ては , 確定した仕様書等の変更はできないとの記載が あった。要件定義サービスに関しては同年 6 月 20 日 に , コンサルティング契約が締結され , 同日 X は フィットギャップ分析報告書を提出し , Y はそれを 受領した。同年 11 月 12 日に X は Y にシステム確認 書 ( 要件定義書ともいう ) を提出し , Y はそれを検 収した。さらに , 同年 12 月 11 日に X は Y に対しシ ステム設計書を提出し , Y はそれを検収した。 システム設計書に基づき , X は構築サービスを開 始し , 16 年 2 月に Y に納品したが , Y にシステム不 具合等を指摘され , 本稼動に至らなかった。 Y に指摘 された不具合等を修正するため , X は同年 3 月に Y と追加カスタマイズ契約を締結し , その指摘に応じシ ステムを修正し , 検収を求めたが , Y にさらなる不 具合等を指摘され , 結局検収されるに至らなかった。 一連のやり取りの末 , 22 年 8 月に , Y は X に開発中 止の意向を伝えた。 23 年 5 月に x は Y に対し合意解 除されたことを前提とし , Y の債務不履行による損 害として , 精算金 ( つまり本訴請求分 ) の支払を求 め , 調停の申立を行ったが , 同年 9 月に , 調停が不 成立となった。そこで , X は提訴し , 契約代金と追 加要望に対応した分の実作業費用および遅延損害金を 請求した。反訴において , Y は既払金相当額の返還 と遅延損害金を請求した。 判旨 本訴請求の契約代金に関しては認容 , 追加要望に対応 した分の実作業費用に関しては棄却。反訴請求棄却。 「ソフトウェア開発においては , 当初の契約 の締結時には概括的にしか定まっていないシス テムの仕様について , その後の開発工程で本格的な仕 様確定作業を行い , その内容を合意することが予定さ れている。」「確かに , 本件提案書・・・・・・には , 現行シス テムの機能をすべて備える旨の記載があるものの・・・ 本件提案書を提示した段階において , 本件システムの 詳細を合意したものではない・・・・・詳細な仕様について は , その後の打合せにより確定することが当然に予定 されていたといえる。」 「請負型のソフトウェア開発契約においては , Ⅱ 原則として , 構築したソフトウェアについて ユーザーによる検収作業が行われ , 検収が完了するこ とにより , 仕事が完成したというべきであるが , 検収 June 2016 / Number 1494 のためにはユーザーの協力カ坏可欠であり , ューザー 108 [ Jurist ] が検収に協力をしないために , 検収を完了できない場 合には , べンダー側で検収前の作業を全て完了し , 構 築したソフトウェアが仕様確定作業により確定された 仕様を満たす状態で , ューザーにおいて検収できる状 態にしていれば , 請負の仕事の完成を認めるのが相当 である。」「合理的な理由なく検収を拒み続けたもので あるから , この点について , Y に債務不履行があっ たといえる。」 「 Y の債務不履行により , 本件システムの開 Ⅲ 発に関する本件基本契約及び本件各個別契約等 は , 最終的には合意解約を余儀なくされるに至ったの であり , このことにより , X は , Y との契約により 得られるはずであった代金を得られなかったのである から , 履行利益として , 原則として当初契約の金額の 請求を認めることができると解される。」 「本件において , 追加カスタマイズ契約の締 Ⅳ 結以後に , X は , 新たに追加費用の見積を 行っていないところ・・・・・・ , 注文者としては追加費用の 額によって追加要望を行うかどうかの判断を行うのが 通常であり , また , 受注者が追加要望の対応をサービ スとして行う場合も想定できる。そして , 商人間の取 引においては , 契約書面による合意を尊重すべきであ り・・・・・・ X が Y からの追加要望分について追加作業を 行ったとしても , その実作業費用相当額について , X は Y に対し , その負担を求めないものとして行動し ていたと評価することができる。」 「 X は , 遅くとも平成 19 年 2 月の時点では , 本件システムを完成させていたのであるから , X の債務が履行不能になったということはできず , X に債務不履行があったということはできない。」 評釈 概ね賛成するが , その理由付けに疑問もある。 1 システム開発実務においては , その仕様 が請負契約締結時に具体的に確定されず , 後の 両当事者間の交渉で定めていくという手法が多くみら れる。かような実務に対応して , 法的には , 基本契約 をまず締結し , 後に段階的に仕様が確定されるのに応 じてプロセスごとに個別契約によって義務内容を定め るという構成がよくみられる ( 東京地判平成 25 ・ 9 ・ 30 平成 23 年 ( ワ ) 第 38235 号参照 ) 。そこで , システ ム開発の具体的な金額や内容 , および納期等が , 必ず しも契約成立要件として必須の要件ではないと認めた
刑事 入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約し たゴルフ倶楽部会員において , 同伴者が暴力団 関係者であることを申告せずに同人に関するゴ ルフ場の施設利用を申し込み , 施設を利用させ た行為が , 刑法 246 条 2 項の詐欺罪に当たると された事例 最高裁平成 26 年 3 月 28 日第二小法廷決定 平成 25 年 ( あ ) 第 725 号 , 詐欺被告事件 / 刑集 68 巻 3 号 646 頁 / 第 1 審・名古屋地判平成 24 年 4 月 12 日 / 第 2 審・名古 屋高判平成 25 年 4 月 23 日 Nohara Toshiro 前最高裁判所調査官野原俊郎 事実 I . 事案の概要 1 本件は , 暴力団員である被告人が , ゴル フ倶楽部会員である共犯者と共謀の上 , 同倶楽 部が約款等により暴力団員の入場及び施設利用 を禁止しているのに , 共犯者において , 被告人 が暴力団員であることを申告せずに施設利用を 申し込み , 被告人が同伴者としてゴルフ場の施 設を利用したとして , 2 項詐欺罪に問われた事 案である。なお , 被告人は , 2 回にわたり , 配 下組員に指示し , 暴力団員で無職であるのに , 会社役員である旨記載した内容虚偽の申込書を 作成させてクレジットカードの会員契約を申し 込み , カードを騙し取った , という詐欺の事実 も併せて審理されたが , 以下ではゴルフ場利用 詐欺の事実に限り説明をする。 原判決が認定した犯罪事実の要旨は , 「被告 人は , B と共謀の上 , 長野県内のゴルフ倶楽部 において , 同倶楽部がゴルフ場利用約款等で暴 力団員の入場及び施設利用を禁止しているにも かかわらず , 真実は被告人が暴力団員であるの にそれを秘し , B において , 同倶楽部従業員に 対し , fA 〔注 : 被告人の氏が漢字 , 名がひら がなで記載されたもの〕』等と記載した組合せ 表を提出し , 被告人の署名簿へのその氏名の記 最高裁時の判例 帳を依頼するなどし , 被告人によるゴルフ場の 施設利用を申し込み , 同倶楽部従業員をして , 被告人が暴力団員でないと誤信させ , よって , 被告人と同倶楽部との間でゴルフ場利用契約を 成立させた上 , 被告人において同倶楽部の施設 を利用し , もって , 人を欺いて財産上不法の利 益を得た」というものである。 2 本件の事実関係は , 判文に説示されてい るとおりであるが , 重要と思われる点を挙げる と , 次のとおりである。すなわち , ①本件ゴル フ倶楽部では , 暴力団員及びこれと交友関係の ある者の入会を認めておらず , 入会の際には 「暴力団または暴力団員との交友関係がありま すか」という項目を含むアンケートへの回答を 求めるとともに , 「私は , 暴力団等とは一切関 係ありません。また , 暴力団関係者等を同伴・ 紹介して貴倶楽部に迷惑をお掛けするようなこ とはいたしません」と記載された誓約書に署名 押印させた上 , 提出させており , 共犯者 B も , 本件ゴルフ倶楽部の入会審査を申請した際 , 上 記アンケートの項目に対し , 「ない」と回答し た上 , 上記誓約書に署名押印して提出し , 同倶 楽部の会員となったこと , ②本件ゴルフ倶楽部 の約款では , 他のゴルフ場と同様 , 利用客は , 会員 , ビジターを問わず , フロントにおいて , 「ご署名簿」に自署して施設利用を申し込むこ ととされていたのに , 共犯者 B は , 施設利用 の申込みに際し , 被告人が暴力団員であること が発覚するのを恐れ , その事実を申告せず , フ ロントにおいて , 被告人ら同伴者につき , 「予 約承り書」の「組合せ表」欄に「 C 」「 A 」「 D 」 などと氏又は名を交錯させるなどして乱雑に書 き込んだ上 , これを同倶楽部従業員に渡して 「ご署名簿」への代署を依頼するという異例な 方法をとり , 被告人がフロントに赴き署名をし ないで済むようにし , 被告人分の施設利用を申 し込み , 会員の同伴者である以上暴力団関係者 は含まれていないと信じた同倶楽部従業員をし て施設利用を許諾させたこと , ③共犯者 B は , 施設利用の申込みの際 , 同倶楽部従業員から同 伴者に暴力団関係者がいないか改めて確認され [ Jurist ] June 2016 / Number 1494
の審査等取扱い及び指導要領 ( 消費者庁次長通知 ) を 見直し , 許可を受けた際に確認されている効果を超え る効果を類推させる表示・広告を一切禁止すること や , 適切な利用方法を利用者が適切に認識できるよう な表示・広告とすべきことを明記すべきこと , ( ⅱ ) 企 業が製品でアピールしたいことを製品表示や広告に記 載する場合は必ず国の健康政策・栄養政策として国民 に常に認識してほしい事項 ( 国の定めた定型文 ) と並 列して表示しなければならないといった一定のルール を設けることも示唆している。さらに , ( ⅲ ) 表示・広 告に関する制限の運用について , 表示許可を受ける事 業者が明確に理解できるよう具体例などを用いて , Q & A やガイドラインにおいて更なる明確化に努める べきこととされている。その他 , ③健康増進法による 監視機能を強化し , 栄養士やアドバイザリー・スタッ フなど第三者がサポーターとなるような仕組みの検 討 , 行政手続法 36 条の 3 や食品表示法 12 条 1 項の 申出制度の活用が更にされるよう , これらの申出制度 を , 消費者や上述の専門家などに周知することも有効 としている。 ④事業者・事業者団体による自主基準の強化や , 公 正競争規約による工夫が , 製造業者間で行われること も期待され , 適切かつわかりやすい利用対象者・使用 方法の表示・広告への明示などが求められている。わ かりやすい表現は , かえって誤認を生む可能性もある ため , 消費者の誤認を生まない形で行う必要がある。 そのため , 行政への相談や , 消費者団体も交えて一定 のルール作りを行うなどにより , わかりやすさと具体 性のバランスを十分に検討する必要がある。その際 , 現在の表示は , 販売促進を目的とした事業者目線で作 られる傾向にあるが , 表示は , 本来 , 消費者が適切な 商品選択を行うためのものであることを踏まえ , 一義 的に消費者が適切な商品選択に利用できる表示である ことが必要である。 ⑤もちろん , 消費者自身も正しい知識を取得して適 切な商品選択にそれを生かす必要があり , ( i ) 食育・ 消費者教育を通じた青少年向けの取組 , ( ⅱ ) テレビ等 を通じた高齢者向けの取組 , ( ⅲ ) 消費者ホットライン の一層の活用に向けた周知 , ( ⅳ ) 製造企業・流通・広 告の各業界関係者への啓発が重要である。 トクホの制度・運用については , 機能性表示 食品制度が導入されたことを踏まえ , 作用機序 等が曖味な場合に該当する「条件付きトクホ」が , 今 霞が関インフォ 後もトクホの一形態として存在する必要があるかが問 われる。 再審査制・更新制は , 大きな問題であるが , 差し当 たり , 再審査制の実効性確保のための体制整備等が求 められ , 更新制の代替として , 再審査の要件に試験水 準の大幅な変化が含まれることを明らかにし , その点 も踏まえて再審査の必要の有無を検討すべきであると している。今後は , 消費者委員会・食品安全委員会と も連携し , 新たな科学的知見を収集できる体制を充実 し , 事業者の報告と併せて分析を行うことで , 再審査 を行う必要があるか否かを科学的・中立的に判断する 体制を , 早急に整える必要がある。なお , 事業者・行 政双方の審査に係る負担を軽減するためにも , 規格基 準型の適用範囲を拡大することも必要であるが , 拡大 検討は , 有効性・安全性を確実に担保するために , 専 門家の意見を聴きつつ実施し , 基礎条件をクリアした ものを実際に規格基準化できるか否かを , 定期的に検 討する仕組みや体制も早急に確立すべきである , とし ている。 最後に , 製品の情報開示や成分等に関する情報提 供 , 特に国立健康・栄養研究所の自主事業として行わ れているトクホの製品情報提供は , 国の責任で情報公 開の義務化を行い , 販売中の全許可品について情報公 開すべきであり , 掲載すべき情報の形式や基準を国が 明確化し , 企業が混乱しないようにする必要がある。 消費者に対する情報であるだけに , 医療関係者や栄養 士といった専門家が , 消費者から相談を受けた際など にも利用できるよう , 関与成分同士や , 関与成分と医 薬品との相互作用情報について , 各種研究で公表され ている情報などの客観的情報を追加すべきことも求め られる。 機能性表示食品が市場に出始めたいま , トク ホ制度の在り方を抜本的に見直す良い機会であ る。もちろん , 機能性表示食品制度についても , 近い 将来 , 検証と改善が求められよう。今回の報告書並び に建議を参考にして , 「健康食品」と呼ばれる商品群 が , より消費者のニーズに合った品質・表示を確保で きるようになり , 市場から怪しげな健康食品が淘汰さ れていくことを心から期待したい。 [ Jurist ] June 2016 / Number 1494 57
の重大な変化には主に企業移転 , 吸収合併 , 企 業資産の移転が含まれると労働部 5 ) は考えてい る。さらに実務上 , 経営悪化による事業部門の 廃止も客観的状況の重大な変化の 1 っとして考 えられる。 2. 経済的人員削減による労働契約解除 41 条は , 経済的人員削減の法定状況の 1 つ に該当し , 削減人数が 20 人以上 , あるいは削 減人数が 20 人に満たないが , 会社の全従業員 数の 10 % 以上に該当する場合 , 一定の手続を 踏まえたうえ , リストラを行うことができると 規定している。法定状況は , 以下のとおりであ る。 法定状況 1 : 企業破産法の規定に基づいて会 社の再編を行う場合 法定状況 2 : 生産・経営に重大な困難が発生 した場合 法定状況 3 : 企業が事業転換 , 重大な技術革 新 , 経営方式の調整によって , 労働契約の変 更後もなお , 人員削減の必要がある場合 法定状況 4 : その他労働契約締結時において 根拠とした客観的経済状況に重大な変化が生 じ , 労働契約を履行することができなくなっ た場合 3. 会社清算による労働契約の終了 44 条 5 号では , 使用者が営業許可証を取り 消され , 閉鎖を命じられ , 登記が抹消された場 1 ) 世澤律師事務所パートナー 2 ) 世澤律師事務所パートナー。また , 「虎門中央法律事 務所世澤外国法事務弁護士事務所 ( 外国法共同事業 ) 」に 所属する外国事務弁護士である。なお , 本稿は , 世澤律師事 務所の徐開元中国律師 , 朱誉鳴中国律師からの協力を得た。 また , 本稿の執筆にあたって , 西村あさひ法律事務所の野村 高志弁護士から全面的かっ適切なアドバイスをいただいた。 3 ) 本稿論述の便宜上 , 特別な説明がないかぎり , 以降 条数のみの場合 , 「労働契約法」の関連規定を意味する。 4 ) 「労働契約法」は労働契約の継続履行を強調してお り , 例え持分譲渡したとしても , 会社からの一方的な労働契 約の解除を許容しない。したがって , 持分譲渡はリストラの カテゴリに入れない。また , 破産解散は , 清算解散と同じく [ Jurist ] June 2016 / Number 1494 36 合 , 又は使用者が繰上解散 ( 以下「清算」とい う ) を決定した場合 , 労働契約を終了する , と 規定している。したがって , 「公司法」及び会 社定款に規定する株主会 ( 株主総会 ) あるいは 董事会 ( 取締役会 ) が , 会社の清算を決定した 場合 , 会社は法に基づき , 従業員の労働契約期 間内に労働契約を終了することができる。 Ⅲ . リストラの法的手続及び留意点 リストラできる経営上の事由に法的根拠があ ると判断された場合 , その後どのような法的プ ロセスが必要とされるかについて , 以下検討す る。 1 . 客観的状況の重大な変化による 労働契約解除の法的手続 / 留意点 会社の客観的状況に重大な変化が生じ , 労働 契約を履行できない状況において , 会社は直ち に労働契約を一方的に解除することはできず , 労働者と協議のうえ , 労働契約を変更しなけれ ばならない。会社と従業員は労働契約の変更を 協議し , 合意に達した場合 , 双方は変更後の労 働契約を履行しなければならない。会社と従業 員が協議し , 合意できなかった場合 , 会社は労 働契約を一方的に解除することができる。 上記の労働契約の解除にあたっては , 会社は 30 日前に書面により労働者に事前通知しなけ ればならない。 30 日前に通知できない場合 , 1 カ月分の賃金を労働者に支払うことで , 事前通 44 条の適用となり , 法的手続が異なるが , 従業員対応の部 分においては , 類似のところが多い。 5 ) 「労働部による「労働法」の若干条項に関する説明」 ( 労弁発〔 1994 〕第 289 号 , 1994 年 9 月 5 日公布 , 1995 年 1 月 1 日施行 ) 26 条によれば , 本条の「客観的状況」とは不 可抗力又は労働契約の全部又は一部の条項を引き続き履行で きなくなる状況が生じた場合のこと , 例えば企業移転 , 吸収 合併 , 企業資産の移転等であり , かっ本法 27 条に掲げる客 観的状況を排除する。 6 ) 経済補償金の算出基準は法定されており , 基本的に は勤務年数が 6 カ月未満の場合は , 当該従業員の平均賃金 ( 直近 12 カ月の賃金総額の平均 ) の 0.5 カ月分 , 6 カ月以上 1 年未満の場合 , 当該従業員の平均賃金の 1 カ月分になる。
が国では債権保全のために , 差押・転付命令という手 続法上の手段が別途に講じられているわけで , これと 分けて債権者代位権を実体問題として性質決定する余 地は十分にあると考えられる。他方で詐害行為取消権 こうした二重構造は採用されていない。 を巡っては , このことを以て直ちに , 詐害行為取消権を実体問題と して位置付けることを否定するつもりはないが , 債権 者代位権は裁判外での行使も許容されるほか , 訴訟で 行使すれば債務者にも既判力が及ぶとするのに対し て , 詐害行為取消権については上述のとおりであるこ とも考え併せれば , 飽くまで相対的な視点ではある が , 詐害行為取消権を手続問題として捉える余地の方 が大きいように思われる。 Ⅱ . 外国不動産の抹消登記請求と 専属管轄条項の関係 本判決では , 本件贈与を取り消したうえで , フラン ス所在の本件不動産との関係で , 本件登記の抹消登記 手続にかかる請求も認容している。民訴法 3 条の 5 第 2 項では , 登記・登録に関する訴えについて , 登 記・登録地がわが国に所在する場合にわが国の専属管 轄を認めているが , 他方で登記・登録地が外国である 場合には , 他の管轄原因が存在する場合であっても , わが国には国際裁判管轄が認められないと解されてい る ( 佐藤達文 = 小林康彦編著・一問一答平成 23 年 民事訴訟法等改正 108 頁 ) 。本判決の中で直接の言及 はないが , 同条項との関係において , わが国が本件登 記の抹消登記手続にかかる請求につき国際裁判管轄を 有するかが問題となる。 この点に関して , わが国特許権の移転登録請求を認 容した韓国判決について , 当該請求がわが国の専属管 轄に服するとしてその執行を認めなかった事例がある ( 名古屋高判平成 25 ・ 5 ・ 17 平成 24 年 ( ネ ) 第 1289 号。評釈として横溝大「判批」ジュリ 1487 号 106 頁 , 申美穂「判批」平成 27 年度重判解 304 頁 ) 。 の事例では , 直接の適用はないものの , 民訴法 3 条 の 5 第 2 項に依拠して , 同条項新設以前に既に , わ が国特許権の登録に関する訴えをわが国の専属管轄と すべき旨の条理が存在していたとの論旨を展開してい こうした考え方を敷衍すると , 本事案において るが , も , わが国裁判所は本件登記の抹消登記手続の履践を 命じ得ないことになりそうである。同条項には , 義務 者に対する登記・登録の手続をすべきことの意思表示 [ Jurist ] June 2016 / Number 1494 126 を求める訴えや登記・登録の義務の積極的・消極的確 認を求める訴え等が含まれるとされる ( 佐藤 = 小林 編著・前掲 107 頁 ~ 108 頁 ) が , 本事案を念頭に置 いたうえで , 実体法上の権利義務関係の変動を登記・ 登録に反映させる行為を請求する訴えも同条項の射程 に含まれるとの見解が提唱されている ( 西谷・前掲 297 頁 ) 。 他方で , 民訴法 3 条の 5 第 2 項新設前の裁判例を みると , 外国知財権の登録手続の履践を請求した訴訟 において国際裁判管轄の有無を問題とせず本案審理を 行った事案がある ( 東京高判平成 6 ・ 7 ・ 20 知的裁集 26 巻 2 号 717 頁 , 東京高判平成 16 ・ 8 ・ 9 平成 16 年 ( ネ ) 第 1627 号 ) 。民訴法 3 条の 5 第 2 項を巡っては , 登録型の知財権を念頭に立法段階で既に批判が見受け られた ( かかる批判の詳細は横溝・前掲 107 頁 ~ 108 頁を参照 ) こと等も踏まえると , 権利の成立や消滅に 関する登記・登録請求であれば兎も角 , 既に成立して いる権利を巡る移転登記・登録は私人間の実体的な権 利関係に基づいて行われるわけで , わが国が基礎とな る実体的な法律関係について管轄権を有する以上は , その必然的結果として生じる登記・登録義務を認定 し , 当事者に対して外国での手続履践を命じたとして も , 当該外国の公益との関連で大きな支障は生じない と考える余地もあろう。 私見では , 前者の見解に従い , 本件登記の抹消登記 手続にかかる請求について , わが国の国際裁判管轄を 否定し訴えを却下すべきであったと考える。殊に詐害 行為取消訴訟に関しては , ①私見の如く , 詐害行為取 消権を訴訟・執行手続と密接に連動する制度として捉 えるのであれば , 詐害行為として不動産の譲渡が問題 とされる場合には , 不動産がわが国に所在するときに 限定してその国際裁判管轄を肯定するのが , 考え方と して一貫すること , ②詐害行為取消権の準拠法に関す る法廷地法説 ( 前述 I における C 説 ) の難点として , フォーラム・ショッピングの誘発リスクが指摘される こうしたリスクを回避するためにも , わが国の国 が , 際裁判管轄を極力厳格な要件の許に認めるのが適当で あること , の 2 点を補強材料として追加的に提示し 得ると考える。 ( 追記 ) 本稿は JSPS 科研費 ( 25 開 56 , 15H01927 ) および KDDI 財団調査研究助成による成果の一 部である。
皿実務上の方策 がある。強制執行手続は , 対象となる財産の所 在地の裁判所が管轄するため , 「ホーム」であ 1 . 日本の裁判所の管轄権の確保 る日本の裁判所による強制執行を実現するため 本件のように , 「ホーム」である日本の裁判 には , 日本に差押え可能な価値ある資産を有す 所を通じて中国企業等の外国企業からの代金な る者を被告として , 訴訟を提起する必要があ いし債権回収を実現するためには , ーっには , る。 日本の裁判所に管轄権が認められる必要があ 本件において , 筆者は , 強制執行の場所を重 視して , 法的手続を選択した。選択肢として る。 本件のように信用状において , あるいは , 売 は , Y に対する信用状に基づく請求の他に 買等の契約書において , 義務履行地を日本国内 石炭の買主である中国企業 A に対する売買契 と定めることができれば , 義務履行地管轄 ( 民 約に基づく請求もあった。後者による場合 , 当 訴 3 条の 3 第 1 号 ) の根拠となる。 該中国企業 A は日本に資産を有していなかっ たため , 中国の裁判所を通じた強制執行手続が また , 義務履行地管轄以外にも , 外国企業に 必要になることが想定された。筆者は , 日本で 対する日本の裁判所の管轄権の根拠としては , 例えば , 支店所在地管轄 ( 同条 4 号 ) 及び 強制執行を行うことができることを重視し , 信 用状のディスクレバンシーが争点になることが 「 doing business ( 日本において事業を行って いること ) 」管轄 ( 同条 5 号 ) が考えられる。 予想されたものの , 前者を選択した。 なお , 日本における強制執行の可否につき留 支店所在地管轄につき , 民訴法 3 条の 3 第 4 号は , 「事務所又は営業所を有する者に対する 意するべきこととして , ーっには , 法人格の異 訴えでその事務所又は営業所における業務に関 同がある。例えば日本にある資産が子会社名義 するもの」は , 「当該事務所又は営業所が日本 である場合には , その親会社に対して勝訴判決 国内にあるとき」は , 日本の裁判所に提起する を得ても , 当該資産につき強制執行をすること はできない。訴訟及び強制執行の手続におい ことができると定めている 「 doing b 。、。。、」管轄 0 き , 民訴法 3 条 て , 法人格の違いは決定的である。対応策とし の 3 第 5 号は , 「日本において事業を行う者」 ては , 日本に資産を有する子会社を取引窓口 ( 取引の相手方 ) とするか , あるいは , 当該子 に対する訴えは , 「当該訴えがその者の日本に 会社を連帯保証人にすることが考えられる。 おける業務に関するものであるとき」は , 日本 また , 日本に何ら拠点を有しない者であって の裁判所に提起することができると定めてい も , 日本国内に所在する企業に対して売掛金を る。 有する場合には , 日本に資産がある者となり得 本件では , Y 東京支店が信用状の発行に関 ることにも留意するべきである。すなわち , 与しておらず , Y が日本国内で行ったことは , のような売掛金については , 第三債務者が日本 邦銀を通じて信用状の開設を X に通知した程 に所在するとして , 日本の裁判所を通じて強制 度であった。このような場合には , 上記の支店 執行手続を進めることが可能だからである 14 ) 。 所在地管轄及び「 doing business 」管轄はいず れも認め難いが , これと異なり , 日本支店の関 3. 信用状 (Letter of Credit) の価値 与や , 日本国内での事業といえる行為がある場 外国企業との取引においては , 多くの場合 , 合には , これらの管轄が認められ得る。 契約書において紛争解決条項が置かれるとこ 2. 日本に資産がある者を被告とする方策 ろ , 当該条項において日本の裁判所の管轄権を 定めることは , 外国企業が容易には応じないこ 代金ないし債権回収は , 勝訴判決を得るだけ とが多い。交渉の結果 , 紛争解決条項におい では終わらず , 強制執行まで視野に入れる必要 [ Jurist ] June 2016 / Number 1494 72
、 ~ 、。有斐閣 〒 10 ト 851 東京都千代田区神田神保町 2 ー 17 Tel : 03 ー 3265 ー 6811 / Fax : 03 ー 3262 ー 8035 ( 営業部 ) ※表示価格は税別です。 ・出版案内・ http:〃www.yuhikaku.co.jp/ 現代社会への憲法学からの問題提起 まついしげのり 松井茂記編著 プリティッシュ・コロンビア大学教授 スターバックスでラテを飲みながら憲法を考える 四六判並製カノヾー付 320 頁 ・ 2 , 300 円 + 税 978-4 ー 641-22705 ー 7 ( 発売中 ) 1955 年前後生まれの憲法学者か , 現代社会に生起する憲法問題 , これから向き合うことに なるであろう憲法問題を自由に論じる。あたかもスターバックスでラテを飲みながら考え議 論するような雰囲気のもと , さまざまな問題提起がなされ , 知的好奇心を刺激する。 目 次 安らかに死なせてほしいーーー尊厳死の権利および安楽死の権利 / 松井茂記 2 死者の個人情報の行方一一死者とプライバシーの権利 / 渋谷秀樹 3 憲法はアイヌ民族について何を語っているかー一個人の尊重と先住民族 / 常本照樹 4 イメージー枚で四億円 ? -- ーチャイルド・ポルノグラフィ抑止の値段と表現の自由 / 紙谷雅子 5 集会をどこでするかー - 集会・表現の自由とその行使場所 / 内野正幸 6 「全国民の代表」とは何かーー国会議員の地位 / 赤坂正浩 7 Short, TaII, Grande, or Venti ? ーー - 現代の行政権 / 棟居快行 8 顔ぶれが変われば憲法判例も変わる ? - ー - 憲法判例と最高裁裁判官人事 / 市川正人 9 裁判のことを知っていますか ? 「裁判の公開」原則は裁判情報を伝達する役割を 果たしているか / 笹田栄司 10 集団的自衛権は放棄されたのかーー憲法九条を素直に読む / 安念潤司 11 国王も神と法の下にある一一「絶対王政」対「法の支配」 ? / 長谷部恭男 さあ , こから , 一歩先へ ! ( 5 月下旬発売 ) かたぎりなおと いのうえたけしおおばやしけいご 片桐直人・井上武史・大林啓吾著 大阪大学准教授・九州大学准教授・千葉大学准教授 するチェックポイントを要所に置くなど , 知識の定着にも工夫を凝らしている。 平明であるが , 法学的な思考や文体にも慣れるよう配慮されている。また , 学習内容を確認 高校までの学習から一歩進み , 自分のカで「考える」ことを意識した憲法の入門書。文章は 978 ー 4-641 ・ - 1 3196 ー 5 2 , 200 円 + 税 318 頁 一歩先への憲法入門・ A 5 判並製カバー付 へ 目 次 Unit 0 ガイダンス Unit 1 憲法とは何か Part 1 統治機構 Unit 10 裁判所 ( 2 ) 司法権の限界 Unit 1 1 地方自治 Unit 12 戦争放棄と自衛隊 Part 2 基本的人権 Unit 2 Unit 3 Unit 4 Unit 5 Unit 6 Unit 7 Unit 8 Unit 9 統治総論 国民主権 天皇 選挙制度・選挙権 国会 ( 1 ) 議員と議院 国会 ( 2 ) 活動と地位 内閣 我判所 ( 1 ) 司法権 Unit 13 Unit 14 Unit 15 Unit 16 Unit 17 Unit 18 Unit 19 人権保障の仕組み 思想・良心の自由 信教の自由 政教分離 表現の自由 ( 1 ) 重要性 表現の自由 ( 2 ) 規制 表現の自由 ( 3 ) 知る権利 Unit 20 Unit 21 Unit 22 Unit 23 Unit 24 Unit 25 Unit 26 Unit 27 Unit 28 Unit 29 集会・結社の自由 職業選択の自由 財産権 刑事手続上の権利 生存権 教育を受ける権利 勤労の権利と 労働基本権 平等原則 自己決定権 プライバシーの権利
ContentS— REBUILDING 。彡 Page 連載 国際ビジネス紛争 処理の法実務 国際裁判管轄 ( 2 ) 一義務履行地管轄・支店所在地管轄 ・ dOing business 管轄 道垣内正人・古田啓昌 66 INTRODUCTION 国際裁判管轄一義務履行地管轄 67 前田康行 義務履行地管轄・支店所在地管轄・ 70 関戸麦 dOing business 管轄 消費者委員会一 霞が関インフォ 56 河上正ニ トクホ食品の在り方に関する建議について 民事根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権の譲渡 最高裁時の判例 が元本確定期日前にされた場合に譲受人が保証債務の履行を求めること の可否ー最ニ小判平成 24 ・ 12 ・ 14 畑佳秀 74 民事公序良俗に反する無効な出資と配当に関する契約により給付を受 けた金銭の返還につき , 当該給付が不法原因給付に当たることを理由とし て拒むことは信義則上許されないとされた事例 最三小判平成 26 ・ 10 ・ 28 畑佳秀 78 民事遺言者が自筆証書である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行 為が民法 1024 条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し遺言 を撤回したものとみなされた事例ー最ニ小判平成 27 ・ 1 1 ・ 20 飛澤知行 83 刑事暴力団関係者の利用を拒絶しているゴルフ場において暴力団関係 者であることを申告せすに施設利用を申し込む行為が詐欺罪にいう人を 欺く行為に当たらないとされた事例ー最ニ小判平成 26 ・ 3 ・ 28 野原俊郎 86 刑事入会の際に暴力団関係者を同伴しない旨誓約したゴルフ倶楽部会 員において , 同伴者が暴力団関係者であることを申告せすに同人に関する ゴルフ場の施設利用を申し込み , 施設を利用させた行為が , 刑法 246 条 2 項 の詐欺罪に当たるとされた事例ー最ニ小決平成 26 ・ 3 ・ 28 野原俊郎 91 第 3 回
◆最新刊 理論刑法学の探究⑨ ー端・浅田・山口・井田編 <LO 並製 / 134 頁 / 1500 円 す , き最高の学術的水準をもって展開する議論のフォーラム。 抜 x 〈論文〉太田達也「死刑と終身刑」 / 永田憲史「死刑執行始末書の分析」 税 / 本庄武「裁判員制度と死刑の適用基準」 / 十河太朗「承継的共犯論の 現状と課題」 / 髙橋直哉「承継的共犯論の帰趨」 / 小林憲太郎「共犯関 格倒係の解消について」〈書評〉濱田新・末道康之〈外国論文紹介〉 品田智史・嘉門優・仲道祐樹 去税た 島の連帯とリスクガバナンスっヒの「 鶴 0 4 ↑土不・、、 / 弋 3 り 田話 C-@D/欧州諸国が、金融・財政危機、難民・移民危機、テロリ 稲電ズムなど多様かっ深刻なリスクに直面し、崩壊の危機が懸 しる見 : 早怛念されるなかで、喫緊の課題に答えようとする共同研究の成果。 】牛去を 宿℃ 新 京 響永住市民の人権え第 人権を巡る歴史を踏まえたうえで法理論を徹底し、憲法学・行 慚く現思 政法学で扱われる外国人の人権について検討する。判例・通説 らな 考法 の常識を疑い、外国人の人権問題について再考を迫る研究書。 をの 〒 c ワ司刊問 刑法原亠 正豐を <LO 上製 / 698 頁 / 6500 円 曽根威彦著 政子 刑法に関する理論体系的思考を踏まえたうえで、論理的に整合 性のある形で解釈論上の個別問題の具体的解決を図る。刑法の 特色・性質を根本に遡って原理的観点から論述した体系書。 冫キ川 ◆好評書 学 ー紛争解決の基本ルール ー〔第 2 版〕 て < 国際取引紛争 えら <LO 並製 / 300 頁 / 2800 円 中村達也編著 え & 妙 国際取引法を学ぶ学生のほか、国際取引の実務を担当するビギ 、′キ ナーを対象として、国際取引紛争解決のためにさらに内容をア お a 、冫 ップデイトし、必要な基本ルールを分かり易く解説する概説書。 〒 171 ー 8516 東京都豊島区南長崎 3 丁目 1 6 番 6 号 http://www.kajO. CO. jp/ TEL ( 03 ) 3953 ー 5642 FAX ( 03 ) 3953 ー 2061 ( 営業部 ) 工日爪加除出版
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