宅建士 , ・正解 4 業務上の規制・ 8 種制限 本問は手付金等保全措置等 , 業者が自ら売主となる場合の 8 種の制限に関する問題である。 ア . 誤り。宅地建物取引業者が , 自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して非業者で ある買主から手付を受領したときは , その手付がいかなる性質のものであっても , 当事者の一方 が契約の履行に着手するまでは買主はその手付を放棄して , 当該宅地建物取引業者はその倍額を 償還して , 契約の解除をすることができる。本肢の特約は手付放棄の他に売買代金の 1 割を支払 わなければ解除できないとする非業者の買主に不利なものであるから無効となる。 B は手付金 10 万円を放棄することで契約を解除することができる ( 宅地建物取引業法 39 条 2 項 , 3 項 ) 。 イ : 誤り。宅地建物取引業者は , 宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事 に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては , 銀行等がその債務を連帯して保証 することを委託する契約 ( 保証委託契約 ) 又は保険事業者による保証保険契約を締結することで 保全措置を講じなければならない。題意より A は未完成物件で売買代金の 10 分の 1 相当の手付金 を受領するのであるから , 受領前に保全措置として保険事業者との間に保証保険契約を締結し , かっ , 保険証券又はこれに代わるべき書面を非業者の買主に交付しなければならない。受領後に 保険証券を交付することは宅地建物取引業法に違反することになる ( 同法 41 条 1 項 2 号 ) 。 ウ誤り。手付金等保全措置に係る宅地の造成又は建築に関する工事が完了しているか否かについ ては , 売買契約時において判断すべきであるものとされている。題意より , AB 間の売買契約締 結時において建築工事完了前であるからその後工事が完了したとしても未完成物件として , 業者 が受領しようとする手付金等の額が代金の額の 100 分の 5 又は 1 , 000 万円を超えるときは保全措置 が必要となる。また , 保全措置の対象となる手付金等とは , 代金の全部又は一部として授受され る金銭及び手付金その他の名義をもって授受される金銭で代金に充当されるものであって , 契約 の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいう ( 同法 41 条 1 項 , 同法施行 令 3 条の 3 , 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。よって , A は引渡し及び 所有権登記までの間に中間金 150 万円を受領する前に , 保全措置を講じなければならない。 以上より , ア ~ ウはすべて誤っており正しい内容はないから , 正解は 4 となる。 正解 1 業務上の規制 本問は宅建業者の業務に関する規制 , 禁止事項全般に関する問題である。 ア・違反する。宅地建物取引業者又はその代理人 , 使用人その他の従業者は , 宅地建物取引業に係 る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為で , 宅地建物取引 業者の相手方等の利益の保護に欠ける一定の行為をしてはならない。当該契約の目的物である宅 地又は建物の将来の環境又は交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断 , 記述のよう に「眺望を遮るような建物を建てることは絶対ない」といった内容を提供することはこの禁止事 項に該当し , 宅地建物取引業法の規定に違反する ( 宅地建物取引業法 47 条の 2 第 3 項 , 同法施行 規則 16 条の 12 第 1 号イ , 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。本肢は平成 25 年本試験問 41 と同じ内容からの出題である。 イ違反する。宅地建物取引業者又はその代理人 , 使用人その他の従業者は , 宅地建物取引業に係 る契約の締結の勧誘をするに際し , 宅地建物取引業者の相手方等に対し , 利益を生ずることが確 実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。本肢の「 5 年後値上が りするのは間違いない」等と告げて勧誘することは , 将来利益を断定的に提供することとして禁 問 41 ノ 2 / 2 硼 5 不動産法律セミナー
行政書士 主債務の消滅時効を援用 したがって , 債権者が保証人に請求したり , 保証人が保証債務を承認しても , ま債務の ・弁済以外は主債務に影響しない。 く保証人に生じた事由→相対効 > することができる 結論主債務者 B が時効の利益を放棄しても , 保証人 C は別途 , するためには , 保証契約において特に「連帯」である旨の特約をする必要がある。現実問題 , 日本 保証人に生じた事由が主たる債務者に影響を及ばすことがある ( 絶対効 ) 。なお , 連帯保証が成立 認めちれないまた , ②共同保証の場合における各保証人間の分別の利益もない。さらに , ③連帯 もっとも , 連帯保証には , 補充性がないため , ①連帯保証人には催告の抗弁権も検索の抗弁権も 通常の保証と同様である。 連帯保証も , 保証債務の一種であり , 主債務に付従するので , 付従性から生じる効果については , 連帯保証とは , 保証人が主債務者と連帯して債務を負担するのある保証である ( 458 条 ) 。 9 連帯保証 条 1 項前段・ 460 条 ) 。なお , この事前求償権は , 物上保証人には認められていないので注意しよう。 債務者から特に委任を受けて保証人となった一には , 事前求償権が認められている ( 459 そして , 弁済後の求償では , 債務者の財産が悪化して事実上求償できないおそれがあるため , 主 の債務者に対し , その負担部分のみについて求償権を有する。 ことができる ( 459 条 , 462 条 ) 。連帯債務者または不可分債務者の 1 人のために保証した者は , 他 保証人が弁済などによって債務を消滅させた場合 , 保証人は一求償権を行使する 3 保証人の求償権 効であったが , 債務の「承認」による時効の中断については相対効であった。 ※連帯債務との違いを意識すると分かりやすい。連帯債務は , 「請求」による時効の中断は絶対 とにならない証人に対しても無効になる。つまり全意味がない 時効 . は中断ル -- な、いし , 保証人に対して債権譲渡の通知をしても , ま . 債務者に通知、した の保証は 99.9 % 連帯保証になっている。 く通常の保証と連帯保証との違い > 補充性 ( 催告の抗弁・検索 の抗弁 ) 通常の保 証人 連帯保証 人 なし あり 分別の利益 ( 債務の分割 がなされるか ) あり なし 絶対効 ( 保証人に生じた事 由が主債務者に影響を及ぼ すか ) なし あり ( 特に請求習混同 ) ※ ※保証人にはもともと負担部分がないので , 負担部分のみ絶対効が生じるとされているものは準 用されない ( 他人の相殺権 , 免除 , 時効は準用されない ) 。 ノ 2 / 2 硼 5 不動産法律セミナー
く連帯保証人に生じた事由 > く連帯保証人に対する「請求」の絶対効 > A が連帯保証人 C に対して履行の「請求」をした場合 , 効が中断するのか。また , 連帯保証人 D にも及ぶのか。 D ( 連帯保証人 ) 、 c ( 連帯保証人 ) 、 SK 、 B ( 主債務者 ) 主債務 その効果は主債務者 B に及び時 結論 A が C に請求して時効が中断すると , ①連帯保証の絶対効により , その請求の効果 は B に及ぶ。そして , ②冖からその B に生じた効果が , D にも及ぶ。つまり , 上 がって下がる。 ※連帯保証は連帯保証人間に連帯債務のような関係が生じるのではない点に注意。あくまでも , 主債務者との連帯という意味である。保証人間で連帯債務同様の関係が生じるのは「保証連帯」 と呼び , 連帯保証とは別物。 共同保証の場合における保証人間の求償 ①分別の利益のない場合 ( 連帯保証や保証連帯の場合 ) ①連帯保証のとき , ②保証連帯のとき , 共同保証人の 1 人が自己の負担部分を超える弁済をすれ ば , 他の保証人に対し , 求償できる ( 465 条 1 項・ 442 条 ~ 444 条 ) 。 ②分別の利益のある場合 ( 通常の保証の場合 ) 通常の保証の場合 , 共同保証人の 1 人が自己の負担部分を超える弁済をすれば , 他の保証人に対 し求償できる ( 465 条 2 項・ 462 条 1 項 ) 。 不動産法律セミナー ーノ 28 ー ノ 2 / 20 ノ 5
/ ー政書士 3 保証契約の締結 Q . 保証債務が , 主債務の契約解除による原状回復義務にまで及ぶのか ? く解除に伴う原状回復義務の保証 > る一切の債務を保証する趣旨であると解すべきだからである。 は , 及ぶとしている ( 最判昭 40 ・ 6 ・ 30 ) 。契約当事者のための保証は , 契約当事者として負担す 問題となるのは , 保証債務が主債務の契約解除による原状回復義務にまで及ぶかであるが , 判例 べてに及ぶ ( 447 条 1 項 ) 。保証債務の内容は超広いということだ。 その効力は , 主債務のほか , 主債務に関する利息・違約金・損害賠償など , 主債務に従たるものす 保証債務の内容は , 特約のない限り , 保証債務の付従性と保証契約の内容によって決定されるが , 6 保証債務の内容 条 2 項 3 項 ) 。 場合を除き , 債権者は弁済の資力を有する者に代えることを債務者に請求することができる ( 450 ( 450 条 1 項 ) 。そして , 保証人が弁済の資力を有しなくなったときは , 債権者が保証人を指名した 務を負う場合 , 保証人は , ①行為能力者であること , ②弁済をする資力を有することが必要である 保証人の資格には , 原則として制限がない。もっとも , 例外として , 債務者が保証人を立てる義 保証人の資格等 趣旨である。 磁的記録によって行わなければならないと規定された ( 446 条 2 項・ 3 項 ) 。保証契約を慎重に行う また , 平成 16 年の民法改正により , 保証契約の締結は単なる合意だけでは足らず , 書面または電 はない。 あるいは第三者による詐欺の問題となるにすぎず , 当然に保証契約の有効性に影響を与えるわけで が他にも担保が存在するものと誤信したりしていた場合であっても , 動機の錯誤の問題 ( 95 条 ) また , 保証人が主債務者の委託を受けて保証する際 , 主債務者による詐欺が行われたり , 保証人 の意思に反して , 勝手に債権者との間で保証契約を締結することができる。 保証債務は , 債権者と保証人との間の保証契約によって成立するよって , 保証人は , 主債務者 A ( 売主 ) ①売買契約 B ( 買主 ) ( 物を受け取った ) ②解除 結論 理由 ノ 2 / 20 ノ 5 ③原状回復義務 ( 物を返す ) C ( 保証人 ) 保証人は , 買主 B の売買代金の支払いを保証するだけでなく , 解除した場合に生す る原状回復義務ス耳的物を返還する義務厂についても保証すゑまた , 目的物を返 還する義務が不可能になった場合には , 損害賠償義務が生じるが , その損害賠償義 務も保証人は負うことになる。 保証人 C は , 相手方 A に迷惑をかけないようにたてるものであるから , 解除によっ ーノ幻ー 不動産法律セミナー
く保証のイメージ > 主債務 債権者 【用語の確認】 B が A に対して負っている債務 を「主債務」または「主たる債 務」と呼ぶ。また , B のことを 「主債務者」または「主たる債 務者」と呼ぶ。 主債務者 負担立 部分 : 100 保証債務 0 分 部 日一 負 人 o 証 保 2 法的性質 ①付従性 ( 物的担保と共通 ) 保証債務は , 主債務が履行されない場合に , 主債務に代わって履行するものであるから , 主債務 の存在を前提とし , 主債務に従たる性質を持っている。これを , 保証債務の付従性という。 具体的には , 主債務が成立しなければ , 保証債務も成立しない ( 成立の付従性 ) 。また , 主債務 が消滅すれば , 保証債務も消滅する ( 消滅の付従性 ) 。もっとも , 主債務は , 現実に発生している 必要はない ( 付従性の緩和 ) 。これらの点は物的担保と同じである。 そして , 保証債務は , その内容や態様において主債務よりも軽いことは差し支えない ( 一部保証 は可 ) が , 主債務よりも重くなってはならず , 重い場合には , 主債務の限度まで減縮される ( 448 条 ) 。そして , 保証人の意思によらず一方的に債務が加重されるのは , 妥当でないので , 主債務者 と債権者の合意で主債務が加重されても , 保証債務は加重されない ( 内容の付従性 ) 。 もっとも , 保証人が特の保証債務につき : 違約金や損害賠債の額を予定するごどは 3 許される ( 447 条 2 項 ) 。この場合には , 保証債務の目的や態様が主債務よりも重くなっているのではなく , 保証債務の履行を確実にすることが意図されているにすぎないからである。 消滅の付従性については , 民法に特別の規定が用意されている。すなわち , 保証契約締結当時に 主債務者が制限行為能力者であることを知っていた保証人は , 主債務が制限行為能力を理由に取り 消された場合 , 同一内容の独立の債務を負担したものと推定される ( 449 条 ) 。制限行為能力により 取り消される債務であることを知って保証人になる者は , 主債務が消滅しても債権者に損害を被ら せない意思だと考えられるからである。 もっとも , 449 条の反対解釈として , 制限行為能力以外の取消原因 ( 詐欺・強迫 ) を保証人が知 っていても , 本条の推定は働かない。 ②随伴性 ( 物的担保と共通 ) 保証債務の随伴性とは , 保証債務によって担保されている債権が譲渡された場合 , 保証人に対す る債権も , それに伴って移転するということである。 ③補充性 ( 人的担保特有 ) 保証債務の補充性とは , 保証人は , 主債務者がその債務を履行しないときに初めて , 自己の債務 を履行する責任を負うということである ( 446 条 ) 。主債務によって満足することができる場合には , あえて保証債務から満足を得る必要がないからである。このことから , 保証人には催告の抗弁権 ( 452 条 ) と検索の抗弁権 ( 453 条 ) とが認められている。この点は後で詳細を述べる。 ーノ 2 ィー ノ 2 / 20 ノ 5 不動産法律セミナー
' ー政書士 保証に関する次のア ~ オの記述のうち , 妥当なものはいくつあるか。 ア . 主たる債務者に対する履行の請求その他の時効中断事由は , 保証人に対しては , その効力を生 じない。 イ . C は , B が A 所有のマンションを賃借するにあたり B の保証人となった。 A ・ B 間の契約が B の賃料不払いを理由として解除されたときは , C は , B の滞納した賃料のみならず , B が立ち 退くまでに生じた損害をも賠償する責任を負う。 ウ . 連帯保証において , 主たる債務者が債権者に対して反対債権を有する場合には , 連帯保証人は , 主たる債務者が債権者に対して有する反対債権による相殺をもって , 相殺適状にあった全額に おいて債権者に対抗することができる。 工 . 連帯保証において , 連帯保証人のために時効が完成した場合には , 主たる債務者はこれを援用 して債務を免れることができる。 オ . 連帯保証において , 債権者が連帯保証人に対してした債務の履行の請求は , 主たる債務者に対 して効力が生じることなく , 主たる債務の時効は中断しない。 2 . 2 つ 3 . 3 つ 4 . 4 つ 5 . 5 つ 第認間新 ア . 妥当でない。保証債務の付従性の観点から , 主たる債務者に生じた事由はことごとく保証債務 に対しても効力が生じる ( 絶対効 , ただし , 時効の利益の放棄は相対効 ) 。よって , 主たる債 務者に対する履行の請求その他の時効中断事由は , 保証人に対してもその効力を生じる ( 民法 457 条 1 項 ) 。 イ . 妥当である。判例は , 賃料不払いによって賃貸借契約が解除された場合 , 賃借人の保証人は , 賃借人が目的物を返還しない間に賃貸人に与えた損害も保証する責任があるとした ( 大判昭 13 ・ 1 ・ 31 ) 。 ウ . 妥当である。主たる債務者が債権者に対し反対債権を有する場合 , 保証人は , 債権者に対し , この反対債権をもって相殺を主張することができる ( 457 条 2 項 ) 。 工 . 妥当でない。民法 458 条は , 連帯保証人について生じた事由の効力を , 連帯債務の規定を準用 する形で主たる債務者に及ばしているが , このうち , 負担部分を前提としている規定は準用さ れないと考えられている。というのも , 連帯保証人には負担部分がないからである。よって , 他人の債権をもって相殺を援用する場合の規定は準用されない。したがって , 連帯保証におい て , 連帯保証人のために時効が完成した場合に , 主たる債務者がこれを援用して債務を免れる ことはできない。 オ . 妥当でない。肢工と異なり , 連帯保証において , 債権者が連帯保証人に対してした債務の履行 の請求は , 主たる債務者に対して効力が生じ , 主たる債務の時効は中断する ( 458 条 , 434 条 ) 。 正解 2 ーノ 29 ー ノ 2 / 2075 不動産法律セミナー
て原状回復義務が生じたのであれば , それも保証しないと意味がない。保証人の責 任を限定する方向では考えないというのが理解のポイント。 6 保証人が有する抗弁権 失を含む ) は相対効。したがって , 主債務者が時効の利益を放棄したとしても , 保証人 ・一だけ。つまり , ①主債務を加重した場合と②時効の利益の放棄 ( 援用権の喪 は当殀 請求や承認による主債務の時効中断※ , 債権譲渡の通知なと ) 。これは付従性の観点から ・どごどく保証債務に影響を及す ( 主債務が無効であるとか取り消されたという事情 , く主債務に生じた事由→絶対効 > 主債務者・保証人間の効力 は 120 条に規定する取消権者にあたらないとして , その行使を認めない ( 最判昭 20 ・ 5 ・ (1) 。 となるのは , 主債務者の有する取消権を保証人が行使できるのかである。この点 , 判例は , 保証人 保証人は , 債権者に対し , この反対債権をもって相殺を主張することができる ( 457 条 2 項 ) 。問題 相殺の抗弁については , 明文がある。すなわち , 主債務者が債権者に対し反対債権を有する場合 は , その消滅時効を援用できる ( 大判昭 6 ・ 6 ・ 4 ) 。 れを行使できるし , また , 主債務が時効消滅した場合 , 主債務者が時効利益を放棄しても , 保証人 例えば , 主債務者が債権者に対し同時履行の抗弁権 ( 533 条 ) を有している場合 , 保証人は , そ 保証債務の付従性から , 保証人には , 主債務者の有する抗弁を援用する権利がある。 ③付従性からくる抗弁権 とができる ( 検索の抗弁権・ 453 条 ) 。 あり , かっ , ②執行が容易であることを証明して , まず主債務者の財産に執行するよう抗弁するこ 債権者が主債務者よりも先に保証人の財産に執行してきた場合 , 保証人は , ①主債務者に資力が ②検索の抗弁権 ( 453 条 ) 産手続開始の決定を受けた場合や行方不明の場合は , この限りではない。 主債務者に請求するよう抗弁することができる ( 催告の抗弁権・ 452 条 ) 。もっとも , 主債務者が破 債権者が主債務者に請求することなく保証人に債務の履行を請求してきた場合 , 保証人は , まず ①催告の抗弁権 ( 452 条 ) 補充性からくる抗弁 , ③は付従性からくる抗弁である。 保証債務の履行を請求されたとき , 保証人は , 以下の抗弁をもって債権者に対抗できる。①②は は , 別途 , 主債務の消減時効を援用できる ・放棄の相対効 保証債務 不動産法律セミナー > B ( 主債務者 ) 時効の利益を放棄 C ( 保証人 ) →主債務の消滅時効を援用できる →時効の利益の放棄は相対効だからだ ! ーノ 26 ー ノ 2 / 20 ノ 5
止規定に該当し , 宅地建物取引業法に違反する ( 同法 47 条の 2 第 1 項 , 国土交通省「宅地建物取 引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。昨年本試験問 43 でも出題された頻出論点である。 ウ・違反しない。宅地建物取引業者は , その業務に関してその相手方等に対して , 手付について貸 付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない ( 同法 47 条 3 号 ) 。しかし本肢の場合は , 業者自身が手付について信用の供与をすることにより契約の締結 を誘引するのではなく提携銀行において手付金も融資対象となっている旨をあっせんとして告げ ているだけであるから , 宅地建物取引業法に違反しない ( 同法 47 条 3 号 ) 。 工・違反する。宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し , 既に受領した預 り金を返還することを拒むことは , 宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの 撤回若しくは解除の妨げに関する行為で , 宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠ける行 為に該当する。相手方が契約の申込みを撤回しようとする場合において , 契約申込み時に業者が 受領していた申込証拠金その他の預り金について返還を拒むことの禁止であり , 処分手数料とし て一部を返還しないことは宅地建物取引業法に違反する ( 同法 47 条の 2 第 3 項 , 同法施行規則 16 条の 12 第 2 号 , 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 ) 。 以上より , 違反しないものはウの一つのみであるから , 正解は 1 となる。 正解 3 営業保証金・宅地建物取引業保証協会 本問は宅建業者に供託が義務付けられている営業保証金制度及び宅地建物取引業保証協会に係る 複合問題である。 1 . 誤り。営業保証金は , 国土交通省令の定めるところにより , 国債証券 , 地方債証券その他の国 土交通省令で定める有価証券をもってこれに充てることができ , 宅地建物取引業者は , 事業の開 始後新たに事務所を設置したときは , 当該事務所につき政令で定める額の営業保証金を主たる事 務所の最寄りの供託所に供託し , その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届 け出なければならない ( 宅地建物取引業法 25 条 1 項・ 3 項 , 26 条 1 項・ 2 項 ) 。他方 , 宅地建物 取引業保証協会の社員は , 新たに事務所を設置したときは , その日から 2 週間以内に , 政令で定 める額の弁済業務保証金分担金を当該宅地建物取引業保証協会に納付しなければならない ( 同法 64 条の 9 第 2 項 ) 。弁済業務保証金分担金は金銭で納付するのであり営業保証金と異なり有価証 券をもって充てることはできない。 2 . 誤り。一部の事務所を廃止した場合の営業保証金の取戻しは , 当該営業保証金につき還付を請 求する権利を有する者に対し , 6 か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し , その期 間内にその申出がなかった場合でなければすることができない。これに対して弁済業務保証金で は , 保証協会の社員がその一部の事務所を廃止した場合に超過額に相当する弁済業務保証金を取 り戻すに際して , 認証を受けるため申し出るべき旨の公告は不要である ( 同法 30 条 2 項 , 64 条の 11 第 1 項・ 4 項 ) 。 3 . 正しい。供託する営業保証金の額は , 主たる事務所につき 1 , 000 万円 , その他の事務所につき 事務所ごとに 500 万円の割合による金額の合計額であり , 納付する弁済業務保証金分担金の額は , 主たる事務所につき 60 万円 , その他の事務所につき事務所ごとに 30 万円の割合による金額の合計 額である ( 同法施行令 2 条の 4 , 7 条 ) 。記述の通り , A は 2 , 500 万円の供託が , B は 150 万円の納 付が必要である。 4 . 誤り。宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者 ( 社員とその者が 問 42 不動産法律セミナー ノ 2 / 2 硼 5
市政書 ァーマで攻略する民法講座 東京法経学院講師 保証 / ー政書士 寺本康之 こんにちは。寺本ャスユキです。平成 27 年度行政書士試験を受験された皆さん , お疲れ様でした。 これまで勉強してきた成果をいかんなく発揮できた方 , できなかった方様々だろうと思います。た だ , いずれにしましても , 少し勉強をお休みして , 自由に時間を使ってみるとよいと思います。今 まで勉強優先で出来なかったことも沢山あるでしようから・・・。ちなみに , 現在 , 私の方は本試験問 題を分析し , 今後の傾向と対策を練っている最中です。これをベースにして来年度も皆さんに有益 な講義を提供していきたいと思います。また , 先日 , 特定行政書士の認定考査がありました。今年 が初めてであったため , どのような内容になるのかが注目されていたのですが , 結局のところ , 行 政書士試験で問われる内容と大差ありませんでした ( 行政手続法 8 問 , 行政不服審査法 8 問 , 行政 事件訴訟法 4 問はまさに行政書士試験と同じような内容でした ) 。したがって , 個人的にはできた と「思います」が ( 笑 ) , 行政法の勉強からしばらく離れてしまっている実務家の先生方の中には , 考査用に初めから勉強をし直したという方も多かったようです。何が言いたいのかというと , 特定 行政書士の法定研修は登録後速やかに受講した方がよい , ということですね ( 笑 ) 。こちらの方も これから少しずつ情報提供をしていこうと思っていますので , 楽しみにしていてください。 さて , 今回は , 「保証」のテーマを取り扱います。この「保証」は , 出題パターンが沢山あるの で , 完璧に押さえることが難しいテーマです。保証単独で出題されることがあるのはもちろん , 連 帯債務との比較や弁済との関連で出題されることもあります。また , それだけではありません。記 述式で問われたこともありますね。このように , 保証は頻出テーマではあるものの , 完全にマスタ ーすることは少々厄介です。そこで , 今回は , 保証のテーマを横断的に理解してもらうために少し 細かい知識まで押さえていただこうと思っています。一読の上 , 確認問題にチャレンジしてみてく ださい。では , 参ります。 龜保証 保証債務とは , 債務者が債務を履行しない場合 , これに代わって債務を履行するため保証人が負 担する債務である ( 446 条 ) 。保証は , 人的担保の代表である ノ 2 / 20 ノ 5 ーノ 23 ー 不動産法律セミナー
【問 41 】宅地建物取引業者が売主である新築分譲マンションを訪れた買主 A に対して , 当該宅地 建物取引業者の従業者 B が行った次の発言内容のうち , 宅地建物取引業法の規定に違反しないも のはいくつあるか A : 眺望の良さが気に入った。隣接地は空地だが , 将来の眺望は大丈夫なのか。 ア B : 隣接地は , 市有地で , 現在 , 建築計画や売却の予定がないことを市に確認しました。将来 , 建っとしても公共施設なので , 市が眺望を遮るような建物を建てることは絶対ありません。 女心ください。 A : 先日来たとき , 5 年後の転売で利益が生じるのが確実だと言われたが本当か。 イ B : 弊社が数年前に分譲したマンションが , 先日高値で売れました。このマンションはそれよ り立地条件が良く , また , 近隣のマンション価格の動向から見ても , 5 年後値上がりする のは間違いありません。 A : 購入を検討している。貯金が少なく , 手付金の負担が重いのだが ウ B : 弊社と提携している銀行の担当者から , 手付金も融資の対象になっていると聞いておりま す。ご検討ください。 A : 昨日 , 申込証拠金 10 万円を支払ったが , 都合により撤回したいので申込証拠金を返してほ 工 しい。 B : お預かりした 10 万円のうち , 社内規程上 , お客様の個人情報保護のため , 申込書の処分手 数料として , 5 , 000 円はお返しできませんが , 残金につきましては法令に従いお返しします。 つつつし 1 ワ朝 C'O ・ 4 【問 42 】営業保証金を供託している宅地建物取引業者 A と宅地建物取引業保証協会 ( 以下この問 において「保証協会」という。 ) の社員である宅地建物取引業者 B に関する次の記述のうち , 宅 地建物取引業法の規定によれば , 正しいものはどれか。 1 新たに事務所を設置する場合 , A は , 主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべき営業保証金 に , B は , 保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金に , それぞれ金銭又は有価証券をもって 充てることができる。 2 一部の事務所を廃止した場合において , 営業保証金又は弁済業務保証金を取り戻すときは , A, B はそれぞれ還付を請求する権利を有する者に対して 6 か月以内に申し出るべき旨を官報に公告 しなければならない。 3 A と B が , それぞれ主たる事務所の他に 3 か所の従たる事務所を有している場合 , A は営業保 証金として 2 , 500 万円の供託を , B は弁済業務保証金分担金として 150 万円の納付をしなければな らない。 4 宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は , A に関する債権にあっては A が 供託した営業保証金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有し , B に関する債権にあ っては B が納付した弁済業務保証金分担金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有す る。 ノ 2 / 2 硼 5 不動産法律セミナー