、、 0
跳躍してしまっているだけ という選択とさほど変わらない。どれ そういう、人間観、世界観を噛みし なのだ。 でも良かった。しかし、それにした。 めて、投票してくださったら、きっと、 もちろん、投票に至るまで、さまざ その際に、堅い理屈があるわけでもな その時、ある「重み」が生まれると思 いたた、そうなったというたけのこ まな情報に接し、考え、感じたことだ ろう。日本の課題、世界の情勢、候補とだ。 その「重み」こそが、君の人格なの 者の人柄、メディアの報道、ツィッタ 投票というものが、そのような無根 1 や、フェイスブックや、その他のつ 拠な跳躍であることの、自由と、その 投票における選択には、その人の人 ながりを通して得た感触。君自身の人半面の恐ろしさ。それを、噛みしめて格というか、存在のようなものが表れ 生の機微。そのようなものが、総合的欲しいと思う。 ることがある。なぜ、この選挙で、君 に響きあって、君は選択をしている。 投票行動によって、社会の情勢は、 は、その選択をしているのか。それは、 しかし、その選択は、究極的に無根拠確実に変わっていく。政権が維持され 君が考える以上に、 いや、その文脈と だということを、君には是非知って欲 は別の意味で、重大なことなのかもし る。あるいは交代する。憲法が改正さ しいし」田 5 , フ れる。あるいは、されない。同盟が強 れない。大げさに一一一口えば、 いか」生、さ 人間の脳は、コンピュ 1 タのように、 るかというたった一度の人生の軌跡そ 化される。あるいは、解体される。そ あるアルゴリズムで決定しているので のものが、それで決まってしまうこと欲 のような重大なことが、無根拠な跳躍 て 認も亠のるか、ら。 はない。「直観という、ややこしい しく。それが人 の積み重ねで決まって、 考 ものがある。いろいろな表現の仕方が 間であり、社会である。 投票箱に一票を投じる時、君は、自い あるが、例えば、目安としては、約二 分の姿が鏡に映っているのを見ることす 票 投 秒で、無根拠に決めてしまっているの だろう。投票とは、自分自身のことを 無根拠な跳躍であることの、自由と、そ 知る、何よりの機会なのだ。そこに映の の半面の恐ろしさを物みしめて欲しい 脳のメカニズムから言えば、君の投 った真実は、容赦なく、そして取り返 票行動は、例えば、お昼に食べるのは しのつかないかたちで、君の人生を作 カレ 1 ライスか、天丼か、茶そばか、
的な人物と呼んだわけです。理念はむしろそのようにしか 実現されない、それが「理性の狡知」です。 日本の憲法九条に関していえば、マッカ 1 サ 1 も世界史的 な人物だといえますね。マッカ 1 サ 1 自身には理念はない。 彼は自分が大統領になる野心があっただけです。けれども、 結果的に世界史的に大きなことを果たしたことになる。この ことを何と言えばいいのかと考えると、やつばり「理性の狡 智」とでもいうほかない。だから、僕は、これは二重の意味 で「有り難い」ことだと思います。 憲法九条の現在についてうかがいます。安倍政権下で安 保法案が可決され、自衛隊の海外派兵が事実上可能になりま した。近い将来、たとえば中東で自衛隊員の戦死者が出るこ とも考えられます。その場合、国内ではどのような反応にな るでしょ - フか 柄谷否定的になるに決まっています。そもそも、戦地に 誰にとっても不幸で、喜ぶ 日本人が行っても役に立たない。 のは軍事オタクだけですよ。実際に戦争に行った世代が健在 なうちは、軍事オタクはいなかったけど、今は大臣にもウョ ウョいるでしょ - フ。 ■九条を守るのではなく、実行せよ ーー本書の結末部に、世界資本主義がその限界を露呈する近 い将来において、「日本がなすべきでありかつなしうる唯一 のことは、憲法九条を文字通り実行すること」だと書かれて います。九条の実行というのが本書の最もラディカルな主張 で、「九条を守れ」ではないんですね。 柄谷九条を守ることは簡単なんですよ。新聞には、安倍 政権が今度の選挙で改憲をしようとしている、と書いてある。 そんなわけがない。 改憲を争点とせずに選挙をやるに決まっ ています。しかし、そのようにして与党が選挙で三分の二の 議席を取って改憲法案を可決しても、その後に国民投票があ るのです。国民投票の投票率は参議院選挙のような五割程度 のしよばいものじゃなく、七、八割にはなる。そうしたら改 憲は否決されます。なぜなら、そのとき日本人の「無意識」 か出てくるから。 僕は昨年大阪で行われた、橋下徹の大阪都構想の是非を問 ( た土た土市内にい土した。ョ日も , フる う住民投票のときこ、 識 さく賛成投票を呼びかけていた。市はおそらく相当お金を使噫 ったでしよう。おかげで投票率が上がった。そして結果は反人 本 対多数で否決されたのです。しかしその後のダブル選挙では 大阪維新の会が勝っている。なぜかというと、投票率が下が ったからです。ふつう選挙に行くのは毎回決まった人だけで す。しかし大阪都構想のような案件ですら、一定の投票率を改 超えると集団的な無意識が出てくる。この本にも書きました が、集団的無意識は世論調査によって知ることができます。
らせる。つまり、投票用紙に鉛筆が向 かうその手の動きを凝視している。候 補者が「田中ーと「後藤」なら最初の 平沢勝栄と穀田恵ニの違いがわからない 書き順、筆の払い、画数等で誰に投票 なら無理をして投票所に行く必要はない したか見分けが付く。ここは強固な自 民党の基盤である。非自民の候補者に 入れたなら、すぐさま選挙人名簿の名 二歳の時から自社さ連立政権について 前の右上に小さく x 印のチェックをさ の一家言を持っていた私にしてみれば れ、仲間内で回覧される仕組みだ。お 遅すぎると言えるが、おおむね結構で 上に協力しない非国民には選挙後に制 はないか。だが結構であることと社会 裁が待っている。町内会の回覧板を回 的に妥当なことはイコ】ルではない。 さない、ゴミステ 1 ションを使わせな 私は小学生の時から「マッカ 1 サーを 、盆暮れ正月の祭事からは疎外され、爆殺せよ」などという物騒な架空戦記 しまいには「アカは出てけ」なる差出 に夢中になっていた特殊な人間だが、 人不明の脅迫封書が来る。私は不本意 ごくふつうの、郊外の戸建てやマンシ たったが、比例で自民党と書き、選挙 ョンに住み地元の公立高校に通う『涼 区でも与党の候補に入れた。村八分に 宮ハルヒの憂鬱』のキョン的学園生活 なるくらいならお上に従った方がマシ を送っている者からすれば、その歳か だ。それが初めての私の投票経験だっ ら政治になみなみならぬ興味を持っ様 たというのは嘘で、どこからが嘘な 子は奇観だ。この歳の青少年の強い関 のかといえば「北海道の片田舎」以下 心対象は、第一に性、次に進路、ゲ 1 からである。 ム、音楽、ネット動画、そして漫画と 十八歳選挙が実施されるという。十 アニメである。十八歳の高校生が「昨 今本邦議会ノ動向ハ : : : 」などとは言 わない。大学生でもまずバイトと単位 といかにしてセックスをするかに夢中 で、その歳で政治セイジセ 1 ジなどと 叫んでいるのは「中曽根政権をどう評 価するか」等と合コンの席上でまくし 立てる私のような先天的変人か、既に どこぞの党の青年組織に所属している 活動家予備軍のどちらかだ。 十八歳選挙権付与で、強制的に政治 のことを考え、投票に行かなくてはな 、という観念が支配しているの なら不幸だ。平沢勝栄と穀田恵一一の違 いかわからないなら無理をして投票所 に行く必要はない。若者の政治離れ ? 嘘である。どうせ下腹部がっきだし、 ガンマの数値が 200 を超え、 親分風を吹かせて新入社員をキャパク ラに連れて行くような歳になれば「俺 は〇党県議の CE ) と飲み友達だ」など と豪語するようになり、日経新聞を購 読して島耕作もどきの時事ウンチクを 語り出す。人の一生は重荷を負うて遠
とい - フ意味だっこ。 こんな体験談は、一般的な十八歳に それ以降、私の捉え方はだいぶ変わ は無意味だろう。しかしこの雑誌を読 った。自分のことを理解してくれるか、 むような十八歳は、おそらく「一般的 「議員を説得できなければ、世間は説得 くれないかという尺度では見なくなっ な」十八歳ではなかろう。もしかした できない」とある人に言われた 仮に無理解な見方にぶつかったと ら、何か響く読者がいるかもしれない。 きでも、「そうか、そういうふうに見そんなことを考えて、こんな体験を紹 わゆるロビイングだ。慣れた人たちに る人もいるんだな。その人に届く言葉介してみた。 ついていった。冷淡な対応も相変わら とはどんなだろう」と考えるようにな つ、」 0 ず多かったが、親身になって聞いてく 投票は、 れる秘書もいたし、議員本人と会えた その試行錯誤は、今も続いている。 無根拠な跳躍である 一生終わらないだろう。でも明らかに こともあった。慣れた人たちの対応を 変わったのは、楽しくなったことだ。 脇から見て、やり方も学んだ 茂木健一郎 ( 脳科学者 ) そのとき、ある人に言われた言葉が 語弊があるかもしれないが、ある種の ある。「議員を説得できなければ、世 ゲームのよう。「そうくるかそれな 間は説得できない」。議員たちは選挙らこれでどうだ」という感じだ。 十八歳になった君、おめでとう。法 で選ばれている。議員の先には有権者 政治は思ったより身近であり、個人律が改正されて、投票できるようにな 力しる : といっ ったね。 。いかに無理解に見えようとも、 的なことは政治的なことだ : それは世間の無理解の反映であり、そ た理屈があり、それは正しいナナ 投票所に行く。投票用紙に、意中の の議員の個人的資質だけの問題ではな 私自身はそういう理屈を知ってはいた 候補者や、政党を書く。迷うこともあ 。その人たちを説得できるだけのカ 、行動には結びつかなかった。行動 るけれども、選択する。 ( それは実態だったり、データだった に結びついたのは、実際に関わること そこで、君に考えてもらいたいこと を通して、またそれが面白くなったか り、論法だったり ) がなければ、世間 は、君の選択は、実は、本質的に無根 らだった。 は説得できず、活動は前に進まない 拠ナ ご、ということだ。理由などないの 、、 0
し」田じ , フ た現代において、すべての要求を満た せる人は、まずいないだろうと思う。 上の質問は、政治学者にいわせれば、 そもそも、民主主義や普通選挙は、 「そんな知識もないのに投票するのかー というレベルのはずだ。しかし政治学知識がない人でも意志決定に参加でき るというコンセプトだ。その前提にあ 者にも、「金融緩和と潜在成長率の関 るのは、政治参加を通じて人間は成長 係について述べなさい」といわれて、 できる、という可能性への信頼である 即答できない人も多いたろう。これま 十九世紀のイギリスでは、無知な民 、経済学者からみれば、「そんな知 衆に参政権など与えるべきではない、 おもないのに投票するのか」のレベル 一定以上の教育を受けた高額納税者に の質問のはずである。 ほかにも、文学者は文学者の、哲学限定するべきだ、という意見が多かっ た。それに対して普通選挙を支持する 者は哲学者の、科学者には科学者の、 「投票するならこれくらいの知識は持側は、参政権を与えなければ民衆は 知・無責任の状態にとどまってしまう、 っていてほしい [ という要求があるだ その方が国家にとって危険である、と ろう。しかし複雑化し、専門化が進ん を 前同作部 区内司 上 枚囲たの 3 齢 員年々なて立画慎い 誌 はれ件誌年 会 / 数まし足企辺さ の浜 く円に行版野だ / 紙たさ条人号 広圓他す発出 のまを 8 る当 6 覧 用ま刊同同番と光夏区内 キ 8 原 3 にれ 話こ義年立画係 - = ~ です ( 賞て家の ( を師 円詰品降さ靉電の羅 7 足企賞 会、、 4 版学 会ま費学け作 る万字作以表刳部名記陽 5 出文一三協い会文設全〒協ペ レ定百表日発場 3 氏明員 を家ムⅧ 家て家を「 規 4 発 1 にの一・ど委郎博刻る先。る家 、ヤ金募説未月誌こピ所な考一和表乍すり鈩べ乍 作し員作賞誌局作一 ジ賞応小の 1 雑。コ住歴選田尾発イ表送貶の当全集会全学刊す務浜全谷ホ ・募正「文季ま事鹿■ ・・・後年人品か略■豊横■銓発■〒 一全作家文学賞 作品募集 2016 年 12 月 31 日 締め切り 0 いう考えを持っていた 彼らによれば、無知な民衆であって も、一票を行使する機会を与えれば、 政治に関心が芽生え、自発的に学ばう とする機運が生まれる。そうした教育 の可能性を、普通選挙支持者は信じて なかには、無知な民衆の投票によっ て政治が乱れるのが心配なら、知的少 数者に複数投票権 ( たとえば五票 ) を という意見もあった。 与えればよい、 それでも、民衆に政治的関心を持たせ、 社会全体のレベルを上げるには、民衆 に参政権を与えるしかないというのが、 彼らの考えだった。 歹 18 歳の君が投票するとき考えて欲しいこと