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検索対象: 不動産法律セミナー 2015年10月号
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1. 不動産法律セミナー 2015年10月号

「新版表示に関する登記の実務第 5 巻」 ( 日本加除出版 ) 164 頁 ~ 166 頁 ) 。結果として , 当 該居宅は , 一棟の建物の 2 階部分及び 3 階部分に存する 2 階建の区分建物として取り扱うこと になる。 < 注 > 昭和 46 ・ 4 ・ 16 民三 238 号通知 3 ・ ( 7 ) ・③「 1 階と 2 階を区分した場合」の図につ いて 上記先例の図については , それがどのようなことを説示するためのものであるのかが書 かれていないので , 誤解を生じることがあるが , 当該図は , 「 2 階建の建物を 1 階部分と 2 階部分とに区分した場合において , 2 階部分への階段の下を 1 階部分の所有者が物置とし て利用している場合には , 一室の一部が天井の高さ 1.5 メートル未満であっても , その部分 は , 当該一室の面積に算入するものとされている ( 準則 82 条 1 号ただし書 ) ところから , 当該階段部分は全部 1 階の専有部分として取り扱うものとする。」ということを説示するた めのものである。この先例が出された当時 , 当該階段部分を 1 階の床面積に算入するのか 2 階の床面積に算入するのか問題となったが , 法務省は , 当該階段部分は全部 1 階の専有 部分として取り扱うこととした ( 「精解設例不動産登記添付書面 ( 下 ) 」 ( 日本加除出版刊 ) 574 頁 ~ 576 頁 , 著者は , 元地方法務局長 ) 。なお , この先例の図における斜線は , 「専有部 分」を示すものである。すなわち , 建物の区分所有等に関する法律上の「専有部分」とは , 区分所有権の目的となる建物の部分のことであり ( 区分法 2 条 3 項 ) , 一棟の建物のある部 分が , 誰の専有部分になるのかという問題と ( 上記先例 ) , 不動産登記法上 , 当該部分を階 数及び床面積に算入するかどうかという問題 ( 本問 ) とは別問題であるので , この点にも 注意されたい。したがって , 本稿では , 本問における事例 ( 論点 ) に相当する先例として , 昭和 38 ・ 10 ・ 22 民甲 2933 号回答を紹介している。 4 土地の所有権を乙山一郎名義のままとするための手続 専有部分と敷地利用権が一体化されるのは , 敷地利用権が共有形態の場合であり , 区分所有 者が敷地利用権を単独で有しているときは , その敷地利用権は , 専有部分と一体化されない。 ただし , 敷地利用権が単独で有する権利であっても , その者が建物の専有部分の全部を所有す る場合には , 専有部分と敷地利用権は分離して処分することができないとされている ( 区分法 22 条 1 項本文 , 3 項 ) 。 仮に , 本件建物の区分の登記をする場合に , 何らの手続をとらないとすると , 建物の敷地で ある 5 番 27 の土地の所有権が敷地権となり , 区分後の各建物の敷地権の割合は , 当該各建物の 床面積の割合 ( いわゆる法定割合 ) となる ( 区分法 22 条 3 項 , 2 項本文 ) 。その後 , 区分後の 共同住宅について , 会社への所有権移転の登記をすることにより , 敷地権 ( 共同住宅に係る土 地の共有持分 ) は , 会社へ移転されたこととなってしまう ( 法 73 条 1 項本文 ) 。 このような事態を避けるためには , 専有部分と敷地利用権を分離して処分することができる 旨の規約を設定しておく必要がある ( 区分法 22 条 3 項 , 1 項ただし書 ) 。なお , 本問の乙山一 郎は , 「最初に建物の専有部分の全部を所有する者」に該当するので , 公正証書によって分離 処分可能規約を設定しなければならない ( 区分法 32 条 ) 。 不動産法律セミナー ノの 2 硼 5

2. 不動産法律セミナー 2015年10月号

土地家屋調査士 第 22 問 く出題の趣旨 > 本問は , 非区分建物を共同住宅部分と居宅部分の 2 個の専有部分に区分する建物の区分の登記 の申請情報及び添付図面の作成に関する問題であり , また , 区分建物とその敷地利用権との分離 処分禁止の原則及びその例外 ( 分離処分可能とするための区分所有法上の手続 ) の理解を問うも のである。 < 解答へのアプローチ > 1 建物の区分の登記 建物の区分の登記とは , 表題登記がある建物又は附属建物の部分であって区分建物に該当す るものを登記記録上区分建物とする登記をいうものとされている ( 法 54 条 1 項 2 号 ) 。一棟の 建物において , 構造上区分された数個の部分で独立して住居 , 店舗 , 事務所又は倉庫その他の 建物としての用途に供することができるものがある場合には , その各部分は , 各別にこれを 1 個の建物として取り扱うものとされているが , 所有者が同一であるときは , その所有者の意思 に反しない限り , 一棟の建物の全部又は隣接する数個の部分を 1 個の建物として取り扱うもの とされている ( 準則 78 条 2 項 ) 。 本問では , 本件建物の所有権の登記名義人である乙山一郎が , 共同住宅部分につき会社名義 としたいとの希望を有していることから , 会社への所有権移転の登記の前提として , 共同住宅 部分と居宅部分の 2 個の建物に区分する登記を申請することとなる ( 法 54 条 1 項柱書 , 2 項参 照 ) 。 2 専有部分 ( 区分建物 ) の床面積 建物の床面積は , 各階ごとに壁その他の区画の中心線 ( 区分建物にあっては , 壁その他の区 画の内側線 ) で囲まれた部分の水平投影面積により , 平方メートルを単位として定め , 1 平方 メートルの 100 分の 1 未満の端数は , 切り捨てるものとされている ( 規則 115 条 ) 。 したがって , 専有部分の床面積を算出するには , 壁の内側線を基準としてしなければならな 3 階層的区分建物の玄関部分を専有部分の床面積に算入することの可否 本件建物のように , 3 階建の非区分建物を , 1 階の共同住宅部分と 2 ・ 3 階の居宅部分の 2 個の専有部分として階層的に区分した場合において , 居宅専用の出入口 ( 玄関・エントランス 等 ) 及び階段室・エレベーター室等が , 専有部分 ( 居宅 ) の一部となるのか , すなわち当該居 宅の床面積に算入すべきかどうかが問題となる。 構造的には , 本件建物の 1 階の玄関部分は , 2 階・ 3 階部分にある居宅の専用玄関であるこ とは , 紛れもないところである。しかし , 問題の見取図には , 「玄関」としてしか表示されて いない。よって , この玄関部分 ( 当然のことながら 2 階へ行くための階段も設けられているも のと思われる。 ) は , 単に居宅部分へ通ずる空間としてのみ利用されており , 専有部分の一部 ではあるが , 不動産登記法上の建物としての用途性 ( 人貨滞留性 ) が認められないことから , 居宅部分の階数及び床面積に算入しないことになる ( 昭和 38 ・ 10 ・ 22 民甲 2933 号民事局長回答 , ノの 2075 不動産法律セミナー

3. 不動産法律セミナー 2015年10月号

が水によって覆われている土地であっても , 一般的には私権の客体となりうる。 甲土地の東側部分は , 悪水はいせつ用の機 能を果たす水路の新設工事を完成させた部分 ( 河川法が適用又は準用される河川ではな い。 ) は , 支配可能性があるので ( 悪水はい せつ用の水路は , 準則 68 条 16 号の規定により その土地の地目は , 「用悪水路」と定めるも のとしている。 ) , 登記の対象となる。 ( 2 ) 登記の申請書 登記の対象となることが判れば , 登記申請 書の登記の目的は , 「土地一部地目変更・分 筆登記」と記載することができる。先に記述 したように河川法が適用または準用される河 川の流水下の土地となったものではないから , 土地の一部が滅失したとして , 土地の地積変 更の登記を申請してはならない。申請書の記 載については , 特段難しいものはないから ( 詳細は解説を参照されたい。 ) 合格レベルに ある受験者には , 平易なものであろう。 ( 3 ) 計算及び図面の作成 土地の問題の計算内容としては , 基本的な 放射法による座標値の計算と , 図形の性質 ( 相似 ) を利用した筆界点の座標値を求める 問題であり , 計算としては容易である。 最近の計算問題の傾向としては , ( 計算量 の多い座標の調整計算などは必要がなく , ) 関数電卓の複雑な計算機能 ( 例えば , 複素 数 ) を利用しなくとも , 容易に計算ができる ものとなっている。反面 , 三角形の性質等の 理解や三角関数表の利用の方法の理解など , 基本的な測量計算の理解が必要となっている。 図面の作成については , 作図が複雑なもので はないから , 記述しやすいと考える。また座 標値が判らなくても , 与えられた座標値をプ ロット ( 展開 ) して , 図面を作成することが できる。 ノ 0 / 2 硼 5 土地家屋調査士 2 建物の記述式問題 ( 第 22 問 ) につ いて ( 区分 ) 建物に関する問題は , 土地及び建物 を所有する所有権の登記名義人が , 複数棟の共 同住宅を所有することから , 会社を設立し , そ の会社に共同住宅の所有権を譲渡し , 所有権の 移転の登記をすることにした場合の , 居宅兼共 同住宅を別個の建物とする建物の区分の登記に 係る問題である。 ( 1 ) 論述式問題 問 1 で , 登記に係る建物の共同住宅部分の 所有権のみを会社に譲渡し , 居宅部分及びそ の敷地である土地の所有権は全て自己名義の ままにしておきたいという希望を受けた場合 に , 登記の申請に際して必要な区分所有法上 の手続について , 教示する内容を問われてい るが , 区分所有法 22 条 1 項 ( 専有部分とその 敷地利用権の分離処分禁止 ) の規定の理解が あれば , 同条ただし書の分離処分可能規約の 定めをすることが必要であることが判かるで あろう。なお , 登記の申請書には , 分離処分 可能規約を証する書面を添付しなければ , 登 記官は , 敷地権があるものとして , 登記をす ることとなる ( 昭和 58 ・ 11 ・ 10 民三 6400 号通 , 3 及び同通達第九 , 一 , 1 ) 。 達第一 ( 2 ) 建物の階数 1 階に , 共同住宅部分及び居宅部分専用玄 関が , 2 階及び 3 階に居宅部分が , それぞれ 配置されている。居宅部分専用玄関には , 2 階及び 3 階に入るための階段等が収容されて いると思われるが , ( 平面図 ( 現況図 ) の抜 粋には表示されていない。 ) そうすると当該 専用玄関は , 単に居宅部分に通ずる空間とし てのみ利用されており , 専有部分としての用 途性 ( 人貨の滞留性 ) が認められないことか ら , 居宅部分の階数及び床面積に算入しない こととなる ( 昭和 38 ・ 10 ・ 22 民甲 2933 号回答 ) 。 ( 3 ) 登記の申請書 一棟の建物を , 居宅部分と 登記の申請は , 共同住宅とを別個の区分建物とする登記の依 不動産法律セミナー

4. 不動産法律セミナー 2015年10月号

土地家屋調査士 ・第 22 問解答例① 第 1 欄登記申請に際して必要な手続 本件建物を区分すると専有部分とその敷地利用権が分離処分禁止となり , 当該敷地利用 権は敷地権となってしまうので , 公正証書により分離処分可能規約を設定し , 分離処分禁 止とならない ( 又は「一体化しない」 ) ようにする必要がある。 ( 別解 ) 本件建物のうち , 共同住宅部分の所有権のみを会社に譲渡して所有権の移転の登記をす るためには , 敷地権のない建物になるように区分の登記をしておく必要がある。そこで , 第 2 欄平成 27 年 8 月 21 日に申請した登記の申請書 分離処分可能規約を設定し , 当該規約を添付情報としなければならない。 登記の目的 添付情報 建物区分登記 建物図面 各階平面図 規約証明書 ( 規約設定証明情報 ) 代理権限証書 ( 代理権限証明情報 ) 平成 27 年 8 月 21 日申請 A 地方法務局 申 代 ⅱ月 理 人 人 ( 略 ) ( 略 ) ノ 0 / 2075 不動産法律セミナー

5. 不動産法律セミナー 2015年10月号

土地家屋調査士 く答案作成のポイント > 問 1 登記申請に際して必要な手続 < 解答へのアプローチ > の 4 を参照のこと。 問 2 申請情報の作成 ( 1 ) 登記の目的 ( 令 3 条 5 号 ) 区分建物と敷地利用権を分離して処分することができる旨を定めた規約証明書を申請 ③規約証明書 ( 令別表 12 項・添付情報欄へ・②類推 ) 情報と併せて提供しなければならない。 建物の区分の登記を申請するときは , 区分後の各建物の建物図面及び各階平面図を申請 ②各階平面図 ( 令別表 16 項・添付情報欄イ ) ①建物図面 ( 令別表 16 項・添付情報欄イ ) ②添付書類 ( 規則 34 条 1 項 6 号 ) ならない点については , < 解答へのアプローチ > の 1 を参照のこと。 「建物区分登記」と記載する ( 法 54 条 1 項 2 号 ) 。本問で建物区分登記を申請しなければ ③区分した建物の表示欄 ( イ ) る委任状を提供する。 土地家屋調査士民事花子が , 乙山一郎から登記申請の代理権限を授与されたことを証す ④代理権限証書 ( 令 7 条 1 項 2 号 ) 情報と併せて提供しなければならない。 < 解答へのアプローチ > の 4 を参照のこと。 いては , その存する階層を「 1 階部分〇〇」と記録する取扱いである。「原因及びその日 がなく , その階数は「 1 階建」と記載する ( 準則 81 条 3 項参照 , 90 条 ) 。床面積の表示にお 建物で 1 階部分に存するものであるから , 構造の表示においては屋根の種類を記録する必要 ( ロ ) 部分 ( 共同住宅部分 ) の家屋番号 , 種類 , 構造及び床面積を記載する。階層的区分 ④区分した建物の表示欄 ( ロ ) その「原因及びその日付」欄に , 「記載不要」と記載する。 敷地権の表示欄に記載すべき事項はない ( 敷地権は発生しない ) から , 問題の指示により , 行目には , 「 5 番 27 から区分」と , それそれ区分の経緯を記載する ( 準則 97 条 , 96 条 ) 。 「原因及びその日付」欄の 1 行目には , 「 5 番 27 の 1 , 5 番 27 の 2 に区分」と , 当該欄 2 る取扱いである。 床面積の表示においては , その存する階層を「 2 階部分〇〇元 3 階部分〇〇」と記録す の種類を記録する必要がなく , その階数は「 2 階建」と記録する ( 準則 81 条 3 項参照 , 90 条 ) 。 階層的区分建物で 2 階及び 3 階部分に存するものであるから , 構造の表示においては屋根 ならない ( 規則 34 条 1 項 3 号 ) 。 されたい。建物図面及び各階平面図との関連を明らかにするための符号をも記録しなければ 面積を記載する。区分建物の床面積の算定については , < 解答へのアプローチ > の 2 を参照 ねることができる。また , 次行に , ( イ ) 部分 ( 居宅部分 ) の家屋番号 , 種類 , 構造及び床 ついては , 一棟の建物の所在の記載 ( 本問において解答事項とされていない。 ) をもって兼 1 行目には , 区分前の建物の家屋番号 , 種類 , 構造及び床面積を記載する。所在の記載に ノの 20 ノ 5 不動産法律セミナー

6. 不動産法律セミナー 2015年10月号

土地家屋調査士 有権が当該区分建物の敷地権とならないときは , 添付情報として , 当該規約の定めを証す る情報を提供しなければならない。 イ甲上地及び乙土地を法定敷地として登記されている敷地権付き区分建物について , 甲土 地に建築されている建物部分を取り壊したことにより , 甲土地の上に建物が存在しないこ とになった場合には , 甲土地について敷地権であった権利が敷地権でない権利となったこ とによる建物の表題部に関する変更の登記を申請しなければならない。 ウ規約により所有権が建物の敷地権である旨の登記がされている土地について , 当該規約 が廃止されたことにより当該所有権が敷地権でなくなった場合には , そのことによる表題 部の変更の登記は , 当該土地の所有権の登記名義人が申請することができる。 ェ甲区分建物の法定敷地として登記されている土地について , 甲区分建物が属する一棟の 建物に属さない乙区分建物の敷地とする規約を設定したときは , 敷地権の発生を原因とす る乙区分建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。 オ登記官は , 敷地権についてされた登記としての効力を有する抵当権の設定の登記がある 敷地権付き区分建物について , その専有部分と敷地利用権との分離処分を可能とする規約 を設定したことにより敷地権の変更の登記をする場合において , 当該変更の登記の申請情 報と併せてその抵当権の登記名義人が当該敷地権の目的であった土地について当該抵当 権を消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときであっても , 当該承諾 に係る土地について当該抵当権が消滅した旨を登記することはできない。 1 ア工 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 ウォ 第 17 問共用部分である旨の登記に関する次のアからオまでの記述のうち , 誤っているものの組合 せは , 後記 I から 5 までのうち , どれか。 ア所有権の登記のある建物についてする共用部分である旨の登記は , 当該建物の所有権の 登記名義人以外の者は , 申請することができない。 イ表題登記のある建物について , これを共用部分とする旨の規約を定めたときは , 当該建 物の表題部所有者は , 当該規約を定めた日から 1 月以内に , 共用部分である旨の登記を申 請しなければならない。 ウ抵当権の設定の登記がある建物について共用部分である旨の登記を申請するときは , そ の添付情報として , 当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該登記名義人が作成した情 報又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供し なければならない。 ェ共用部分である旨の登記がある建物について一部を取り壊したことにより床面積の変 更があったときは , 当該建物の所有者は , 表題部の変更の登記を申請することを要しない。 オ共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨を定めた規約を廃止し たときは , 当該建物の所有者は , 当該規約の廃止の日から 1 月以内に , 当該建物の表題登 記を申請しなければならない。 1 アウ ノ 0 / 20 ノ 5 2 ア工 3 イエ ーノ 3 ー 4 イオ 5 ウォ 不動産法律セミナー

7. 不動産法律セミナー 2015年10月号

建物が所在する土地以外の土地となったときは , その土地は , 規約で建物の敷地 ( 規約敷地 ) と 定められたものとみなす。」と規定しているので , 本肢の甲土地は建物の一部滅失後も区分所有 法 2 条 5 項に規定する「建物の敷地」であり , 分離処分禁止の規定が適用されている ( 区分法 22 条 1 項本文 ) 。したがって , 甲土地を目的とする敷地権であった権利が敷地権でない権利となっ たことによる建物の表題部の変更の登記の申請を要しない。 ウ誤り。「規約により所有権が建物の敷地権である旨の登記がされている土地」とは「規約敷地」 のことと解されるが , 当該規約が廃止されたことにより当該所有権が敷地権でなくなった場合に は , 敷地権であった権利が敷地権でない権利となったことによる建物の表題部に関する変更の登 記 ( 敷地権の登記を抹消する表題部の変更の登記 ) を当該建物の表題部所有者又は所有権の登記 名義人から申請しなければならない ( 法 51 条 1 項 ) 。当該土地の所有権の登記名義人が申請する ことはできない。 工正しい。先例 ( 昭和 58 ・ 11 ・ 10 民三 6400 号通達第 1 ・ ・ 2 ) によれば , 「他の建物の法定敷地 となっている土地を規約敷地とすることも妨げない。」とされているので , 甲区分建物の法定敷 地として登記されている土地について , 甲区分建物が属する一棟の建物に属さない乙区分建物の 敷地とする規約 ( 規約敷地を定める規約 ) を設定することができる。また , 当該規約の設定によ り当該土地について敷地権が発生した場合には , 乙区分建物について当該敷地権の登記をする表 題部の変更の登記を申請しなければならない ( 法 51 条 1 項 ) 。 オ誤り。「敷地権についてされた登記としての効力を有する抵当権の設定の登記」を「特定登記」 というが , 登記官は , 敷地権付き区分建物のうち特定登記があるものについて , 敷地利用権が区 分所有者の有する専有部分と分離して処分することができるものとなったことにより敷地権の 変更の登記 ( 敷地権の登記を抹消する表題部の変更の登記 ) をする場合において , 当該変更の登 記の申請情報と併せて特定登記に係る権利の登記名義人が , 当該変更の登記後の当該建物又は当 該敷地権の目的であった土地について当該特定登記に係る権利を消滅させることを承諾したこ とを証する情報が提供されたときは , 当該承諾に係る建物又は土地について当該特定登記に係る 権利が消滅した旨を登記しなければならないとされている ( 法 55 条 1 項 ) 。また , 特定登記に係 る権利が土地について消滅した旨の登記をするときは , 当該消滅した権利に係る権利に関する登 記を土地の登記記録に転写することを要しないとされている ( 規則 125 条 2 項 ) 。 以上により , 正しいものはア及びェであるので , 正解は 1 となる。 第 17 問正解 3 出題デ三マ共用部分である旨の登記 ア正しい。所有権の登記がある建物についてする共用部分である旨の登記は , 当該建物の所有権 の登記名義人以外の者は , 申請することができないとされている ( 法 58 条 2 項 ) 。 イ誤り。建物についてする共用部分である旨の登記は , 当該建物が共用部分であることを第三者 に対抗するための登記であるから ( 区分法 4 条 2 項 ) , 申請義務は課せられていない ( 法 58 条参 ウ正しい。共用部分である旨の登記をするときは , 権利に関する登記はすべて抹消されることに なるので ( 規則 141 条 ) , 共用部分である旨の登記を申請する建物に所有権以外の権利に関する登 記があるときは , 当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人の承諾を証する当該登記名義人 不動産法律セミナー ーイ 6 ー ノの 2 硼 5

8. 不動産法律セミナー 2015年10月号

区分した建物の表示欄 ( イ ) 建物の名称 主である建物 家屋 区 分 し た 建 物 の 表 敷 地 権 の 表 区 分 し た 建 物 の 表 敷 地 権 の 表 ①種類 ②構造 ③床面積 番号 5 番 27 ( イ ) B 町二 丁目 5 番 27 の 1 ①土地の符号 又は附属建物 ②敷地権の種類 居宅・ 共同住宅 軽量鉄骨造合 金メッキ鋼板 ぶき 3 階建 軽量鉄骨造 2 階建 居宅 ③敷地権の割合 1 階 2 階 3 階 2 階部分 3 階部分 8 引 63 8 引 95 55 8 52 48 四 7 77 原因及びその日付 5 番 27 の 1 , 5 番 27 の 2 に区分 5 番 27 から区分 原因及びその日付 区分した建物の表示欄 ( ロ ) 建物の名称 主である建物 家屋 ①種類 ②構造 記載不要 ③床面積 1 階部分 77 34 番号 ( ロ ) B 町二 丁目 5 番 27 の 2 ①土地の符号 又は附属建物 ②敷地権の種類 原因及びその日付 5 番 27 から区分 軽量鉄骨造 1 階建 共同住宅 ③敷地権の割合 不動産法律セミナー 原因及びその日付 記載不要 ノの 2075

9. 不動産法律セミナー 2015年10月号

付」欄には , 区分の経緯を「 5 番 27 から区分」と記載する ( 準則 97 条 , 96 条 ) 。 敷地権の「原因及びその日付」欄には , ( イ ) 部分と同様に , 「記載不要」と記載する。 問 3 添付図面の作成 ( 1 ) 建物図面 縮尺 500 分の 1 で作成する。区分建物の敷地並びにその区分建物が属する一棟の建物の 1 階の形状を点線をもって明確にし , 方位 , 敷地の地番及びその形状 , 隣接地の地番を記録す る ( 規則 82 条 1 項・ 2 項 ) 。この場合 , 建物の位置関係を明確にする方法として , 隣地との 境界等からの距離を記入する取扱いであるが , この測定値は , 建物の外壁面からのものを記 載する ( 準則 52 条 2 項前段 , 登記研究 364 号 79 頁 ) 。本問の ( イ ) の建物は , 階層的区分建物 で 2 階と 3 階に存するので , 「建物の存する部分 2 階 , 3 階」と記録するのが相当である ( 準 則 52 条 2 項後段 ) 。また , 規則 84 条の規定による符号を解答例のように記録する。 ②各階平面図 区分建物の各階の形状を図示し床面積を記録するが , 床面積を明確にするため建物の周囲 の長さを記入し , かっ 2 階部分の位置を点線をもって表示し , 床面積及びその求積方法を記 録することを要する ( 規則 83 条 , 準則 53 条 1 項 ) 。 不動産法律セミナー ノの 2 硼 5

10. 不動産法律セミナー 2015年10月号

( 別紙 1 ) 【事実関係】 1 本件建物は , 乙山一郎が自ら所有する A 市 B 町二丁目 5 番 27 の土地に平成 26 年 5 月 1 日に建築 した 3 階建ての建物であり , 1 階に共同住宅部分 ( 2 部屋 ) 及び居宅部分専用玄関が , 2 階及び 3 階に自身が居住する居宅部分が , それぞれ配置されている。 2 本件建物の所有権の登記名義人である乙山一郎は , 本件建物以外にも , 自身を所有権の登記名 義人とする共同住宅を数棟所有している。乙山一郎は , 今後も更に数棟の共同住宅の建築を検討 しており , 棟数も多くなってくることから , 会社を設立して , その会社に全ての共同住宅の所有 権を譲渡し , 所有権の移転の登記をすることにした。 3 本件建物については , 居宅部分と共同住宅部分とが一棟の建物として登記されていることから , 共同住宅部分の所有権の移転の登記を申請する前提として , 本件建物のうち , 居宅部分と共同住 宅部分とを別個の建物とするための登記をする必要がある。 4 また , 乙山一郎は , 本件建物のうち , 共同住宅部分の所有権のみを会社に譲渡して所有権の移 転の登記をし , 居宅部分及びその敷地である土地の所有権は全て自己名義のままにしておくこと を希望している。 5 乙山一郎は , 土地家屋調査士民事花子に対し , 本件建物の居宅部分と共同住宅部分とを別個の 建物とするために必要な表示に関する登記の申請手続を依頼することにした。 6 土地家屋調査士民事花子は , 本件建物に関する調査及び測量を実施し , 本件建物の居宅部分と 共同住宅部分とが , 構造上及び利用上において明確に区分されていることを確認するとともに 必要な書類の提供を受け , 平成 27 年 8 月 21 日 , 本件建物のうち , 居宅部分と共同住宅部分とを別 個の建物とするための表示に関する登記を申請した。 不動産法律セミナー ノ 0 / 20 ノ 5